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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第11章「恋敵の壊滅竜」

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第91話「ユニクの休日 大魔王ショッピング②」

「あの子たちも頑張っているのなら……、テトラ、私にもお金を貸してください!」

「ご融資金額はおいくらですの?」


「いくらでも良いんですか?」

「えぇ、お望みの金額で構いませんわ」


「じゃあ、一億エドロで!!」



 ……。

 元気はつらつとした声で、こんにゃく姫が人生を踏み外した。


 利益率500%と言っても、借入金額によっては天と地ほどの差がある。

 極端な話、借りた金額が100エドロだった場合、500エドロの金利を支払うのは難しくない。

 それこそ、子供が親の肩を揉んで手に入る駄賃程度の金額だからだ。


 で、手羽先姉妹が借り入れた金額は二人で20万エドロ、金利100万エドロ。

 この金額は子供が稼ぐにはあまりにも大きい金額ではあるが、大国の姫が有能軍人を使役している場合は話が違ってくる。

 連鎖猪程度の獲物でも、素材を売れば100万エドロに届くからだ。


 そして、二人が選んだ射的商品を転売するという真っ当な方法でも、不可能な数字じゃない。

 狙っていた魔導書にもよるが、高ランクの魔導書ならば返済した後でお釣りがくる値段で売れる。



「いや、1億エドロはちょっと無謀じゃないか?」

「どうしてですか?あの子たちが頑張っているというのなら、私ができない理由はありません」



 ……ダメだ、このこんにゃく。

 商品価格と金銭価値をまるで分かっていない。


 こんにゃく姫が借り入れようとしているのは1億エドロ、金利5億エドロ。

 危険生物を狩ってこの金額を手に入れようとした場合、なんと森ドラゴンを2匹も狩る必要がある。

 そして、魔導書の転売をする場合でも、第九守護天使クラス……、戦争の趨勢をひっくり返すレベルの大魔導書が必要になる訳だ。


 ……。

 例え、お姫様のこんにゃく(意味深)を売っても、どうにもならない。



「……それでいいのか?テトラフィーア」

「もちろんですわ。でも、ちゃんと私のお願いを聞いてくれるユニフィン様に免じて、ひとつヒントを差し上げますわね」



『テトラフィーア』と彼女の事を呼び捨てにしているのは、そうして欲しいとお願いされたからだ。


 過去の俺はテトラフィーアの素性を知った後、失礼のない様に姫様呼びを徹底していた。

 愛称が良いとお願いされてもしなかったのは、親父にするなって言われたってのもある。

 ……が、お姫様と呼ぶ事が最大限の敬愛になると思っていたのだ。


 だが、テトラフィーアの考えは違ったらしい。

 彼女にとって名前を呼び捨てにされる存在は家族と親しい友人のみ。

 敬称を付けられると『親しくなりたくない』という意思表示のように感じてしまうなんて言われちゃったら、そうする訳にはいかない。


 なお、後ろの方で、


「あらぁ?テトラを呼び捨てにするなんてぇ。亭主関白でもしたいのかしらぁ?」

「心配は要りませんわよ、陛下。関白とは天皇を補佐する仕事のこと。つまり、ユニフィン様は私を主の様に大切にして下さると言っているのですわ」


 とか聞こえた気がするが、心の奥に封印した。



「アルフ、金利の発生は3日後、借入金額の500%ですわ」

「分かってます。ちなみにですが、3日以内に返還した場合はどうなりますか?」


「くす、どうしたいですの?」

「無金利と言いたいところですが、それがまかり通らないのは分かっています。例え、借りた瞬間に返還したとしても、3日後に500%の金利が発生するという条件に変更はない。として欲しいです」



 それってこんにゃく姫が一方的に損するよな?

 返済期日より前倒ししているんなら、その分だけ利息が減るのが普通だろ?



「そんな条件を付けるのか?例えば、早く返した時間だけ割引がある方がいいと思うんだが」

「いえ、それはテトラが張った罠ですよ。時間割とか言い出したら、期日を超過した後にも利息が発生しますので」


「……んん?それって普通の事だよな?」

「そもそも、3日で500%の金利率なんて、経済の鬼であるテトラが提示するはずがありません。最初から裏があるんですよ」


「裏、だと……?」

「この契約は、定期的に金利が発生する従来の借金と違い、一括で金利が発生し、それ以降は増えないというタイプです。つまり、3日を過ぎた後はどれだけ借りていても5億エドロから増えません」


「なん、だと……っ!?」



 嘘だろ、おい……。

 それを聞くと真っ当な契約に聞こえる、だとぉ……。



「ですが、テトラが債権者なのは変わりません。いつでも5億エドロを差し押さえる権利を有し、私を貶める事ができるでしょう」

「えっ?あっ、これってもしかして」


「そうです。これは擬似的なレジェンダリアの隷属契約であり、どう転んでも奴隷になる選択肢しか用意されていないんです。酷いですよね?」

「くぅ、これが金を持ってる魔王大臣のやり方かッ!!」


「ですから私は、無利子で貸してとお願いしたんです!でも、テトラは貸してくれません!!幼馴染みなのに!!」

「そうだったのかッ!!疑って悪かったぜ!!」



「そろそろ、その茶番を止めてくださいし。さもないと社会的に殺しますわよ」



 あっ、やべやべ。

 大魔王大臣が怒り狂っていらっしゃる。

 プレゼントを仄めかしてご機嫌取りをしておこう。



「もう、ユニフィン様も折角いらっしゃったのですから、私を構って欲しいですわ」

「悪い悪い、それといっちゃなんだが、さっきプレゼントを買って来てな」


「それは私にですの?」

「3人にな。夜になったら渡すから楽しみにしててくれ」


「まぁ!そう言われてしまったら、無下にはできませんわねっ」



 ふぅ、何とか乗り切ったぜ。

 リリンとワルトとの分もあるって言うか迷ったが、これで正解だったっぽい。

 なんだかんだ、恋人候補で上手くやろうとしてる節があるしな。

 ……乾燥こんにゃくみたいに固まったアルファフォート姫をナインアリアさんが慰めているのは、見えないフリをしたいと思う。



「それで、今日はみんなで買い物か?」

「えぇ、アルフの社会勉強も兼ねてはおりますが、気の合う女4人で楽しくショッピングですわー」



 アルファフォート姫がテトラフィーアと幼馴染なのは知っていたが、なんと、メイさんやナインアリアさんとも面識があるらしい。

 メイドとして仕えているメイさんは納得だが、ナインアリアさんとはフランベルジュ国で開かられたテトラフィーアの誕生日パーティーで友達になっていたとか?



「へぇ、意外な繋がりだな?」

「アルファちゃんと自分は仲良しだったであります。まぁ、ブルファム王国の姫だと分かっていなかったでありますが」


「そうか、子供の時の話だもんな」

「今思えば、お父さんが目を白黒させていた理由って自分だったでありますね。家族に捨てられたのも……、寂しい思いをしたのも自分のせい」


「えっ、ちょっ!?」

「男性にプレゼントとか貰ったこと無いであります……。いつも、お前は要らないって罵声ばっかりでありますぅ……」


「な、なにが欲しいんだッ!?高く無ければ買ってくるぞッ!?」

「じゃあ、クレープが食べたいであります。もちろん4人分でありますよ!」



 **********



「うまー、でありますぅー」

「立って食べるお菓子ですか?はむっ、あ、美味しい」

「味が選べる様に違う種類を5つ買ってくる機転の利かせ方は、私的にも高得点ですわ」

「そうなんですか?セブンジードはいつもそうしてますよ」


「……ふっ、やられたぜ」



 余ったクレープ・スイカ味アヴァロンすぺしゃる!を頬張りながら、しみじみ思う。

 コイツら全員、魔王だと。



「まったく……、で、さっき気が付いたんだが、あっちの方が騒がしいな?」



 全力疾走で走り出した直後、向かいの店に不自然な人だかりが見えた。

 可愛らしい雑貨が売られているファンシーショップのようだが……、筋肉が隆起してるマッスルボディがいっぱいっておかしいだろッ!?



「ダブルデートの護衛達ですわ」

「ダブルデート?」


「ブルファム国王夫妻と王子夫妻。親子で楽しんでいるようですわね」



 なるほど、ロイ達はあっちに居るのか。

 温泉卿にはサチナの結界が張ってあるとはいえ、ブルファム国王と王子に護衛を付けるのは当然だよな。



「にしても、ロイの奴はデートを楽しんでるのかー」

「あら、ユニフィン様もご興味がございまして?」


「おう。実は今、デートコースを作っ……!」

「くすくす、楽しみにしておりますわね」



 ヤッチマッタ。

 作らなくちゃならないデートコースが3つに増えた。



「では彼方と合流いたしますか?」

「そうだなって言いたいが、俺達が行って邪魔しちゃ悪いだろ?」


「いえ、喜ぶと思いますわよ。なにせ、シフィーがとても張り切っていましたから」



 ロイの妻であるシフィーは、未来のブルファム王妃。

 その正体は大陸を牛耳る裏社会の首魁、キャンドル家の娘。

 指導聖母とは系統が違うっぽいが、こっちはこっちでヤバそうな雰囲気が物凄くする。


 やっぱりお前も、妻の尻に敷かれる魔王関白の被害者か。

 俺と同じだな!



「ちなみに、テトラフィーア達の買い物はもういいのか?服を選んでたんだろ?」

「必要最低限は購入済みですの。後は試着を済ませてからですわ」


「試着って?」

「ベアトリクスのですわよ」



 ベアトリクスの服だと?

 そもそも、ちゃんと着てるのか……?



「服かー。アイツは俺よりも興味が無さそうだぞ?」

「だからこそ、私が選んであげますの。今ならどんなコーディネートでも出来ますわ!」


「そっか。俺的には、出来るだけ脱ぎにくい帝王枢機みたいな奴が良いと思う」



 ソドムが帝王枢機を召喚したとき、鎧を着ても良いか?と聞いてきた。

 だからあれは鎧だ。

 当時はこれのどこが鎧だよっ!?クソタヌキィッッ!!っと思ったが、誰が何と言おうと鎧だ。


 ……あっ、やべ。脳裏に超魔王装備が浮かんできた。

 あんなもんを装備したベアトリクスに絡まれたら、色んな意味で人生が終わる。



「ってことは、どこに居るのか知ってるんだな?」

「わんぱく触れ合いコーナーですわよね」


「(死地)が抜けてるぞ。つーか、これを企画したのって誰だよ?」

「ワルトナさんが主体ですが、私と陛下も噛んでますわね」



 何度か走り回ったおかげで、温泉郷に何があるのかは把握している。

 最初に行く場所だけ決めて、後はその時の流れでデートするとしよう。

 ……3つもデートコースを考えるとか、童貞英雄な俺には無理だッ!!



「くすくす、それじゃロイと合流してトリプルデートをしましょうか」

「おう!と言っても、どんなもんがデートなのか良く分かって無いんだけどな」


「デートのルールは一つだけ。恋人同士で何かをして楽しければ、それでいいんですわ」

「そんな気楽な感じで良いのか。よっし、じゃあまずはロイを冷やかしにいくぜ!!」



 羨ましいかどうかは置いといて……、ロイが俺の100歩先を歩いているのには思う所がある。

 ちょっとくらい冷やかしても罰が当らないってもんだぜ!



「はいはーい!じゃあ自分らはテトラちゃん達を冷やかすであります!女3人寄れば姦しいでありますので!!」



 あっ、近接魔王職とツンだけ殺意メイドとこんにゃく姫が敵にまわった。

 ヤル気に満ちた目で俺へ笑みを送ってきている。


 ……前言撤回。

 0.1秒で罰が当たりやがったッ!!


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