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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第11章「恋敵の壊滅竜」

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第76話「次のイベント」

「くっくっく、ぇっちな事を禁止されちまったなぁ、ユニクルフィン」

「……何が言いたんだ?メナファス」


「いやなに、お子様魔王なリリンは特殊性癖なんて知ったこっちゃねぇと思ってよ。なら、抜け道があるだろぉ?」

「具体的に言ってくれ」


「くっくっく、抜け道って言うか、獣道?」

「邪道で、外道で、悪逆非道だぞ、タヌキィィィィ!!」



 平均的に目が据わっている時のリリンは、覚醒神殺しでも動かせない。

 それを十分に分かっている心無き魔人達の統括者達が、俺に野次を飛ばし始めやがった。


 先陣を切ったのはメナファス。

 抉じ開けた傷口を切り開くレジェリクエ。

 そして、安全地帯からトドメを差すカミナさんという、鉄壁の布陣だ。


 なお、当事者なワルトはぐぬぬ……。という顔で傍観している。

 俺の援護をしたいけど、ネタキャラ扱いはされたくないらしい。



「むぅ、ユニクで遊ばないで」

「おっと、そう言うからには、具体的に何が禁止なのか決めてあるんだろうなぁ?」


「もちろん。ユニクの始めては全部私のもの!だから、私が既に済ました事はしてもいい!!」



 あっ、ヤバい。

 ターゲットがアホの子姉に移った。

 自爆テロを起こす前に饅頭で口を塞がないと。



「ほうほう?何を済ませたんだぁ?」

「キス!」


「キスったって種類があるだろうがよ、どうせ唇をくっ付けるだけの簡単な奴だろ?」

「その程度で済む訳ない!!私は既に、口いっぱいに含んだジュースをキスで飲ませてももふぅっ!!」



 平然となんつーことを暴露するんだこの、アホの子魔王はッ!?

 ほら見ろ、ワルトが膝から崩れ落ちたじゃねぇかッ!!



「へー!レジェ、判定」

「相手に口移しで何かを飲ませるのはぁ、かなりの上級者ぁ。ディープなキスより余裕で上ぇ」


「だってよワルトナ」

「っ!?」


「しかも、なんと飲ませたのはお酒ぇ。そのまま二人はくんずほぐれずぅ」

「ッッ!?!?」


「裏の空き地で、魔王VS怪人ゲロ鳥男を演じたわ」

「どうしてそうなった!?!?」



 ……記憶を取り戻した筈なのに、そんな覚えがございません。

 自分でも不甲斐なさ過ぎて、色んなものがぐるぐるげっげー。



「もう良いだろ、そんな話は。で、次の勝負はどうするんだ、ワルト?」



 強引に話を打ち切って、リリンとワルトに話題を振ってみる。

 そしてそれは成功し、魔王共が興味ありげな視線を向けた。



「宝探しは僕の提案だったからねぇ、次の勝負内容はリリンに決めて貰うよ」

「いいの?普通は負けた方が選ぶと思うけど?」



 リリンの言うとおり、このまま行くワルトが不利になる。


 ワルトの肩を持つ訳じゃないが、ただ、俺は平和に暮らしたい。

 だからこそ、できるだけリリンとワルトが同じ立場なのが望ましい、というのが本音だったりするのだ。



「忘れたのかい?宝探しを提案したのは僕だが、その後のルールを決めたのはリリンだ」

「それはそう。もしかして、追加ルールで対等以上の勝負に出来る自信がある?」


「当然。僕を誰だと思っているんだい。世界を統べる指導聖母の管理者、大牧師ラルラーヴァー様だよ!」



 なるほど、かなりの自信がワルトにはあるらしい。

 当たり前過ぎて語る必要が無いが、ワルトの知能はリリンの数倍に匹敵する。

 特に策謀や知略に富んでおり、メルテッサの造物主の性能を低下させた作戦も全てワルトの立案だった程だ。


 ワルトは宝探しで負けても悔しがっていなかったから、もしかしたら、始めから勝つ気が無いのかと思った。

 だが、本命の作戦はこれから、むしろ、最初の一回をリリンにあげてからの逆転勝利を狙ってい――。



「じゃあ、大食い競争がいい!!」

「……。」

「……。」

「……。」

「……。」

「……。」



 俺、ワルト、レジィ、メナファス、カミナさん、……、絶句。

 なお、一瞬で目が死んだ俺達をよそに、アホの子シスターズは目を輝かせている。



「これは勝負あったわねぇ、挙式の準備をしなくっちゃあ」

「礼服を作らねぇとな。えーと、服屋の連絡先は……」

「会場の設営は任せて。リリンとユニクルフィンくんの挙式だもの、派手にしないといけないわ」

「うん、たのしみ!」


「……。お前ら、その浅墓な考えを破綻させてやるから覚悟しろ。木端微塵にっ!一切の容赦なくだっっ!!」



 リリンの勝利を信じて疑わない魔王共は、既に祝杯ムード。

 一方、ワルトはぐぬぬ……という顔をしながらも、強かに破綻戦略の構築を開始。

 数秒の計算の後、不敵な笑みでリリンに向き合った。



「いいとも。大食い競争を受けて立とうじゃないか」

「このジャンルでは負ける気がしない!!」


「だが、先程も宣言した通り、ルールは僕が決めさせて貰う。そして……」

「そして?」


「大食い競争で食べる料理は、それぞれの陣営が売り出したものとする!」

「ん!」


「当然、料理の売上金も勝敗の要因とする。食うばかりじゃなくて働けってことだよ、この食べキャラめッ!!」



 ほー、面白い切り返しだな。

 リリンとワルト、それぞれが温泉郷で料理店を出し、その売り上げと食べた量を競う。

 此処で戦略性が生まれる訳だ。

 当然、美味い料理を出した方が売り上げでは有利になるが、相手もそれだけ食べやすくなり、大食いの方では不利になるしな。



「出品する料理に制限はない。好きな料理を出しな」

「なるほど、それは凄く良い条件だと思う!」


「ただし、採点基準は以下の通りとする。①食べた料理の皿の数×食べた料理の種類 ②売った料理の皿の数×純利益 ③人気投票 この三つだ」

「前二つは分かる。最後のは何?」


「僕とリリンが勝負をしている事を告知し、客に投票して貰う。肝心なのは、『どっちを応援するか』。大食いしているリリンが可愛いって理由で投票するのも、僕が用意した料理が美味しかったから投票するのも自由」

「なるほど、だから人気投票なんだね。期間は?」


「あんまり長々とやるのもねぇ、一日でどうだい?」



 料理店を出店し、互いに大食いしながら高い売り上げを目指す。

 さらに、観客の投票を得るためのパフォーマンスも必要不可欠。

 もはや、大食い競争なにそれ?って状態だが……、すっごく面白そう。



「主さまっ、主さまっ、サチナも一枚噛みたいのです!」

「ん、なにをしたいの?」


「せっかくなので、お祭りを開催するです!!」



 温泉郷の支配者たるサチナが、魔王なチャンスを嗅ぎつけた。

 目をキラッキラに輝かせて、祭りに対する想いをリリンに語っている。


 なんというか、サチナの商魂が凄くたくましい。

 しかも、夢や理想を語るだけじゃなく、しっかり計画を述べているという強かさ。


 ……なお、同じ商売人属性なサーティーズさんは此処にはいない。

 おそらく数十億エドロが動く一大イベントの発足に立ち会えないとは、本当に残念な社長だな。



「ならぁ、テトラに運営顧問をさせましょぉ。ロイの勉強も兼ねてぇ」

「テトラフィーアに?でも、今はブルファム王国の執務で忙しいだろ?」



 大陸統一戦争なんて重大事件が起こって、まだ3日も経っていない。

 ましてや、今まで存在しないとされていた王位継承者の出現に、行方不明だった王妃の帰還、冥王竜とメカゲロ鳥と機神の降臨と、やりたい放題大混乱真っ最中。

 正直、宝探しに参加してる大魔王陛下がおかしい訳だが……?



「三日以内なら大丈夫よぉ、その期間はテトラも温泉郷に滞在するしぃ」

「そうなのか?」


「完治したとはいえ、ブルファム王は長く病床に伏していたのよぉ、休養を取るという名目にさせたわ」

「させた?」


「テトラにベアトリクスちゃんの話をしたら、すぐに会いに行きますわ!!てぇ」



 ……。

 …………。

 ………………俺の争奪戦には参加しないのに、ベアトリクスには会いに来るのか。


 うん、これはしょうがない。

 テトラフィーアはベアトリクスの事を溺愛していたから、しょうがないんだ。



「ワルトナの設定したルールに異議は無い。だけど、ちょっと追加したい!」

「なんだい?」


「三人でのチーム戦にして欲しい。私が組むのは、当然、セフィナ!」



 おぉ、これは良い要望だぜ!

 なにせ、リリンが料理をしている所を見た事が無いからな!


 一応、作る所は見ていないものの、手料理を食べた経験はある。

 リリンと旅を始めた一日目、ドラゴンから集団暴行を受けた俺を労う為に、ポトフを用意してくれたのだ。


 具材はタヌキと塩。

 調味料的な意味では無く、具材として塩が入っていた。塊で。



「いや待てよ、リリンと同じ流れだと、セフィナもヤバくないか……?」

「そこは心配いらねぇぞ。セフィナは料理全般が得意だ」


「えっっ、っと言いたい、新事実」

「たぶんリリンもヤラせりゃできんだよ。だが、俺らのパーティーにはレジェが居ただろ」


「あー、食い専門になった訳か」

「ちなみに、オレもカミナも、レジェ程じゃねぇが料理は得意な部類だ」


「……ワルトは?」

「知らない方が幸せな事ってあるんだぜ」

「失敬なッ!!僕だって人並みにはできるよ、料理くらい!!」



 人並みか。

 そうか、人並みなんだな。

 その割には大魔王陛下とカミナさんがえっ。って顔してるけど、人並みなんだなぁ?


 俺の嫁候補達が作る料理が、魔王と化している。

 夢も希望も新婚もあったもんじゃねぇ。



「ロゥ姉様ぁ、余達もお店を出しましょぉ」

「おねーさん達も?いいけど、リリンちゃんやワルトナちゃんの勝負じゃなかったっけ?」


「テトラの代理って名目で参加しているのぉ。ここらで勝っておかないと、テトラに示しが付かないわぁ。ロゥ姉様の料理なら絶対負けないしぃ」

「よっし、やるからには本気でやるよ!残りメンバーはテトラフィーアちゃんで良いのかな?」


「テトラは運営側だから、直接的な参加はさせないわぁ。息抜きもさせてあげたいしぃ」

「勝負に参加すると忙しくなっちゃうもんね。じゃ、ミオを誘っても良い?」


「DSDは禁止で」

「おねーさんはアレを調味料だと認めていないよ、にゃははははー!」



 D、S、Dだとぉ……?

 なんでこのタイミングで劇薬が出て来た?

 もしや、リリン以上の飯マズなのか、澪さん。



「ワルトナ、開催日時はどうするのぉ?三日以内が良いんだけどぉ」

「じゃあ三日後で。僕らの準備は間に合うだろうけど、サチナはどうだい?」

「頑張るです!!」


「よしよし。困った事があったら相談に乗るからね。ちなみに、僕は明日の昼間は用事で留守にする、夜には帰ってくるからその時にでも」



 そう言いながら、ワルトはサチナの頭を撫でた。

 そしてそれをくすぐったそうにしながら、嬉しそうな顔で受け入れている。


 リリンに懐いているサチナだが、ワルトとも友好な関係を築いているらしい。

 俺もその内、気兼ねなく頭を撫でられる関係になりたいぜ!



「ちなみに僕の用事だが……、メルテッサを連れてラボラトリームーに行く予定でねぇ。……リリンも行くかい?」

「ん、」

「そうなのぉ!?余も行きたいわぁ!!」


「レジェが参加、当然カミナも参加、メナファスは僕の心の支えなので強制参加、あとはリリンとセフィナだけだねぇ?」

「そういう事なら行く。魔神装備のお礼もしたい!!」



 大陸を手に入れた魔王達が、カツテナイ・タヌキ基地に乗り込むようです。

 ……俺?

 ははっ、生きて帰れる気がしないので、絶対に行かねぇ。



「俺は行かないぞ。みんなで楽しんで来てくれ」

「そうなの?皆というなら一緒に行くべきだと思う!」


「ちょっとやりたい事があってな」

「やりたい事?思い出を作るよりも大切なことなの?」



 思い出というか、走馬燈を見そうだが……、タヌキを抜きにしてやりたい事があるのは本当だ。


 まぁ、タヌキじゃなくてクマなんだけどな。

 リリン達が留守にしている間、どうにかしてベアトリクスを捕獲しておきたい。

 アイツは色々と懸念事項が多すぎるので、放置しておくと絶対にロクな事にならない。絶対に。



「ベアトリクスを探したいってのもあるが、本命はデートの下見だな!」

「デート!?それって!!」


「この勝負に勝った方への賞品だ。なんだかんだ温泉郷をゆっくり見れてないからな。観光を兼ねてデートしようぜ!!」



 この提案も、嘘偽りのない俺の本音だ。

 二人がこれだけ思ってくれているのに、肝心の俺が冷めてましたじゃ話にならない。

 夫婦円満のコツは夫がどれだけ努力したかによるって、村長が持ってた『人妻のススメ7月号 ~燃え上がる初夏! 浜辺とパラソルに隠された禁断の恋~』に書いてあったしな!!



「ふ、ふふふ……。もともと負けられない勝負ではあったけど、もっと負けられなくなった。ワルトナ、覚悟して欲しい!!」

「それは僕のセリフだねぇ。得意分野で大敗を喫するという、苦々しい敗北を味あわせてあげよう」



 そうして、和気あいあいとしながら、俺達は温泉郷に帰った。


 最初の勝負はリリンの勝ち。

 このままリリンが逃げ切るのか、ワルトの策謀が絡め取るのか。

 色々と思う事がいっぱいあるが……、次のイベントも楽しませて貰うぜ!!

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