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花田種苗の5人姉弟妹  作者: グレープヒヤシンス
第1章
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チョコレートパフェ

竹中さんからメールが来た。また会って報告してくれるそうだ。そんなの想定内だと言われそうだが、希望的観測で、もうおしまいの積もりでいた。


芒は即アポ、明日早速三度目のデートする事になっていた。毒を喰らわばって奴だね。

また同じ場所で待ち合わせ、同じファミレスに入った。


怪しい奴は、畠山といい、急に留学したそうだ。橋本と一緒に写った画像があり、もう1人いる、工業高校の生徒らしい。名前は解らない。どう見ても、高校生が出入りしそうにないホテルのバーとか、そんな雰囲気の場所だった。『羽振りがいい』って、こんな事を言うのかな?

お金持ちのボンボンなのか?何か金づるがあるのか?後者の場合、犯罪の臭いが否めない。

畠山は、ボンボンではなく、去年くらいからこんな風になったそうだ。でも、留学って金掛からないのか?


畠山ともう1人が写った画像を送って貰い、早く調べたいからと帰ろうとしたが、ちょっと席を立ち辛い雰囲気だった。とりあえず、ドリンクバーでオレンジジュースをおかわりして席に戻った。

竹中さんの事を聞いたことが無かったので、部活や趣味の事を聞いてみた。理科部・天文班に所属し、星を観るのが好きとのこと。急に熱弁になってしばらく聞いて、帰るタイミングを探っていた。『土星の環がキレイに見える』と、観測に誘われたが、『日食が見たい』と話をそらした。星とか月だと、夜のデートになっちゃうけど、日食なら昼だし、学校の時間帯なら会わずに済む。とりあえず、日食の時に観に行くことで、帰ることが出来た。また、家まで送って貰いニッコリ笑って見送った。


「桜、帰ってる?」

家に入ってすぐに桜を呼んだ。慌てなくてもリビングに桐、芒と3人でお茶していた。

「どうしたの?」

さっき貰った画像を見せて、畠山は留学して海外逃亡っぽくなっていて、もう1人が工業高校生らしい説明をした。

「三浦さんに会って調べたいから、スマホ貸して!」

「いいけど、ショタが恥ずかしがるから女の子の格好させて楽しいのに、自分からしたがるとちょっとつまんないな。」

桜のスマホを奪うように借りて、三浦さんにメール。やはり秒速で返事が来た。明日の放課後にデートだ。芒のスマホから、例の画像をシェアして、桜バージョンのウィッグを準備した。


翌日、体育の授業があったが仮病で見学にさせて貰った。流石に汗臭いと男のニオイでバレそうな気がする。

放課後、約束の場所へ向かった。パフェが有名な可愛らしい店に入り、三浦さんはストロベリー、俺はチョコパフェを頼んだ。客の殆どが女性でたまにカップルがいるくらいだった。

「実は、甘党でずっと来たかったんだ!」

恥ずかしそうに、

「男同士じゃ絶対に入れないからね!」

今、正に男同士じゃん!とは、言えないね。


不審者の件から詳しく説明した。水島が殺された可能性が高いので、かなり危険な問題なので、本題に入る前に、協力してくれるか確かめた。

「その事件の事だと思ってたよ。頼られて嬉しいよ!」

そのつもりで来てくれたとのこと。

例の画像を見せて、工業高校の生徒なのか確認した。仲のいい友達以外の私服をあまり見ることが無いのでピンと来ないらしい。画像を送り調査して貰う事になった。最低もう一度はデートの必要が出来た。くれぐれも安全第一と、情報拡散しない事をお願いした。パフェを食べ終わって送って貰った。

「ストロベリーとチョコ迷ったんだ。」

「じゃあ今度もあの店にしましょうね!」


家に入ると、いろはが来ていた。

「しょう()()()お帰り!デート楽しかった?」

いつもは、『しょう()()』なのにどうした?

姉達もいるので、三浦さんの件を報告したかったが、いろはが話を止めない。

「これ買って来たんだけど・・・」

紙袋を開けて、取り出したのは下着だった。胸にあてて、

「似合う?」

そう言いながら、もう1つを手渡し、

「上下お揃いだよ!」

姉達ので、免疫は有るがいろはの物となると話しは変わってしまう。

「そう言われても・・・」

「そうだよね、着けてみないとわからないよね?」

リボンを外してブラウスのボタンを外していく。

止める様子が無いので、渡されたもう1枚を押し付け、自室に逃げた。

追いかけて来たいろは、ブラウスを着ていなかった。背中を向けて見ないようにすると、

「新しいの着けるから、これ持ってて。」

さっき見たのはピンクだったが、今持っているのは白だった!

「ゴメン、今日三浦さんに会うこと黙っていたから怒ったんだよね?」

「ううん、怒ってないよ、女の子同士なんだから、下着見せっこしたって普通でしょ?」

「解った、今振り向くよ!」

宣言すれば、隠すか隠れるだろう、1拍おいて振り向くと、新しい下着を手に持ったいろはが、立っていた。真剣な顔だった。


落ち着いて話をしたいから、服を着て欲しいとお願いして、下着を返した。いろはは頷き、部屋を出て?いつもの姿で戻って来た。


「今日のデートは、姉ちゃん達に強要されたんじゃなくて、俺の意思で行ったんだ。」

いろはは、そこが気に入らないと言う。橋本、畠山のラインを途切れさせたく無かった事、解決の近道なら、女装くらいへっちゃらだって事、いろはと姉妹を危険な目に合わせたくない事を説明して一応納得して貰えた。条件として、必ず事前報告をする事と、一回につき丸一日、女の子同士の親友として付き合う事になった。


落ち着いてくれたので、姉達も一緒に今日の報告をした。次のデート迄約束していて、いろはの機嫌が気になったが、今回に関しては理解してくれた。

竹中さんから芒に、新情報が入っていた。橋本は、大森会長に振られたことがあって、かなり粘着質な性格らしいとのこと。会長への逆怨みとか未練とかも考慮した方が良さそうだ。


三浦さんからメールが届いた。写っていたもう1人の情報だ。

谷川 昌と言って、前月卒業して隣の市のIT系の専門学校に進んだそうだ。在学中は、『推理小説同好会』に所属、同好会の活動内容は、完全犯罪や密室殺人等のアブナイ事ばかりで、学校祭の展示が封鎖されたことで有名だったそうだ。

谷川の情報の他は、次のデートの話だった。

『初めて会った時に脈無しだと諦めていましたが、また誘われて嬉しかったです。お話の内容が、特殊なので、恋愛対象ではないことは確認しましたので、ご依頼の情報を送ります。もし出来ましたら、あのパフェを食べに行きたいです。気が向いたらメール下さい。』

すぐに、いろはに連絡して三浦さんに会うことを報告した。不愉快そうな反応だったが、メールの内容を話し、もう最後に出来そうだし、便利に利用するだけでは失礼だからといって納得して貰った。電話で話していたが、切る前に本人が到着した。

『メールありがとうございます。呉々も危険な事に関わらないようにして下さいね。私からお願いした事でこう言うのはおかしいと思いますが、充分注意して下さい。メールや画像は消した方がいいと思います。

パフェ、楽しみにしています。明日か、来週の火、水でしたらご一緒出来ます。都合のいい日お知らせ下さい。』

「いろは、これでいいかな?」

「いいんじゃない?情報得られたから、別にデートしなくたっていいのにね!」

『送信』

「三浦さんが、ストロベリーとチョコで迷っていて、チョコも食べたかったって言うから、今度って話になったんだよ。情報貰う時にまた会わなきゃならないとおもっていたからね。」

「ショタは何食べたの?」

桜が聞く。

「チョコパフェだよ、凄く美味しかったよ!」

「なーんだ、チョコパフェ、あーんしてあげれば1回で済んだのにね!」

桜が笑う。

「それはそれで、もっと嫌かも!」

いろはの機嫌がまた急降下。

「いろは姉ちゃん、今度それご馳走になろうね!」

雨がフォロー、いろはは、何とか落ち着いてくれた。

「その、谷川?どこの専門学校なの?ITでも色々あるでしょ?」

桐が質問している最中、メールが届いた。

「明日がいいって!」

三浦さんだった。桜が、

場所と時間をさっさと決めて送信した。

「こっちから通うんなら、丸い歩道橋の『IT』じゃない?」

桐が続ける。

「そこだったら、森田くんの学校なんだけどな。明日のデートで聞いてみなよ!」

いろはに睨み付けられた。


翌日、三浦さんとデート。前回とは、反対にストロベリーパフェを食べた。谷川の新情報は無かったが、学校の名前は解らないがバスと地下鉄で通っていることが解った。多分ビンゴだ。家まで送って貰い、バッシュのマスコットを渡された。バスケの話で盛り上がったのを覚えていたのだろう。23番なので、オークションで買ったらビックリ価格のレア物だ。もう1つ持っているからあげるって。なんて優しいんだ。丁寧にお礼を言って見送った。

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