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クリスタルと8人の勇者  作者: シュリア
8/11

お祭り

「ふわぁ……。よく寝た……。」


今日は父ちゃんに仕事をしなくて良い、といわれたので、久しぶりに早起きをしなくて済んだ。

しかし、昨日、目覚ましをかけなかったのが、まず今日の災難だった。


「げ……!やばっ…。寝過ごしたーー!?」


レシアとの待ち合わせ時間まで、あと15分しかなかった。


俺は急いで服を着替え、朝ごはんを食べずに、家を飛び出した。レシアの家までダッシュで15分。間に合うだろうか……。そんな悪い予感が頭を駆け巡る。いやいや、今はそんなこと今は考えている暇がない!

俺はひたすら走った。

が……。当然のように間に合わなかった。


結果……。仁王立ちして待っているレシアに鉢合わせすることになってしまった……。


「レ〜ンく〜ん……これはどう言うことかなぁ^ - ^?」


俺を見たレシアは物凄い怖い笑顔で拳を握り、顔の前に持ってきた。まず、レシアが俺をくん付けで俺の命は軽く終わっている……。


「え…!?お…おい……!?あ…、謝るから!ごめん!本当にごめんって…!?『ボコンッ!』グハッ……。」


俺が謝った?にも関わらず、レシアは、問答無用とばかりに殴ってきた。俺は空を切って吹っ飛んだ。まぁ当然だろう。レシアは武道5段…。はっきりいって、そこらへんの、じじいより馬鹿力は、半端じゃない………。


「サイッテーーーー!バカバカバカーーー!…、私はとっても楽しみにしてたのに……(ボソッ)もう早く行くよ!」


おい…俺…、まだ身体痛いんだが…。しかも俺、5分しか遅刻してないのに……。


「あ、遅刻したお詫びとして、私の分のお金、払ってね〜♪」


く……。言い返せないのが辛い……。




市場へ行くと、普段売っていないものが、沢山並んでいた。


レシアは機嫌がなおったのか、うわあぁと、笑顔でいろんな店を回っていた。


レンは"暴君イノシシ"と呼ばれる魔物の唐揚げを食べていた。

この暴君イノシシは、この辺りではこの王国近隣にある、セイレーンの森にしか住んでない、魔物である。肉はとても美味しいが、魔物のため、倒しに行く人が少なく、高価であるために、こういう特別な行事の時にしか、一般の人は食べることができない。

かなり貴重な食べ物なのである。


もちろん、牛や鹿など、普通の動物(ここから"動物"と示す)も存在する。


動物と、魔物との違いは保有する魔力で分けられる。

動物は、まず魔力を持っていない。人間も、魔物も、体内にある魔力袋を通して、外に魔力を放出する。その魔法袋がいっさい動物にはないのだ。


ただ、突然変異により、動物から魔物に、何かしらの理由で変異してしまうことがある。その場合なぜか、魔力袋がないのにもかかわらず、魔力を放出できるということがわかっている。


対して魔物は、種類や大きさなどによって魔力袋の大きさがかなり違う。もちろんその魔力を使って、口から火を吹いたりと、攻撃に使ったり、自分の身を守るためにその魔力を使う。


しかし、動物と魔物は同じ場所には、共存しない。その理由は未だ解明されていないが、だからこそ、普通の人間が、ばったり魔物に出会って死亡、ということはまず、ない。


レンは、一人でもぐもぐと唐揚げを食べていると、先に歩いていってしまっていたレシアが、走って戻ってきた。


「レン!きてきてー!」


レシアは、俺がついてきているのを確認しながら、どんどん前へ走って行く。

俺は、周りの人達をさけながら追いかけるのが、精一杯だった。その時やっと、レシアが止まってある1つの屋台に近づいていった。


「これ!これ、買って欲しいの!」


レシアが、指差す方を見てみると、蝶の髪飾りが飾ってあった。色は黒いが、うっすらと、桃色の線が入っている。中央には、ダイヤ型にカットしてある、赤い宝石が埋め込まれていた。


店の女将さんが、はしゃいでいたレシアに声をかけてきた。


「あらあら、お嬢ちゃん、それ気に入ったの?」


「はい!とっても可愛いです!」


レシアがニコニコしながらいうと、女将さんが嬉しそうに話し出した。


「ふふ。ありがとう。これ、私の手作りなのよ。この王国をイメージして作ったから、国石である、ルビーを使ったの。どう?つけてみない?」


これを聞いてレンはああ!と思ったことがあった。

ザイガスが、この王国の兵士達の剣や槍を作るときに必ず、ルビーを使う。これは、国石だったからなんだ。


俺が1人で納得していると、そんなことは気にもしていないレシアは、女将さんと話を進めていた。


「もちろんです!」


レンが、レシアにつけてやると、レシアはカバンから手鏡を出して、自分を眺めていたが、ニコッと笑って店の女将さんにいった。


「買います!」


女将さんは待ってた、というように、


「まいどあり♪」


そして結局、俺が払う羽目になった……。


「ありがとねーー!レン。大事にする!」


髪飾りを触りながら、幸せそうに笑った。レンはため息をつきながら、どういたしましてーと返した。

ま、今日ぐらい、いっか………。

2人はまた長い市場を、今度は仲良く並んで歩いていった。


これから目にすることになる、悲劇を知らないまま………。



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