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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第6章
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クイズ番組

 芸能活動のスタートは、バラエティー番組で、小雪と夢愛が一緒だった。珍しい事件等を面白可笑しく紹介する番組で、途中、クイズが出される。

『列車が野生動物との接触事故に、ある動物のあるモノが活用されています、さて、それは何でしょうか?』

芸人さん達が、面白回答を連発。素で笑っていると、

「ハイ、もみじちゃんのアンサーは?」

そうだ、テレビ観てるんじゃ無かった!

「皆さんの回答が面白くて、聴き入ってました。中々面白い事が浮かびませんね。」

「キミは普通に答えていいんだよ!っつうか、当てに行ってもいいし!」

MCの芸人さんが、ハードルを下げてくれた。

「ライオンの糞を、事故が多い、山の中を走る線路に置きました。強い獣のニオイで、熊や鹿が近寄らない作戦です。」

「正解どストライク!VTRのヒント見つけてくれたのか?」

「ゴメンなさい、知ってました。創成の角山動物園のライオンですよね?」

「あらら、そう言えば地元だもんね!正解のV要らないかな?」

シラケるかと思ったが、まぁまぁの反応だった。

 その後は、無難な回答でなんとかやり過ごす。小雪は、正解を知っていて態とニアピン辺を狙って、MCさんに重宝されていた。

「では、小雪ちゃん、ノーヒントで正解いっちゃう?」

「野球の問題ですから、元高校球児のTさんにお譲りします。」

「えっ?それ大ヒント!」

野球なら解ったかもと、Tが自身初正解を出して前半が終了した。

 後半、ジェスチャーで、他の出演者に答えを当ててもらうゲームになった。クジで組んだのは、面白回答のみの芸人Eさん。茂木さんから要注意人物と教わっていた人で、以前、生放送の最中、ニューハーフアイドルの服を剥ぎ取って、『男同志じゃ!』なんて言って大クレームで謹慎した事もある男だった。

 案の定、迷回答狙いでしかもシモネタ。タイムアップで、

「じゃあ、解った人!」

全員が手を上げ、全員で唱和した。

「解る訳無いじゃん!」

Eはシャツを脱いで、上半身裸で迫ってきた。逃げれない間合いじゃ無いが、ピンマイクが地肌にテープ止めなので、コレって想定済み?もみじの姿で襲われると、絵面的に不味いよね?脱がされない程度に抵抗すれば良いかな?って思っていると、Eは宙に舞って、背中で着地して動く様子は無かった。

「大丈夫、オチてるだけ。」

一本背負いをキメた夢愛は、ノビているEの呼吸を確かめていた。

 直ぐに起き上がったEは、のそのそと席に戻って大人しくしていた。撮影はその後は順調に進んで、無事終了した。

 楽屋で着替えていると、番組のスタッフさんが訪ねて来て、

「夢愛ちゃん、さっきの一本背負い、番組ホームページに上げて良いかな?」

「ハイ、どうぞ。」

「それにしても、か弱い女の子が、結構なガタイの男を投げ飛ばすなんてさ、今回は良かったけど、危ないから止めた方が良いよ。あの人、番組の事とかなんにも考えないで大暴れするんで、止めて貰えて助かったんですけどね。」

「そんなに、か弱くないですよ!」

片腕で腕立て伏せをして見せて、

「高校の柔道部、女子が私1人だったから、乱取りは男子と組んでいたんです。」

スタッフさんはポカンとして、

「それから、小雪ちゃん、クイズ凄く惜しい回答連発だったね、得意なのかな?」

「まあ、得意って訳ではありませんね。この番組の出題傾向は、3年から5年前のネットニュースからが殆どですから、対策していたんです。普段、塾や家庭教師で小中学生を教えているので、無様な回答は出来ませんから。因みに、今日は全問解っていましたよ。」

ぺろりと舌を出してニッコリ。

「別のクイズ番組に出でみるといいよ、向こうのスタッフに同期が居るから話しておくよ!」

二人は、次の仕事を確保したようだ。


 スタジオを出てホテルに向かって居ると、茂木さんのスマホが震えた。

「・・・ええ、・・・午前中でしたら、・・・はい、それは大丈夫です。」

小学生の問題を大人が挑戦する番組で、出演予定だった、24グループの先輩が熱愛報道で謹慎になってしまい、その代役が小雪と夢愛に回ってきた。明日は先輩グループのライブを見学する予定で、帰りの飛行機は遅い便にしてあるので、時間的には何とかなる。

「試験対策出来ないけど良いわね?」

二人はコクリと頷いた。


 ホテルの近くにある、個室のある中華飯店で夕食、大皿から取り分けるのは、当然の様にわたしの仕事で、空腹に耐える二人は、『待て』でじっと我慢している小型犬に見えてしまう。流石に言ったら怒られるよね?

「ねぇ、もみじって、お母さんみたいよね、なんかさ、子供っていうか仔犬になって、『待て』頑張ってる気分!」

小雪はそう言って、両手をグーにして、テーブルに揃えた。夢愛も真似をして小首を傾げると、ペット関連のCMで使えそうなビジュアルだった。

 少し一夜漬けをと、二人は早目に切り上げると言い出した。わたしも茂木さんと二人で過ごすよりは、1人で部屋に籠もっているほうがリラックス出来るので、皆んなでホテルに向かった。


 翌日は、二人の見学だけになったのでノンビリと過ごすつもりが、スマホが震えて画面を見ると小雪からのメッセージ。

『コレ、ダウンロードして部屋に来て!』

楓が作ったか、加工したクイズゲームで、明日の対策だろう。

 二人の部屋に行くと、

「あの番組向けの対策アプリなの、家教(かていきょうし)に行くと、子供達に質問されるから、テスト対策アプリを改造して貰ったんだ!」

番組の過去問、6学年全ての教科書から、AIで予想問題を作るそうだ。既に3か月やり込んでいて、予想した問題が実際に番組で出題される事も結構な頻度らしい。問題を読み上げたほうが雰囲気が出そうなので、出題者役での招集だった。『確かに出そう』って問題をぶっ続けに1時間、ほぼ即答で全問正解だった。

「300万、いけそうだね!」

「ううん、最終問題は、過去問で1割、予想問題ではそれ以下なの。予想問題が実際に出たこと無いし、100万貰って止めるわ。」

「盛り上がり、大丈夫?」

「今、大国から侵略されて、学校にも通えない子供達が沢山いるの、そこに寄付したいから、冒険は無し、確実に100万頂いて来るわ!」

その後も少し問題を解いてから部屋に引き揚げた。


 さて、収録当日。トップバッターで回答席に立った。

「GBA24の後藤小雪ちゃん、山口夢愛ちゃんですー?って、小学生が出ちゃ駄目でしょ?」

「イエイエ、私達、大学生ですよ!」

学生証を見せても、

「附属の小学校?」

運転免許証を見せて、やっと納得。ようやくクイズが開始された。危なげ無く正解を続ける。即答ばかりで、ドキドキ感は無かったが、正解発表より先に解説したり、選択肢を聞かずに回答したりしながら、3回あるヘルプを使わずに100万円の問題をクリアした。

「当然、300万、行きますね?」

「イエイエ、ここでドロップします。賞金は戦争被害で学校に通えない子供達へ全額寄付しますから、ゼロにしたくないんです。」

 無事100万ゲット、スタジオにブーイングご起きることもなく撮影を終了した。国際機関に、寄付を届けるロケの仕事をゲットしていた。

明日から、また新連載です!

『誤振込された給付金を使っちゃったのは悪いんだけど、一番の被害者って俺じゃね?』

『5人姉弟妹』のネタを考えると、浮かんでくる異世界モノを整理しました。毎週火曜日、16時でよろしくお願い致します。

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