突然の出会い
『ワイワイ…。ガヤガヤ……。』
お祭りの一日前だからか、大通りの市場はものすごく賑わっていた。というか、ごったがえしていた…。
「仕方ない…。遠回りするか…。」
レンはいつもは通らない路地に入っていった。この路地は人気が少なく、通った人の金を奪うチンピラがいることで、ここらでは有名だった。
今日はお祭り前だからいないだろう……、レンはそう考えたが…甘かった。
「おいおい、そこの坊ちゃんよー。悪いことは言わねー。金だけ置いてさっさと逃げな。じゃないと俺ら、おまえさんに何するかわからねーぜ。」
横道からドスのきいた声が聞こえてきた。レンは慌てて振り向くと、スキンヘッドの大男を筆頭に、たくさんのチンピラに囲まれていた。皆喧嘩慣れしてそうな、いかにも悪そうなやつだった。
こういう時は、無視して逃げる!レンは後ろを振り返らずに一目散に逃げようとした…が、あっけなく捕まってしまった。
「おい逃げんじゃねーよ。金置いてけって、聞こえなかったのか!?」
『ドンッ』
「グハッ……。」
レンは罵声を浴び、お腹を蹴られて吹っ飛んだ。突然の衝撃で身体が投げ出され、意識が朦朧とする中、カバンをひったくられた。
「ははは!最初からこうすれば良かったのにな。俺らに逆らうからこうなるんだよ。あー、そっかぁ、お子ちゃまにはわからないかぁ。残念だったな。まぁ、ある意味勉強になっただろうよ。」
「くそ……。」
チンピラ達は散々にレンに罵声を浴びせた。そしてスキンヘッドが撤退の合図を出し、帰ろうとしたときだった。
突然、チンピラ達の頭上に雨雲が出現した。
「なんだこれは!?」
といっても雨雲がぷかぷか浮いているだけで、何も起きる気配がなかった。
「気味が悪い……。早くずらかるぞ!」
スキンヘッドの大男が周りに呼びかけた…そのときだった。何もない場所から、女の子の声が聞こえてきた。
「あ〜あ。動かなかったら僕、君たちのこと、助けてあげたのになぁ♪でももう僕、おこだから…。助けてや〜んない!大人数で一人をリンチなんて、最低だね…。だから僕が罰を与えてあ・げ・る☆ほいっと。」
声が聞こえなくなった3秒後、雨雲からチンピラ達に向かって落雷が落ちていった。
『バリッ…!、バリバリバリッッ……!』
「うわぁー!?なんだこれは!?」
「逃げろーー!」
慌てふためくチンピラ達。たまらずスキンヘッドは退散命令を出した。
「くそーー!今度会ったらただじゃおかねえからなぁ!」
そんな捨てぜりふを残して、チンピラ達は、散り散りに去って行った。
数分ぶりの平和に、レンはほっとして呟いた。
「はあぁ…、良かった…。死ぬかと思った…。」
「ふふ。僕が通っていなかったらやばかったねぇ、君♪」
レンは、はっとして、声が聞こえた方を振り向いた。そこには大きな黒い三角帽子が特徴的な、可愛い女の子がたっていた。