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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第10章「真実の無尽灰塵」

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第93話「真・王女攻略⑤」

「やだやだやだやだやだ、やだぁー!!」



 ロイが王位を継ぐと知ったアルファフォート姫は、机を連打しながら大絶賛錯乱中。

 ポンコツであっても姫様だった雰囲気を脱ぎ捨て、手羽先姉妹以下の駄々っ子と化している。


 大魔王陛下が策謀を仕掛けている以上、どうしても被害者が出る。

 俺の予想ではラルラーヴァーか指導聖母の誰かになると思っていただけに、この展開は予想外だ。



「どうすっかな、ロイ。俺としては助けてやりたいと思うんだが」

「僕は……やや賛成だ」


「なんだよ、そのやや賛成ってのは?」

「アルファフォートさんは割と妄想癖が強いからなぁ……。夢見がちというか、白馬に乗った王子様が迎えに来るって本気で信じているタイプだ」


「残念ながら、此処にはゲロ鳥に乗った英雄見習いしかいないぞ」

「本当に残念極まりない。その英雄見習いが稀代の賢人だったら良かったんだが……。ユニフ、税金は何に使われるか知ってるか?」


「知らん」

「ふむ。ユニフはアルファフォートさんと相性が良くないようだ」



 失礼な納得の仕方をしたロイの脇腹に拳を打ち込もうか検討をしていると、俺の手が握られた。

 目の前にいるのは、割と大きめな胸……、もとい、アルファフォート姫。

 席から立ち上がって俺に駆け寄り、潤んだ瞳を向けて来ている。



「ユニクルフィン様!お願いです、私を妻として迎え入れてください!」

「それはない」


「そんなにきっぱり断らないでくださいよ!!じゃ、じゃあこういうのはどうですか?」

「こういうの?」


「お望みとあらば……。は、挟んだり、舐めたり、飲んだりできますよ?ブルファム王国は男性の快楽欲求を満たす術が豊富で……」

「……。」


「え、えへへ。どうですか?このプロポーション。ムラムラしますよね?」

「……。」


「で、ですから、私を捨てないでぇ……」



 アルファフォート姫は握っていた俺の手を離し、そのまま自分の胸を押し上げた。

 そして、潤んだ瞳で決めポーズ。

 どうやら俺を誘惑したいらしい。



「……。」

「どんな事でもしますよ?私の体を好きにできるんですよ?」



 ……。

 …………。

 ………………。


 前にも似たような事を言われたことがあるが、今回は全然、ぐっと来なかった。

 むしろ、目を覆いたくなるような残念感が漂っている。 


 テトラフィーア大臣が俺の耳元で囁いた誘惑も、内容的にはほぼ一緒。

 だが、今の誘惑を聞いても俺の男としての感情は全く動かなかった。

 これなら、ベッドの上のタヌキ魔王の方がまだ色気があるぞ。

 憎たらしい顔のタヌキフードを被ってない時は、気を抜くとドキッとさせられるしな。



「何度でも言うが、俺はリリンと婚約を交わしてる。アルファフォート姫を受け入れるつもりはない」

「私って優良物件じゃないですかっー!!姫と国、両方手に入るんですよっ!?」


「どっちもいらんし、自分で言うな。つーか……」



 姫様枠はもう埋まってんだよ。

 テトラフィーア大臣より勝っている所が無い以上、その路線は諦めろ。


 ……って言えたら楽なんだけどなぁ。

 流石に無慈悲すぎるので自重しておく。



「俺ができるのは大魔王陛下に口利きしてやるくらいだが……、そもそも、アルファフォート姫は何がしたいんだ?」

「ブルファム王国を手に入れて、一生裕福な暮らしがしたいです!」


「無理だろ。流石に舐めすぎだ」

「だって、レジェリクエは私よりも年下なのに女王をやってるじゃないですか」


「あれは、陛下の前に大魔王が付く生粋の悪女だぞ。現実を見ろ」



 テトラフィーア大臣にすら全く勝ち目が無いのに、大魔王陛下に対抗できる訳が無い。

 というかそもそも、アルファフォート姫自体がショボすぎるんだよ。


 アルファフォート姫のレベルは『62323』。

 一般人よりは高いが、それでも、不安定機構・支部長と同程度の経験しかしていない。

 支部長……、せいぜい200人を統べている程度の実力で、レベル9万を超えている大魔王と比べるのが間違っているのだ。



「上を見たってキリが無いぞ。そもそも、対抗できるなら戦争に勝ってるだろ」

「う、それは……そうですけど……」


「夢を見るのは悪い事じゃない。だが、実力を伴わないなら、それは悪夢だ」



 これは、村の外に憧れるあまり村長に襲撃をし掛け、返り討ちにされた時に言われた言葉だ。

 それから三日間、村長が夢に出て来たのは言うまでもない。



「だって、だって、もう嫌なんです!!女だからって、誰かにお伺いを立てながら生活するのは嫌!もう、我慢したくないんですよっ!!」

「それが本音か。だけど、駄々を捏ねているだけよりは良いかな」



 誰かにお伺いを立てないで生活する。

 そんな事は不可能だ。


 もし、ブルファム国王に成れたとしても、王国に巣食う指導聖母にお伺いを立てないといけない。

 その指導聖母は、大聖母ノウィンに、そして大聖母ノウィンは神へお伺いを立てるだろう。


 アルファフォート姫の願いを叶えるには、神になるしかない。

 実現不可能だと分かっているから、心おきなく妥協案を探せるぜ。



「つまり、アルファフォート姫は自立した生活を送りたいって事か?」

「そうです。いいですよね、レジェンダリアは男尊女卑が無くて。女だからって虐げられ無いですもんねー」


「その代わり、ゲロ鳥以下の扱いをされる場合があるけどな。何処の国に居たって、最終的には実力が全てだと思うぞ」

「そんなこと無いです。ブルファムの女は男性に使われるだけの道……」


『ぐるぐるげっげー!』



 何を言っても不貞腐れているアルファフォート姫の言葉を遮って、声高らかにゲロ鳥が鳴いた。

 意味がまったく分からない。



『ぐるぐるげっげー!ぐるぐるげっげー!ぐるぐるげっげー!』


「……なんだロイ。唐突に鳴いたらビックリするだろ?」

「僕じゃないぞ」


『ぐるぐるげっげー!ぐるぐるげっげー!ぐるぐるげっげー!』


「ここはブルファム王国だぞ。お前以外に誰が鳴くんだよ?」

「一つしかないだろう。この書状だ」



 そう言って、ロイは机の上に転がっていた書状を手に取った。

 どうやら筒の中から鳴き声がしているようで、よく見ると書状自体が震えている。


 中に何か入っている?

 思い当たる節があった俺とロイは迷わず封を切り、仕込まれていた携帯電魔を取り出した。



「やっぱり電話だったか」

「これは通信機の小型版なんだろう?どうやって操作するんだ?」


「貸してみろ。確か……」



 俺も携帯電魔を持っているが、一二回しか使った事が無い。

 リリンが使っていた光景を必死に思い出し、直感で操作して行く。



「んー、お、繋がった!おーい、もしもし?」

「ご機嫌麗しゅう、ユニフィン様。テトラフィーアですわ」



 あれ?大魔王陛下かと思ったんだが、大魔王大臣の方だったか。

 確か、テトラフィーア大臣は大魔王陛下と一緒に王宮へ向かったはず。

 別れてから結構時間が経っているし、ブルファム王絡みの連絡があるのかもしれない。



「急にどうした?何かトラブルか?」

「ユニフィン様達のお話をお伺い致しまして、申したい事がございますの」


「……。え?」

「ユニフィン様、アルファフォート様に関しては私に一任して頂きたいですわ。同じ姫という立場ですから、お力になれると思いますの」



 ……お話をお伺いした?

 それって、……?


 いつの間に盗聴なんてしやがったッ!?!?

 大魔王大臣、マジ怖えぇ!!



「えっと、どうやって聞いたんだ?」

「ロイの服に盗聴器を仕込んでありますの」


「そうか。それで本題だが……」

「アルファフォート様とお話をしたいですわ。変わってくださいまし」



 慌てて服を調べ始めたロイを放置しつつ、俺はアルファフォート姫に向き直った。

 電話に出るのを嫌がったら断ろう。

 そう決めて向けた視線が捉えたのは、きょとん。としているアルファフォート姫だった。



「テトラフィーア様ですか……?」

「知ってるのか?」


「もちろんです。フランベルジュ国の外交員として、何度か此処に訪れていらっしゃいます」

「へぇー、顔見知りなら話やすいかもな。思ってる事をぶっちゃけてみると良いんじゃないか?」


「そうですよね。テトラフィーア様かぁ、よし!」



 ……これは、俺なりの解決へのアプローチだ。

 決して、面倒になったから大魔王大臣にぶん投げた訳じゃない。


 それに、アルファフォート姫とテトラフィーア大臣、お互いに会談を望んでいる。

 ここは聞き役に徹しつつ、ロイと相談して解決策を模索しておこう。

仕事が忙しくて、執筆の時間が取れない……。

話の展開が遅いのも、仕事中にぼんやり展開を考えている時間が取れないからなのです……。


あと、タヌキが出ないから書きにく(自主規制)

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