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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第9章「想望の運命掌握」

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第68話「大魔王学院・四時間目、大魔王と小悪党」

「それでは訓練を開始する。両チームとも全力を出して欲しい!」

「出すに決まってんだろ。極鈴の湯はなんとしてでも手に入れてやるぜ!!」


「ふっ。私達だって負けるつもりはない。せいぜい抗って欲しい!えい!」

「なに?ボールを上に投げただとッ!?」



 平均的な大魔王口上をリリンは披露し、胸に抱いていたボールを空高く跳ね上げた。


 ゲロ鳥ボール、空を飛ぶ。

 ドッチボールを始めるつもりでいた白餡チームは、いきなりのバレーボール超展開に唖然。

 全ての視線がボールへと集まり、そして、視界から外れた黒餡チーム(俺達)は一斉に動き出す。



「最初に全ての視線をボールに集める。その隙を付いて、決めた陣形へ移動して欲しい」



 これはリリンとカルーアさん主導で立てた作戦だ。


 相手のボス・セブンジードは遠距離攻撃が得意の狙撃手であり、射線が開けている場所は全てが死地と化す。

 だからこそ、弾丸に対応できる俺が最前列で防御役となり、攻守ともに隙がないリリンとカルーアさんが中衛でサポート、その後ろに残りの生徒が陣取るという逆扇形の配置となった。


 試合開始時、外野には人が配置されていない。

 後衛に置いた生徒達へボールを届かせる為には、俺やリリンを超えていかなければならない訳だな。


『挟撃されない状況の内は、精鋭だけを前に出して点数を稼ぐ』

 ざっくり言ってしまえばこんな作戦の一手目は、おおよそスムーズに動き出し――?



「そんな小細工で、第九識天使を駆使して戦う俺の目が誤魔化せるはずねぇだろ。リリンサ」

「そう?ならば行動で示して」


「狙撃手の目の前で標的を手放すのは、悪手だぜ」



 だが、そんな腹ペコ大魔王策謀はセブンジードに見抜かれていたらしい。


 リリンが動き出すと当時にセブンジードは銃口を空へと向けた。

 だが視線は黒餡チームの動静を捉えており、一切ボールを見ていない。


 これはもしかして、セブンジードはチームメイト全員と第九識天使で視野共有をしているのか?

 僅かにも揺るがない銃口は、空へ上がって行くボールを完全に捉えている。

 直ぐに撃たないのは、ボールがリリンから離れるのを待っているから……?


 そして、ゲロ鳥ボールが数十mの上昇を終えた瞬間、セブンジードが引き金を引いた。



「《魔弾・水葬波アクアデブリィ》」

「あなたはボールを手放すのは悪手だと言った。それは正しいと私も思う」



 バレーボー……ドッチボールが始まって5秒、セブンジードが放った弾丸がボールに直撃。

 空中で炸裂した水がキラキラと舞い、そこにボールの残骸は――残されていない。



「ちっ、そう簡単じゃねぇか!」

「《空間認識転移テレポスフィア》イースクリム、パス!」


「任せてくれ!うおおおおおおお!!」



 セブンジードはボールを場外へ押し流すことで、習得を狙ったんだろう。

 だが、既にリリンはそのボールに罠を仕掛けていた。


 空高く飛んだゲロ鳥ボール。

 逆光な上に羽毛模様で凄く見づらいが、そこには転移の魔法陣が張りついていたのだ。



「おい。魔法は半数を切るまで使わないんじゃなかったのか?……流石は大魔王。やる事が汚い」

「約束したのは攻撃魔法を使わない事。空間認識転移は攻撃魔法ではない!」


「そういう屁理屈が汚ねぇって言ってんだよッ!!総員、防御陣形を取れ!」



 水葬波を回避したボールは、既にバッファで強化済みなイースクリムの手の中に転移した。

 そして、イースクリムは後衛から一気に最前列へと駆け抜け、ボールに運動エネルギーを蓄えていく。


 最前列に配置されるのは、俺一人だけではない。

 剣士として十分すぎる身体能力を持っているイースクリムは、俺の相棒たる攻撃役となったのだ。



「歯を食い縛れナインアリアッ!!」

「えっ、自分であります!?」


「と見せかけて死ねバルバロアッ!!」

「なにィィッ!?!?」



 カルーアさんの作戦その一。

『狙っている相手の名前を宣言する事で動揺させ、動きを鈍らせる』


 そんでもって腹ペコ大魔王さんの暗黒策謀その一。

『ナインアリアがフォローに入ると厄介。

 だから、攻撃する際は必ずナインアリアを呼んで撹乱、周囲と連携させないようにする!』


 ナインアリアさんは、総指揮官と肉弾戦を繰り広げた化物だというイメージが付いた。

 それなのに、普通の学生のイースクリムが狙っても返り討ちにされると周囲は思うはずだ。


 結果的に、ナインアリアさんは自分の防御を優先し、周囲の生徒は静観を選ぶ。

 そして、真の標的のバルバロアは……。



「うおぉ!?!?……ふんっ!」



 ……マジかよ。

 バルバロアの癖に、イースクリムが全力で投げたボールを片腕で受け止めやがった。

 って、イースクリムにはリリンがバッファを掛けてるんだが!?

 まさか、お前は強キャラだったのかッ!?



「これだから平民は愚かなのだ。剣を持ったお前は私と張り合える。だが、剣士がボールを投げた所で屈強な紳士に叶うはずがあるまい」

「お前のどこが紳士だよ。このむっつりが」


「何の話だ?」

「……まるでゴリラみたいなむっつり体格だと思ってな。お前ってかなり脳筋だし」


「のうきん……?それはそうだろう。優秀な能力は屈強な肉体があればこそ。お前の細い体で何ができるというのだ」

「そうだな。俺の細い体でも辞書くらいは引けるぞ」



 つい勢いで写真帳を見たのを暴露しそうになったイースクリムは、白餡チームの女性陣から発せられた凍てつく眼差しを受けて委縮。

 軽やかに話題をすり替え、バルバロアを翻弄している。


 ……ところでさ、ボールと一緒に暴言を投げつけ合うなよ。

 貴族とか平民とか以前に、人間として仲が悪すぎるだろ。



「良くやった、バルバロア。ボールを俺に寄越せ」

「はっ、どうぞ!!」



 憧れの軍団長から褒められたバルバロアは嬉しげに跪き、ボールを差し出した。

 それを無言で受け取ったセブンジードはニヤリと顔を歪め、無造作にボールを振り上げる。


 ……敵の俺が言うのも何だけどさ。気を付けろ、バルバロア。

 そのセブンジードの尻には、ぶにょんぶにょんきしゃーが付いていない。



「……へ?」

「バッカお前、それは俺じゃねぇ!!」


「うぼあっ!」

「あら、さっそく1アウト貰っちゃったわ」



 バルバロアをボールで殴った『何者か』がカルーアさんの声で喋り、ボールを俺達の陣地に投げ返した。

 そして役目を終えた何者かは液体へ戻り、地面に染み込んで消えてゆく。


 訓練前に考えていた作戦が完璧な形で成功し、バルバロアが最初の犠牲者となった。

 うん、ほんと敵の俺が言うのも何だが……酷過ぎんだろ。


 リリンが最初に注目を集めたのは、陣形を整える為だけじゃない。

 疎かになった敵陣の足元に、カルーアさんの水魔法『水の虚像(アクアドール)』を撃ち込む隙を作る為だったのだ。



「おい!それはルール違反じゃねぇのか、カルーア!!攻撃魔法はボールを介して発動するルールだろうが!!」

「あら。水の虚像はまったく攻撃力を持たない魔法であり、攻撃魔法とは呼べないわよ」


「事実として攻撃しやがっただろッ!?さっきから屁理屈ばっかりごねやがってッッッ!!!!」



 確かに、水の虚像は姿を真似るだけの魔法だ。

 だが、カルーアさんはこの魔法に『ボールでバルバロアを殴ってから投げ返せ』という命令式を付与。

 もともと囮にしか使えなかったこの魔法は、腹ペコ大魔王の入れ知恵によって魔改造されている。



「きゃー、情報戦で負けたチャラ男にイチャもんを付けられたわ、リリンサ様!」

「アレはチャラ男の遠吠え。気にしなくて良い!」

「てめぇら。さっきから言わせておけば、好き放題に言いやがって……」



 あ、セブンジードがキレそう。

 うん、これはキレてもしょうがない。仲間の俺ですら酷過ぎると思ってるし。


 だがたぶん、リリンは愉快犯的に行っているんじゃない……と思うが、そうだといいなぁっと希望的観測を言ってみたり?

 おそらく『愉快犯7』:『確信犯3』くらいの割合だな。

 ……満場一致で大魔王じゃねぇか。



「昔から『勝てば言いたい放題、負ければ遺体か包帯』という格言がある!」

「聞いた事ねぇぞ、そんな酷い格言ッ!!俺は諜報部隊の人間なのに!!」


「要するに、勝つ為には、如何にして相手を出し抜くかが重要だということ」

「はぁ……?」


「聞いて、セブンジード」



 僅かに声を荒げて、リリンがセブンジードの目を見た。

 どうやら本当に確信犯――自分の信念を相手に伝えるべく起こした犯行だったようだ。

 それに心当たりがある俺や、ただならぬ雰囲気を感じ取った生徒達も残らずリリンへ視線を向けた。



「これは私の実体験。セフィナの生存を知り動揺した私は、本来の戦い方がまるで出来なかった。今ここに立っているのもユニクに助けられたからであり、私自身は完全に敗北していた」

「そういやそんな話だったか。負けることぐらいあんだろ……とは言わねぇ。俺は命を掛ける軍人だからな」


「明日から行われる大規模侵攻、その敵はワルラーヴァーと名乗った人外の超越者。しかも策謀が得意な指導聖母を束ねている」



 いやいや、ワルラーヴァーとは名乗ってない。正しくはラルラーヴァーな。

 すごくシリアスなムードなのに、いきなり悪い幼虫(ワルラーヴァー)とか言わないでくれ。

 こんな雰囲気で吹き出したら不謹慎になるだろ!



「敵はとても狡猾であり手段を選ばない。だから、大切な人が敵として現れるかもしれないし、一秒前まで仲間だと思っていた人が敵になるかもしれない。そういう可能性を常に忘れないで欲しい」

「ルールがあるからと……いや違うな。決められたルールの中に、自分の常識を混ぜるなって事か」


「そう。ギリギリグレーゾーンを攻めるのなんて当たり前。なんなら黒い策謀の上に白い法衣を被せて灰色にしても良い!」



 ……その発想自体が真っ黒すぎるだろ。

 後半とか、どう聞いても大魔王な超理論だし。

 まぁ、これを唱えた指導聖母・悪辣のまとめ役が敵な訳だし、確かに何をされるか分かったもんじゃねぇとは思う。



「はぁ……確かそいつらは、陛下達を出し抜いたって話だったな」

「私はあなた達を失いたくない。どんな状況でも生き残らせるために訓練を付けている」


「なるほどな。言いたい事は分かったぜ。なら、今度は俺が本音を語る番だな」



 ん?なんか雲行きが怪しくなってきたぞ?

 セブンジードは見るからに肩を竦め、やれやれといった感じで脱力した。


 一瞬にして雰囲気をチャラ男へと変換し、周囲の生徒も釣られて脱力する。

 あ。逆に尻のぶにょんぶにょんきしゃーが活発に動き出した。


 なんだ?

 もしや、魔力を高めている……のか?



「俺は諜報や情報収拾を担う部隊の軍団長であり、一発の弾丸が秘めている情報の価値を知っているわけだな」

「ん……?何が言いたいの?」


「真っ当に。……真っ当に戦おうと思ったんだよ。それこそ手本になる様な教本めいた戦術を使い、規律やルールも順守し、これこそ軍人の鏡であるとなるような、クソ真面目な戦いを目指していた」

「さっきの私の話は、そういうのはダメって意味だったんだけど?」


「だから負けた訳だ。闘技場でも色んな切り札を使ったとはいえ、戦術自体は真っ当だった。『セブンジードはこうあるべきだ』っつう周囲の勝手な妄想から外れちゃいない」

「……?」


「軍団将たちの横で腰巾着して、終末の鈴の音でナンバー4だなんつう心地いい肩書きを与えられて。それも陛下の策謀だと気が付いていたが受け入れていたが、そんなの本来の俺じゃねぇ」

「セブンジード、あなた、何を言ってるのよ……?」



 いきなりの独白に、カルーアさんが疑問の声をあげた。

 魔弾のチャラ男。

 そう呼ばれ、いつも陽気に飄々としていた男の豹変に吃驚しているのかもしれない。



「カルーア、お前はレジェンダリアに来た後の俺しか知らねぇだろ。なぜ俺が『チャラ男』なのか、その意味を知らない」

「えっ……?それはテトラフィーア様に逆らったから着せられたって話じゃ……」


「それもあるがな。元々の俺は裏稼業の人間だ。エイトクロス家はフランベルジュ国に巣食った裏組織の幹部。ガキだった俺はちゃらいチンピラ集団の元締めでな」

「えっ。」


「陛下を大魔王とするなら、俺はまさに小悪党。お行儀よく軍で飼われているようなのは、本来の俺じゃねぇんだよ」



 セブンジードは小悪党か。

 この話題はだいぶ闇が深そうだな。

 もしかしたら、セブンジードがレジェリクエ女王に逆らえないのは、何らかの負い目があるからなのかもしれない。



「さてと……、ここには俺達しかいねぇよな。どっかで陛下は見てるだろうが、バレてるから別にいい」

「な、なによ……?」


「本気出すっつぅ話だよ。……お前らは『魔弾のチャラ男』を舐めすぎだ」



 その言葉を終えた瞬間、セブンジードから叩きつけるような覇気が放たれた。

 ギンほどではないが、俺が出会てきた普通の冒険者と比べれば圧倒的。

 そして、思わず身構えてしまった俺はグラムを召喚し――。



「やべぇ、そこの人、ボールから手を離せッ!」

「遅ぇよ。《魔弾四連装カルテットバレル認識空間転移テレポスフィア第九識天使ケルヴィム戦線の身取り図(マッピング)雷光槍サンダースピア―》」



 唐突に銃を構え直したセブンジードが、四発の弾丸を撃ち放った。


 一発目の弾丸が射出口を飛び出した瞬間に弾け、転移の魔法陣を生成。

 それに続いた弾丸が魔法陣に吸い込まれて消失し、俺の後方で炸裂音が響く。


 カルーアさんの水の虚像が投げ返したボールは俺の陣地を転がり、後衛まで進んでいた。

 当然、勢いが無くなったボールは回収されて、次の指示が来るまで後衛の生徒が保持する事になっている。


 セブンジードから放たれ転移した3発の弾丸、その内の二発は地面へと突き刺さった。

 穿たれた銃痕を中心として魔法陣が出現し、すぐに地面に溶け込んで消えてゆく。


 そして、残った1発の雷光槍を宿した弾丸は、ボールを所持していた生徒の目の前に出現。

 前で抱えていたボールを弾き飛ばし、そのまま生徒の胸を撃ち抜いた。



「ちょっと!?生徒が怪我したらどうすんのよ!!」

「ボケてんのか、カルーア。お前の第九守護天使は雷光槍じゃ抜けねぇだろ。衝撃で気絶してるだけだ」


「そうだけど……。なんか、今のあんた怖いわよ」

「問答は終わりだ。バルバロア、ボールを持ってこい」



 雷光槍によって弾かれたボールは外野へ飛び出している。

 そして外野に居るのがバルバロア。

 カルーアさんによってアウトになったコイツは粛々とボールを回収しており、今度はしっかりと本物がどうか確認してから投げ渡した。



「リリンサ、さっきの挑発は面白かった。こうやってボールをぽーんと投げる奴な」

「……ボールを手放すのは悪手。そういったのは貴方だったと思う」



 セブンジードはリリンがやった様にボールを真上に向かって投げ、平然と笑っている。

 これはどう見ても意趣返しであり、リリンへの挑戦状だ。


 その意図を理解したリリンは素早く空へと駆け昇り、ボール奪取を狙った。

 接近してから何らかの魔法で掠め取るつもりなんだろう。



「閉じ込めてしまえば落ちて行かない!《失楽園を覆う(ディスピアガーデン)》」

「《魔弾・螺旋状火山弾(スパイラルバレット)》……おっと悪いな。間に割り込むもんだから、つい壊しちまったぜ」


「なっ!《幽玄の衝盾(クリアフィルム)!》」

「防御魔法を使用した瞬間、人は僅かに反応が鈍る。もうボールには届かない」



 セブンジードはリリンが何らかの魔法を使う事を見越し、攻撃魔法を放っていた。

 ボールを介さないで直接攻撃をするのはルール違反。

 だが、あくまでもボールを狙った結果、その影響が周囲に出るのは……?


 螺旋火山弾は失楽園を覆うに激突し、そして、その破片を周囲にばら撒いた。

 高速で飛んできた岩石から身を守ったリリンはバランスを崩し、ボールが落ちて行くのを見ているしかない。


 リリンが言ったグレーゾーン。

 それを正しく理解し実行したセブンジードの視線とボールが交差し――。



「《大規模人魔導(パーソナルソーサリィ)硫黄と水銀の硝煙弾雨バーミリオンフィールド》」



 突き出した銃口の1mm先にあるボールへ、魔弾が撃ち込まれた。


 だが、ボールに見掛け上の変化がない。

 ……しいて言うなら、カルーアさんから血の気が引き、そして……僅かに唇を上ずらせて叫ぶ。



「全員、にげッ――!!」

「どこに逃げんだよ。俺は『魔弾』だぞ」



 落ちてゆくボール。

 その先端が地面に付こうとした刹那、セブンジードが俺達の陣地に向かってボールを蹴り込んだ。


 バレーの次はサッカーかよ!?

 そんな馬鹿なツッコミも、すでに口に出す余裕はない。



「ちっ!」

「《魔弾二連装・認識空間転移テレポスフィア巻き上がる稲妻(サンダ―ストーム)》」



 蹴り込まれたボールが空間転移し、俺達の上空で浮遊している。

 そして、放たれた50発の巻きあがる稲妻は、恐るべきことに棒立ちな生徒へと向かっていた。



「えっ、ま――」

「これって――」

「は―――――」



 次々と生徒が巻き上がる稲妻に撃ち抜かれ、天へと昇って行く。

 その先にあるのはボールであり、稲妻に絡め取られた生徒は成す術もなく激突……。



「《幽玄の衝盾(クリアフィルム)!》」



 空で振り返ったリリンが防御魔法を発動し、巻き上がる稲妻の中から生徒を弾き飛ばした。


 ……だが、救えたのは1人だけだ。

 リリンの対応ですら間に合わず、4人もの生徒がボールに激突しアウト。

 さっきの一撃も含めるとアウトは5人。

 チームの半数を失った俺達は一気に窮地へと立たされた。



「むぅ、やってくれたね」

「くっくっく、悪いなリリンサ。ボールに攻撃魔法を付与したかったんだが、進路上にあったもん(・・・・・・・・・)まで巻きこんじまったみたいだ」



 ……あ、完全に闇落ちしてるな。このチャラ男。

 自分では小悪党とか言ってやがったが、充分に大魔王な顔してるぞ。


 つーか、ボール()()当てるんじゃねぇよッッ!!

 さてはお前ら、ドッチボールをする気がねぇだろッッ!!

~お知らせ~

7月22日午後7時15分、アウトになった人数を変更しました。


修正前)8人巻き込まれて、5人アウト


修正後)5人巻き込まれて、4人アウト。

最初に1人アウトになっているので、合計5人アウト。




というか前のだと、ユニク、リリン、カルーア、イースクリムを含めると12人になっとる……。

増える生徒とか、学校の七不思議か何かですか?(真顔)

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