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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第10章「真実の無尽灰塵」

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第153話「敗北運命・破綻会談②」

「確かに私たちはゲロ鳥を重用していますが……、タヌキを使役している人に言われたくないですわー」

「……。メルテッサ攻略の鍵は、いかにして物質主上の能力を制限するかだ」


「あ、めちゃくちゃ動揺してますわー」

「さっきからマジでうるさいんだけど!?つーか、好きで使役してんじゃないんだよッ!!」



 動揺を悟らせる事のないワルトナの聖母な笑みを、テトラフィーアが容易く看破した。

 そこに動揺と怒りと悲しみが含まれていることを指摘しつつ、優雅に饅頭を頬張っている。



「ったく、キミらってホント、僕を苛めて遊ぶのが好きだよねぇ」

「むぅ、これからは私達も参加する!」


「はいはい、リリンの役目もちゃんとあるからねー。ユニもきっと惚れ直すくらいに超絶カッコイイ奴さ」

「むむぅ!?」



 0.1秒でアホの子姉を攻略したワルトナは、最大の恋敵たるテトラフィーアを見据えた。

 この戦争が終わったらどうしてくれよう……、と思考を走らせつつ、メルテッサ攻略を開始する。



「現状判明している物質主上とメルテッサの能力だが……、分けて考えた方が良いね」

「個人の能力なのに分けるんですの?」


「そうだよ。だって、利点と弱点を一緒にはできないだろう」



 迷いなく言い切ったワルトナを見たほぼ全員が、弱点は『メルテッサ』だと理解した。

 その手にはブルファム姫の調書が握られており、リリンサ姉妹以外はその内容を把握している。



「メルテッサ・トゥミルクロウ。18歳。レベル6万台後半、戦闘スタイルは完全魔導師タイプであり、水、光、虚無、防御魔法に適性がある……と、この間までは優れた冒険者程度の能力しか持っていなかった」

「ん、その程度なのにレジェが負けたというの?」


「此処にいる全員が目隠しをしてても勝てる程度の実力、それがメルテッサ個人の戦闘力だ。……だが、事実としてレジェは負けた」

「おかしいと思う」


ランク3(世界裁定)になった世絶の神の因子『物質主上』には、その程度の優劣を簡単にひっくり返す力があるってこと」

「むぅ?そもそも、私は世絶の神の因子に馴染みがない。分かるように説明して」



 テトラフィーアやレジェリクエは文献や古書を調べており、世絶の神の因子の概要を掴んでいる。

 だが、それらは所詮、人間が行使した能力の記録に過ぎない。


 だが、超状安定化バランシールに配属された超越者のワルトナは、唯一神によって行われた終生を記した秘匿文書の閲覧権を手に入れている。



「世絶の神の因子というのは、唯一神がとても気に入っている使い勝手が良い特殊能力のことさ」

「神様のお気に入り?そんなのをレジェやテトラ、メルテッサも持ってるの?」


「そういうこと。そして、その能力は文字通りの意味で世界を終わらせる。あぁ、今のリリンならこう説明した方が分かり易いかな。始原の皇種・那由他が持つ悪喰=イーターに対抗する為の力だと」

「……!」



 悪喰=イーターを習得して以降、リリンサは何度もその能力を使用し不明な点を調べに行っている。

 そうして触れた全知の権能に対抗する為の力だと言われてしまえば、その強力さを理解せざるを得ない。



「神の因子というのは、多かれ少なかれ、世界を構築しているルールへ干渉する力だ。例えば、人間の聴力には限界があるけれど、テトラフィーアはそれを超えた聴力を発揮できる」

「確かにできますわ。さらに、そこに含まれた感情を聞き取ることでさえも可能です」


「それはテトラフィーアの神の因子が世界のルールよりも上にあるからだ。そして、神の因子が一段階進化すると他者へ影響を及ぼせる。例えば、遠く離れた地にいる僕が聞いた音を聞く事ができる様になったりする訳だ」



 『第九識天使』を使用すれば、他人の感覚を得ることができる。

 それを魔法無しで出来るようになるという例えは分かり易く、その利便性は語るまでもない。



「そして、ランク3(世界裁定)というのは、世界のルールそのものを書き換えているようなもの。理を超越している英雄以外が戦いを挑んでも、まったく話にならないだろうね」

「なるほど……、陛下はレベル99999、まだ人間の領域ですわ」


「もともと戦闘向きな能力である物質主上を邪神様が強化した結果がこれ。まったく、攻略は骨が折れそうだねぇ」



 肩を竦めたワルトナが浮かべている表情は、真っ黒な笑み。

 その酷い顔には一切の迷いが存在していない。



「物質主上の能力を大きく分けると2つになる。


 ・5kmの範囲内にある魔道具の性能と行動履歴を把握できる。

 ・魔道具の過去、及び、同系統の魔道具が持つ能力を行使させる。


 色んな能力が有るように見えるけれど、根本にあるのはこれだけだ」



 改めて整理された情報を吟味したテトラフィーアは、それがレジェンダリア軍事戦略の縮図である事に気が付いた。


 前者の能力は、究極の『情報収拾』。

 敵の経歴を一方的にかつ完全な状態で習得するなど、人間では不可能。

 そこに感情の揺らぎ等の不確定要素を含まない以上、テトラフィーアの上位互換となる。


 そして後者の能力は、究極の『対策立案』。

 魔道具の経歴の中には、それがいかにして負けたのかという情報が有ることが多く、確実性の高い戦略を可能とする。

 そして、具体的な解決力を手に入れる事ができるのは、数字で示す事しかできないレジェリクエの上位互換だ。



「魔道具を装備している限り、発信機を付けられているようなもの。隠密行動もできない」

「先程、ワルトナ様はゲロ鳥の羽根鎧とは違う手段を行使すると仰っておりましたわね?どうするんですの?」


「僕はもう答えを言ったよ」

「答え?それは……、魔法次元ですわね?」


「正解。メルテッサが感知できるのは5kmであり、異次元空間は含まれない。そして僕は虚無魔法が得意な魔導師であり、転移魔法など造作もない」



 心無き魔人達の統括者でのワルトナは、サポートに徹していた。

 リリンサやカミナ、メナファスなどの攻撃役を守りつつ、巧妙に隠した転移魔法を使って奇襲を仕掛ける。

 心無き魔人達の統括者が大魔王などと呼ばれているのは、物理法則を捻じ曲げた動きをするからだ。



「メルテッサの攻略法は、能力を暴いた上で対処不能な飽和攻撃で倒す。もしくは、感知されない奇襲をするか。どっちらもレジェがやろうとした事で、これが最適解だ」


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