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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第11章「恋敵の壊滅竜」

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第87話「ユニクの休日 注文の多い古道具店①」

「また一緒に遊んでね、ユニクルフィン様!」

「今度も楽しく遊ぼうね、ユニクルフィン様!」



 セブンジードの銃講習は熾烈を極めた。

 どうやら、二人の銃の実力が魔弾の琴線に触れてしまったらしい。


『二人掛かりで俺に比肩しやがった。なら、コイツらは間違いなく俺を超える』

『確かに才能は有りそうだが……、未来なんて分からんだろ』


『確かにな。だが、その才能は俺どころか、メナファスファントすら持ってねぇ稀有なものだ』

『なに?』


『二人で一丁前。確かに今はそうだろうよ。けどな……、その二人がそれぞれ一丁前になった時、何が起こるんだろうな?ユニクルフィン』



 こんなやり取りの後、セブンジードが本気になった。

 お遊び用の銃の持ち方ではない、精錬された戦闘技術。

 それを一人ずつ手取り足取り教える様は、決してチャラ男とは呼べない顔で行われていて。


 まぁ、そのおかげで、順番待ちしている手羽先姉妹と随分仲良くなれたけどな。

 交互に話を聞いた結果、育った環境や趣向も掴めてきた。



「おう!そん時はロイやテトラフィーアも誘ってお祭り騒ぎでもするか!!」

「「うん!!」」



 ロイやテトラフィーアも一緒にどうだ?と提案すると、手羽先姉妹の目が輝いた。


 二人にとってのロイは、大好きな親戚のお兄ちゃん。

 ロイのおばさんという事になっていたテレーズさんが側室である以上、血縁関係は無くても親類になる。

 そして、二人は成人したらフィートフィルシアに嫁ぐつもりでいたらしい。

 良く分からない貴族の所に行くよりも、面倒見のいいロイと一緒に居たいと二人で選んだ未来だったそうだ。

 今となっては実現できないが……、懐いている事には変わりない。


 そして、純粋な二人の耳に囁いたのは、この大陸の諸悪の根源と懇意にしているテトラフィーア御姉様(・・・)

 テトラフィーアはフランベルジュ時代からブルファム王国と交流があり、東塔にも出入りしていた。

 やがて、アルファフォート姫以外とも交流をし『テトラフィーア御姉様』として絶大な地位を築いた後、レジェンダリア国大臣として侵略を開始。

 王位継承権を持つ姫の未来を意図的に変えるべく、策謀を始めたっぽい。


 なお、手羽先姉妹がアルファフォートさんを呼ぶ時は、『アルファフォート姉さま』であり、『御』がついていない。

 頑張れ、こんにゃくお姫様。

 昨日からメルテッサにも『御』が付いたらしいから、頑張れば昇格できるぞ!



 **********



「こっちは飲食店通りみたいだな?おー、お土産コーナーや、食材を売る市場もなんてのもあるのか」



 セブンジード達と交流を深めたものの、再び一人観光に戻っている。

 誘ったら一緒に来てくれそうだったが、楽しげに射的をしているのをやめさせてしまうのは忍びない。

 そんな訳で、誰かいないかなーと?



「う”ぎるあ!これも食べるし!!」

「あ、はいっ!……もぐもぐ、ぷる~~ん!」



 ……。

 ……………。

 …………………あ、タヌキ。


 いやいや、良く見たらアルカディアさんだった。

 グラムを覚醒させているのに見間違えそうになるタヌキクオリティだが、彼女達は人間だ。



「よっ、こんな所で何してんだ?」

「ユニなんちゃら?プラムに美味しい獲物を教えているし!」



 アルカディアさんの後ろに隠れた一周り小柄な褐色少女こそ、妹のプラムさん。

 ぱっと見た感じ、ちょっと年下の後輩枠な顔立ちをしている彼女は、結構な人見知り。

 今も、ドングリを抱き締めつつ、不安そうな顔を俺に向けている。



「どうだ?何か気に入ったものがあったか?」

「……人が多くて、めっちゃあせあせっ、そんな余裕ない……」


「んー、美味かったものは?」

「全部っ!」



 レラさんがやっちまった事を考慮すると、人間嫌いになっても仕方がないと思う。

 でも、折角だし友好的な関係を築きたいんだよなぁ。


 ……決して下心はないぞ?

 アルカディアさん譲りの巨大な果実にはドングリが挟まっているから、俺の出番はないのだ。



「おや?ユニクルフィンくん……と言いましたか?エデンがちょっかいを掛けた子ですよね?」

「インティマヤさん、だっけ?」



 サクサクと草履を鳴らして現れたのは、浴衣を着た豊かな女性。

 気品あふれる姿から醸し出されるのは、圧倒的な貴婦人感。

 高貴な女性のお手本の様な美しい立ち振る舞いをしているこの方こそ、タヌキ真帝王・エデンと同格――、カツテイタ・ボスママタヌキだッ!!



「そんなに身構えなくても大丈夫ですよ。私はエデンほど好戦的ではありませんので」

「いや、だってタヌキだしなぁ」


「取って食べたりしませんからご安心を。むしろ、ゴモラさんやソドムくん、この子たちと仲良くしてくださって感謝しているんですよ」



 その面子を同時に語るのは無理があると思うんだが?

 人懐っこいゴモラと、歴史に名だたるクソタヌキ、そして、タヌキ系美少女姉妹は決して同系統では無い。



「そっちも仲が良さそうだな。ちなみに、アルカディアさんとインティマヤさんってどんな関係なんだ?」



 インティマヤはエデンの親友であり、ソドムとゴモラを子タヌキ扱いする最強枠の一匹。

 そんな大陸滅亡の危機(カンタナントカタフス)と英雄の弟子が一緒にいるとなると、良からぬ疑惑が浮かんでくる。



「この子達は私の子孫ですよ」

「……はい?」


「アルカディアさんの群れには、私の番のトウゲンキョウがいるので。まぁ、彼が不貞を働いていなければの話なんですけど」



 へぇー。

 アルカディアさんのタヌキっぽさの由来は、祖先がタヌキだったからなのか。

 いや、タヌキがどうして人間の祖先なるんだよ!?ってツッコミはあるが……、長い歴史の中で、人に化けたタヌキに唆された人間の男がいたに違いない。

 そうしてどんどんタヌキの血が薄くなり、現在は、タヌキっぽい雰囲気の人間になったと。


 うーん、生命の神秘って凄い。



「本当は、町を案内して貰う代わりに食事を奢ってあげようと思ったんですけど……」

「何か問題があったのか?」


「お金が無くて……。いえ、違うんです。お金は有るんですけど、現在は取扱いしていないようでして」



 世界を統べるタヌキ軍勢のトップ層であるインティマヤさんは、それはもう目が眩む程の資金を持っているらしい。

 ただし、古い。

 数千年前の古銭とか、もはや骨董品を通り越して歴史資料と化しているので使えないそうだ。



「結局、アルカディアさんに奢って貰う事になってしまいました。不甲斐ない限りです」

「そりゃしょうがないだろ。って待てよ、確か……」



 俺の記憶が正しければ、この近くに……。


 サチナに貰った地図を思い出しながら、周囲へ視線を巡らせる。

 此処がクレープ屋の前で、あそこが白玉ぜんざいの店だろ?

 じゃあ、その向かいは――。



「あの店に行ってみようぜ」

「はて?食べ物屋さんではありませんね」


「あそこは古道具店。古い魔道具や歴史的に価値があるものを買い取ってくれる所だよ」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 900話突破おめでとうございます! 本当に長く続いているので連載もいつも 大変だと思いますがいつも楽しく読ませていただいてます。 [一言] この章は温泉回って言ってただけあって ゆるい感じ…
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