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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第6章
130/139

兄妹

 月曜の朝、何時ものように登校・・・ではなく、もみじになって、いや、もみじのまま、皆んなと学校に向かった。パパラッチ的なレンズに晒される事なく学校に到着出来た。

 教室に行く前に松太郎になった。授業も休み時間も普通に過ごし、松太郎のまま下校した。

 朝には居なかった、少し面倒な人達が遠くに、近くに、見え隠れしている。シャッターの音が聞こえるが、話し掛けて来る様子はないので、急いで秋野の家に駆け込んだ。


「なら、ずっともみじのままで良くない?」

彩花の意見に、皆んなが頷いていた。

「偶々かも知れないから、別のパターンで通ってみるね、明日は松太郎で行ってもみじで帰って見る、向こうから行くから、もう帰るね。」

秘密の通路で秋野の家に帰った。


 翌朝、門を出た瞬間に一眼レフの連写音、握手やサインを強請られ通常の倍位掛かって校門を通過。混雑回避で、うんと早く出ているので、なんとか遅刻にはならなかった。

 帰りはもみじでいろはと下校。校門付近には、バズーカ砲みたいな望遠レンズが並んでいたが、無事通過出来た。


 登下校の実験は、水曜日がもみじ・もみじ、木曜日が松太郎・もみじ、金曜日もみじ・もみじで試し、100パーの確率で、もみじはスルー、松太郎がパパラッチのターゲットだった。火曜日の時点で予測はしていたけど、残念な結果に終わってしまった。

「校則としては問題ないようね。」

琴音と美羽は校則を読み上げて、独自の解釈を語った。【制服】の記述には、女子校だった頃の項目が記載されていて、【男子制服】の所に、男子の記載があった。

「生徒全員が【制服】に該当して、男子だけが【男子制服】に該当するの。だから、女子はコッチしか選べ無いけど、男子はどっちでも良いってことよね!」


 丁度、上原先生が帰ってきて、

「かなり無理矢理な解釈ね、でもセキュリティ上、有効なことは証明出来たから、校則どうこう言うより、安全を選択すべきね!」

と、言うことで、毎日もみじバージョンで登下校することになった。


 土日は創成劇場でオンラインライブ、もみじの出番は無いので、溜まっている庭仕事を片付ける。大まかな所は、住人達が当番で手伝ってくれているので、雑草かどうか見分けの付かない雑草を取ったり、バラの剪定や、害虫対策をする。雨が手伝ってくれるので、サクサクと片付ける。

「雨は、GBA入りたい?」

「うーん、微妙かな?茂木さんは誘ってくれるけどね、普通に学校に通うのも魅力的なんだよね。」

剪定のポイントを説明しながら久しぶりにゆっくりお喋りできた。

「急いで決めなくても良いんじゃないかな?高校生になってからでも良いし。」

「うん、そうだね!取り敢えず中学のうちは勉強頑張るよ。」

「他所受けるの?」

「それもアリかも!皆んな入れ替わりで卒業しちゃうでしょ?でも通学考えたらエスカレーターがラクだよね。」

「それも、じっくり考えてからでもまだ遅くないよ、焦る事ないさ。」

ちょっと()らしい事が言えて嬉しかったけど、実は雨が誘導して、花を持たせてくれたようにも思えた。まぁ、その辺は気にしないでおこう。

 一段落してランチ。雨のリクエストはオムライス。卵で包むのに手間が掛かるので、住人が増えてからは作っていなかった。

「あと、何するの?」

「やろうと思えば無限にあるけど、あとは虫除けのスプレーかな?」

「じゃあ、早く終わらせてデートしようよ!ここは雨が片付けるから、お兄ちゃんは先に庭行ってて!」

食休みもそこそこに、スプレーの準備。電池で動く噴霧器に木酢液をセット、1時間程で完了した。


 どっちで出かける?出来れ出来れば松太郎が良いけど、雨と一緒にパパラッチに撮られたくないな。

「雨と一緒の時の反応調べようよ、案外平和かも!」

秋野の家に帰って松太郎で玄関からでる。普通に道路を歩くと、やはりシャッター音。花田の家の門でチャイムを鳴らし、出てきた雨と、駅まで歩いた。遠くから見られている気配はあるが、声を掛けられることはなく、順調に駅に着いた。創成までも、何事もなく移動した。

 お店を眺めたり、SNSで有名になったパフェを食べたりして、西の空が赤くなるまで楽しんだ。たまに二人になると、腕を組んで歩くのが雨のお気に入り。ジワジワと身長の差が詰まっていること以外は兄冥利に尽きる。また伸びたと思っていたけど、僅差はキープかな?靴の加減だろうか、余裕さえ感じられた。


 先生は外泊、皆んなは外食の予定なので、僕等も地元のファミレスに寄って済ませちゃう。

「また、何時もの?」

楽しそうにメニューを広げた雨は、オーダー票にスイスイ番号を書き込んだ。

メニューを読み上げて、二人で頷いてコールボタンを押した。

 季節限定を優先に、新作とかを食べて、気に入ったら舌コピー。雨も最近はウデを上げて?舌を上げて?スパイスとかハーブとか香り系は、雨の方が的確な位になって来ている。今日のところは、特に珍しくはない料理で、やや不発って感じ。ドリンクバーでダラダラ過ごして遅くに帰宅した。


 丁度、マイクロバスも到着。夕食後にダンスレッスンがあったそうで、胃袋が寂しくなっているようだ。軽くつまめる物を作ろうとキッチンへ。いろはとカレンが手伝ってくれた。他の胃袋達はダイニングで待機。

「どんなレッスンだったの?」

「雨も踊って見る?」

桐が雨の手を引いて、ちょっと広いスペースに移動した。

「あら?また背が伸びたわね!私達と変わらないかしら?」

背比べすると、ほんの少し雨が高かった。

「あら、もみじ抜かれちゃったね!」

念の為?桜と芒も測ったが何時もの通り3人はピッタリ同じで、雨が1センチも変わらない位追い越していた。

「さっき、お兄ちゃんと歩いたけど、そんな感じじゃ無かったよ。」

桐に呼ばれ背比べ、雨よりも2センチ程高かった。ちゃんと測ってはないが、念願の170台到達だろう。ご機嫌でキッチンに戻り料理を仕上げた。

 

 それぞれの部屋に帰って行き、もみじの部屋のベッドでノビをした。秋野の家に戻るのも面倒だし、どうせ朝食の支度もあるので、こっちに泊まろうかな?キッチンに戻って、朝の下拵え。お米を研いでいると、姉達が風呂に行く所だった。

「姉ちゃん達で最後でしょ?私も入るから、洗わなくて良いよ。」

「そう、泊まっていくんだ、そっちはまだ掛かるの?」

「あと炊飯器のタイマーセットして終わりだよ。」

「じゃあ、もみじも一緒に入ろう!」

背が伸びた位じゃまだまだ男扱いはしてくれないようだ。

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