ロンダークとレシア
ロンダークさんはもう今年で75歳。もう髪に白髪が入ってきているのに、鉱山で今もなお、現役で鉱石を掘っている、元気なおじいさんだ。
「おはよう、ぼうず。朝っぱらから元気だなぁ。で、相変わらず今日もパシリかー…(笑)少しそこで待ってろー、もってくるから。」
ロンダークが苦笑いで鉄の塊を家の奥に探しに行った。
そう、俺はまだ鍛冶の仕事に携わったことがない。もうすぐで15歳になるのに、だ。やりたくても父ちゃんがさせてくれない。前、いつになったらさせてくれるのか聞いてみたら
「お前にはまだ早い……。」
と、適当に流されてしまった。
そんな事を考えながら溜め息をついていると、家の奥からロンダークが女の子を連れて戻ってきた。
「おっはよー!レン。今日も元気にパシリやってるーーー?(笑)」
「うっせー!大きなお世話だ!」
「だって本当のことじゃん!」
この女はレシア。
ロンダークさんの孫?にあたる俺の幼馴染だ。なぜ“ 孫?”なのかは、レシアは、生まれてすぐ親に捨てられてしまった捨て子だからだ。で、ロンダークさんの娘一家が拾って養子にしたそうだ。
俺はまだ生まれてまだ間もなかったから知らないが、当時は親探しをしたそうだ。国中にその話は広まったが、見つからなかったらしい。
今では背が高く、肩まである赤い髪と、吸い込まれるような赤い目。100人が100人、美人と認めるだろう女に成長した。
「私は心配してあげてるのになぁ…(笑)はい、鉄の塊10キロ。1キロ500Gで5000Gねー。おまけで1キロ追加して置いたから、親父さんに“いつもご贔屓にありがとうございますー”って言っといて。」
パチッ、と効果音のつきそうなウインクをかましてレシアは大きなダンボールをはいっとレンに渡した。
「おお、サンキュー♪ありがたく貰っとくよ。じゃな、俺急ぐから。」
「待って!」
手を振って、もときた道を戻ろうとした俺をレシアが叫んで止めた。
「なんだよ…。俺、急がないと父ちゃんからげんこつくらうんだけど…。」
「えっと……。あの…。その…。」
レシアは後ろを向いて、しばらくモジモジと落ち着きがなかったが、クルッと前を向いて決心したかのように言い放った。
「明日のお祭り、一緒にまわらない…?じ、時間があればでいいんだけど…。あ!そ、その…、一緒にまわりたいってわけじゃないから…!ど、どうせレンは一人でまわるでしょう?可哀想だから私が一緒にまわってあげるって言ってるの!!」
どこか上から目線だったが、本当のことだった。レンは少し考えたふりをして頷いた。
「いいよ。いいけど“あれ買ってー”とか、たからないでよ!?お金ないんだから。」
それを聞いたレシアは慌てて言った。
「も…もちろん!じ、じゃあね…。それだけだから……。」
と言って奥に走って行ってしまった。
残されたレンにロンダークが何やらニヤニヤしながら近づいてきた。
「おい、ぼうず。早くいかないとザイガス(俺の父ちゃんの名前)にげんこつくらうぞー(笑)」
「うわぁ!やべっ。ロンダークさん、ありがとうございましたぁぁぁ……。」
お礼を言い終わる前に俺は大きなダンボールを持って走り出した。
「ちゃんと前いて走れよーー。」
走り側に、ロンダークさんが叫んでいた…気がした。
その頃…レシアは…。
『うわぁぁぁぁ……!やった!一緒にまわれるーー…!明日どんな服着て行こうかなぁ……。』
と、ベッドの上でジタバタしていましたとさ…。