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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第1章
13/139

いろはの気持ち

委員長と猛者達が帰ったので、

「送ろうか?」

「ううん、泊まって行くよ!」

晩ごはんを食べながらの話は、捜査の事より、明日の買い物や、小さい頃四人でお揃い着ていた話で盛り上がった。雨は、年が離れているのでお揃いで着る事は無かったので、羨ましいと言う。最近ぐっと背が伸びたので、同じものを着られるようになったので、一度みんなで着ようって事になった。

「じゃあ、全然足りないけど、これ使って!」

委員長に没収されずに済んだ2000円を差し出す。

「一応初任給だから、姉妹に使いたかったんだ!」

「どうせなら、明日朝からもう一度働きに行ったら?」

桐は、涼しい顔をして呟いく。


晩ごはんの片付けと、朝ごはんの準備は、いろはが手伝ってくれたので、いつもよりラクだった。

雨は一緒に風呂に入ろうと、いろはを誘った。雨の部屋に泊まるんだろう。

風呂が空いたので俺の番だ。最後になると風呂掃除が漏れ無くセットになる。掃除を終えて部屋に戻ると、灯りがついていた。いろはがベッドで寝ていた。

「どうしたの?男の子みたいなパジャマ着て!」

「えっ!!姉ちゃん達に見られたら弄り倒されちゃうよ!」

「女の子同士なんだから気になることある?」

気になるって、気にならない訳無いじゃん!何考えてるんだ?

「止めてって言っても止めてくれないでしょ?女装止めるまで、女の子として付き合う事にしたから!もみじも女の子として付き合ってね!」

いつの間に『もみじ』定着したの?

「もう寝ようよ、灯り消して!」

「ああ、お休み。」

ベッドの端っこに背中を向けて横になった。自分が俺の初恋の相手で今もずっと好かれているのを、知ってるのだろうか?

ドキドキして眠れるとは思えない。いろはは本当に眠ったのかな?

落ち着かないので、トイレに行った。戻ったら夢だったって事はなく、いろはは寝返りを打ってベッドのほぼ真ん中で寝ている。寝顔を見たら理性を保つ自信がなくなったので、枕を持ってリビングのソファーで眠った。


寒くなって目が覚めた。膝かけが人数分あったので重ねて掛けていたが足りなかったようだ。


もう明るくなりつつあったので、起きて朝ごはんの支度を始めた。

すぐに、いろはが起きて来た。

「もみじがそんな所で寝ていたら、私が追い出したみたいじゃない!」

「いや、あの場面で理性を保つ自信が無かったからさ。」

「うん、解った早く慣れてね!」

慣れるって、また泊まる気か?


みんな起きて来たので、朝ごはん。

昨日、店の場所確認していたので、姉達と雨で行くのかと思っていたが、6人で行く事になっていた。昨日のワンピを着ていくって言うけど、行きは双子コーデで帰りは六つ子コーデか?


バスを降り、昨日の店に行くのかと思っていたが、いろはと雨は、地下鉄で昨日の店に向かい、

俺は姉達とJRに乗り継いだ。電車を降りると、

「ここ?昨日()()()と別れたの。」

頷くと、

「もみじは、ここで張り込み。私は他にロッカー無いか調べて来るね!」

スパっと指示を出し、さっさと居なくなった。

桜と芒は、改札を張る。東西の改札どっちから出ても大して距離が変わらないからリャンメン待ち。


『コキコキ!』

程なく、姉妹グループのメッセージが入った。

芒『ロッカーの方向かった』

すぐに、()()()が表れた。

俺『来た、間違えない』

桜『声掛けて、引き留めて』

「おはようございます、()()さん!」

「えっ?ああ昨日の?」

「ええ、もみじです。これからバイトですか?」

「そうだけと?」

背後から、桜が声を掛ける。

「大丈夫かしら?今日はカフェじゃなく外なんじゃないの?」

図星のようだ、かなり動揺している。

「今日で三回目でしょ?最初は優しいおじさまで、好きな物ご馳走してくれたでしょ?次は臭いエロオヤジ。嫌な顔をしたってお店にクレーム?」

更にお見通しか!って表情で固まってしまった。

「これ見て!」

芒が見せたスマホには、未成年の女の子を風俗に引き摺り込むマニュアルが載っている。固まり続ける()()()からスマホを取り上げた桐が、何やら操作していた。程なく返すと、バイトを休むメールを打っていた。

『インフルエンザで熱があって、これから点滴を受けます。すみませんが、お休みさせて下さい。』ご丁寧に、今朝撮った救急当番の病院の画像を添付してあった。

桜が畳み掛ける、

「どうしても行くんなら、ちゃんと()()してね!あと、写真撮らせちゃ駄目よ、その後もっと断れ無くなるから!」

話の展開に驚いているのか、同じ顔が4つもあって驚いているのかは解らないが、目があったので、ニッコリ笑ってみた。

()()()は、我にかえって、スマホの『送信』をタップした。

すぐに返信があった。

『仮病だったらタダじゃ済まないからな。』

()()()もとい、海野美貴を確保して、電車で帰った。


地元のファミレスで『学校祭カフェ』の情報や、谷川の事を聞いた。駅では、高圧的だった姉達は、一転優しいお姉さんになり、スムーズに取り調べを進めていた。証拠は無いが予想していた、風俗スカウトの件は間違え無いだろう。

俺達の情報も伝えて、かなり危険な状態に首を突っ込んでしまっていることを認識して貰った。

特に弱みを握られている訳じゃ無いようなので、スパっと辞めると言う。親バレしてしまった事にするそうだ。本当にご両親巻き込んだ方がいいと勧めた。


美貴と別れて、いろは達を待った。

バスを降りて来た二人は普段見たことのないほどのご機嫌だった。雨は、買ったワンピに着替え、いろはと双子コーデを楽しんでいた。

いろはの手を引いて、走って来た。

「三つ子コーデ!」

喜んでいるところ申し訳ないが、元々4つ子なのでそんなにビックリする事でもない。

家に帰ると姉達も着替え、六つ子コーデになった。流石にビックリ?何か増え過ぎてユニフォームって感じだ。意外な事に姉達も随分とご機嫌だ。

「ねえ、桜ちゃんLサイズって誰の分?」

いろはが、尋ねる。

「ああ、それ『カレン』ってね、アメリカにいる義理の妹ってとこかな?」

顔面蒼白のいろはを桜が笑う。

「いろはが、心配する義妹じゃないよ、お父さんの再婚相手のお嬢さんなの。」

「ししし心配にゃんてしてにゃいれふ!」

「所で、昨日委員長や千葉達がいるとき、彼女に会う話しなかったの?」

桜に聞いて見た。

「もみじがね、会長の心配してたからさ、情報は最小限がいいかなって!委員長巻き込まないほうがいいかと思ってね。」

「そうだね、千葉達も身体は頑丈でもどんな危険があるか解らないもんね。体力過信して危ないことしちゃうかも知れないしね。」

「私達も油断禁物だよ。」


確かに、谷川から先を調べるとなると、反社会的勢力を突っつく事になる、流石にそれはしたくない。橋本はどうも、水島を畠山、谷川に紹介しただけのようだし、畠山は留学中。留学ってどこ行ったんだ?

「ねえ芒、竹中さんからメール来てない?」

「あら、またデート?」

芒が笑う。

「所で、三人の中で誰が本命なの?」

桐が、突っ込む。

反応すれば、更に突っ込んで来るので、必要事項だけ話す。

「貰った情報で解った事を伝えて、谷川は危ないって警告ともし何か新しい情報無いか聞いて見たいから、スマホ貸して!」

弄りの反応に不満そうな芒だが、スマホを差し出してきた。

早速メールを打つと、またまた秒速で返信。

谷川達三人の画像の出所と、撮影場所が解りそうらしい。詳しく解ったらメールをしてくるそうだ。

返事を相談していると、桜のスマホが鳴った。

『谷川には、会わないで欲しい。睡眠薬を使った昏睡レイプをしていたようだ。絶対に危険なので関わらないで欲しい。』

三浦さんからだった。

それぞれお礼の返信をしると、桐が、

「森田さんだけ仲間外れは、可哀想でしょ?」

スマホを押し付けてきた。

『学校祭カフェ』を調べたことを報告、潜入の件は隠しておいた。谷川は危な過ぎるので、もう関わらない事を伝えた。こちらも、秒速で返信が来て、ムリせずに解った事があればメールをくれるそうだ。

いろはが、ニッコリ笑い、

「三人全員に振られちゃったね!可哀想だから、私が付き合ってあげるね!」

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