表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第9章「想望の運命掌握」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

512/1332

第30話「大魔王裁判②」

「じゃあ、第4問ん。『お互いの親はどう思ってるのぉ?』」

「ちょっと待って!?今の嫌な流れどこ行ったッ!?」



 俺の知らない所で、恋愛包囲殲滅陣が敷かれようとしている。

 参加メンバーは、腹ペコ大魔王リリン、ボス指導聖母ラルラーヴァー、ゲロ鳥大臣テトラフィーア、ブルファム王国の本物姫と、そうそうたる顔ぶれだ。

 そんな、どう転んでもブチ転がされそうなメンバーが俺を狙っているとか笑えない。


 ……笑えないんだが、まったく掘り下げずに話を流されるのも困るんだが!?

 つーか、そんなにさらっと流すんだったら言わないでくれよ!?



「あれだけ思わせぶりな事を言っといてスルーするのは無しだろ!?大魔王陛下?」

「そぉ?確かにテトラがおめでたすればぁ、余の臣民に英雄の子孫が加わるわぁ。でもそれは、達成が難しい負け戦だしぃ」

「陛下っ!?」


「そう思ってんなら、口に出さないで欲しかったんだが?」

「せっかくお膳立てしてあげたのにぃ、空き地で決闘し始めちゃう友人に危機感を持たせようと思ってぇ」

「むぅ!?」



 要するに、俺達で遊んでる訳だな?この大魔王陛下。


 だが、一度聞いてしまった以上は、しっかり情報収集をしておきたい。

 なにせ、過去の俺は何をしでかしているか分かったもんじゃない。

 当時、しっかりと姫様だったテトラフィーア大臣をたぶらかしている以上、ブルファム王国の姫と面識があっても不思議じゃないしな。


 というか、俺の祖父がいるって言うのなら、どう考えても不味い事になってる気がする。

 全裸親父が気をつけろと言っていたくらいだからな、どんなのが祖父でも不思議じゃないぞ。



「それでぇ、何が聞きたいのぉ?」

「親父やアプリコットさんがブルファム王国出身って所だな。俺は今更、祖父に会いたいとは思わないが……リリンはどうだ?」

「私も別に……と思ったけど、一応、顔くらいは見せても良いかも?家族は大切なものだし」


「そうねぇ、これは英雄に関する事だから、かなり秘匿性の高い情報って事は理解してるぅ?」

「あぁ、誰にも言わねぇよ」

「了解した」



 大魔王陛下は心配しているが、俺的にも親父の経歴とか伏せておきたい。

 もし、祖父というオールドディーンが真っ当な人だった場合、息子が全裸で有名だっていうのは悲しいだろうしな。



「じゃ、一番身分の高いユニクルフィンの祖父からねぇ」

「あぁ、頼む」


「閣下の名は、『オールドディーン・ラウンドラクーン』。古くからブルファム国王に仕える高官でありぃ、歴史書では大臣職に就く事が多いわぁ」

「……大臣か。さっきは怒濤の情報量だったから聞き流しちゃったけど、それって相当偉いって事だよな?」


「そうねぇ。例えばぁ、後継者が育つ前に国王が崩御したりするとぉ、暫くは大臣が国王代行をするくらいには偉いわねぇ」

「滅茶苦茶、偉いじゃねぇかッッ!?」



 暫く国王の代行をするって、一時代を築くって事だぞッ!?


 そんな責任ある官職を、全裸英雄の親が務めている。

 ……いやいや、親父を中心に考えるからおかしな事になるんだろ。

 凄い経歴を持つ高官が、全裸英雄を生んだと思えば……どっちにしろアレな奴だな。



「それにしても、俺が家名を名乗るとしたら『ユニクルフィン・ラウンドラクーン』になる訳か。ちょっとドラゴンっぽくてカッコイイな!」

「……ユニフィン様、悲しい事に発音のイントネーションが違いますわ」


「ん?ラウン、ドラクーンじゃないのか?」

「いえ、正確な発音は、ラウンド、ラクーンですわよ」


「ラウンド、ラクーン……?」

「ブルファム王国では、家名に動物名が多く使用されますの。ブルファム王家の由来は、『ブル()ファムファタール(運命を変えた女性)』である様に、アプリコット様の実家は『ノーブルホーク』、『高貴なるタカ』ですわね」



 へぇー、『高貴なる鷹』か。

 じゃあ、アプリコットさんが婿入りしてなきゃ、リリンサ・ノーブルホークになった訳だ。


 うーん、凄い強そう。

 鷹って言うと大空から奇襲を仕掛けてくるイメージがあるし、その爪は一撃必殺。

 実にリリンのイメージにぴったりだ。

 なお、鷹はメスの方が強くオスは尻に敷かれていると、村長の持っていた動物図鑑に載っていた。



「家名には動物が使われてるって事か。だとすると、俺の家名のラウンドラクーンって……?」

「直訳すると『丸々太った、アライグマ』ですわね」


「それ、ほぼタヌキィィィッッッ!?!?」



 何で俺の家名がタヌキッ!?!?!?

 タヌキ属性は、既にリリンの実家で使っただろうがッッ!!



「なんでよりにも寄ってタヌキなんだよッ!?」

「落ち着いて下さいまし。タヌキとアライグマは似ていますが、種族がまったく違う生き物ですわ」


「えっ。そうなのか?」

「そうですわよ。タヌキはイヌ科に属しますが、アライグマはアライグマ科ですわ」


「何だそうだったのか。驚いて損したぜ!」

「でも、アライグマは全体的に細身なんですの。なのにあえて、『丸々太った(ラウンド)』とか付いていますし……?」


「上げて落とすのはやめてくれッッ!!」



 くぅ!親父が家名を名乗っていない理由が良く分かったぜ。

 タダでさえ全裸なのに、タヌキっぽいイメージまで付いたら、いよいよヤバい。

 伝統民芸で焼き物にされたりすると、18禁な感じでヤバい。


 つーか、タヌキが関係ないとしても、大臣を務めている家系が『丸々太ったアライグマ』って、私腹を肥やしまくってんじゃねぇか。



「でもぉ、ラウンドラクーンはブルファム王国を支えてきた由緒正しき家系よぉ」

「……丸々太ったアライグマなんだぞ?いいのか?」


「可愛いくていいじゃなぁい。そしてぇ、ラウンドラクーンの直子はユルドルードだけぇ」

「なるほどな。オールドディーンって人から見れば、孫は俺だけって事か」


「そういうことぉ。さらに、オールドディーンはブルファム王国の大臣でありながら、宮廷魔導師の称号を持つ偉人。いっぱいいる姫に魔法を教えている先生でもあるわけぇ」

「……マジかよ」


「ブルファム王国的にもラウンドラクーンの家系を絶やしたくないでしょうねぇ。だから許容できるのは『ブルファム姫との婚姻』、ブルファムに属するノーブルホーク家の直系『リリンサとの婚姻』になるわけぇ」



 家から出奔しているとはいえ、リリンの父方の実家がブルファム王国にあるのなら、それぞれの孫である俺達が婚姻するのは許容できるって事か?


 だが、レジェンダリア系フランベルジュなテトラフィーア大臣とくっ付かれると、ブルファム王国以外の国に利権が生じてしまうから困ると。

 更に欲を出せば、教え子たる姫と孫がくっ付いてくれると嬉しいな……って感じか?


 俺の知らない所で、政治的取引が行われているっぽいな。

 ……色々と片付いたら、専門の人に相談しよう。

 きっとワルトなら、散々笑い飛ばした後で助けてくれるはずだ。たぶん。



「まぁ、結局ぅ、リリンとラルラーヴァーの一騎打ちになると思うしぃ、ブルファム王国はあんまり考えなくていいわよぉ」

「ん?ラルラーヴァーもブルファム王国の陣営だろ?」


「それは違うわぁ。ラルラーヴァーは不安定機構・大聖母ノウィンの派閥と考えるべきよぉ」

「んん?何でそうなるんだ?ラルラーヴァーはブルファム王国にいて、俺達と敵対しているんだぞ?」



 ニセタヌキが持って来たセフィナの手紙では、ラルラーヴァーはブルファム王国と共に心無き魔人達の統括者を討つと書かれていた。

 ってそういえば、親父はブルファム王国で英雄見習いを名乗っているのはラルラーヴァーじゃないって言っていたっけ?



「しいて理由っぽい事を言うのならぁ、不安定機構の方がブルファム王国よりも影響力が強いのよぉ」

「どういうことだ?」


「表ではブルファム王国がこの大陸の覇者なんて言われているけれど、それは違うわぁ。ブルファム王国が経済戦争で強いのは、指導聖母を内包している数が多いからだしぃ」

「ちょっと待ってくれ。だいぶ指導聖母について詳しいようだが、正体を知ってるって事か?」


「知らないわぁ。知らないけどぉ、余たち心無き魔人達の統括者と直接戦ったのは、指導聖母・悪典ヴァリアブルだけぇ。余は、この大陸の半分を掌握したというのにねぇ」

「戦っていない、つまり、まだ掌握していない地域に潜んでいるって事か。で、それはブルファム王国に属する国だというわけだ」


「そういうこと。ワルトナも指導聖母に関する情報は教えてくれないわぁ。結構、余にも隠し事が多いのよねぇ」

「え?そうなのか?もっと結託して悪だくみをしてると思ってたぜ」


「協力はしてるけど、お互いに自分の目的を最優先してるからぁ、対立も多いって事よぉ」



 大魔王陛下と悪辣聖母様は無条件で仲良しではないらしい。

 そのどちらも自分の利権を最重要視し、お互いに利用しつつも牽制し合っている状態……なんだとか?


 うーん、険悪って感じもしないし、友達というよりもライバルなのかもな。

 どっちが多く国を支配できるかで勝負している……みたいな?



「ということでぇ、今の話はワルトナにも喋っちゃダメよぉ」

「なんで?ワルトナは友達だしいいと思う!」


「友達でも指導聖母だからよぉ。余とワルトナは確かに協力関係にあるけれどぉ、お互いの利益を優先した上での共闘なのぉ。外交のカードをタダで捨てる気にはなれないわぁ」

「むぅ、親友だから良いと思う!!」


「親友に格上げしてもダメぇ」



 リリンは無条件でワルトを信用しているらしく、後で相談するつもり満々だ。

 まぁ、リリンとワルトじゃ頭脳戦じゃ勝負にならないしな。



「ワルトに喋るなって事は、俺やリリンの家系を知らないって事か?」

「知らないでしょうねぇ。知ってたらブルファムには行かないと思うわぁ」


「……?ブルファム王国に行ったのは、ラルラーヴァーとセフィナを探しに行ったんだろ?」

「ふふふ、どうでしょうねぇ?何も言わないから分からないわねぇ」



 なんか、凄く含みのある言い方だな?

 ワルトは何かを隠しているらしいけど、それは大魔王陛下すら知らないって事か?

 いや、この場合は、何も言わずに一人でブルファム王国に向かった事を差す……のか?


 まぁ、大魔王陛下に相談したら軍に取り込まれてしまうだろうし、ワルトはワルトで考えがあるんだと思う。



「さ、そろそろ次のお題目に進むわぁ」

「そうですわね、時間も押してますし、一気に決着が付く質問が良いですわ」

「ふっ、すでに2対1の状況。勝負は決している!」


「じゃあ、最後の質問は10億ポイントにしましょぉ!」

「ちょ、振れ幅が大きすぎますわよ!?ですが、いいでしょう。この侵攻軍総司令官テトラフィーア、満を持して出陣しますわ!」

「威勢が良いのも今のうち。10億と2ポイント対1ポイントという、歴史上の大敗を喫すると良い!!」



 最終質問の点数が10億ポイントって、前のやり取りが茶番でしかねぇ。

 つーか、10億好きだな。大魔王陛下。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ