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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第5章
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母の日

 土曜日の朝。少し早起きして、売り場の仕上げ。プランターや花壇に水遣りをして、カーネーションの品出し。レジ袋や、育て方のパンフレットをセット、幟や看板を配置。ドラムで電源を引いて、レジを起動。あとは開店時間にお釣りを入れて完成だ。

 準備中のプレートを掛けて、キッチンへ。珍しく姉達がサンドウィッチを作っていた。黒のポロシャツにデニムパンツ、全く飾り気のない装い出も、やっぱり美少女オーラを纏っていた。初めて見るしオソロなので、今日の制服のつもりだろう。

「しょうくん、コーヒーお願い!」

えっ?何時もは『ショタ』なのにどうしたんだ?なんかの策略?詮索しても仕方が無いので、コーヒーを淹れていると他の皆んなも降りて来た。ポロシャツはオソロで、ボトムはデニム縛りらしく、スカートも居ればハーフパンツとか様々だった。先生も、バイトじゃなきゃ副業にならないと言って張り切っていた。


「部屋に、着替え置いてあるから、食べたら着替えてスタンバイね!」

桐は、もみじの部屋を指差した。きっとポロシャツとしゃがんだりするのが難しいミニだろうな。

 まあ、皆んなと一緒だから、男一人より目立たなくて良いかもね。そう思いつつ部屋に入ると、極ノーマルなデニムパンツだった。ボーイフレンドデニムみたいにオーバーサイズでも無く、普通に松太郎で居られるらしい。変身用の下着も出ていなかったしね。

『Mother’sDay』のワッペンを付けた、渋い深緑のエプロンを掛けて、お釣りの現金をレジにセットして、準備中のプレートとチェーンを外した。

 毎年買いに来てくれるご近所さんが既に並んていて、ポツポツと売れ始めた。何時もと違ったのは、僕等世代?高校生らしい男子がやけに目立っていた。午後はのんびりの筈が、新規に増えた男子高校生が更に増え、品出しで倉庫に駆け込む頻度がグッと上がり、明日の分の在庫が心配な程の売れ行きだった。その状況を母さんにメッセージすると、

『感染症対策で中止になったイベント会場の分が大量にあるから、届けるね!』

大喜びのスタンプ付で帰って来た。

 在庫が残っているうちに、倍以上のカーネーションが運び込まれイベント会場で使う予定だったカウンターとレジを設置した。トラックを運転して来た母さんは、そのトラックを戻すと言って、直ぐに帰ってしまった。

 こんなに売れるのかな?心配になったけど、夕方には追加分も少し出るまで売れていた。クタクタになって初日を終了した。これからご飯作るの面倒だな。解凍だけで済みそうなメニューを考えながらレジを片付けていると、今度はワゴン車で母さんが登場、ばあちゃんも一緒だった。

「それ済んだら、こっち手伝っておくれ!」

ワゴン車の後部座席には、回る割にはちょっと高級なお寿司屋さんのパーティーサイズの折がぎっしり重なっていた。


 ご馳走にありついた事と、ご飯支度から開放された嬉しさに疲れが吹っ飛んだ。お風呂が一杯だったので、秋野家でシャワーを浴び、ダイニングに集合。皆んなの胃袋を把握している僕から見ても絶妙なボリウムと、普通のメニューとは違うネタのバランスに驚いた。ヒカリモノやアナゴは人気が無く、サーモン、ホタテ、エビなんかが人気のネタ。このバランスも絶妙だった。不思議に思っていると。

「母さんに聞かれたから、雨がアドバイスしたんだよ。」

珍しくドヤ顔の雨が、醤油の小皿を配っていた。何時もの食卓用の醤油を出して、

「貰ったお醤油は、お弁当に使うからこっちで食べてね!ガリは食べてね!」

多分、1掴みで放り込んだような大量の醤油パックをキープして寿司パーティーが始まった。

 麦茶で乾杯、母さんとばあちゃんは日本酒。ちょっとおつまみを作ってから、寿司を摘んだ。ん?シャリをウチで炊いて、人気のネタだけ柵で買って来たら安上がり?酢飯に使う量とかなら、ネットのレシピに有りそうだよね?うん、うん。

「しょうくん?また舌コピー?」

いろはが心配そうに覗き込んだ。考えていた事を不用意に声にしてしまうと、

「来週、カレンの誕生日ね!」

みんなの目が輝いていた。


「このせいでござろう。」

急激な売上アップの原因は、午前中に買った人が、ネットに上げていためと思われる。マスクをしてるし、目の辺りにはモザイクが掛かっているけど、わざわざ見に行きたくなりそうな感じで、カーネーションよりも売り子メインの紹介記事だった。結構な数の『いいね』が付いているので、明日も忙しくなりそうだ。母さんとばあちゃんは、まだまだ飲みそうなので、追加でおつまみを作ってから秋野の家に帰った。因みに先生は、ちっちゃなグラス1杯でリタイア。直ぐにお寿司に転向していた。


 日曜日。何時ものメンバーで朝食。母さんとばあちゃんは宿酔いとの事。昨日と同じ様に男子高校生、たまにクラスの男子が列を作り、カーネーションが売れて行った。

 夢愛と小雪の実家に、先生の運転で配達。どっちのお母さんも松太郎(・・・)とは思っていないようだった。全く変装していないし、勿論ニセモノの膨らみも入れていないのにね。ちょっとショックだったけど、まあ、気にしない。

 午後には売り切れ、『SOLD 0UT』のプレートとチェーンを掛けて店じまい。ネットを見ると、売り切れ情報も有り難く載せてくれていた。

 サクサク片付けて、BBQの支度をした。

「松太郎のおつまみのせいよ!」

アセトアルデヒドから開放された母さんは、嬉しそうに憎まれ口を叩き、ジョッキを片手に肉が焼けるのを待っていた。結構奮発したと思われるお肉を堪能した。


 また、自宅学習の日々に戻る。なかなかモチベーションをキープするのが難しいので、シアタールームにホワイトボードを持ち込んで、授業っぽくして見た。先生役の人は事前にしっかり準備が必要なので、かなり身に付くんじゃないかな?生徒役も、一人で頑張るよりも効率良く出来たと思われる。

 先生は交代で出勤、生徒の健康管理とか、面倒な役所の連絡とか、宿題作成、発送、提出された宿題の採点とコメント。体育の授業は出来ないので、他の教科のサポートをしているらしい。

 そんな日々を過ごして5月が終わってしまった。6月からは登校しての授業が再開、始業式以来に新しいクラスの皆んなが顔を揃えた。

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