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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第11章「恋敵の壊滅竜」

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第135話「わんぱく触れ合いコーナー!(姫)」

すみません!


アカム達視点の感想回……のはずだったんですが、そこまで辿り着きませんでした!


次回はちょっとボリューム多めで更新します!!

「さぁさぁ、どのポップコーンが良いでありますか!?ジュースもいろいろ買ってきたでありますよ!」



 ざわつく観客席のVIP席に連れて来られたアカム達は、状況が飲み込めずに目を白黒させている。

 周囲に居るのは綺麗な服を着た大人ばかり。

 それも、憂いなく大貴族だと確信する様な、自信と威厳を纏う人達だ。



「あの……、ナインアリアさん?」

「早い者勝ちでありますので、遠慮なく選んでいいであります、モモリフちゃん!」


「いえ、それではなく……、そもそも、ポップコーンなんて食べてて良いんですか?」



 例え覚えていなくとも、面識がある自分が対応するべき。

 そう判断したモモリフが先陣を切ると、色とりどりのポップコーンが差し出された。

 そして、その人懐っこい笑顔に絆され、つい、考えていた内容とは違う言葉を口に出してしまう。


 モモリフが聞きたかったのは、既にVIP席で寛いでいる人達のことだ。

 ロイの顔を見るなり、「ロイー、おじいさまー!こちらに席を確保しておきましたー!」と腕を振ってきた金髪の女性や、涼しげな視線で紅茶を淹れている完全礼装メイド。

 そして、物凄く見覚えがある気がするピンク色の見目麗しいドレス姿の女性。


 背中に得体のしれない物が流れていく中、モモリフは必死に声を絞り出して質問をしようと頑張った。

 だが、既に魔王大臣教育を追えているナインアリアはそれを理解した上で、意図的に話題を逸らしている。



「もっちろんでありますよ、自分の奢りでありますので!」

「あの、そうでもなく……。今からユニクルフィンさんが戦うんですよね?ちゃんと見て勉強したり、応援したりしないと」


「うん?モモリフちゃんは映画のキャラクターを応援しちゃうタイプでありますか?」

「はい?」


「今からやるのは戦闘教練じゃないであります。これは怪獣映画でありますので!」

「怪獣ですか!?」


「もはや、戦いの参考にするとか、応援するとか、そういう次元じゃないであります。ポップコーン片手に楽しむ道楽ぐらいに考えてないと、精神が保たないでありますよー?」



 そんな馬鹿な。っと、アカム達は思った。

 だが、周囲の大人達が深く頷く姿を見て、えっっ。っと更に目を白黒させる。



「くすくすくす、アリア。皆さんが困っていましてよ」

「おっと、暑苦しくてごめんであります。同郷の友達に会えたのが嬉しくて、つい、はしゃいでしまったでありますよ」

「いえその……、私的にも嬉しいというか、その、キャラメル味を頂いても良いですか?」



 ナインアリアは無遠慮にちょっかいを掛けてくるお姉さんタイプであり、長女であるモモリフには馴染みが薄い。

 貴族社会においても、寡黙であったエイトクロス家・当主に習い、粛々とパーティーをこなすのが良しとされていたからだ。

 だからこそ、ナインアリアに親近感を抱いても、距離感を掴み切れていないのだ。



「ほいであります!」

「あ、ありがとうございます?」

「アリア、私にも同じものを下さいまし。さぁ、こちらで一緒に観戦しましょう。モモリフ・クレセントさん?」


「えっと、その、失礼します……?」



 どうやら、この場の支配者は、このピンク色の髪の女性らしい。

 それを理解したモモリフは、必死になってぎこちない笑顔を作りつつ恐る恐る一礼しようとして……、どーんでありますぅー!と肩を押されて座り込んだ。



「ちょ、押さないで下さいよ!ちゃんと挨拶できなかったじゃないですかっっ!!」

「くすくす、可愛らしくて満点の掴みですわよ」



 顔を真っ赤に染めたモモリフだが、1秒後には顔面蒼白になった。

 ピンク色のドレスの心地よい肌触りを太ももの裏で感知し、慌てて真横に飛び退く。



「すすす、すみません!こんな高そうなドレスの上に座ってしまうなんてっ、その」

「そうでしたの?では、責任を取って頂きましょうか」


「ひえっ、その、私達には借金があって、その、お金は、あんまりもって、な……」

「ご挨拶と皆さんの紹介をしてくださいまし。そして、私とお友達になって欲しいですわ」



 **********



「こ、こんなにご馳走して頂くなんて、その、申し訳が」

「あら、私が自分だけ食事をする貧相な女に見えまして?」


「めめめ、滅相もございません!」

「それに、お友達は美味しそうに召し上がっていましてよ?」


「きゃー!?貴方達、何してるんですかっっ!!」

もふぁん(ごはん)

めっふぁおいひい(めちゃ美味しい)



 豪華絢爛なB級グルメで埋め尽くされた簡易テーブル、その横で頬を膨らましているアカムとフラムルージュを見たモモリフが絶叫した。

 出来る事なら、今すぐコイツらを分からせたい。

 そんな感情が湧きだすモモリフだが、『命の危機』が頬笑んでいるとなれば話は別だ。



「くすくす、子供は正直な方が可愛いですわよ、ね、モモリフさん」

「……そ、その、失礼を承知でお尋ねしたいのですが……」


「なんですの?」

「あ、貴方様は、テトラフィーア様でいらっしゃいますか……?」



 ついに絞り出せた声は、常人では聞きとりづらい程にか細いもの。

 だが、世絶の神の因子が宿る耳を持つテトラフィーアには関係がない。



「なるほど、だからこんなに怯えているんですの。テトラフィーア姫はクレセント家にとっても敵ですものね」

「ひぇ……、その、」


「ですが安心してくださいまし。私はテトラフィーアの偽物を名乗っておりますの」

「に、偽物……?」


「えぇ、あれだけ目立っている大国の姫ともなれば、影武者を用意するものでして。それで、フランベルジュの貴族でありながら『レワテの導き手』に属している私に白羽の矢が立ったのですわ」

「白羽の矢……、ですか?」


「いずれ来る革命、テトラフィーアはその身を隠すでしょう?その時、無数の影武者が必要になる訳ですが……、」

「影武者として近づいて、本物と成り変わる、と……?」


「くすくすくす、これ以上は言葉にできませんわー」



 革命軍に属しているはずのナインアリアに案内された場所に『テトラフィーア姫』がいた。

 そうして混乱したモモリフだが、何か不味い事になっている気がすると正解に辿りついていたのだ。


 だが、彼女こそ魔王大臣を名乗る、この大陸最大級の悪女。

 華麗に『革命の為の切り札』だと称して心を開かせ、彼女達の運命をゆっくりと絡め取っていく。



「……本当に口の回る女だ」

「それを言ってはお終いですよ」



 そして、後ろの方で呟かれた言葉が、ざわつく喧騒の中に消えた。


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