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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第10章「真実の無尽灰塵」

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第83話「王女攻略⑤語れない英雄見習い」

「俺の過去に付いては、んー、正直に言って語る事が無い」

「どういう事だ?ユルドルードと旅をしていたのではないのか?」


「していたらしいな。だが……、俺はその時の記憶がない。記憶喪失なんだ」



 親父の過去や人となりを語り終え、その流れのまま俺の過去の話になった。

 だが、あんまり語る事が無い。

 ナユタ村の暮らしなんて「飯食って、薪割って、寝る」の繰り返し。

 リリンに出会ってからは激動の日々だが……、その全てに心無き魔人達の統括者が関与している。

 ブルファム王国との戦争が終わるまで、大臣や姫には語らない方が良いはずだ。



「記憶喪失だと?」

「ふふ、そんなベタな冗談は通用しませんよ」

「……。そうだな。冗談だったら良かったんだけどな」


「なに?」

「えっ?冗談じゃないんですか?」



 おう、冗談じゃねぇぞ。

 つーか、記憶喪失って言って疑われた確率100%なんだけど。

 記憶喪失って、そんなにベタなのか……?



「リリンと一緒に色々調べて分かった事なんだが……、親父と旅をしていた時に、俺達は強大な敵と戦ったらしい」

「皇種討伐をしていたユルドルードですら強大だと言う存在か。名前は分からんのか?」


「逆に名前くらいしか知らないんだがな……、この世界最強の皇種、蟲量大数・ヴィクティムだよ」



 蟲量大数について知っている事と言えば、


 ①親父や俺、あの子やアプリコットさんの人類最高のパーティで戦いを挑み、敗北した。

 ②なんかタヌキより強いらしい。マジやばい。


 くらいしかない。

 博識なワルトならもうちょっと詳しい事を知っていると思うけど……、ん、そう言えばワルトってどこにいるんだ?



「馬鹿な、蟲量大数だと……」

「おじいさま、知っておられるのですか?」


「王位を継いだ者に開示される歴史書に記載がある。だが、しかし……」

「なるほど、では教えて頂く事はできませんか?後で目にするのでしたら、このタイミングで知っても問題ないと思います」



 ……この姫様、王位を継ぎたいのか。

 完全に俺を標的に定めてるじゃねぇか。



「ふむ……、蟲量大数は『力として観測できる、あらゆる事象にて最強』だと言われ、その力は神をも下すとされている。人間の儂らが計り知れるものではない」

「え、それじゃ希望を費やす冥王竜(ディスペア・プルート)よりも強いって事ですかっ!?」



 強いに決まってるだろ。

 そのディスペア・プル……あっ、トカゲか。

 知らない奴かと思ったぞ。



「はは、冥王竜じゃ話にならない。比べるのが失礼なレベルだぞ」

「そんな……、希望を費やす冥王竜はブルファム王国を壊滅させそうになった大災厄なんですよ?我が国最強の剣士・澪騎士ゼットゼロと互角で……」


「いやいや、全く勝ち目がねぇなんてもんじゃない。なお、俺は冥王竜の事を『黒トカゲ』とか『荷車馬ドラゴン』とか呼んでいる」

「とかっ……」


「それでも信じられないって言うんなら……、リリン、冥王竜と一人で戦ったら、勝てるか?」



 ミオさんの戦いを見ていたらしいアルファフォート姫は、冥王竜が雑魚だというのが信じられないらしい。

 まぁ、人間の目線で見た冥王竜は絶望レベル。

 だが、世界規模で見たらトカゲでしか無く、事実、タヌキに怯えまくっている。


 俺の問い掛けへのリリンの返事は、平均的なもふふぅ!だ。

 俺には「余裕で勝てる!」って聞こえたが、残り3名の眉間には皺が寄った。



「ごくごくごく……ぷは!パパとの訓練を終えた私の魔法は英雄レベル。もはや、冥王竜では相手にならない!」

「リリン、尻尾は?」


「ん……。魔王の脊椎尾はあくまでも道具。私の本質は優れた魔法知識にある!」



 この平均的なぎこちない笑みは……、祖父の前で尻尾アピールは恥ずかしいんだな。

 だがな、もう見られていると思うぞ。



「まさか、冥王竜に勝てるというのか?」

「勝てる。だいたい10分くらい!」


「そんな軽食を食うような時間で……。アプルクサス、天穹空母を撃墜させたセフィナといい、お前の孫はどうなっておるのだ?」

「ん、冥王竜程度、ユニクも余裕で勝てる。むしろ、呪文の詠唱がある私よりも速いかもしれない!」



 冥王竜で良いのなら、普通に勝てる。


 進化した後の冥王竜ですら、親父やクソタヌキには遠く及ばない。

 というか、アヴァロンにすら及ばない。

 正直、裏切りドラゴンの暗躍さえなければ、グラムで叩き切って終わり……、5分も掛らんな。



「えっと、流石に冗談ですね?冥王竜って大災厄で、核熱の炎っていう凄い魔法で、何万もの軍人を跡形もなく消滅させたんですよ?」

「撃たせなけりゃいい。冥王竜はアンチバッファの塊みたいな奴だが、一撃を与える隙はある。世界最強のグラムで斬ればそれで終わりだ」


「え……。あの、私には優しくしてください、ね……?」



 どういう事だ?と思っていると、隣の大魔王さんがむぅぅ。と鳴いた。

 なるほど、この「優しくしてください」は、俺と仲睦まじい関係を築きたいという事か。


 この姫さま、思っていたよりも頭の中がお花畑。

 嫌いじゃないが、笑顔で婚姻届を取り出してくる腹黒さが無いと生き残れないと思う。



「ユニクルフィン、冥王竜よりも強い生物を何匹か知っているような口ぶりだな?」

「ん。まぁ知ってるな。というか、じいちゃん達も知ってるぞ」


「なに?」

「セフィナがタヌキを連れてただろ?あんのタヌキはゴモラっていう超弩級の大災害。アップルルーンもゴモラの持ち物だ」


「馬鹿な……。アレは大聖母が与えたものではないのか……?」

「違う違う。俺はゴモラの片割れのソドムっていうクソタヌキと戦ったんだが、別の帝王機を持ち出してきやがった」


「あんなものが複数存在している……?」

「つーことで、俺の目標は帝王機を持ってるクソタヌキに勝つ事だ!」



 それから、親父が帝王機と戦って勝った疑惑があることや、そのクソタヌキですら皇種でないことを話した。

 その流れで、俺が知っている珍獣共を強さを順に並べて説明しておく。



 冥王竜

 アルカディア

 サーティーズ

 ↓

 キングゲロ鳥

 アヴァロン

 ↓

 ホロビノ

 ニセタヌキ

 クソタヌキ

 ↓

 サチナ

 ↓

 白銀比

 ↓

 カミジャナイ?タヌキ

 蟲量大数・ヴィクティム



 うん、完璧。

 なお、気がつけば珍獣と戦っているアルカディアさんも入れておいた。



「え、っと、それだと、ブルファム王国最強の澪騎士様は一番下のカテゴリーで、ユニクルフィン様やリリンサ様は一つ上の階級だと……?」

「そうなるかな。同じ剣士としてなら俺に分があると思う。魔法的な観点ならどうだ、リリン?」

「ミオは私の姉弟子で尊敬するべき人。でも、最近は動きが鈍っている。付け入る隙はある」



 ミオさんを立てているから謙遜した言い回しだが、戦えばリリンの圧勝になるはずだ。

 尻尾を見たミオさんが頭を抱えている内に、12万5000発の魔法が叩きこまれる。



「俺の話こんな所だな。リリンと出会った後については心無き魔人達の統括者のメンバーが関わっているから、今は伏せておきたい。その内で良いだろ?」

「構わん。一度に済ましてしまっては勿体無いわい」



 そう言って、オールドディーンは紅茶を飲み、ちょっと赤くなった顔を隠した。


 ……あ、デレた。

 というか、姫様よりもヒロインしてる。



「ん、じゃあ今度は私の話をしたいと思う!」



 今までは、『俺の話3 : お茶菓子7』な感じだったリリンが元気よく手を上げた。


 過去を覚えていない俺と違って、リリンは自分の経歴を語る事が出来る。

 かなり重めの話なんだが、それは嘘だったという救いもあるし、そこからラルラーヴァーの話へと移れるだろう。


 一同の視線が集まったリリンは、平均的に真剣な顔で紅茶を飲んだ。

 そうしてじっくり味わってから喉を潤し、ほう。っと小さく息を吐く。



「家族を失ったと思っていた私は、かけがえのない友達に支えられて此処にいる。ユニクと出会う事が出来たのも、全部みんなのおかげだった」

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