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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第9章「想望の運命掌握」

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第58話「大魔王学院・二時間目、魔王の魔法」

「リリンサ、準備はいいかしら?」

「もちろんいい。あなたは?」


「あら、天才だと称される分隊長の私に、何の準備が必要になるのかしら?」

「負け惜しみを言う準備!」



 バチバチバチと視線で火柱を発生させながら、リリンとカルーアさんが睨み合っている。


 二人はそれぞれの弟子に魔法を覚えさせ、戦いの準備を終えた。

 そしてどちらともなく近づいていき、こうして開戦の口上を述べあっているのだ。


 ……うん、なんかもう不安しか無い。



「リリンがヤル気に満ちている……。ほんともう、どうしてこうなった?カルーアさんの魔法技術も凄そうだし」

「かなり凄いでありますよ。分隊長の中でも、カルーアさんの魔法技術はトップクラスであります!」



 思わず呟いてしまった俺の言葉に、戻ってきたナインアリアさんが反応してくれた。

 さっき教室を飛び出してから約20分。

 どうやら外で激戦を繰り広げて来たようで、着ている軍服の袖が大きく裂けている。


 ……って、何と戦ってきやがったッ!?



「ナインアリアさん、一つ聞きたい事があるんだが?」

「何であります?」


「うちの大魔王さんは、一体何を生み出したんだ?」

「そーでありますねー。しいていうなら……混沌であります!!」



 この場が混沌と化しているのは百も承知なんだよッ!!

 聞きたいのは、明らかにぶにょんぶにょんしていた『赤黒い何か』の正体だッ!!


 俺の知っているぶにょんぶにょんきしゃーは、もっと大きくて殺伐としていた。

 強大な掘削機から触手が生えているような構造で、小さい物でも5mは余裕で超えていたはずだ。

 だが、さっき廊下に飛び出していった謎の物体の大きさは30cmも無かった。


 事前に聞いていなければ、同じ物だとは到底思えない。



「もう一度聞くぞ?何あの赤黒い物体?」

「ぶにょんぶにょんきしゃーであります」


「……何がどうしたらアレになるんだよ?」

「……。自分にも、さっぱり分からないであります!」



 さっぱり分からないのかよッ!?

 イースクリム達と一緒に大魔王授業を受けてただろうが!?



「まだ学校の授業をあんまり受けて無い自分には難しすぎて、黒板を写すので精一杯だったであります……。後でテトラちゃんに教えて貰うであります」

「そうか。まだ授業をあんまり受けて無いんじゃ、しょうがないよな」



 無難に肯定してみたが、その理屈はどうなんだろう?

 ナインアリアさんのレベルは6万を超えている。

 当然、それに準ずるだけの知識と経験がある訳だが、そんな彼女がまったく理解できない魔法技術ってどんなんだよ。



「サティちゃんとイースクリムはちゃんと理解出来たっぽいであります。二人とも発動させたでありますから」

「……。ちょっと話を聞いてみるか」



 疑いたくはないが、本当に理解できてんのか?

 だってサーティーズさんは茫然自失って感じだし、イースクリムに関しちゃ……ひぃ!こっちを向いたんだけどッ!!


 恐る恐る近づいていた俺を視線で捉えたイースクリムは、表現しがたい感じの動きで走り寄って来た。

 大魔王の調教に心が耐えきれず、人間性を失ってしまったのかもしれない。



「ユニクルフィン!」

「あ。喋った。まだ言語能力は失われてなかったらしい」


「なんだあのリリンサの魔法技術はっ!?明らかに剣士じゃないんだがっ!!」



 最初から魔導師だって言ってるだろうがッ!!

 リリンは、俺やホロビノとじゃれ合う時に剣を使うだけの、純粋無垢な魔導師だぞッ!!


 ……。

 …………。

 ………………訂正。

 リリンは純粋無慈悲な大魔王さんだ。

 純粋な魔導師は、尻尾からレーザービームを出さない。



「どういうことだよ!?アレじゃ剣士じゃなくて魔導師だろ!」

「おう、やっと気が付いたか。リリンの職業は……魔導師、兼、大魔王だッ!!」



 なんかもう二時間目にして正体がバレそうなので、布石を打っておく。

 魔導書の山(あんなもん)を召還されちゃ、言い訳できん。



「そんで、イースクリムはリリンの魔法を理解出来たのか?発動は出来たって聞いたが」

「いや、ほんの上辺だけだ。だからこそ、リリンサの魔法技術が凄過ぎるという話になる」


「どういう事だ?」

「なんとなくそうなんだろうな?程度の認識しか持っていないのに、ランク9の魔法を発動出来てしまった。こんな言い方をすれば分かるか?」



 イースクリムの話によると、魔法を覚える為には深い知識を必要とするか、それを補う為の魔道具が必要になるものらしい。

 カルーアさんが使用した方法は後者であり、実際にバルバロアもランク8の魔法の発動に成功している。


 だが、リリンはこの短時間で、魔道具を使用しない方法で魔法を習得させてしまった。

 だからこそ、今までの常識とのギャップにサーティーズさんは茫然としているんだとか?



「ユニクルフィン、これは革命なんだ。新たなる魔法の時代の幕開け、剣士とか魔導師とかどうでも良くなる程の」

「ははは、ちょっと大げさすぎじゃないか?」


「そんなこと無い。この国で魔法の第一人者たる親じ……」



 何かを言い掛けたイースクリムは慌てて口をつぐみ、視線を俺の後ろに向けた。

 何かあるのか?と思って振り返ると、そこに居たのは大魔王。


 1時間目よりも3割増しに眼をギラギラさせたリリンが、犠牲者第3号(イースクリム)を手招いている。

 あ、俺も呼ばれた。素直に従おう。



「サーティーズ、イースクリム。あの二人に格の違いを教える時が来た。本気出して」

「わ、分かりました……」

「おう、任せろ」



 完全に挙動不審になっているサーティーズさんも加わり、バルバロアを従えているカルーアさんと相対する。

 そして、平均的な不遜な顔でリリンが口火を切った。



「あなた達の魔法はさっき確認している。そこの机にでも発動するといい」

「へぇ、見てたのに先手を譲ってくれるのね。『鋼鉄の黒芙蓉(ダークニンフ)』は内部より外殻の方が堅いって知ってるのかしら?」


「知ってる。だからこそ外側を打ち破る事で、決定的な力量差を思い知らしめてあげる!」



 バルバロアが使用する鋼鉄の黒芙蓉は、物質を閉じ込める魔法だ。

 その本質は強度と防御力。

 だからこそ、ぶにょんぶにょんきしゃーを閉じ込めたりも出来るはずだが……、リリンは自らが不利な状況で勝負する事で、圧倒的魔王感を演出したいらしい。

 平均的なドヤ顔から察するに、総指揮官として、分隊長ごときに舐められたままではいけないと思っているっぽい。


 ……それはそうと。

 リリンが指定した机ってバルバロアのなんだな。

『傷一つ無い机』が、『傷しか無い机』にされたくないなら、ここで降伏するのもありだと思うぞ。

 なにせ、相手はランク9のぶにょんぶにょんきしゃーだからな!



「リリンサ。先程は不覚を取ったが……。私の真の実力を知れ!《鋼鉄の黒芙蓉!》」

「ん?」



 どうやら、俺の心の声は伝わってくれなかったらしい。

 バルバロアは金属のプレートを指で挟んで前に突き出し、カッコ良くポーズを決めながら魔法名と唱えた。


 なるほど、これが大魔王学院流の魔法詠唱か。

 ナインアリアさんの言うとおり、冒険者の常識では図れない何かがあるのかもしれない。



「ん……。なかなか上手だとは思う」



 バルバロアの鋼鉄の黒芙蓉が机を飲み込むように花弁を纏わり付かせ、完全に覆い隠した。

 ぱっと見た感じ隙間とかも無いし、初めて使ったとは思えない完成度だ。

 リリンもそこに驚いたようで、素直に称賛を口にしている。



「確かにこの魔法はかなりいい感じ。……でも、私達の敵ではない!」

「なんだと!?」


「サーティーズ、イースクリム、やっておしまい!」



 ……さっき誉めたのは、上げてから突き落としたいだけだったッ!!

 つーか、どんだけバルバロアを転がしたいんだよ!?


すみません、パソコンと僕の調子が悪いので短めです。

次話こそ必ず、ぶにょんぶにょんきしゃ-させます!!

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