また会う日まで
おばさんと話し終わってからも、寄り道したり、買い物したりで、結局、魔法ショップについたのはあれから2時間後のことだった。
『チリンチリーン……。』
「いらっしゃいませ〜!」
「うわぁ〜、いっぱい魔道具が並んでる〜♪」
おおはしゃぎなユノはどんどん奥を入って行ってしまった。取り残された俺は、あたりを見渡した。
魔道具は、安価なものから、目が飛び出るような高価なものまで様々だった。
俺は興味本意で、魔法の杖売り場をみにいった。
驚いたのが大きさだけでも、種類が豊富なことだ。
杖のサイズは、大きく分けて2種類。
1本目は、ユノが使っているような短めの杖。
魔法のコントロールがしやすく、初心者はほとんどこっちを買うようだ。
もう片方は、頭の高さまであるような大きい杖。先の方に必ず、魔法石という魔力が込められた石が付いている。これにより、魔力がさらに高まるそうだ。
こっちは冒険者の人達に人気なんだそうだ。
俺がボケーと見ていると、店の中なのに、馬鹿でかいユノの声が聞こえできた。
「レンく〜ん!どこ〜〜?ちょっときて〜〜!」
レンは、はぁ…とため息をつくと、声のするほうへ向かった。
「あ!いたいた〜。ねぇねぇレンくん、これいいと思わない?♪」
ユノはその場でターンした。
ユノの格好は、前と打って変わって、可愛くなっていた。
まず、三角帽子は、白色を基調に、水色のリボンが付いていた。
ローブは、帽子とお揃いの白色基調に、水色、オレンジ、黄緑の生地が、レースを施されながら重なり合っていた。スカートの部分は膨らんでいて、こちらも同様にたくさんのレースが施されていた。
「おーー。可愛い可愛い。でも派手すぎないか?」
「いいの、いいの〜〜♪動きやすいし、魔力上がるしぃ〜〜☆僕可愛いから、これぐらいしなきゃぁ☆すみませ〜ん!これくださ〜〜い♪」
と叫んで、会計しに行ってしまった。レンが外に出て待っていると、しばらくして買った服を着てユノが出てきた。
「あー…、楽しかった〜〜♪レンくんお付き合いありがとね〜☆」
まだ嬉しいのか、ユノはその場でグルグル回りながら言った。
あれから何時間たったのか、もう日が落ち始めていた。5時くらいだろうか……。
「じゃあ、ここで解散かな!今日はありがとね〜〜♪
僕と〜っても楽しかったぁ♪またあったら遊ぼ〜ね☆」
と、ユノが締めくくるように言った。が俺は気になったことがあったから聞いて見た。
「ユノってさ。どこに住んでるの?そしたらまた会いに行くしさ。」
それを聞いたユノは一瞬考える素振りを見せた。そして、ま、いっかぁと呟いて、こう言った。
「僕ねぇ。この国生まれじゃないんだ〜。この国の近隣の村で生まれてるんだよ〜。だから今日は近くの宿に泊まるつもりなの〜☆」
「そっか……。」
なんとなく予想はついていた。
一緒に歩いている時も、魔法学校にいたとはいえ、市場の人の多さに驚いたりと、どこか田舎くさかったのだ。
「うん。だから明日のお祭りを楽しんで、明後日に帰る予定。だから…まあ、レンくんとは、、そう簡単に会えなくなるだろうねぇ……。」
ユノがシュンとしながら言った。レンは思わず言葉が出ていた。
「大丈夫!絶対にまた会える!またいつか、こうやって買い物しようよ!」
ユノは俺の大声を聞いてからか、軽く固まっている。それでも俺は続けた。
「今度はさ、俺の幼馴染を連れてくるよ。ユノと同じくらいの年齢だからさ、きっと気が合うと思うんだ!だからさ、また会おう!俺らはもう友達じゃないか!住んでる所なんて関係ないよ!!」
俺が一気にまくしたてると、突然ユノはボロボロ泣きだした。
「うぐっうぐっ……。ありがと…レンくん……。」
ユノはひと通り泣いてから、両手で涙をのぐった。そしてまた、話し始めた。
「僕ねぇ。生まれてこのかた、友達っていうのがいないの……。村は、僕と近い年の子がいなかったし、魔法学校では友達っていうか、ライバルって感じだったからねぇ……。学生同士でギスギスしてるの。そこでは友情なんてお飾りだからさぁ…。だから、レンくんが友達って言ってくれて、とっても嬉しかった!本当に…。また会えるかわかんないけど、僕、信じることにするよ。レンくんの幼馴染ちゃんにも、会いたいしね☆」
ユノはいつもの笑顔に戻って、ふふっと笑った。
「とか言って、明日お祭りで会ったりしてね♪じゃあねレンくん☆バイバ〜イ!♪」
俺がサヨナラを言う前に、ユノはテレポートで消えていった。
俺は、その場で日が落ちかけている空を仰いだ。この空を見ていると、確信は無かったが、ユノとはまたすぐに会えるような気がした。