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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第6章
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結婚式

 僕はたまの週末に東京に呼ばれるくらいでそれ程いそがしくは無かったが、GABの皆んなは、平日は学校、土日は創成の劇場か、地元局でテレビ出演と、ハードな毎日を送って三学期はあと言う間に過ぎてしまった。春休みも、他の地方都市の劇場に遠征したりして忙しく過ごしその勢いのまま三年生になり、バタバタと一年が経過、とうとう卒業式を迎えようとしていた。皆んなアイドルが板に付いた感じで、仕事も、進路も順調だった。順調と言えば、僕の身長は更に伸び、186センチ。姉達からのミッションはクリアした。


 小雪と夢愛はそのまま、大学と家教と創成劇場の三刀流。1日2軒、月木で8軒のカケ2人で16軒の家教の枠は、常に満杯らしい。

 美月、彩花、美羽、琴音は東京のグループに移籍して、本格的に芸能活動をスタートする。

 楓とこころは、東京の大学に進学、芸能活動は中断する。本人達は辞めるつもりでいたが、茂木さんの説得で、一応休止ってことにしているが、戻る気はサラサラ無さそうだ。

 カレンはアメリカに戻ったが、就労ビザが取れ次第再来日するそうだ。美月達と同じ用に、東京を拠点に活動予定。

 いろはは、小雪達の大学に進学し、芸能活動は中断。一応中断ってスタンスは楓達と同様。茂木さんは諦めずに、復帰を待っている。ちょっと遠いけど、自宅からJR通学。

 雨は、創成で一二を争う進学校に合格、僕と姉達も創成の大学に進学。雨の高校の近くの賃貸マンションに住む。姉妹達はGABを継続、僕は相変わらず単発でバラエティー番組に出たり、一応俳優としてドラマに出たりしている。

 皆んな居なくなり、上原先生も別のアパートに移り、空っぽになった花田の家には、ばあちゃんが戻って女子寮の管理人。啓愛学院の生徒達が暮らしている。


 またまた時は経って、小雪は、啓愛の教壇に、夢愛は、創成の私立でスポーツの盛んな高校、柔道部の強化だろう。同時に、GABも卒業している。

 楓とこころは、普通の女子大生として過ごしているようだ、他の東京組は、24グループは卒業してそれぞれソロで活動、たまに集まってバンドとしても活躍している。因みに、カレンが望んでいた有名声優さんや原作の先生との対面はしっかり果たしていて、特集が書籍化されている。

 いろはは、冬の帰宅困難時、小雪達のアパートに避難していたが、だんだんとその比率が増し、ほぼほぼ三人暮らしだった。二人が卒業してからは、一人でそこに住んでいる。

 雨は僕等と同じ大学に入ってきて、小6以来、9年ぶりに同じ学校に通う。姉達もってなると、10年ぶりだね。GABの方は結構頻繁に出ているけど、小雪達が卒業してからは、フェイドアウトを狙っているようだ。

 姉達は、グループのステージには出ないが、3人のユニットで定期的に歌ったり、地元局の番組に出たり、セーブしつつ学業メインで活動を続けている。それ程積極的じゃないのに辞めないのが不思議たったが、

「時給に換算すると、凄い金額よ、短時間で稼いで、浮いた時間で遊んだり勉強するの!」

 姉達は四年で卒業、創成の市職員になった。僕は大学院に進んで、寒地農業の研究を続けた。


 柔道部の斉藤さんと千葉は、山岸さんと、同じ石見沢教育大に進んで、全国大会の常連になっていたが、日本代表には手が届かず、社会人での柔道は諦めて、それぞれ、創成市立の中学校教師になっている。

 

 楓とこころは、アニメの制作会社に就職したそうだ。スッカリ東京の人かと思ったが、ほぼほぼテレワークなので、創成で暮らしている。

 カレン達は、活動の殆どをバンドに絞り、普段はライブ配信、たまにツアーなので、東京にいる必然性はなく、やはり創成にJターン。

 いろはは創成で、小学校の先生。今のアパートからは結構な距離で、麻幌からと変わりが無いので、実家に帰ろうか検討中。 

 花田の家で暮らしていた皆んなは、啓愛勤務の小雪と上原先生だけが麻幌で、あとの全員は、創成で暮らしている。


 鈴木君は、パティシエの学校を出て、佐藤君のお姉さんと同じお菓子メーカーに勤めている。念願かなってお付き合いしているそうで、現在は独立資金を貯めているとの事。来年、キッチンカーでデビューする計画らしい。

 佐藤君は、二浪して、いろはの後輩の教育大学生。しょっちゅう遊びに来ていた。

 更に時は過ぎ、佐藤君は母校の教師になり、念願だった、上原先生の同僚になれた。


 雨は卒業してすぐ花田種苗に就職。僕の研究を商品化したいそうだ。母さんが、帰って後を継げって、会うたびに煩かったのが、大人しくなってくれたのは有り難かった。

 鈴木夫妻(・・)のキッチンカーは大盛況で、店舗への昇格を狙っている。たまに大学の近くにも売りに来るので、楽しみに待っている。


 ばあちゃんも体力が落ち、一昨年から新規の入寮を停止、今は三年生が3人、卒業する来春で、封鎖する。ずっと育った家だし、思いで深いので、残念に思っていたが、生徒が卒業して空いた部屋には、元の住人が帰って来ているそうだ。

 4人で暮らすつもりで借りた創成のマンションは、一人では広過ぎなので、僕も実家に帰ることにした。生徒達の引越しが済んで、元々皆んなが来る前に使っていた部屋をゲットした。

 

 さて、今日は特別な日。白いタキシードでホテルのチャペルに立っている。新婦と共にヴァージンロードを歩くのは父さんだった。神父さんのお話しを聞いて指環の交換。僕は佐藤君が差し出す小箱から指環を取ってスタンバイ、新婦にはいろはが指環を渡す・・・と、思ったら、

「神様に誓う前に、ちょっと借りるわね!」

いろはは神父さんに向き直ると、

「結婚したら、きっぱり諦めて、横恋慕しない事を誓います。」

ぶら下がるように首にてを回すとグイと引き寄せてまさかのキス。

「誓いのキスよ、神様に誓ったから、心配しないでね!」

会場はざわついたが、いろはが新婦とハグして指環を渡すと、ホッとした雰囲気で静まった。

「私も誓うね!」

カレンが新婦とグータッチしてから僕に抱きついた。

「いろはと、間接キスね!」

当たり前のように元の席に戻ると、

「仕方がないわね、私も誓ってあげるわ。」

美月が続き、彩花、美羽、琴音、楓、こころ、夢愛、小雪、上原先生も並んでいた。

 神父さんは、どう反応したら良いのかオロオロしていたが、新婦が大きく頷いているので、不思議な誓いのキス(・・・・・)が続いた。

 最後尾の上原先生が誓いのあと新婦とグータッチ。席に戻ったところで、フリーズしていた神父さんを解凍した。指環の交換と、一般的な誓いのキス。大きな拍手とライスシャワーを浴びて、披露宴会場に向かった。


 鈴木夫妻(・・)特製のウエディングケーキでケーキ入刀、キッチンカーで楽しみにしていた味を覚えてくれていたようだ。現役時代を彷彿とさせる24グループのヒットメドレー、ダンスも当時のレベルと変わらないので、かなりの特訓が想像できる。意外とウケていたのは、義兄達のトリオ漫談、いかにも体育会系のノリで大学の柔道部に代々伝わる、結婚式の古典ネタだそうだ。


 和気あいあいと宴は進行し、退場の時には胴上げ。落下事故の心配から、あまり観られない光景らしいが、アスリート出身の体育教師の6本の腕は、そんな不安を感じさせなかった。ロビーで来客達を見送って、ウエディングプランにセットされていた、スウィートルームに宿泊。

「広いから、一緒に泊まろうって姉ちゃん達来るかと思ったら、あっさり帰っちゃったね!」

「ふふ、背比べして、お兄・・・しょう君が追い抜いてから、そんな事無かったでしょ?大丈夫よ!」

 灯りを消して二人で毛布にくるまった。

こんにちは、グレープヒヤシンスです。

2019年4月から、何度か休憩を挟んで3年ちょっと。お付き合い頂き、有難うございました。


休日0時更新の

『ハーレムだよね?多分。異世界に来て若返って4人の妻を娶って冒険者としては大成功を収めているんですけどね。』


火曜日16時更新の

『都合よく大金を手に入れ、都合よく踏み倒して、都合よく異世界ににげて、都合よく美女に囲まれて入るけど、根本的に都合が悪かった件』


は、まだ暫く投稿予定ですのでよろしくお願い致します。


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