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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第8章「愛情の極色万変」

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第80話「タヌキ捜索2日目」

 

「ふぁー。よく寝た。……が、疲れが取れた気がまったくしねぇ」



 疲れた体に温泉を染み込ませ、減った腹に朝飯を詰め込む。

 そうして万全の状態となった俺は、夢の世界へと出陣した。


 そして、そこで待ち構えていた二つの人影。

 タヌキ将軍・アホタヌキ。

 タヌキ少女・アルカディアさん。


 渾身一体となって襲いかかってくる一人と一匹は俺を絶望へと叩き落とした。

 なにせ、このタッグは連携力が凄まじい。

 というか、まるで同一の存在であるかのように、息がぴったりだった。



「はぁ。マジで悪夢だった。アホタヌキに馬乗りにされた時は死を覚悟したぞ……」



 そういいつつ隣の布団に視線を向けてみると、もう既にリリンはいなかった。

 ……うん。なんかちょっと安心した。

 目が覚めた後で暴行されるのが最近のパターンに成りつつあるからな。

 流石に、全裸親父→アホタヌキ→魔王リリンのコンボはえげつない。


 さて、身体的にはだいぶ癒えてるっぽい。

 軽めに食事でも食って、タヌキでも探しに行くか。



「おーい、リリンー!起きてるかーー?」

「う”ぃぎるあー?」



 ……おい、タヌキ。

 探さなくても居るじゃねぇか。


 ……。

 なんでいるんだよッ!?

 隣の部屋からバッチリ鳴き声が聞こえたぞ!?


 俺は慌てて布団から飛び出し、グラムを召喚。

 更にバッファまでかけて、目の前のふすまをこじ開けた。



「おいっ!出やがったな、アホタヌ……あれ?アルカディアさん?」

「う”ぎるあ?何か用?」



 それは俺のセリフだろ。


 いや、待て落ち着け、俺。

 ここは……うん、俺とリリンが借りてる部屋だな。

 ならなんでアルカディアさんがここに居るんだ?

 というか、リリンはどこいった?



「アルカディアさん、リリンはどこに居るんだ?」

「食べ物を仕入れに行った。とりあえず全種類買って来るって」



 何の全種類だよッ!?

 おみあげコーナーにある物を全部買って来るって事か!?


 ……これは、食事制限をもうちょっと厳しくするべきかもしれない。



「で、何でアルカディアさんがここに居るんだ?」

「ご飯を貰いに来た」



 こっちはこっちで食い意地か。

 つーか、俺の周りって食い意地張ってる奴が多過ぎだろ。

 何気にワルトも凄い量の弁当を持ってたしな。


 さて、寝起きにアルカディアさんに遭遇するのは完全に予想外だが、これはチャンスかもしれない。

 俺は……アルカディアさんのズボンの中身が凄く気になっている。

 具体的に言うと、ズボンの中に茶色い絶望が生えているのかどうかが、凄ーーく気になっている。


 実は、昨日の帰り際にギンが気になる事を言っていた。


『ユニクルフィン。エデンとゲヘナは超が付く程の害獣でありんす。故に、あ奴らは平気で人に化けるなんし』


 つまり、タヌキの野郎はギンと同じく人間に化けている可能性があるというのだ。

 ちょっと考えたくない緊急事態。からの、サチナの尻尾。

 そこから導き出される答えは……。



「飯を食いに来た?食堂に行けば食い放題だろ?」

「食べていい?って聞いたらダメって言われた。凄くケチ。獲物はみんなで分けた方が良いのに」


「いや、お金を払えばダメとは言われないだろ」

「……お金?そういえば、そんな事言ってた」



 悲報。アルカディアさん、お金を知らない。

 って、そんな事があるのかよ!?

 今までどうやって生きて来たッ!?


 その後、お金についての説明を試みるも難航。

 そもそも、貨幣という概念に馴染みが無いらしく、基本的に物々交換なんだとか?


 俺が色々説明をしても、アルカディアさんは理解が及んでいない。

 そして、俺が闘技場でいっぱい貰った奴だよ!とツッコミを入れた時、その存在を思い出した。



「お金ってこれ?これがあれば美味しいもの食べられる?」

「おう。いっぱい食えるぞ」


「マジ?う”ぃぃぎるあぁ~~ん!」



 アルカディアさんは美味い物がいっぱい食えると聞いて興奮し、取り出した札束で机をバシバシ叩いている。

 うん。お金をそんな風に乱雑に扱うのはやめような?

 つーか、そのひと束で一ヶ月くらい贅沢できるぞ。オレンジも食べ放題だッ!!



「ところで、アルカディアさんの出身地って何処だっけ?」

「せふぃなんちゃらの森」



 セフィロトアルテの森だな。

 うん、森か。

 森かぁ……。


 どんどん、考えたくもないおぞましき疑惑が強くなってゆく。

 リリンは、セフィロトアルテの森には人なんか住んで無いと言っていたし、タコヘッドも原住民が居たなんて知らなかったと言っていた。

 だがそれは、アルカディアさんが人間じゃないとすれば全て解決する。


 ……マジで?



「なぁ、アルカディアさん。ちょっと立ってくれないか?」

「う”ぎるあ?ほい」



 俺の指示どおりに勢いよく立ち上がるアルカディアさん。

 うん、動きが何処となくアホタヌキ感があるな。

 アイツも、立ち上がる時は速攻で立ち上がるし。



「よし、次は……伏せ!」

「う”ぎるあ!!」



 そして速攻で床に腹を付けて伏せるアルカディアさん。

 ここは室内で畳を引いてあるから汚れないが……それでも、行きなり「伏せ!」とか言われたら戸惑うだろ。普通。


 うん、どう考えても挙動がアホタヌキなんだけど。

 これはマジで、マジなのか?



「あ、やっぱ立ってくれ。バナナをあげるからさ」

「う”ぎるあん!!」



 ……バナナをやるっつったら、嬉しそうに立ちやがった。

 随分と食い意地張ってんな。


 なんか、ものすごーく嫌な予感がする……。が、ひとつ、気になっている事がある。

 アルカディアさんのミニズボン。

 それをしっかり観察しても、ある物が見当たらないのだ。


 それは、ズボンの中の茶色い絶望。

 それが潜んでいるであろう膨らみが、ズボンのどこを見ても見当たらない。



「アルカディアさん……。お願いがあるんだけど」

「なに?」


「ズボンをさ……ちょっとだけ下げてくれない?」



 俺はここで賭けに出た。

 そう、ちまちま考えていても埒が明かない!

 確実な物証を抑える事で、突破口を開くぜ!!


 俺のお願いを聞いたアルカディアさんは見るからに動揺している。

 そりゃそうだろうな。

 もし、アルカディアさんがアホタヌキなのだとしたら……。


 色んな意味で闇に葬ってやるぜ!!



「そ、それは無理……」

「ん?ちょっとだけだぞ、ちょっとだけ、お尻を見せるんじゃなくて、腰の付け根の辺りまでで大丈夫だ」


「無理!」

「何で無理なんだ?何か、見られちゃまずい物でも生えてるのか?ん?」


「リンなんちゃらが睨んでるから無理!こわい!!」

「え”っ。」



 ギギギ。っと軋んでいるのは俺の首の音だ。

 俺の頭は真後ろから鷲掴みにされ、無理やり後ろに向かせられている。


 そこにいたのは、暗黒微笑をたたえる理不尽魔王様。



「……は、早いお帰りですね、リリンサ様」

「サチナに続き、アルカディアまで……。」


「こ、これは誤解なんだ……」

「やっぱりユニクは変態だと思うッ!!《目覚めよ、雷人王ゼウスッ》!!」



 うわぁぁぁぁ!?詠唱が滅茶苦茶短くなってるぅぅぅぅ!?!?


 リリンの手の中で沸き立ち奔る雷渦。

 明らかに殺傷能力高めなそれを躊躇なく俺に振りかざし、って、実況中継してる場合じゃねぇ!!



「うぉぉぉ!《惑星重力制御ッッ!》」

「逃がさない!《失楽園を覆う!》」


「結界を斬り裂け、グラムッ!!」

「あまい!《原初守護聖界セラフィムオリジン!》」



 おい、なんだそれはッ!?

 そんな絶体絶命のピンチを切り抜けるための切り札っぽいもんをこんな所で使うんじゃねぇ!!


 そして、俺が渾身の力で振り抜いたグラムは失楽園を覆うを破壊……出来ず、弾き返された。

 なんだこの堅さッッ!?!?覚醒してないグラムじゃ刃がたたねぇ!?



「ちょ、一体、何が起こって……あ。」

「隙あり!!《雷人王の掌(ゼウスケラノス)!》」



 チカッ。

 チュドドドドドッッッ

 ぎゃああああああああああああああああああ!!


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