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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第11章「恋敵の壊滅竜」

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第73話「クマー!①」

「むぅうううううううう”!!クマにセフィナが攫われたッ!!ちゃんとブチ転がしておけば、こんな事にならなかったのにッ!!」



 平均を超越したクマ嫌いな魔王様が、生命の危機を感じさせるほどの殺気を放っている。

 あー、この感じは魔王シリーズの恐怖機構だな。

 なんだかんだ最近はコントロールされていたから忘れかけていたが、あっ、サーティーズさんが泣きだした。



「母様っ、母様っ、捨てないでぇ……」

「もう嫌なのだ!!希望を費やす迷惑竜って馬鹿にされるのは嫌なのだぁあああ!」

「ぐるぐるきんぐぅー!!」

「きゃいん……。あんな鋼鉄の武人、どうしろというのだ……?」



 そして、各々のペット達のトラウマが抉られまくっている。

 なんだこの大規模無差別テロ。

 魔王の所業にも程がある。



「待て待てリリン、落ち着けって」

「セフィナがクマに攫われて落ち着ける訳が無いッ!!一刻も早く大規模殲滅魔法をブチ込むべき!!」


「更に戦禍を広げようとすんな!つーか、そんな事しようもんならセフィナが怪我するぞ!」

「大丈夫、たぶんアップルルーンに乗ってるはず!」


「じゃあクマだって何も出来ねぇよ!!えぇい、これでも喰って落ち着け!!」



 リリンを嗜めない事には話しが進まねぇ!

 とりあえず、ありったけのおにぎりと菓子パンの絨毯爆撃でも食らっとけ!!


 リリンの口におにぎりと菓子パンを詰め込んだ所で、ワルトがオレンジジュースをナイスアシスト。

 こうして怒り狂う魔王様に封印を施しつつ、現状確認を行う。



「あー、そうだな。まずはサチナ、ベアトリクスの縄張りってどういう事だ?」

「温泉卿はサチナの縄張りなのです。そして、その東側は真頭熊と三頭熊が暮らすベアトリクスの縄張りなのです」


「人間の生活圏のすぐ近くにクマの集落があるのがまず驚きだが……、そもそも、ベアトリクスと顔見知りなのか?」



 サチナの雰囲気から察するに、確認するまでもなく顔見知りのはずだ。

 だが、その関係性までは分からない。

 俺的には、互いに無干渉を貫く隣人って感じが望ましいんだが……。



親友マブダチなのです!」

親友マブダチだったかぁ。そうかー」



 狐っ娘サチナの親友

 ・タヌキ帝王

 ・キングゲロ鳥

 ・クマの皇 ←NEW


 なんだこのカツテナイ動物園。

 入園者10万人を5分で殲滅できる超戦力。



「サチナ、ベアトリクスと友達なの?」

「そうなのです。年齢も同じだし、気さくにお喋りできて楽しいのです!」


「そうなんだ。むぅ、じゃあ転がすのは少しにしておく」



 おにぎり絨毯爆撃をぺろりと平らげたリリンが正気を取り戻した。

 今の所、サチナに配慮して攻撃の手を緩めるくらいの理性は残っているらしい。


 で、問題なのは、俺もベアトリクスと顔見知りなんだよなぁ。

 そして……、どうやら既に、リリンとベアトリクスが出会っているっぽい。



「リリン、率直に聞きたいんだが……、ベアトリクスに会ったか?」

「むぅ、思ったよりも3倍くらい強かった」



 あ、はい。

 出会うどころか、バトルを繰り広げていらっしゃるんですね。

 考えうる限りの最悪な答えだぜ!



「戦ったのか。ちなみになんで?」

「昔のユニクにちょっかいを掛けていたって聞いた!ブチ転がして、上下関係を教える必要があると思う!!」



 そうかそうか、なるほどなぁ。

 俺とベアトリクスが顔見知りなのを知ってるのって、この場じゃお前しかいないんだよなぁ、ラグナワンコ。



「ラグナからワルト、リリンに情報が流れて……、あ、やばい。大魔王陛下がキラキラした目で挙手しやがった」

「聞いたわよぉ。テトラがベアトリクスを溺愛していたってぇ」



 テトラフィーアは1か月間、俺達の旅に同行している。

 時系列的には旅が始まった直後、昔の俺を知っている人物の中でも古参の方だ。


 彼女との出会いは、まさにクマ。

 三頭熊に襲われている所を俺達が助け、フランベルジュ王国に送り届けるという名目で一緒に行動する事になったわけだが……、



「むぅ?テトラが溺愛していたってどういう事?」

「そのままの意味よぉ。夜になると遊びに来るベアトリクスに言葉を教えたり、お古のドレスを着せたりしたらしいわぁ」



 大魔王陛下が言っている事は、大筋で合っている。

 微妙に違う点は、親父の訓練で疲れきった上での遊び(じゃれあい)には命が掛っている所と、暴れまくったせいで服がボロボロになるから仕方なく着せていた所だ。



「そうなんだ。むぅ、じゃあ転がすのはちょびっとにする」



 リリンのクマ好感度がちょっとずつ上昇しているが……、ベアトリクスが俺に好意的なのを知ってしまったら、どうなるのか分からない。

 子供の頃の俺にとっては全裸の獣っ娘に抱きつかれて締め技を喰らうなど、身も心も粉砕される一撃必殺なだった訳だが……、よくよく考えてみれば、今も大して変わって無いな?

 毎日、魔獣に擬態した魔王っ娘の尻尾に締めあげられている。



「あぁ、そうそう、ユニ。ベアトリクスの件については後で尋問を行うから」

「……具体的にどんな事が聞きたいんだ?」


「くんずほぐれず寝技の練習したんだってねぇ?」

「できるだけ後にしてくれ。言い訳を考える時間が必要なんだ」


「遺書も用意しておきなー」



 処刑する気満々じゃねぇか、この大魔王牧師。

 タヌキ帝王共が「うわ……」ってドン引くレベルの真っ黒な笑顔しやがって。


 それにしても……、全員がベアトリクスと顔見知りとか、なんの嫌がらせだよ!?

 誰よりも先に再会して、色々と根回ししておきたかったのに!!



「……よし、もういっそのこと、全部をブチ転がしに行こうぜ!」

「うん、そうしよう。ブチ転がしまくって更地にする!」

「ユニまで事態をぶん投げんな!僕一人じゃツッコミ不足になるだろうが!!」



 だってなぁ……、正直な話、会うのがすごく怖いんだが?

 どんな感じに成長したんだよ、ベアトリクス。


 俺と会っていた時の外見は同年代、8歳~10歳。

 だが、実年齢は2歳に満たないという幼さで、論理感、何それ?状態だった。

 その結果、5分も放置すれば服を脱ごうとするわ、クマなのに肉嫌いだわ、いねぇな?と思ったら俺の寝袋の中で冬眠してるわ、やりたい放題。

 もしも、あのまま成長し、無邪気に心を抉ってくる発言を連発しようもんなら……、未来がバラ色に染まる。俺の血で。



「しょうがない。とりあえず現地に行ってから考えようぜ」

「そうだね。今度は勝つ!」



 ……なにその爆弾発言。

 リリンですら勝てないって、どんだけ強くなってんだよ。



「一緒に始めた戦いだ、僕としても決着をつけたい所ではあるね」

「ん、一時休戦で一緒にブチ転がす!!」



 ……爆弾発言を追加すんな。

 ワルトが参戦して勝ち切れなかったって、もはやタヌキ帝王レベルだろ。



「うむ、ベアトリクスもかなり強くなっておるからのー。ソドムのエゼキエルと一騎打ちができるレベルじゃしの!」

「アイツと一騎打ちだと?なるほど、手を出さなくて正解だったようだ」

「そうだね、千海山を握する業腕がある今ならともかく、素手じゃ絶対に勝てないでしょ」



 ……核ミサイル追加すんな、タヌキ共ォォォッ!!

 つーか、エゼキエルと一騎打ちする状況って、マジで何があったッ!?


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