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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第9章「想望の運命掌握」

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第42話「本気出す大魔王・冠と徽章」

「魔王の首冠となら、交換してあげても良い!」



 リリンがブローチの対価として要求したのは、まさかの魔王シリーズだった。

 大魔王陛下の頭上に輝く、黒金の王冠。

 その名も『魔王の首冠デモン・クラウンチョーカー』。


 改めてその王冠を見てみると、結構……いや、かなり禍々しいデザインをしている。

 女王様が被っているだけあって、形的にはティアラに近い。

 だが、真ん中に取り付けられた宝珠が悪魔の第三の眼のように輝き、俺を睨んでいらっしゃる。


 そういえば、ちょっと背筋がぞくぞくするだけで、本能に訴えかける恐怖を感じないな?

 魔王の脊椎尾も似たような感じだし、魔王シリーズの中でも周囲に振りまく恐怖に差があるようだ。



「んー、よりにも寄って魔王の首冠を欲しがるのねぇ。ちょっと困ったわぁ、他のティアラじゃダメ?」

「だめ」


「これはレーヴァテインに変わる新たな国王のシンボルにしようとしているのよぉ。国民もそういう認識をしているしぃ」

「だめ。魔王の首冠以外なら交換しない!」



 なるほど、ローレライさんがレーヴァテインを持って行ったから、国王の証が無くなっちゃったのか。

 それに困った大魔王陛下は『魔王の首冠(魔王と名のついた王冠)』に目を付けて、国宝剣の代わりにしようとしていたと。


 正直な所、俺的にはこれ以上リリンが魔王化するのを阻止したい。

 理由は単純明快。俺の命が危険にさらされるからだ。

 だが、リリンの気持ちを考慮すると、ダメだと言えないんだよなぁ。


 ブローチの価値を知る前には既に、リリンは喜んでくれていた。

 なら、『ユニクルフィンからのプレゼント』という所に価値を見いだしていた事になる。

 理由があるとはいえ、一度あげたプレゼントを取り上げてしまう訳だし、リリンが納得するのが一番優先すべき事だな。


 よし。リリンの気持ちに従いつつ、あとは運命に身を任せるとしよう。

 目の前に座っている大魔王さんは『運命掌握』なんて名乗っているのが気になるが……まぁ、なんとかなるだろ!



「ちなみにぃ、なんでこれが欲しいのぉ?魔王シリーズに拘るのはどうしてぇ?」

「7つ集めて巨大ロボットに合体させる!」


「……はい?」

「魔王シリーズは7つ集めると合体して巨大ロボになる!!私はそれが欲しい!!」


「……。ゆにくぅ、ちょっと意味が分からないから翻訳してくれなぁい?」



 ……だろうな。


 俺の目の前に座る大魔王陛下とゲロ鳥大臣の二人共が、揃って首をかしげている。

 流石に頭脳明晰な大魔王陛下でも、カツテナイ・クソタヌキが機神を召喚するとは思うまい。

 つーか、そんな超展開を予想できる奴がいたら、ソイツはたぶん神だと思う。



「正直に話しても、理解される気がしないんだけど……?」

「大丈夫よぉ。リリンが絡んでいる以上、並大抵の事では驚かないわぁ」

「そうですわ。リリンサ様ならなんでもありですもの」


「……カツテナイ・クソタヌキが、巨大ロボを召喚した」

「……。」

「……。」


「そのクソタヌキは『タヌキ帝王・ソドム』っていう眷皇種でな。腕試しのつもりで戦いを挑んだら、伝説の魔導巨人を召喚して乗り込みやがった。6mくらいのデカイロボだ」

「タヌキがロボを出したのねぇ。……正気なの?」



 大魔王陛下に真顔で心配されたんだが?

 だが、悲しい事にこれは俺の妄想なんかじゃない。事実だ。


 それから、リリンと代わる代わるクソタヌキ戦の話を大魔王陛下達に聞かせた。

 ラルラーヴァーとは関係ないから話していなかったが、せっかくなので俺達がどのくらい絶望したのかを克明に語っておく。


 大魔王陛下は俺達がパワーアップした事をリリンから聞いていたようだが、そのルーツがクソタヌキにあるとは知らなかったらしい。

 最初は訝しげだった二人の眼も話が進むにつれて段々と輝きだし、ワルトと共に連携をしてエゼキエルの右腕を落とすシーンは大変に好評。


 特にゲロ鳥大臣の喜びようは凄まじく『あとで本にして売り出しますわ!』と、とても気に入ったらしい。



「そんな訳で、私はエゼキエルが欲しい!」

「余も欲しいわぁ。100機くらい欲しいぃ!」

「……そんな大戦力で何をするつもりだ?」


「そう言えば、この話はワルトナから聞いていないの?」

「聞いてないわぁ。もぅ、ワルトナには苦情を言った方がよさそうねぇ。そんな面白そうな話を何で黙ってるのぉ!ってぇ」



 苦情を言う前に、助けるのが先だと思うんだが?

 いや、ブローチの存在を知った今、大魔王陛下の頭の中では助けたって事になってるのか?



「という訳で、私は魔王シリーズを集めている!!全部揃えてカミナにお願いすれば、絶対にロボットにしてくれると思う!!」

「……そう言えば、カミナは行方不明だったわねぇ」


「行方不明と言っても、定期的に病院には帰ってるっぽい。だからそのうち連絡が取れるはず!!」

「ちなみに、病院へ何の為に戻ってるのかなぁ?工具を取りに帰ってるとかぁ?」


「そんな事をミナチルが言っていた気もする!」

「……なるほどねぇぇ。」



 なんか、大魔王陛下とゲロ鳥大臣が二人揃って納得しているんだが?


 うーん、なんで今の流れでカミナさんが出てきたのかが、さっぱり分からん。

 だが、二人とも確信に満ちた表情で向き合い、お互いに笑顔を向け有っている。



「陛下、これはもしや?」

「間違いないなく、一枚噛んでるでしょうねぇ」


「ですから、あんなものを設計出来たと……?」

「アレは元々、考案はしてたんでしょうけど……、ふふ」



 一枚噛んでる?

 それってもしかして、カミナさんがカツテナイ機神に関わってるって事か?

 いやいや……そんな馬鹿な。



「……戦争、勝ちましたわね」

「もはや、戦争と呼ぶのは相応しくないと思うわぁ。いじめよ、いじめ」



 ついにこの大魔王ども、戦争じゃなく『いじめ』とか言い出しやがった。


 なぁ、元気にしてるか?ロイ。

 まだ元気でいたいなら、逃げた方が良さそうだぞ。



「ブローチ、無くても問題なさそうですわね」

「まぁ、有るに越したことは無いわぁ。ということで、リリン。魔王の首冠と交換してくれるかしらぁ?」


「……ユニク、交換しても良い?」



 今までの話を一緒に聞いていたとはいえ、リリンは俺の同意なしにブローチを交換するつもりは無いらしい。

「ダメならダメだとハッキリ言って欲しい!」と俺に視線を向け、無言の圧力をかけてくる。



「まぁ、俺としては初めてのプレゼントを他人に譲渡されるのは寂しいかな」

「……!交渉は決裂し――」


「だけど、そのブローチでセフィナを無傷で取り返せるなら安いもんだろ。もちろん約束してくれるよな?大魔王陛下」

「当然よぉ。絶対に無傷でセフィナをリリンの元に帰すわぁ」



 これでいいはずだ。

 ブローチにどんな価値があろうとも、人の命には代えられない。

 ましてや、リリンの大切な妹のセフィナと交換だと思えば、これ以外の選択肢は無いしな!


 ……。

 間違ってないはずだが、俺が纏ってる第九守護天使にヒビが入ったな。

 リリンのボディーブローによって。



「むぅ、ユニクが同意したのなら文句は無い。むぅ、むぅ」

「納得できてなさそうねぇ。じゃあこうしましょう。全部終わったら、このブローチを返してあげても良いわよぉ」


「ん、ホント!?」

「本当よぉ。もちろんその時は魔王の首冠は返して貰うけどぉ、カミナがカツテナキ機神を創り上げてからでいいわぁ」


「ありがと!でも、国を管理するのに必要じゃないの?」

「どういたしましてぇ。たぶん今のカミナならブローチの複製を作れるはず。それとすり替えるから問題ないわぁ」



 カミナさんなら複製を作れる?

 リリンが一度ブローチを見せた時に、魔法陣の効果が読めないって言われたらしいんだが?


 不思議に思って質問してみると、大魔王陛下はふふふと不敵に笑って話を濁してきた。

 何か知ってるっぽいが……まぁ、その内分かるだろ。



「じゃあブローチを渡す。言わなくても分かると思うけど、大切に扱って欲しい!!」

「勿論よぉ。ふふ、ロゥ姉様……」



 リリンからブローチを手渡された大魔王陛下は、うっとりとした表情を浮かべて笑っている。

 さっきまでの悪意と策謀に塗れた表情はどこえやら。

 年相応よりもだいぶ幼く見える顔は、心の底から嬉しそうだ。



「さて、これから余とテトラは侵略会議をしなくちゃならないわぁ。そろそろ話の纏めをしましょうか」

「ちょ、陛下。私、今夜はユニフィン様とお話をしたく……」


「却下よぉ」

「……はい」



 大魔王陛下からも魔王の首冠を受け取り、無事に交換が終了した。

 あと話しておくべきなのは、これからどうやってセフィナとワルトとメナファスを奪還するのか、だな。


 ブローチがあるとはいえ、その威光を翳すにはブルファム王国の王宮に辿りつく必要がある。

 そして、そこに至るまでには様々な障害があるらしい。


 白い敵こと、ラルラーヴァー。

 セフィナとメナファス。

 他の指導聖母に、謎の三つの勢力『自律神話教オルオゴール』『フォスディア家』『シルバーフォックス社』。

 俺の祖父が率いているっぽい『自称・英雄見習い集団』

 それに『鏡銀騎士団』。

 あとおまけにロイとピエロドラゴンもいたっけな。


 それに対してこっちの戦力は……。

 大魔王が2名にゲロ鳥大臣と怪人ゲロ鳥男。

 更に、タヌキ系美少女とツンだけ殺意メイド、魔弾のチャラ男に隠れた強キャラのナインアリアさん。

 あとは……ジルバジラスさんと、焼き鳥屋のおっちゃんくらいか?


 ……なんか不安になったな。

 裏切りドラゴンとぐるぐるフェニックスも、できれば連れて行きたい。



「なぁ、大魔王陛下。ブローチがあれば戦争に勝てるんだよな?」

「もちろんよぉ。もともと戦闘力的な意味では、こちらが優勢だと余は見ているわぁ」


「そうなのか?何か根拠があるなら教えてくれ」



 まさか当てずっぽうで言ってる訳じゃないと思うが、根拠があるなら聞いておきたい。

 こういう時、リリンは勘で行動するからな。

 その勘が正解だから良いものの、流石に他人の命を賭ける戦争でそれは避けたい。



「あぁ、そう言えば余が持ってる神の因子(アーティファクト)について話してなかったわねぇ」

「神の因子?それって確か……」



 それは、俺の母さんと俺に深く関わっているらしい、神の与えし力。

 天才と称される程の優れた技能はもちろん、人間離れした芸当ができる人は必ず何かしらの神の因子を持っているとされている。


 そういえば、大魔王陛下とゲロ鳥大臣も神の因子を持ってるって話だったっけ?

 この話は俺にとっても気になる所だし、しっかり聞いた方が良さそうだ。


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