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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第8章「愛情の極色万変」

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第68話「タヌキ捜索・1日目」

「タヌキの野郎、どこにもいねぇ……」



 セフィナとゴモラの関係性をギンに説明しに行ったら、タヌキ捜索を依頼された。


 正直な所、自分で探した方が早いんじゃないかと思うんだが、ギン自身が探してもタヌキは見つからないというのだ。

 なんでも、タヌキはギンの結界を潜り抜ける為だけに、それに特化した特別な対策を施しているらしい。

 皇種・白銀比謹製の結界をやすやすと突破するとは、本当にタヌキは害獣だぜ!


 そんな訳で探し始めた訳だが……タヌキの野郎、どこにもいやしねぇ。

 用事が無い時は「ヴィギルア!」とか鳴きながら出て来た上に、食い物まで要求してくるくせに、肝心な時は足跡一つ見当たりゃしない。


 そうして……3時間が経過した。



「ホントに見当たらないな、タヌキ」

「うん、タヌキ帝王は全然いない」

「う”ぎるあ!見つけるのは至難の技!」



 3時間の捜索をして見つけたタヌキの痕跡、ゼロ。

 辛うじてタヌキ系美少女を一人見つけただけであり、ただの散歩になりつつある。


 俺達がタヌキ捜索を開始して僅か5分、彷徨い歩いていたアルカディアさんを発見。

 早速リリンが近づいて「なにしてるの?」と声を掛けたたんだが……アルカディアさんは食べ物を探していたらしい。

 うん、流石は自称、タヌキの集落で育った女。行動がタヌキそのものだ。


 その後、交渉の結果、タヌキ探しに協力してくれたら夕食を奢るという事になった。

 だが、アルカディアさんもタヌキ共を見かけていないらしい。



「りんなんちゃら、何でタヌキを探してるの?」

「実は、この地はタヌキ立ち入り禁止になっている。というか、アルカディアはよく入れたね」


「そうなの?ふつーに入れたけど?」

「あ。ソドムはどうだった?」


「知らない」



 なんか、タヌキ属性ガールズの会話が、微妙に噛み合って無い気がする。

 そりゃ、人間なアルカディアさんは結界があっても入れるだろ。

 ……尻に懸念材料がぶら下がっているが、大丈夫なはずだ。


 というか、リリンはアルカディアさんがタヌキの居場所を知ってるような口ぶりで質問をしているのはなんでだ?



「これだけ探しても出て来ないって事は、今日はもう会えないかもな」

「うーん。アルカディアはどう思う?」

「たぶん本気で隠れてるから、あっちから接触してこないと無理だと思う」



 ……だよな。タヌキって潜伏スキル高そうだし。


 って、よくよく考えたら、わざわざタヌキ帝王を探すって、藪を突いて蛇を出すってレベルじゃねぇな!?

 何で俺はこんな危険な橋を渡ってるんだ!?



「なぁリリン、サチナがすぐに襲われる事は無いってギンは言ってたよな?」

「ん、エデンとゲヘナの狙いはサチナが強くなった後に戦う事。今戦う事は望まないはずだって白銀比様は言ってた」


「なら、急ぐ必要もないな。今日の所はこれくらいにして、訓練に備えて飯でも食いに行こうぜ?」

「了解した。ご飯はとても大事だと思う!」



 俺達はこの旅館の中をぐるっと一周したし、客が入れない様な場所も一通り見て回っている。

 特に、アヴァロンがいた混浴は念入りに捜索。

 サチナが掃除している時間に行ってみたが、居たのは一生懸命に床を磨いているホロビノだけだった。


 ……ホロビノを見た時は、その馴染みっぷりにスルーしたが、よくよく考えると色々おかしい。



「りんなんちゃら、ご飯食べに行く?一緒に行っていい?」

「もちろん良い。手伝ってくれたから、ユニクのおごり!」



 ……そういえば、しばらくは俺のおごりって事になってたんだっけな。

 闘技場で1億エドロも稼いだとはいえ、所持金がガンガン減っていくんだけど。


 この宿の料理は超一流だが、値段も超一流。

 一食8000エドロに、飲料水・デザートコースは別料金。

 3人合計、しめて38000エドロ。


 唯一の救いは、食べ放題バイキングだって事だな。

 ……こいつら、普通の店だと10万エドロくらい平気で喰いそうな気がする。



「う”ぃ!!良い匂い!」

「んー、とても同意だと思う!あ、今日は秋の山菜祭りだって」


「山菜は好き!栗やクルミ、アケビやサトイモに柿、レンコン、マツタケも、う”ぃぎるあ~~ん!」



 食い物の話になった途端、話が噛み合い過ぎだろッ!?


 リリンとアルカディアさんは、とっても嬉しげな頬笑みを浮かべ、颯爽と店に中に入っていった。

 まぁ、ぶっちゃけ俺も楽しみだけどな!



 **********



「「「いただきます!」」」



 俺達は6人掛けの広いテーブルに座り、目を輝かせている。

 目の前には、すげぇ美味そうな料理の数々。

 山菜チャーハンに中華風野菜炒め、ごぼうと豚バラの煮物やキノコたっぷりシチューなどなどが所狭しと並んでいる。


 リリンとアルカディアさんが食べたい物を中心に選んだ訳だが、どれも食欲を誘ういい香りだ。

 よし、食って食って、食いまくるぞッ!!



「ん!?この豚バラの煮物、口に入れた瞬間に溶けて無くなった!!」

「おぉー!チャーハンは意外と辛いぞ!だが、それゆえに食が進むッ!」

「う”ぅ~~ぎるああぁぁ~~ん!とてもおいしい!ここを縄張りにしたい!!」



 あー、マジで美味い!美味すぎる!!

 高級ホテルの料理も美味かったが、ここの店の料理は桁が違うぜ!

 流石は、食い意地が張ってると評判の大魔王さんが支配しているお店。……食へのこだわりが半端じゃない!!



「はぁぁ。幸せって、この事を言うんだなー」

「もふふ!大きめのテーブルに座って良かった!料理をいっぱい並べられる!!」


「だな。だけど結構お店が込んできたな……。食べ終わった皿を片づけて、席を半分空けるか」



 食べ始めた時はそれなりに空席があったが、もう既に満席状態だ。

 そろそろ夕食の時間帯だし、ここはマナー的にも席を空けておいた方が良さそうだ。


 俺は、食べ終わった皿を持って返却口へと向かった。

 俺自身それなりに満腹だし、リリンやアルカディアさんに行かせると追加の料理を持って帰ってきそうだからな。


 そして、俺が席に戻るとそこには……。

 見たことの無い3人組が、リリン達と話していた。



「すまんが、一緒に座ってもいいかの?」

「ん、どうぞ」

「う”ぃぎるあ”っっ!?!?」


「では、遠慮無く……。ほれ、永久楽園エーディーン無光地獄ゲフェナダル、座るがよい」

「ふふ、失礼しますわね」

「失礼します」



 リリン達がいるテーブルの横に立っているのは、褐色肌の幼女を中心としたグループ。

 伸長130cm程の、活発そうな幼女。

 伸長160cm程の、クリーム色の長い髪の少女。

 伸長180cm程の、真っ黒い長髪な男。


 幼女はさほど派手な格好をしている訳じゃないが、後の二人はかなり目立つ。

 クリーム色の髪の少女は見るからにお嬢様風の服であり、黒い髪の男は見るからに執事風な格好だ。


 その姿を見ていると……なぜが無性に汗が滲み出てくる。

 妙な近視感に捕らわれている俺は、おそるおそる3人組に声をかけた。



「あの……どうもこんにちわ?」

「ふむ、こんにちわじゃの!」


「えっと、リリンの知り合いか?」

「知り合いではないのー。ただ、どこも空いておらんから、相席のお願いをしただけじゃの!」



 なるほど、机を片付けておいて正解だったようだ。


 俺が元い席に座ると、すぐ隣に幼女、その横にお嬢様と執事が続く。

 それぞれ料理を持っており……って、随分な量だなッ!?リリン並みじゃねぇかッ!!



「美味そうじゃの!じゅるり!!いただきます!!!」

「えぇ、美味しそうですね。とても珍しいものがいっぱいで。そうは思いませんか?ゲフェナダル?」

「仰るとおりですね、エーディーン様。実に珍しいものばかりで目移りしてしまいそうです」



 早速食事を始めた幼女と、二人で視線を交わして料理の感想を言い合う、お嬢様と執事。

 幼女は良いとして、後の二人は料理を食べる前から、随分と満足そうな顔だな?

 料理ばかりか、俺やリリンに向けて笑顔を振りまいているし、育ちの良さが窺える。



「本日はご同伴させて頂きありがとうございます。リリンサ様、ユニクルフィン様」

「あれ?何で俺達の名前を知っているんだ?」


「聞いたお話によると、リリンサ様はここの支配人であらせられるとか?」



 エーディーンさんはリリンがここの支配人だと知っていたらしく、ニコニコしながら、優雅に肉を切り分けてお上品に口に運んでいる。


 リリンはリリンで綺麗に飯を食うが、エーディーンさんのテーブルマナーは完璧だった。

 食器とフォークが擦れる音を一つも立てず、抗えぬブラックホールのように次々に料理を飲み込んでゆく様は圧巻の一言だ!



「うむ、美味いじゃの!しばらくは通う価値がある。流石はワルトナの勧める店じゃの!」

「え?ワルトナを知ってるの?」


「知っておるぞ。ワルトナは儂らの上司じゃしのー」



 ……なに?ワルトは上司だと?

 だとするとコイツら、暗劇部員ってことか?


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