表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第10章「真実の無尽灰塵」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

786/1333

第178話「戦姫の勇将救世②」

 

「なるほど。確かにとても賑やかだ」



 天空に降臨したチェルブクリーヴを取り囲む、8つの影。


『無尽灰塵』

『戦略破綻』

『再生輪廻』

『無敵殲滅』

『壊滅竜』


 ――そして。


『無尽灰塵の妹』

『運命掌握の代理(ペット)

『壊滅竜のシモベ』


 この集団こそが、正真正銘、レジェンダリア軍・最高戦力。

 一人で機神と渡り合うリリン率いる……、心無き魔人達の統括者(アンハートデヴィル)だ。



「機神なんて出された日にゃ、大抵の奴は絶望する。……が、俺達は慣れてる。不安はねぇよ」

「まぁ、そりゃそうだ。帝王枢機はキミらが作ったものなんだし」



 ……ん? 

 機神を作ったのは俺達じゃない、タヌキだ。

 って、あぁ、なるほど。

 メルテッサの視点だと、帝王枢機を開発したのは心無き魔人達の統括者に見えるのか。


 当たり前の事だが、タヌキが機神を量産しているという発想には至る人物はいない。

 百万歩譲ってタヌキの関与を疑ったとしても、人間と協力体制を敷いていると思うだろう。

 訂正するのも面倒だし、勘違いさせたままでいいか。 

 


「まぁな。というかリリン一人でアップルルーンを壊したんだろ?八対一じゃ負ける道理がねぇよ」

「くっくっく、そう思うかい?」


「なに?」

「せっかくだ、ぼくの機神とキミら心無き魔人達の統括者、どっちが強いか鑑賞しようじゃないか」



 くすくすとワザとらしい笑い声を発し、メルテッサは手すりに腰掛けた。

 まるで戦闘意欲を感じさせない態度で空を見上げ、楽しみにしていた演劇が始まるとばかりの素振りを見せている。

 うん、全くやる気を感じないが……、これが罠なのは分かっている。



「俺だって、リリン達の戦いを眺めたい気持ちはあるが……、その手には乗らねぇよ」

「おや?」


「リリン達が戦えば戦う程に武器の性能が把握され、お前が有利になって行く。バレバレだぜ」

「へぇー。キミは魔王共の捨て駒、リリンサ以上の脳筋枠だと思っていたんだが……、どうやら案外賢いらしい」



 誰が捨て駒だッ!!

 まだ捨てられてねぇぞ、疑似餌だ疑似餌ッ!!


 俺の鋭い視線を知らない振りをしたメルテッサは、心理戦こそ指導聖母の本懐だという笑みを溢し、手すりから飛び降りた。

 ついでに芝居がかった動きで着地し、新体操の様なポーズまで決めている。



「なんだそりゃ、随分と余裕があるようだな?」

「負けると思っていないからね」


「大した自信だが……、お前が戦闘慣れしてないのも分かってる。真面目に構えないと一瞬で決着が付くぞ」

「ご忠告どーも。ちなみに、どこを見てそう判断したのかな?」


「ははっ、服に隠れて見えねぇよ。でも、自分で分かってるだろ?二の腕や腹がぷにぷにしてるなって」

「……。よし、コイツは吊るそう。そうしよう」



 あぁ、お前はまったく戦闘慣れしちゃいない。

 こんな下らない舌戦ですら、既に戦闘の一部なんだぜ。


 時間の経過はメルテッサだけに優位に働く訳ではない。

 リリン達が全員でチェルブクリーヴと対峙している以上、この状況は想定外だったに違いない。

 だが、これだけの時間を稼いだ以上、状況判断を終えたワルトが策謀を立て直しているはずだ。



「俺はリリンの婚約者を名乗っててな、手柄の一つくらいは立てておきたい。……そろそろ行くが、覚悟は良いよな?」

「いつでもどうぞー」


「そうか。じゃあ、遠慮なく《超重力起動ガルシステム》」



 覚醒神殺しでの狙撃を止めたメルテッサの戦闘力を侮る事は出来ない。

 だが、肝心のメルテッサ自身が戦闘経験が薄いのも事実だ。


 ならば……、常人の肉体では追い付けないスピードで初撃を繰り出し、様子を見る。

 格上に勝つ時(・・・・・)の必須条件は、『焦らない事』だ。



「……《魔天の守護盾フォールダウンシールド》」



 一直線に走りだした俺を見たメルテッサは、右横に浮遊さていた巨大な腕を白い盾へ変形させた。

 体を覆い隠せるそれでグラムの進路を遮り、その切っ先を受け止めようとする。

 だがな、盾じゃ俺の攻撃は防げない。



「《重力破壊刃(ガル・ブレイド)》」

「なっ!」



 俺がグラムの刀身に宿らせているのは、絶対破壊の力。

 神が作りし理を破壊するこの能力の使い方は、大きく分けて二つある。

 一つは、直接的な破壊の力を相手に向ける方法。

 そしてもう一つは、破壊の力を周囲に向ける事で強烈な環境変化を発生させ、相手に間接的なダメージを与える方法だ。


 突き出したグラムが盾に触れた瞬間、掛っていた重力を破壊した。

 通常、物質が横から衝撃を受けた時、上からの重力の影響を受け、力は斜め下に向かう。

 だが、重力を破壊された状態ならば、叩き付けたエネルギーの100%がそのまま横にスライドする。



「がふっ!?」



 だからこそ、グラムに押し出された盾がメルテッサに向かい、激突。

 斬撃による裂傷こそ起こらないが、かなり手痛いダメージのはずだ。



「ぐぅ、ちぃ!」

「遅ぇよ」



 突き飛ばされたメルテッサに追い付き、再び、大振りに剣を振るう。

 盾に割り込まれようと関係ない。

 連続で攻撃を繰り返して何度も盾を叩きつけ、堅実にメルテッサの体力を削いでいく。



「はぁ、はぁ……、これが超越者。女王と、だいぶ動きが……、違う」

「さっきも言ったが、お前の戦闘センスが乏し過ぎる。なお、超越者の攻撃を防ぐのに必要なのは勘だ。覚えとけ」


「言ってる事が……、滅、茶苦茶だぞ」

「そうか?」



 超越者同士の戦いでは、敵の攻撃が目で捉えれない事など平然と起こる。

 当然、ゆっくり対抗策を考えている時間は無い。

 どんなに良い装備を持っていても、使いこなす為の戦闘感がなければ意味がねぇんだ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ