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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第8章「愛情の極色万変」

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第41話「極色万変・白銀比、超越せし者」

「ん、二つ目の皇種については分かった。三つ目も教えて欲しい!」



 アマタノと俺達は戦う運命にあるらしい。

 だが、ギンはそれについて、明確には教えてくれなさそうだ。


 今の所で判明した情報は、白銀比は始原の皇種ではないという事、蟲量大数は他の始原の皇種を一方的に殺せる力を持つという事。

 そして……カミジャナイ?タヌキは、マジで神クラスの化物だという事が判明してしまった。


 あぁ、俺にもタヌキがライバル!だとか言っていた子供時代があったっけなぁ。

 ちょっと心が折れ掛けているし、この瞬間にクソタヌキが出てきたら無言でバナナチップスを差し出してしまうかもしれない。



「三種類目は、神が用意した理に従い覚醒した皇種でありんす」

「ん、それって、神様から力を貰うのと、どう違うの?」


「神が気まぐれで力を与えたのでなく、自らが望み、複数ある条件を満たし、超越者へと至る。そしてそこから難解な条件を突破した者は、種を統べる『皇種』として神に認められるでありんす」

「ん!超越者の事を知ってるの!?」


「知るも何も、皇であれば常識でありんす。のう、リンサベル」



 ん?何で今、リリンの事を家名で呼んだ?

 凄く気になるが……どうやらリリンは気にしていないらしく、むしろ、その前に言った超越者の事が気になるようだ。


 白い敵のレベルは10万だった。

 そして、何やらリリンを随分と挑発したらしい。

 具体的に何を言われたのかは聞いていないが、話の端々から察するに、俺の隣に立つには超越者とやらにならないとダメなんだとか?


 たぶん、その超越者というのは英雄の事だと思うんだが、そんな大戦力にならないと俺の横に立てないっていうのは謎だ。

 リリンが意図的に情報を絞ってる気がしないでもないが……とにかく、リリンは超越者になりたいらしい。


 そして、ギンは超越者という言葉を出し、深い笑みを称えながらリリンを眺めている。

 まるで、それが道しるべであるかのように。



「教えて欲しい!白銀比様!!今度すっごい良いお酒を買って来ると誓う!」

「葡萄酒が良いでありんすなぁ。ラムレーズンの焼き菓子なども添えられていると、なお良いなんし」


「分かった!ワルトナやレジェにお願いして、超高級酒を用意して貰う!クッキーも!!」

「なら、話してやるなんし」



 道しるべさんが酒で懐柔されたんだけど。

 そこは普通、無償で喋ってくれるか、試練的なものを科すんじゃないだろうか。


 なんとなくだが、今からされる話って人類激震レベルの超重要な話な気がする。

 で、それの対価が酒とラムレーズンクッキーって、そんなんで良いのだろうか?


 ……うん、話してくれる本人が良いって言ってるんだし、俺が考えても仕方がないよな!

 でも一応、追加の御供え物は捧げておこう。

 俺はバナナチップスを取り出して、偉大なる皇種、極色万変・白銀比様に捧げた。

 そして、ギンは流麗な動きでバナナチップスをツマミ上げて頬張る。


 ……特にリアクションが無いな。

 クソタヌキなら小踊りするバナナは、好きでもなく嫌いでもないといった感じだ。



「超越者とは、レベル上限『99999』を超えし者の事を言うなんし。それは知ってるでありんす?」

「うん。レベル10万の人物に出会ったから。でも、逆にそれ以外はまったく知らない」


「では、そこから話すなんし。超越者とは『絶対者たる皇種に対抗する為に造られし、新たな理』でありんす」

「皇種に対抗する為?」


「そうなんし。始原の皇種が創造された事により、『蟲』『竜』『タヌキ』『鳥』『蛇』『狐』『魚』の七種族は繁栄を約束されたなんしな。が、逆にいえばそれら以外の種族は不遇となり、それらを覆すことも出来んせん。それほど、皇が種を率いるという事は凄い事なんし」



 ギンの話では、皇種がいる種族とそうでない種族では、ほとんど勝負にならないらしい。

 というのも、皇種は自らの配下に何らかの力を授けることが多く、それは弱体化しているとはいえ神の力だ。


 俺は、それはもう、ものすっごく理解している。

 なんせ、唯でさえカツテナイのに、配下を1000匹召喚したり、自ら分裂したりするからな。

 皇の力を持っていない人類が太刀打ちできないのは必然だ。



「じゃがそれは、皇種には誰も勝てないという概念が生まれるだけであり、世界は不安定にならず、物語が発生せん。だから神はその他の種族にも平等に機会を与えたでありんす」

「なるほど、超越者になれば皇種にも勝てる可能性が出てくると」


「それは実現し、世界は混沌とし不安定になった。幾つもの物語が生まれ、幾万のも願いが死に、また新たな火種(皇種)を産む。歴史はその繰り返しでありんした」

「ん、超越者になれば皇種にも勝てて、そして、勝てれば皇種になれるということ?」


「賢い。流石はアプリコットの娘でありんす」

「ありがとう。それで、超越者になるにはどうすればいいの?」



 皇種を倒す為に覚醒者になる……それはたぶん、何らかの方法でレベル上限を超えれば、皇種相手にも勝機が出てくるという事だろう。

 だが、よく考えれば、それは変な話だ。


 7つの序列があるとはいえ、始源の皇種は最低でもレベル千載(10×47乗)

 最早、桁が違うなんてもんじゃない。

 超越者が到達できるレベルの最高値999999と比べても、桁が41個も違うしな。


 超越者になったくらいで、そんな化け物に勝てるとは思えないんだが?



「いろいろ条件はあろうが……。結局、超越者になる為に目指す事は変わらんでありんす」

「ん?いろいろ条件はあるけど、一個の事をやればいいって事?」


「そうなんし。それは……『超越者、または皇種を殺す』ことでありんす」



 超越者か皇種を殺す……?

 言いたい事は分かる。その内容も十分に理解できる。

 だが、先程の懸念がその道を塞いでしまった。


『皇種を殺す為に超越者になる……為に、皇種を殺す必要がある』


 現在は、『始原の皇種』の後に、『皇種』『眷皇種』『超越者』『英雄』『英雄見習い』などが居て、その末尾に『唯の生物(俺達)』がいる。

 だからこそ、その条件は成立している。

 だが、最初は『始原の皇種』のすぐ後が『唯の生物(俺達)』であり、堂々巡りになってしまう。


 結局、その条件が達成される事はないはずなんだが、結果的に数多くの皇種が誕生している。

 ……どういうことだ?



「ギン、言いたい事は分かるんだが、それって不可能だよな?」

「流石はユルドルードのムスコなんし。頭の先まで筋肉の塊なんしな」



 おい。今、息子って所の発音がおかしかったぞ。

 確実にムスコとかけているよな?


 なんだこの酷い暴言ッ!!

 下ネタも混ぜ込んであるとか、始末に負えないッ!!



「くすくす、さぞかし具合が良いでござりんしょ」

「……?良く分からないけど、ユニクは脳筋!身体も硬くて丈夫!」


「ほうほう、硬くて丈夫でありんすか。それはイイ事を聞いたなんし」



 うわぁあああ!

 リリンが分かって無くて、すんごい事を口走ってる!!


 俺は慌てて反れた話題を元に戻した。

 これ以上悪化すると、トンデモ無い事になりそうだしな。


 だが、心の中では言っておくぞ。

 ……いい加減にしろッ!この、ビッチキツネェェェェ!!



「で、結局どうやって唯の生物が超越者になったんだ?」

「どうもなにも、鳥か魚を狩って覚醒したでありんす」


「……?いやだから、それは覚醒者じゃなけりゃ無理だろ。弱い魚でも、レベル千載なんだし」

「ホントに分かってないなんしな。わっちは言うたでありんす。阿僧祇鳥様も千載水魚様も、蟲量大数様に殺されたと」


「あぁ、それは確かに聞いた。だが、何階級か下がった所で、焼け石に水だろ?」

「わっちの記憶が正しければ、始原の皇種に続いて皇種化したのは麒麟か獅子でありんしたが……。どちらにせよ、当時の鳥の皇種を殺し、皇となったなんし」


「どういうことだ?その麒麟か獅子が異常に強かったって事なのか?」

「強い事は強かったなんし。が、鳥は弱体化しまくり、もはや階級なぞありゃせん。レベルも99万に満ちていなかったでありんす」


「弱体化しまくってた?それって、そこまで弱くなる程に皇種の世代交代があったってことだよな?何があったんだ?」

「鳥肉と魚肉が好きな那由他様が、腹が減る度に狩りまくったでありんす」


「結局お前のせいかッ!!タヌキィィィィッッッ!!」



 やっぱりかっ!!途中から薄々、タヌキのせいじゃないかと思い始めていたが、ホント期待を裏切らねえな世界の害獣共ッッッ!!

 というか、皇種が一杯いるのって、カミジャナイ?タヌキのせいかよ!?


 皇種は死んだとしても世代交代し、その種が絶滅するまで皇種の種類は減らない。

 一方、今まで皇種が存在しなかった種族が弱体化した皇種を殺せば、種類は増えて行く。

 タヌキが皇種を狩った後、何処かで別の個体が皇種となるが、その個体はまだ弱くて倒せるチャンスがある。ここからはネズミ算形式で可能性が広がってゆく事になるよな。


 ……マジで世界の為に滅びてくれ。タヌキ。



「始めは『鳳凰鶏ほうおうにわとり』であった阿僧祇鳥様やその眷皇種も絶滅し、だんだんと訳の分からぬ雑多な鳥へと変わっていったなんし。獅子が殺した当時の皇など『ぐるぐるえんぺらー』と鳴く奇妙な鳥でござりんした」

「どっかで聞き覚えがあるんだけど」


「そんな訳で、超越者になるには、超越者を殺すか皇種を殺せばいいなんし」



 ギンの話を要約すると、『唯の生物(俺達)』は資格を得ると『超越者』になり、それからさらに厳しい条件を突破すると『皇種』になれるらしい。

 その条件の中に、『すでに種族の中に皇種がいない事』なども含まれ、戦闘力以外の要因も満たす必要がある。


 そして、その先も存在するらしい。



「皇種や超越者になり、永い時を生き抜いた強者は、やがてレベルの最大値に到達するなんし。わっちらはその者を『レベル999999(ミリオン)』と呼んでいるでありんす」

「レベル”ミリオン”……か。なんか、恐ろしい響きだな」


「その感情は正しいでありんす。ミリオンに達しせし者は、七源の階級のような肩書きを名乗る事が許されるなんしな。”極”色万変や、幾”億”蛇峰などがそうでありんす」




 ギンの話と白い敵の存在を踏まえて整理してみると、強さの順はこんな感じになるはずだ。



―――――――――――――――――――弱↓

 ・唯の生物(俺達)

 ・超越者見習い(英雄見習い)

 ・超越者(英雄)

 ・眷皇種

 ・皇種


 ・レベル999999(ミリオン)

 ・階級持ちミリオン


 ・七源の階級持ち皇種

 ・始原の皇種

―――――――――――――――――――強↑



 の順で強くなってゆく。

 ちなみに、俺の知ってる生物を強さ順に並べてみると……。



―――――――――――――――――――弱↓

 ・リリン、俺

 ・白い敵、冥王竜?

 ・ユルドルード、ホロビノ、クソタヌキ、天命根樹?

 ・アマタノ

 ・白銀比

 ・蟲量大数、那由他

―――――――――――――――――――強↑



 こんな感じか?

 ……俺達の周り、ヤバい奴が多過ぎだろッ!!



「あぁ、上を見たら絶望しかねぇ。アマタノですら遠すぎるし」

「うん。頑張って倒して、私は英雄になる!」



 おう……。うちの大魔王さんが張りきっていらっしゃる。

 平均的なヤル気に満ちた顔で、アマタノを倒す!と意気込んでるな。


 ミリオンは99”万”で、その上は『億』だ。

 一応、アマタノは階級持ちミリオンでは最弱という事になる……のか?


 いや、それでも、万と億では桁が三桁も違う訳で、数字だけで比べればレベル99万の超越者100匹分の戦闘力という事になる。

 俺とリリンのレベルを足して10万だと見積もって……うん、俺達が1000人ずつ必要だな。


 日当たりの良い場所で日光浴しているのが趣味の温厚な蛇を、こちらから攻撃しに行く?

 ……藪をつついて蛇を出すってレベルじゃねえな。却下で。



「超越者になる為には他にも条件がありんすが……、アマタノを倒せばまず間違いなく、超越者になれるでありんす。油断してるし狙い目でありんすなぁ」

「頑張る!でも、お尻は攻撃しない!!」



 おい、ビッチキツネ。

 うちの大魔王さんを炊きつけないで欲しいんだけど。


 つーか、化かす気満々だよな!?

 このビッチキツネ、すっげえ良い顔で笑ってやがるッ!!

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