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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第6章
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もみじ?松太郎?

 一緒の入浴すっかり麻痺してしまい、脱衣所でも浴室でもドキドキすることも無かった。4人になると、たいてい小さい頃の話になって、今日も結構いじられた。まぁ何時もの事なので気にならない。

「私達より大きくなったのって初めてね!もっかい比べてみよ!」

芒と背中同士素肌が密着すると普段とは違う感覚ですこしドキドキ。

「うんと、3センチ位かしら、松太郎(・・・)のほうが高いわ!」

ん?桜、今、『松太郎』って言った?『もみじ』でも『ショタ』でもなく松太郎。

「一緒のお風呂も今日で最後だから、遠慮なくガン見していいわよ!」

桐はギュッと抱きしめて頬を密着させた。必然的に他の部分も密着、柔らかな感触を胸が感じとった。

 必要以上に蜜になりながら、3人の背中を流し、小さい頃の話をしたりしてのんびり過ごした。

 一緒に掃除をして、風呂を上がると、脱衣所のカゴにはメンズのパジャマとトンクスが入っていた。

「ドライヤーお願いね、松太郎!」

3人乾かしているうちに自分の髪はほとんど乾いていた。

 麦茶を飲みながらまたお喋り、

「そろそろ歯磨きしてくるわ。」

姉達は洗面所に移動、グラスを洗って入れ代わりで歯磨き。

「じゃあ、おやすみ。」

「えっ?ふふふ。」

妙な反応だった。

 部屋に戻ると、3人でトランプをしていた。

「遅いぞ松太郎!」

当たり前のように参加して、眠くなったら、寝袋以下のスペースのシングルベッドに鮨詰めで眠った。


 翌朝、目覚めても身動きが取れない、昨夜の姉達の対応は夢じゃ無いらしい。もう少し寝かせておけるので、一番起きないであろう、芒を乗り越えてベッドを抜け出した。机に置いてあったメンズ服に着換えキッチンへ。

 いろは、雨の順に降りて来て、手伝ってくれて、次に来た楓とこころには皆んなを起こしに回って貰った。今日もオンラインライブなので、お迎え迄に準備を調えられるよう、朝食も準備万端。なんとかお迎えに間に合わせた。

 今日も雨と留守番かと思っていたが、雨も一緒にマイクロバスで出掛けてしまった。一人寂しく、昨日の続きでガーデニングと、おかずの作り置き。順調にノルマをクリア、夕食の準備に取り掛かった。

 冷蔵庫を覗いてメニューを考える。決まったかな?と思った時スマホが震えた。

『母さんとばあちゃんと茂木さんが来るから?夕食3人プラスでお願いね!』

『了解』

返信して、再度冷蔵庫とにらめっこ。酒のつまみを一品追加することにして、あとは分量を増やすだけで対応する。


 母さん達が先に到着、程なくマイクロバスも到着した。皆んな部屋に直行したが、母さんと茂木さん、それと雨が何か話し込んで、茂木さんが用意してきた書類に、母さんが署名捺印していた。雨もオフィスGに入所ってことだろうな。昨日迷っていた筈なのに即決?イヤイヤやる訳ではなさそうなので、取り敢えず、『おめでとう』かな?


 ちょっとパーティーっぽくアレンジして、料理を進めると、姉達が参戦して、あっという間に、テーブルがご馳走で埋まっていった。

 急遽のパーティーだけど、すっかり盛り上がって、母さんに飲まされて潰れそうな茂木さんを終電を口実に助け出して駅まで送った。雨の即断の要因を探って見ると、アッサリ教えてくれた。

 GBAのステージにもみじを組み込んだプログラムを作っているそうだが、そこに雨を配置して、もみじは24グループでは活動しない案を姉達主導で決定したそうだ。流石に女の子に混じって踊ったりするのは抵抗があったし、楽屋とか更衣室とか、女子だけを想定して作られているので、かなり不都合が有る筈だ。

 ホッとして見送るとちょうど、入れ替わりで創成から来た下り列車から、上原先生が降りてきた。

「あら、私服の松太郎くんって珍しいわね!お家までデートしましょうか?」

「今、雨のGBA加入祝でパーティしてますから、急いで戻りましょう!急だったんで、有り合わせですけど。」

 雨の加入や、もみじの立ち位置を説明しながら帰宅、秋野の父さん母さんも来て大人達はご機嫌に酔っ払っていた。主役の雨は早々に退散、ポツポツ減って、いろはしか残っていなかった。帰ってきた先生を確保した母さんは、まだ飲むつもりらしい。冷蔵庫を漁って、追加のおつまみを作ってから、秋野の家に避難した。どさくさ紛れに父さんもついてきた。

「いやぁ、松太郎君の料理が旨くて、ついつい飲み過ぎちゃうんだよ、明日の仕事に障りそうだからね。」

と言いながら、缶ビールを開けた。ワインやスパーリングでは落ち着かないので仕上げとの事。

「何か作りますか?」

「あ、いや、嬉しいけど遠慮しとくよ、今夜はこの一本で打留めにしないと、明日に響くからね。」

そう言われて見れば、パーティーから脱出した意味が無くなっちゃうよね。

 部屋に戻って、明日の支度。教科書やなんかは何時も通りだけど、もみじで通うので、ムダ毛の処理。男子としては極端に薄いが、全く無いわけじゃないのでたまに処理している。人によってはもっと頻繁にしなきゃならないらしいので、とても気の毒に思った。脚だけなのでそんなに掛からずに完了。昨夜は思いっきり夜更しして、今日もしっかり働いたので、ベッドに入った途端に即睡したようだ。


 翌朝、少し早目に花田の家に行くと、ダイニングで先生が潰れていた。昨夜着ていた服のまま、メイクも落としていなかった。なんとか抱き起こして、洗面所に連行した。殆ど意識の無い状態なので、水道水で濡らしたタオルで顔面を覆うと、

「・・・お母さんが許したって、世間が許さないのよ・・・」

 なんとなく想像は付くが、敢えて、意味のわからない寝言と言うことにして揺り起こした。

「私、妊娠しちゃって、学校クビね・・・えっ?・・・ん?夢?」

段々覚醒してきた所に美月がやって来て、

「夢の中で妊娠?それまでの経過も夢の中で辿ったのかしら?」

先生は真っ赤になって一気に目覚めたようだ。時計をチェックして浴室に飛び込んで行った。なんとか間に合いそうなので、朝食の支度に取り掛かった。

 その後は順調に登校。学校に着いて、松太郎に戻る筈が、先生の介抱で着替えを忘れたようだ。もみじのまま教室に行く事になってしまった。

 クラスの皆んなは特に驚いた様子もなく、普通にホームルームを済ませていた。

 昼休み、鈴木君と佐藤君と弁当を広げた。

「胸に何か入れたりはしないんだね?」

「あ、うん、変装の時はそれなりに気を使ったけど、最近はペッタンコのままだよ。」 

「それでも、スッカリ女子だよな、華奢だけと、背だって結構あるのに不思議だよね。」

 適当に受け流して、何時ものように、ゲームとか他愛の無い話をしていると、

「花田くん、ツーショ撮らせてもらってもいい?」

遠慮がちに頼まれ、パシャリ。またパシャリ、パシャリ・・・。

「折角だから、俺も!」

と鈴木君、その流れで佐藤君とも撮って、クラスの男子コンプリート。登下校のカメラは回避したけど、こんなに撮られたのは記録更新かな?ちゃんと数えたことは無いけどね。まぁ、危ない人じゃ無いので気にしない事にしておこう。

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