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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第9章「想望の運命掌握」

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第40話「本気を出す大魔王陛下・補足する舞台」

「というかそもそも、500名の高官が粛清されたのは正史とされており、戸籍上も死亡者扱いされていますわ」



 当事者として見てきた大魔王陛下は、ローレライさんに粛清された人は全て生き返っていると言った。

 だが、ゲロ鳥大臣が言うには、その人達は死亡届が受理されており、しっかりと死んでいるらしい。


 ……どういうことだ?

 さっきの感じだと、チュインガム元国王が改心して大魔王陛下に忠誠を尽くすって流れになると思うんだが?



「もぉー、テトラならぁ、なんとなく気が付いてるでしょぉ」

「……なんとなくで済まして良い問題じゃありませんわよ。というか、知らずに踊っていた私が馬鹿みたいですわー」


「あはぁ、テトラもまだまだ経験が足りないって事ねぇ」

「陛下はご存じないかもしれませんが、首を跳ねられた人間って、普通は生き返りませんのよー」



 そうだな、首を撥ねられたら死ぬよな。

 というか、体のどこを撥ね飛ばされても大体死ぬだろ。

 元気なのは、尻尾を撥ね飛ばされたクソタヌキぐらいなもんだ。


 ゲロ鳥大臣は、その後に起こった事の見当が付いているらしい。

 だが、信じられない……というか、信じたくないといった態度で、大魔王陛下に詰め寄っている。

 このまま放っておくと、大魔王VSゲロ鳥になりそうだし、巻き添えを喰らう前にフォローに入ろう。



「なぁ、そろそろ俺達にも分かるように説明してくれ。結局、チュインガム元国王は生きているのか?」

「そうねぇ……死んでぇ、生き返ってぇ、転生したわねぇ」


「……はい?」

「ロゥ姉様が行った粛清。それは確かに500名の命を殺し、それら全ては正しい処理……つまり、葬儀や戸籍停止も含めた事後処理は正常に行われたのぉ」


「だとすると、粛清した後に大魔王陛下と会うまで日数があったのか。で、しっかり戸籍上は死んでると」

「そういう事ぉ。でぇ、今更生きていましたぁとかすると大混乱になる訳ぇ」


「……確かに」

「だからロゥ姉様はチュインガムに『レジィを法学的に女王の地位につかせ、臣民どもを掌握して見せろ』って命令したのよぉ。要約すると『お前らが生きてるとレジィが法学的に王位に就けないから、どうにかしろ』って事ねぇ」



 ってことは、もう一回死んどけって事か?

 いや、死を取り消した事を表面化させるなって事であり、チュインガムはそれに奔走したと。

 そして、チュインガムを筆頭とする粛清された500名は闇に葬られたわけだ。


 めでたしめでた……どこがめでたしなんだよ。バットエンドじゃねぇかッ!!



「それじゃ、チュインガム元国達はどこに行ったんだ?流石に死んでない……だろ?」

「死んでないわよぉ。今もこの国に仕えてくれてるわぁ。ねぇ、テトラぁ?」



 訳が分からず大魔王陛下に問いかけたら、ゲロ鳥大臣へ話題をブン投げやがった。

 そしてゲロ鳥大臣は……うん、露骨に溜め息を吐きやがったな。

 どうやら思い当たる節がるらしい。



「そうですわねぇ。外務大臣の私と三権を分かつ内政大臣さんは、凄く有能なお方ですわねぇ」

「でしょぉ?国の内政でぇ彼よりも詳しい人は中々居ないわぁ」


「なのにその方、陛下が遠征をする時は必ず近衛兵に志願いたしますわね。というか、出自がまったく分からない闇の組織を同行させますわねぇ」

「彼の組織はとても素晴らしいわぁ。余が下した命令を絶対に実現させるのぉ。それも彼の人望と尊徳がなせる技ねぇ」


「仕事上、私も話をする事が多いですが……明らかに偽名を使っていますわよね、グオさん」

「本人が、『私の名など、愚男グオで充分です』て言ったのよぉ」


「ちなみに、私に自分の息子との婚姻を勧めてくるのは……?」

「地位は失ったけど、家族愛はまだあるみたいねぇ。一からやり直しになった家柄を少しでも向上させたいんだと思うわぁ」


「……あぁもう!!面倒な事この上ないですわーーーーッ!!!!」



 どうやら、王様一族と粛清された人たちは偽名を使って転生したらしい。


 レジェンダリア内政大臣『グオ・シュガーレス』。

『私はただの愚男ではない。主人の為に動く愚男だ。陛下が求める甘美な未来、その為に、我らは甘さを捨てねばならぬ』を座右の銘にしている忠臣であり、大魔王陛下も重用している重要人物。


 なんとこのグオさんはフランベルジュ国を攻め滅ぼした時に軍を率いた人物だそうで、リリンも面識があるそうだ。

 当時のレベルは78000。

 卓越した魔法技術で一騎当千の戦闘力を誇り、フランベルジュ軍を蹴散らしたそうだ。


 ……なのに愚男。

 それでいいのか、元国王。



「はぁ。グオさんはただならぬ方だとは思っておりましたが、まさか元国王とは恐れ入りましたわ」

「どこが恐れ入ったのぉ?何度、婚姻迫られようとも、こっぴどく振ったじゃない。元王子なのにねぇ」


「それは、ユニフィン様をお慕いしておりましたもの!」

「ほんと、ユニクルフィンって罪づくりな男よねぇ」


「ですわねー」

「ん、ユニクはあっちこっちで女の子と仲良くなっている!!それは許容できないと思う!!」



 ちょっと待って!?

 嫌な流れが再び起こりそうなんだけど!?

 つーか俺を虐げるのも大概にしろよ、この大魔王どもめッ!!



「ちなみにさ、ローレライさんが殺したっていう15万人の兵ってどうなったんだ?流石に隠し通せないだろ?」

「あぁ、そっちは新しい国、というか植民地化して管理しているわぁ」



 とりあえず話題をすり替える為に、気になっていた事を質問してみた。

 で、植民地とか出てきたんだが?

 ほんと人を管理する手段が豊富だな、この国。



「植民地とか急に物騒になったな、おい」

「ロゥ姉様が最初に取り組むと決めていた政策は、食糧事情の改善だったのよ。それに宛がうのに15万人という人員は丁度良かったのぉ。『死んだように働け、なははははー』と洗脳された彼らは何も無い荒野をたったの半年で農園に変えたわぁ」


「ん?なははははー?」

「今は菜食統治領ヴェジタネイションとして、隷属連邦の台所事情の一切を担う一大産地になってるのぉ」



 なるほど、15万人の生存を隠せないのなら、新しい領地として運営してしまえばいいと。

 どうやったのかは知らないが、15万人の兵を隠したローレライさんは、その地で作物を作り続けろと洗脳した。

 そして、その地に出入りするのは、内情を知っている極少数。

 更に、500人の臣民の大半も移住させれば、擬似的な新しい国になる訳だ。


 粛清されたのは国家の運営をしていた人物達だし、国民は全員が体を鍛えた兵士。

 領地を名乗るのに十分な力があり、徹底した入国管理と外交、それにほんのちょっとの洗脳魔法があれば問題ないだろう。


 こうして食糧事情が豊かになったレジェンダリアは、大陸制覇に向けて進軍する事になる訳だ。

 ……それにしても、『なははははー』か。



「あれぇ?まだ納得できない事があるのぉ、ユニクルフィン?」

「いや、それ程の事でもないんだが……。ちょっと俺が姉の様に慕っていた人を思い出してな」


「ん?そんな人がいるのぉ?」

「あぁ、レラさんって言ってな。あの人も笑う時は『なははははー!』って明るく笑うんだよ。もしかしたら、レジェンダリア出身なのかもって思ってな」


「……。ちょっといいかしら?確か、ユニクルフィンがいた村には、ホーライのパチモンが居たって話だったわよね?」



 おう、いるぞ。

 あんの腹の立つ村長ホウライは、妖怪じみた動きで俺をおちょくってくる。

 ホーライ本人だとは到底思えない(・・・・・・)が、外見的にも一致するし、大変にクオリティの高い影武者だ。



「よく知ってるな。リリンに聞いたのか?」

「そうよ。で、リリン越しだと情報が歪んでいる可能性があるから直接話を聞きたいの。教えてくれるかしら?」


「何だよ、急に真面目になって。大した情報なんてないぞ?」



 いきなり居住まいを正した大魔王陛下は、真剣な眼差しで俺のスローライフを聞いてきた。

 正直、さっきの壮絶な話に比べると盛り上がりに欠ける話なんだが……。


 それでも、俺はいかに薪を効率よく割るのかを熱く語り、時々、村長やレラさんとの思い出を話した。

 うん、別に隠すような事じゃないから別にいいんだが……大魔王陛下が取り出した大量の録音機材はなんなんだよ。



「そう、穏やかに暮らしていたのね……」

「あぁ、すげぇ穏やかだったぞ。タヌキに勝てないくらいに」



 ……そういえば、今もタヌキに勝ててないな。

 アヴァロンとは模擬戦を何度かしたか、命をかけた攻防はしていない。


 俺がタヌキに対して憤りを感じている間、なぜか大魔王陛下はしんみりした空気感を出していた。

 もしかしたら、俺の寂しい青春を慮って悲しくなってしまったのかもしれない。

 自分でも寂しい青春時代だって思うし、その後は暗黒魔王時代に突入した。



「ねぇ、ユニクルフィン……」

「ん?なんだ?」


「余の事はぁ、レジィおねーさまって呼んでいいわよぉ」

「どうしてそうなったッ!?!?!?」



 えっちょっと待ってくれ!?

 俺がタヌキ妄想をしている間に、一体何があったんだよ!?

 つーか、こんなロリをお姉様って呼ぶ趣味はねぇぞ!!



「ちょっと待ってくれ。なんでおねーさま?」

「ふふ、余の方が年上だものぉ。それが自然でしょぉ?」


「いや確かにそうだが……って、納得できるか!!」

「そうねぇ、どう説明したって納得できないでしょうねぇ。テトラもそう思うでしょ?」


「そうですわね。ここまで露骨なのに気が付かない以上、絶対に無理だと思いますわ―」



 だから何の話だよッ!?

 俺にも姉的存在がいるって話しただけだろ!?


 それから何度も聞くも、上手く話を逸らされてしまった。

 リリンも気になったようで加勢してくれたが、大魔王陛下+ゲロ鳥大臣の話術は凄まじ過ぎて全く歯が立たない。


 二人して何かに気が付いたようだが……、その内判明すると良いな。



「さてとぉ、思い出話もこれくらいにして、これからのお話をしなくちゃねぇ」

「ラルラーヴァーを駆除する!その為に力を貸して欲しい!!」


「もちろんよぉ。その為に、リリンにも協力欲しい事があるのぉ」

「ん、何でもするから言って欲しい!!」


「じゃあ、遠慮なくぅ。そのブローチ、余にちょうだい」



 そう言って、大魔王陛下は満面の笑顔で手を差し出してきた。

 うーん、今まで見てきた中で一番の笑顔。

 当然、リリンの反応は……。



「……え。……やだ……。」



 ……。

 まだ、修羅場は続く。

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