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これは私の為の行い
あの子の死は伏せられた。
お葬式は、身内だけでひっそりと行われた。
私はあの子の日記を抱きしめて、遺影とあの子が眠る棺を見つめた。
日記は涙で滲んでいた。
この世界とサヨナラしたい、とそんな事が書かれていた。
何度もあの子は自分の体を傷つけていたらしい。
気付けなかった。
気付いてあげられなかった。
気付いた時には、全てが手遅れだった。
あの子は雲のように自由になりたくて。
苦しみから解放されたくて、飛んだ後だった。
あの子はきっと私の事も怨んでいるんだろう。
あの子の日記。
その最後のページにはたった一文、こう書かれていた。
『また笑えるようになりたい。神様、たすけて』
私は神様じゃないからあの子を助けられなかった。
私はただの人間だから、こんな選択しか出来なかった。
それだけ。
そう、ただそれだけの事。