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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第6章
127/139

実はホントのタネ明かし

 茂木さんは席まで来ると、

「次、行くわよ!」

テーブルからニッコリ伝票を拾って、レジに並んでくれた。

 映画のロケの時に泊まったホテルに移動、到着下の場合パーティー会場内だった。

「ようこそ、オフィスGへ!」

待っていたのは、ウチの住人達と小雪と夢愛、それから創成劇場のスタッフさんや、ウチの住人以外のメンバー達。

 大きなモニターが3つ、左からアンアンこと高垣杏美、楽屋らしく、他のメンバーも映っている。真ん中は壁だけで誰も映っていない。右には秀悟が映っているので、真ん中は聖人じゃないかな?

 18時になると、予想通り聖人が現れた。創成のメンバーも全員集合、更には教頭先生と上原先生もやって来た。カチンカチンとグラスの音がして、もみじ(・・・)の歓迎会が始まった。


「さて、どんな活動したいのかな?」

「えっ?茂木さん何時も誘ってくれるから具体的に仕事が有るんだと思ってましたよ。」

「それっ、て私が取ってきた仕事をしてくれるって事?」

「えぇ、まぁ・・・。」

美羽は左手を掴むと、

「先ずは、私達とステージでしょ?」

右手も琴音に捕まっていた。

「レッスン頑張っていたもんね!」

モニターから杏美が同意した。

「いや、女優(・・)だろ?」

他のモニターは秀悟だった、実際にドラマのオファーがいくつか有るそうだ。歌やダンスを覚えても、お客さんの需要なんて無いだろうから、役者の方がいくらかは上手く出来る可能性が有るかな?

 取り敢えず、今決めなくても大丈夫なので、折角準備してくれたパーティーを楽しむことにした。

 今回、デビュー(?)の決め手になった三浦・森田・竹中の3人もその功労でパーティーに参加していた。ちょっと居心地が悪そうなので、声を掛けようと思ったがモニター越しの会話を抜けられ無かった。悩んでいると、芒が気付いてくれて、桜と桐も誘ってピザを取り分けたりして間を繋いでいる様子だった。


 乾杯のあと、姿が見つけられなくなっていた小雪と夢愛が、再登場。どう見てもステージ衣装だった。

「もみじのせいよ!」

小雪は耳打ちしてから、夢愛と手を繋いでステージに上がった。

 二人のデビューも強く勧めていた茂木さんの粘り勝ち?

「君もやるならOKって約束だったのよ!」

茂木さんは120パーセントの笑顔で二人を見つめていた。

 数年前に24グループの総帥が、天才子役に提供した楽曲で、小学校の運動会ではダンスの定番になっているので、二人もなんとなくなら歌って踊れる筈?と思ったが、キレっキレのダンス。コンパなんかで、芸が無いと不味いと思って練習していたそうだ。感染対策でお披露目の機会は今日が初めて。衣装も初公開、他のメンバー同様、ブレザータイプの制服をアレンジした感じで、スカートがハーフパンツになって、ハイソックスを合わせている。ブレザーの袖が長めになっていてマイクを握ると指だけ見える感じになり、余計に幼く見える計算と思われる。間奏になると、夢愛がステージから飛び降りて、私の手を引いてステージに登った。相変わらずの腕力であっさりとセンターの位置に運ばれてしまった。

 見様見真似で踊り、茂木さんが投げたマイクを受け取ってサビだけ熱唱した。

「このクオリティーなら、直ぐにステージに立てるでしょ?」

「ゴメン!もみじ、こんなに踊れるなんて思わなかったよ、これなら充分にやっていけるね!女優一択なんて失礼だったね!」

秀悟はしみじみ話し、

「でもキッズのおふたりちゃん、時間大丈夫なの?俺もジュニアの頃はさ、早退みたいに帰らされてさ、仲間はずれみたいでイヤだったんだよね。」

「大丈夫ですよ、ご心配ありがとうございます!」

二人は席に置いてあったバックから何かを取出してカメラに見せた。

「えっ?運転免許?と、歳上なの??またまた失礼しました!」

秀悟のモニタが、頭頂部のどアップになり、会場は笑いに包まれていた。


 大人達は歓楽街に繰り出し、私達は解散。と言っても、大半か花田の家に帰るので、こちらも二次会っぽい。上原先生も飲みには行かず、小雪と夢愛は明日の講義が午後からなので一緒に帰ることになった。三浦・森田・竹中の3人は、知らないうちに交流が出来て、3人で出掛けるそうだ。


「ホテルのピザも美味しかったけど、もみじ姉の焼き立てには敵わなかったね!」

出番が無かった雨は視線でおねだり。お酒を飲む大人で丁度いい感じのメニューだったのでイマイチ胃袋は満足していなかった。皆んなもそんな様子だったので、

「今からじゃ夜中になっちゃうから、ちょっと手抜きでもいい?」

ニッコリ頷く雨に、解凍する食材のメモを渡し、スーパーのある2つ手前のバス停で降りた。食材のストックを思い浮かべながら、焼くだけでOKの冷食ピザをゲット、あるかな?ホタテの剥き身。おお、30パーオフ!あとはストックで足りる筈。急いで家に向かった。


 市販のピザに、人気の具をトッピング。他が温めるだけで良いので具によっては、軽く炒めたり、レンジで火を通しておく。シュレッドチーズを追加して窯にイン!手間いらずで、結構豪華なピザの出来上がり。

「これ、生ゴミね?」

手伝ってくれていた上原先生が、貝柱を外したホタテの内臓を捨てようしていた。

「ソ、ソレ使います!」

沖縄では採れるイメージじゃないから馴染み無いのかな?

「バター炒めとか、クリームシチュウとかに使うと美味しいんですよ、母さんとばあちゃんなら、それでワイン1本位いっちゃいますね!」

トッピングで余ったアスパラとジャガイモと一緒にバターで炒め、仕上げに醤油を回し入れると、

「この香り、満腹中枢を麻痺させるわね!結構グロかったけど、お料理になると平気ね!」

先生を気に入ってくれそうだ。

 ピザパーティーは、大盛況。

「いつの間に準備したの?」

キッチンを見ていない美月は、いつものように、生地を捏ねてから焼いたと思っていた。

「実はね・・・」

手抜きピザのタネ明かしをすると、それなら私でも!と、ちょっとしたクッキングスクールになってしまった。流石に、胃袋の都合があるので追加で焼くことは無かったが、次回の開講を約束することになってしまった。

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