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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第5章
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テレビ出演

 テレビ局の近くのホテルに泊まり、早朝から朝の情報番組に生出演。夢の衣装で松太郎と呼ばれるのは抵抗があったが気にしても仕方が無い。ちょっと想定外だったのは、僕に振られる比率が高く、3人が、僕のオマケって感じになっていた。

 デビューの経緯を聞かれ、茂木さんのカンペ通り、住人達がアイドルデビューする事、創成市に劇場を作っている事をアピールして、その流れで役が貰えて今に至る事を説明した。

「そのユニット名って決まっているんですか?」

「GBA24です。ガールズ ビ アンビシャスのイニシャルです!」

実は、ユニット名は本邦初公開。口を滑らせた設定になっている。カンペを読む迄僕も知らなかった。上手い具合にGBAの宣伝が出来て無事オンエアーを終える事が出来た。直ぐに隣のスタジオに移動して、次の番組の打合せが始まった。

 次の番組の番組MCは、創成市の出身で、

「啓愛って女子高だったよね?願書に顔写真の他、全身写真とスリーサイズが必要で、面接には水着審査もあるって噂の!」

「そ、それ、ただの噂です!」

代々、美少女揃いなので、そう言うジョークが定着していた。去年から共学になった事を伝えると、

「人生、高校生からやり直そうかな?」

程々の笑いを取っていた。その学校のクラスメイトって事で、新しく出来る劇場に喰い付いて来たので、またまた宣伝になり、他の3人の出番が少なかった。大丈夫なのかな?素人ばっかり喋って、視聴者っていうか、3人のファンからクレームが入りそうだ。他の出演者とかも文句を言いたそうな感じには見えなかったので、まぁ問題無いか。

 その後は、ドラマの放送日に合わせて放送されるバラエティー番組の収録が続いた。いつも観ている番組ばかりで生放送よりも緊張したけど、茂木さんのカンペと3人のフォローで何とか乗り切った。最後に夜の報道番組にも出て、業務終了。豪華な差し入れスイーツを貰ってホテルに戻った。茂木も同じホテルなので、ロビーで反省会?想定以上の受け答えで、あまり話題になっていなかった『YUME』の番宣も及第点、『GBA24』の宣伝は100店満点の300点と大絶賛だった。

 流石にクタクタで瞼が重くなって来たのを茂木さんが気付いて、

「ゴメンね、眠いよね、明日はココ9時に出れば良いから、ゆっくり休んでね!あっメイクはちゃんと落としてから寝るのよ!」

ブラック並みの労働時間で過労の心配と、スキンケアのアドバイスを貰って部屋に戻った。

 楓からメッセージが入り、今日オンエア分の動画が観られるサイトのリンクが貼られていた。自分で見ても女子にしか見えないし、衣装に引っ張られたのかすっかりもみじの声で女性口調だった。放送の中でも、『衣装のせい』と言い訳しているので、まぁ良しとしよう。

 GBAの公式サイトが今日の0時に開設されていて、今朝の放送で発表?漏らした時間から急激にアクセスが増えたそうだ。フォロワ数も10万に迫っている。なんかまだ現実味のないまま、ザッとシャワーを浴び、茂木さんのアドバイスを思い出して、キチンとクレンジングしてからベッドに沈んだ。


 翌日は、トーク番組を1本撮って今回の任務終了。何十年も続いている女性MCは、ばあちゃんよりも年上の筈たが、とてもそうは見えなかった。出身が麻幌から北に行った、滝山市なのは有名なので、地元トークになったが、世代が違い過ぎて全く噛み合わなかった。意外な事に、芸能活動の事や、GBAの話題には薄っすらとしか触れられず、女系家族の一人だけ男子と、元女子高の少数派男子の憂鬱の話題に喰い付いていた。茂木さんのカンペでフォローしていない内容だったので、気を使ったが、収録後の茂木さんの反応を見ると、取り敢えず問題は無かったようだった。

 収録が延びる恐れもあったので、夜の便を予約していた。少し空き時間が出来たので、最近良く耳にする『マリトッツォ』を食べて見ようと思い、原宿に向かった。

 外出自粛が叫ばれる中、結構な人手に驚いたが、これでも普段の6割との事。麻幌ならお祭りの時でもこんなに混雑していない。

「ねぇ、キミ!」

振り向くと、スーツのおじさん?お兄さん?

「あっ、し、失礼・・・」

引っ込めた名刺には『オフィスG』茂木さんの会社の人らしい。Gは、『GIRL』のGなので、男子をスカウトする事はない。口籠った『失礼』は、女子だと思ったんだろうね。今は普通に松太郎なのであまり嬉しくはないな。

「さっき迄、茂木さんとお仕事してたんですよ。」

「もしかして、花田君?」

種明かし?すると、戻しかけた名刺を渡してくれたので、オススメのマリトッツォの店を聞いて別れた。

 かなり密な状況で歩いていると、

「ねぇねぇ、俺らと一緒に遊ばない?」

「えっ、僕!誘われてます?」

なるべく低い声で答えると、

「チェッ、男か!紛らわしいかっこするなよな!」 

理不尽なクレームを、吐いて居なくなった。

 お目当てのマリトッツォを食べて、再現出来そうな事を確かめてから、空港に向かった。生クリーム大量に挟むから、甘さは控えたほうが良さそうだな、ブランド苺とか、一房うん千円のブドウが挟まった物もあったけど、多分普通のフルーツでも結構良いデキになりそうだ。そんな事を考えながら爆睡していたらしく、離陸を待っていた筈が、もう着陸していた。スマホの機内モードを解除すると、茂木さんからメッセージが入っていて、ローカル番組の出演が何本か決まった事が書いてあった。もう、毒を喰らえば何とかって感じで、断る気にもならないし、茂木さんもそんな心配は全くしていないだろう。まぁ、夏休みだから問題無いか。

 その後にも、メッセージは続いていて、感染症の影響から、創成劇場のスポンサーに二の足を踏んでいた企業が、昨日の放送や、サイトのバズり具合で、ゴーサインが出たとの事。茂木さんの狙いはコレだったのかもしれない。GBAの進路も盤石になり、公式発表とそれに合わせての、ライブ配信が決まったそうだ。

 翌日、創成のテレビ局で撮影があった。『YUME』が放送される系列局なので、ドラマの事や、杏美、秀悟、聖人についての質問も多かったけど、ドラマは兎も角、3人の事なんて下手な事を言って炎上させたりしたら大変なので、当たり障りの無い事に徹した。

「秀悟君も聖人君も、夢をレディー扱いしてくれるので、ちょっと気まずく感じた事もありましたね。GBAの皆んなからは『どっちがタイプ?』って誂われるんですよね!」

「GBAって、今度創成市に劇場をオープンするアイドルチームですよね?」

「はい、僕、四ツ子なんですけど、姉達とクラスメイトがメンバーなんです。」

うまく、話題を振れたので、茂木さんのカンペで対応出来て、無事撮影を終える事が出来た。

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