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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第6章
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ステージデビュー

 クイズ番組の収録を終え、DNG24のステージを見学に行く。少ししか観れ無いけど、雰囲気を感じるために、劇場に向かった。


「折角ですから、一曲コラボしましょう!」

支配人の勧めで、今は唯一のレパートリーの子役のヒット曲を歌う事になった。元々それをソロで歌う筈だったロリキャラの娘は、エィビーこと、海老名(えびな)絵里(えり)。ベィビーフェイスに掛けて、童顔の事を『エィビーフェイス』という位に知名度が高い。勿論私でも知っていた。

「じゃあ、衣装合わせましょうね、倉庫だからついて来て!」

ニッコリ笑って案内してくれた。わたしは茂木さんと、208号控室で待機。

 少しするとエィビーが一人で戻ってきた。

「小雪ちゃんと夢愛ちゃん、戻ってないかしら?倉庫に行く途中迷子になっちゃったの!」

「倉庫ってどこ?」

「4階よ、3階がいろんな機材で迷路みたいになってるから、たぶん3階ね!」

「海老名さんは、出番に差し障るので私達で探します。」茂木さんと部屋を出ようとすると、停電になった。いや、208だけなので、ブレーカーか落ちたんだろう。少しするとチカチカと点滅するようになった。

『パッパッパッ パーパーパー パッパッパッ』

同じサイクルで何度か繰り返し、付きっ放しになった。

「電気の分電盤はどこですか?」

「確か、地下の倉庫です、でも電気は復旧したから、二人を探しましょう!」

「いえ、その地下倉庫にいるはずですよ、さっきのチカチカ、モールス信号でSOSでしたから。」

 直ぐに、地下に降りて、そとから鍵が掛かっている倉庫に入った。

「まぁまぁの速さね!エィビーちゃんにハメられたみたい。」

出番に間に合って舞台袖に移動。

「お待たせ!あら衣装合ってないわね?」

二人は地下に有った、違うタイプの衣装だった。

「エィビーは出なくて良いから、私と一緒に来なさい。」

支配人はエィビーを連れて階段を降りて行った。

 ステージは二人で熟して袖に帰ってきた。エィビーは、本来なら謹慎とかもっと厳しい処分でもおかしくないが茂木さんの意見で、今日の出演が無くなったことと、厳重注意で割と軽めに済ませて貰った。二人も納得の様子なので気にしないで空港に向かった。

「なんで庇ったんですか?」

「少し恩を売っておけば、逆恨みで何かしようと思わなくなるでしょ?あとね・・・」

今日二人が出演したクイズ番組は、エィビーがピンチヒッターに決まっていたのに、横取りしちゃったカタチで、身分証明書を見せて、小学生じゃないアピールする件もエィビーに合わせて打ち合わせ済みだったそうだ。茂木さんが二人の学生証を持っているのを不思議に思っていたけど、タネ明かしされたら納得出来た。エィビーは、ゴールデンの出演を奪われ、やっと回ってきたソロのチャンスも奪われそうになって、二人を閉じ込めたらしい。更にはキャラ被りで、実年齢は小雪・夢愛の方が一つ上で、見かけは逆に少し幼いので、安泰だったロリ枠が揺らいだ事も後押ししての犯行だろう。フーとため息をついてモノレールを降りた。


 飛行機も順調で、新創成までJR、小雪と夢愛はそのまま乗ってアパートに帰り、茂木さんと降りた。徒歩の茂木さんと別れ、最終バスで帰宅。スマホを眺めていると、エィビーの監禁事件(?)の事が、支配人に説教されている録音と共にアップされていた。過去のイラガラセ等の余罪も自白していて、録音は40万回以上再生されていた。アップされてから30分の経っていないので驚く数字だよね。


 もみじのまんまで行動していたので、普通に花田の家に入った。皆んな食事は済んでいたので、お土産を広げてお茶にした。出張の様子を報告していると、

「海老名絵里殿、DNG卒業てござる!」

楓がスマホを覗いて叫んだ。監禁事件の事を話すと、楓はスマホを操作、

「もみじ殿の見た記事は削除されてるでござる・・・あった。」

説教の音声をダウンロードして、

「まぁ、自業自得でござるな。」

美月は記事を読み直して、

「コレって卒業かしら?退学の方が、似合ってるわ。」

やや辛口だが、確かにそう思える。ネット上では、誰がリークしたのかが話題になっていた。お説教のときステージにいた小雪と夢愛はアリバイ成立だが、わたしは微妙だな。茂木さんじゃ証人になるか解らない。そんな事を心配していると、ネットニュースに『#私がリークしました』が話題になっていた。DNGグループのメンバーが、監禁事件をリークしたのは自分だと、各々のSNSに投稿している。たぶん、あの時あの建物にいた人の数倍の人が自首(?)していて、

『私も衣装を隠された』とか『集合時間が変わった事を教えてくれなかった』、等など、エピソード付きで、反省の意を綴っていた。それぞれ大量の『いいね!』を貰っていた。

「エィビー殿のSNSは封鎖したようでござる。炎上必須ゆえ、妥当な対応でござろう。」

「四面楚歌?このメンバーなら四面楚踊かしら?」

カレンが妙な四文字熟語を作って笑っていると、全員のスマホが震えた。茂木さんからのメッセージで、この件については、コメントもいいねもしない事、勿論自分で記事をアップしないように指示されていた。GBAのサイトにも書き込みがあったが、好意的なモノが大半だった。一部エィビーファンの怨み節もあったが、まぁ仕方がないだろう。それよりも、推し変宣言のほうが圧倒的に多く、創成劇場の本格稼働を待ちわびる書き込みが、グッと増えていた。クイズ成績なんかは、オンエア迄のお楽しみってことで、夜更しは程々にして、月曜からの学校に備えた。


 翌朝、エィビーの報道が『卒業』から『脱退』に変わっていた。卒業の際に開かれる記念ステージが無いことなどがネットニュースに溢れていた。その中で気になった見出しが、

『消えた#私がリークしました』

メンバーがアップしていた『#私がリークしました』が全て削除されていた。記事の内容によると、リークについて、詮索も処罰もしないと、グループ公式サイトで発表されてからの出来事らしい。

 一応、一件落着かな?そういうことにしておこう。

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