第48話「バトルトーナメント⑥アルカディアVSドンキブル」
「毎日タヌキと添い寝をしているんだろ?ん?ネタは上がってるんだよ!」
「くっ……。知らぬ間に、どんどん噂が拡大しているっぽい。ワルトの奴、どんだけ狡猾なんだ……」
「ワルトぉ?ワルトは関係ないぞ。聞いたのはリリンからだ。「毎日ベッドの上でイチャラブしている!タヌキの格好で!」とはしゃいでいたぜ!」
リリーーーンッ!?
イチャラブ大作戦を仲間の大悪魔さんに仕掛けてどうするつもりだ!?
つーか、ベッドの上でイチャラブなんて、してねえだろ!
いくらタヌキリリンと言えど、年頃の女の子。
そんな未知の存在とベッドの上でイチャラブする勇気なんて、俺にはない。
ぶっちゃけ、俺がリリンよりも先に寝るのも、それが理由の大半だったりする。
なにせ、パジャマを着たリリンは時々無防備で、無意味に『じぃ……』と見つめてきたり、布団に横たわってもぞもぞ動いたりと、ちょいちょい俺の欲求を刺激してくるのだ。
そんな時にタヌキフードを被っていなかったりすると、うっかり情熱が盛り上がりそうになる訳で。
間違ったルートに進むとモウゲンドされるのは分かっているんだが、それでも……と思ってしまいそうになる。
なので、俺は可能な限り、早く寝る。
ちょっとでも眠気を感じたら、速攻で寝る。
リリンは夜遅くまで本を読んでいたり、日記をつけているらしいし、早寝早起きが主体の俺と相性も良かったしな。
結論、俺はタヌキリリンとベッドの上でイチャラブした事はない。
……時々、寝込みを襲われるけど。
そんな話を適当にして、俺はメナファスの誤解を解いた。
メナファスはやれやれとか言いながらも、どうやら信じてくれたようだ。
「つーことで、俺にタヌキを愛でる趣味はない!証明終了!!」
「じゃあさっきの唐突なタヌキトークは何なんだよ?え?タヌキが星魔法を使う? タヌキ将軍にしても、異質過ぎんだろ」
「それがな、タヌキ将軍の上にタヌキ帝王ってのがいるんだよ。ほら、向かい側の観客席のあそこに居るだろ?タヌキが二匹も。あいつらのレベルを見てみろ」
「んん?どれどれ……《次元認識領域》。げっ、レベルがカンストしてるじゃねえか!!」
「あのタヌキこそ、タヌキ帝王。……通称、クソタヌキ。アイツは魔法もガンガン使うし、星魔法くらい使えるだろうな」
「それじゃお前の言うとおり、森ドラゴンをあのタヌキが倒したってのか?」
「それもちょっと違うな。倒したのは、あのタヌキに従っているタヌキ将軍、通称、アホタヌキだよ。だが、ただのアホタヌキじゃねえぞ。タヌキの皇種『那由他』の加護を得ているアホタヌキだ」
「皇種の加護を受けたタヌキ将軍って、惑星竜みたいなもんか?そんなヤべえ奴なら、星魔法が使えるのも無理はないのか……?」
よしよし、タヌキをネタにしたトークが滑らかに出来ている。
タコヘッドの魔法を見て過剰に反応を示したのは、この流れに持っていくためだ。
自称、タヌキの集落で生まれ育った女、アルカディアさん。
察するに、タヌキ愛好家だということだろう。
彼女は、試合前にリリンと友達になっていたし、もしかしたら、話すチャンスに恵まれるかもしれない。
その時に上手なタヌキトークをする為に、俺はあえてタヌキの話題をメナファスに振り、練習を行っているのだ。
思い出すだけで腹が立つアイツの存在が役に立つ日が来るなんて、夢にも思わなかったが、実際に役に立ちそうなんだから文句は言うまい。
あぁ、アホタヌキ。
今度会ったら、バナナでも食わせてやるよ!
「ちなみにさ、さっきタコヘッドが使った魔法って、星魔法の凄い奴なのか?」
「あぁ、アレは星魔法でランク7、『隕石招来爆撃』だな。1m弱の隕石を二つ召喚してぶつける技なんだが、隕石と言うだけあって岩そのものがもの凄い熱を帯びててな。熱無効のガントレットなどを装備している場合に限り、それを掴んで殴りかかるっつう、荒業が出来るって事だ」
「なんだそれ?地味に強力じゃねえか?」
「そうなんだよ。相手に向けて飛ばしちまうとそれっきりになるが、手に持って殴りに行くなら何度も使える武器になる。熱耐性が無い武器なんて隕石の熱で溶けちまうし、実体があるから、魔法を吸収し無効化する非干渉系の防御魔法に対しても有効。たとえ第九守護天使を掛けてても、何度も殴られりゃ、クローバーと同じ結果になるぜ」
なるほど、肉弾戦を行う術者と相性が良いって事か。
そりゃあ、アホタヌキとも相性が良いだろうな。あいつは肉弾戦にステータスを全振りしてそうだし。
というか、アホタヌキがあの魔法を使ったのって、ガントレットを手に入れる前だったよな?
という事は、素手だったはず。
……なるほど、熱かったのを我慢してたんだな。じゅうううって鳴ってたし。
そんで、ガントレットをしている冒険者、恐らくトーガ辺りを見て便利さに気づき、仕入れに行ったと。
流石はアホタヌキ。
アホなのに、妙に賢い。
「しっかし、アホタヌキのくせに、ランク7の魔法を使っていやがったとなは……。俺はまだ、攻撃魔法を覚えてねえってのに」
「攻撃魔法を覚えていない?そんなのお前……そのタヌキにアホって言う資格ないだろ」
うぐう!!すげえ痛い所を突かれてしまった。
だが、これで勉強になった。
そんなツッコミを入れられた時の対処法も考えておくべきだと思いつつ、俺は、闘技場の端で控えているアルカディアさんを眺める。
アルカディアさんは、目をキラキラ輝かせながら、試合を熱心に見ていた。
何やらノートみたいな物も取り出したらしく、必死にメモも取って、真剣に考察とかをしているっぽい。
快活そうな顔立ちだし、頭脳労働は苦手なのかもと思っていたが、意外や意外、知的な面も有しているらしい。
平均的なクール顔なのに肉弾戦が大好きなリリンとはまったく正反対な、快活な笑顔が眩しい知的キャラとか。
ますます心が惹かれてゆくぜ!
『決まったぁぁぁ!決まりました!予選第7試合、『運命を見る・シッタカ』VS『ビリオンソード』、勝ったのはビリオンソード!どんな策謀をも見通すと言われたシッタカでしたが、それは見栄の為に吐いた、知ったかぶりだという事が露見!これは恥ずかしい!もう、街を歩けない!!』
俺とメナファスが雑談をしている内に、とうとう一回戦も残す所、後一つとなった。
それはつまり、アルカディアさんの出番が来たということだ。
俺は込み上げる感情を抑えもせず、期待感を口に出した。
「ついに来たな!アルカディアさんの番が!!期待で胸が膨らむぜ!」
「鼻の穴も膨らんでいるぞ。ピーナッツでも詰めて少し冷静になった方が良いな」
「でも期待しちゃうだろ!?あんだけ可愛いんだし、戦えるのかと思っていたら、まさかのランク7で大悪魔級なんだから!」
「確かに、気にはなるがな。その大悪魔級に挟まれたお前が生き残れるかどうか、非常に気になる」
「あぁ、どうかアルカディアさんが勝ちますように……」
「お前、リリンの心配はしなかったよな?」
「必要か?必要ないだろ。食い意地の張った毒吐き食人花だぞ?」
「まぁ、いらんよな。さて、どうなる事やら……。相手は『ドンキブル』か。こりゃ案外、アルカディアの一回戦負けもあるかもな」
「な、なんだってッッ!?」
「ドンキブルは、結構強いぞ。見ろ、あの馬鹿デカイ斧を。あの斧の重量は100kg。ドンキブルの体重も合わせれば250kgなんつうバカげた重さになる。かたや、アルカディアは軽装……というか、オレには普通の服にしか見えん。そんな紙防御であの斧は防げないだろうし、間が悪けりゃ一発で両断されて終了だ」
確かに、アルカディアさんは軽装だ。
というか、武器を何一つとして持っていない。
腰にポーチを付けているものの、それ以外は何も所持しておらず、短剣やクナイ、短杖などを隠しているわけでもなさそうだ。
アレでどうやって戦うのか、疑問が残る。
おそらく何らかの武器を召喚して戦うんだろうが、武器を召喚できるリリンですら、常に星丈―ルナを持ち歩いている。
武器を自在に召喚できると言っても、タイムラグが無いわけではなく、その一瞬で勝負が決まることも十分にありうるためだ。
もしや、杖を使用しないタイプの魔導師?
一応呪文さえ唱えられれば魔法は発動するが、射出系の魔法だと、コントロールが難しくなるというのを前にリリンから聞いた事がある。
ドラゴンを震え上がらせるリリンですら杖を使うのだし、杖は魔導師に必須のはず。
考えても答えが出なかったので、ここはメナファスに聞いてみよう。
「なぁ、アルカディアさんって、どんな戦略で戦うと思う?見た所、武器とか持ってないけど」
「ありゃ、間違いなく格闘家だな。筋肉の付き方が異常すぎる」
「筋肉の付き方が異常?どう見ても綺麗な手足で、おかしな所とかないと思うんだが?」
「太さ的には一般の女性と同じか、やや太い程度だな。だが、アレは無駄な脂肪が一切なく、筋肉と骨で出来てるようだぜ。体格は女としても平均的なもんだろうが、筋肉の割合はタコヘッドよりも多いだろうよ」
「は?タコヘッドは筋骨隆々だぞ?それと同じ筋肉量っておかしいだろ!」
「筋肉ってのは、伸びたり縮んだりするもんなんだが、アルカディアの筋肉は限界まで凝縮されているっぽいな。野生動物のそれと同じだよ」
体の筋肉が、野生動物と同じ……?
それって、タヌキの集落で生まれ育ったとかいうのと、関係があるのだろうか?
当初、タヌキの集落で生まれ育ったとか言うもんだから、エルの国『ソドムゴモラ』の住人なのかと思った。
あそこはタヌキにまみれた地獄だが、ちゃんと人間もいるとエルは言っていたし、肌の色だって、エルもアルカディアさんも褐色だ。
だが、アルカディアさんの故郷は、リリンの故郷『セフィロ・トアルテ』の近くに有り、この大陸の中に存在する。
別の大陸にあるというエルドラドとは決定的に違うし、だとすると、原因は『タヌキの集落』しか思いつかない。
もしや、タヌキの群れと共に生きるという、インディアンな生活をしていたのだろうか?
猟犬ならぬ、猟タヌキを従え、颯爽と森を駆け抜けるアルカディアさん。
なにそれ、カッコ可愛い。
タヌキ成分を考慮しても、可愛さが勝つ。
「格闘家ですごい筋肉の持ち主か。そうか、格闘家か……寝技……」
「ん?寝技が好きなんだな?リリンに言っておくから、掛けて貰え。そんで、砕かれてしまえ」
「いや、流石に真剣に技を掛けている人相手に劣情する程、見境なくないぞ。ただ、寝技も含めた絞め技って、体が小さいと効果が薄いだろ。投げ技だって体重差が5倍近いと簡単には決まらないだろうしな」
「そうだな。いくら相手の力を利用すると言っても、限界っつうもんもあるしよ。有効的なのは殴打系の技だが、ドンキブルは分厚い筋肉で武装している。並みのやり方じゃダメージは入らんだろう」
「一筋縄じゃ行かねえって事か……」
「ランクが4を超えるもの同士の戦いだ。どんなイレギュラーだって起こりうるさ。まぁ見てようぜ」
アルカディアさん……。
どうか、彼女にご武運がありますように。
そして……。
もし、もし彼女がここで負けるような事になったら、一緒にキングゲロ鳥を捕まえに行こうと、心に決めた。
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『うーん、順調順調!!一回戦も後一試合で、謎のタヌキ系美少女アルカディアと、ドンキブルの戦いだね!ドンキブルは何度か優勝した事あるし解説は後からが通例なんだけど、今回は先にしよう。なにせ、アルカディアの方がレベルが高いからね!』
『それでは、ドンキブルの紹介です。コイツは、筋肉。……以上!!』
「早ーーーい!オレっちの紹介、毎回、適当過ぎない!?」
『おま、その凶悪な面構えでオレっちとか言うのやめろと、何度私に言わせるつもりだい?』
「良いだろ別に!オレっちはオレっちだ!何の問題がある?」
『あるんだよ!いい感じに緊迫した空気なのに、『オレっちの必殺技、受けてみろぉ!』とか言われると、私の腹筋がね、笑えと命令してくるんだ。堪えるのも大変なんだぞ!』
「ち。しょうがねえなぁ。目上の先輩と話す時と同じ喋り方してやるよ。……ワタクシの名前は、ドンキブルと申します。ご来場なされている皆様、どうぞ、私にお賭けくださいませ。応援を頂いた皆様には、勝利を捧げさせていただきま……」
『気持ち悪ぅゥゥゥゥゥゥ!なしなし!今の無し!!』
「何なんだよ!」
『だっておま、その岩石岩みたいな顔に、がっつり割れたケツ顎。太い眉毛に、ぱっちりお目め。そんでもって、完璧な敬語とか。……救護班ーー!観客席回って!絶対、吐いてる奴いるから!!』
「岩石で悪かったな!そんな事より、真面目に解説しろよ!」
はぁ、やれやれと肩を落としながら、ヤジリはドンキブルの情報が書かれた紙に視線を落とした。
その露骨な態度に、観客席は……大盛り上がり。
なにせ、ドンキブルはファンが付く程の人気選手なのだ。
一目で見て分かるでかい体に、分かりやすく強力な 大斧を持ち、冒険者としての技量も超一流。
しかも、野次られる事を分かった上で、毎回、ネタを仕込んで来るという芸の細かさも、人気に拍車をかけた。
ドンキブルとヤジリの漫才は、最早、大会の名物と言っても良い。
それを分かっているヤジリは、隅々までドンキブルの情報が載った紙を読みつくすと、わなわなと震えだした。
『おい……。大会最重量で、体重150Kgのドンキブル。懸賞金3億エドロのお前に聞きたいことがある……』
「ん?この斧のことか?この斧は『裂断斧・ゴズキ』だ。ただの重い斧じゃねえぞ。魔法の効果により切れ味抜群よ。刀となんら変わらんと名のある剣豪にお墨付きを貰ったぜ」
『今更そんな事聞くわけねえだろ!それよりも、ココ!「第一子、出来ました。」ってなんだ!?お前、結婚してたの!?』
「実は……してたんだよ。こんな不細工な顔をしたオレっちを亭主にしてくれた妻に迷惑をかけちゃならねえと、今まで秘密にしてたんだ」
『はぁ!?え?あ、分かったぞ!お前の相手、三頭熊だろ!!毛むくじゃらに違いない!!』
「いやー肌はすべすべだなぁ。餅肌って言うのか?」
『揚げ餅みたいな顔したお前に、そんな美人がッ!?餅肌ってお前、ちゃんと目と鼻と口が有るんだろうな!?妖怪のっぺろぼうじゃないのか!?』
「妖怪でもない。怒ると膨れるけどな。毎日、お前の愚痴を聞かされるもの、大概、慣れて来たぜ」
『は?私の愚痴……?』
「ということで、この闘技場の副館長の亭主として、代理で言わせてもらうぞ。ちっとはまじめに働けよ、ヤジリィィィ!」
『ぐえええええ!?おま、あの冗談の通じないツンドラの夫!?マジで!?』
本日最大の声を張り上げながら、ヤジリは目を白黒させた。
小声で、「ぐぬぬ……アイツの結婚式、サボったのは失敗だったか……?」と呟き、気まずそうに沈黙した後、表情をぱっと切り替える。
『えー。お見苦しいところをお見せいたしました。今のはハプニングです。ハプニング。……マジかよアイツ……こんな岩石顔が趣味だったのか……』
『えーえー。さて、次の紹介に行きたいと思います。謎のタヌキ少女アルカディア。彼女は今大会最高金額の10億エドロを賭けており、出場者の中で最もレベルが高い77877であります!ランク7の後半なんて存在自体が珍しく、何処からともなく噂なんかを聞くもんですが、そういった噂を聞いた事が無いのが、なんとも、気になる所ですね……アルカディア?』
「なに?」
『キミについてはよく知らないんで、フリートークって事で。何か聞きたい事とかあるかな?』
「さっきのオッサンとは、どうやったら戦える?」
『オッサン?』
「あの植物を隕石で燃やしたオッサン。たこなんちゃら」
『あぁ。タコヘッドね。アイツとは2回勝てば戦えるよ。タコヘッドが負けなければだけど』
「わかった、まずはこの筋肉を倒せばいい?」
『そうそう。んー。これは、何やらタコヘッドと因縁があるようです!タコヘッド、こんな可愛い女の子に恨まれるなんて、何をしたんだぁぁぁぁ!?』
「あの人間は、私達の住処を荒らした。食べ物の恨み、晴らすべし!!う”ぎるあ!!」
『これまた謎だぁぁぁ!……とにもかくにも、まずはドンキブルを倒さないと話になりません!アルカディア、勝算はあるのかな?』
「殴って勝つ!というか、あんなの全然怖くないので、瞬殺できる!」
『おおーっと!実力者のドンキブルを瞬殺すると宣言してきました!これはすごい自信です!』
「でも、準備運動のために、そこそこ戦う!う”ぎるあ!!」
これ見よがしに力こぶを作って、ヤジリとドンキブルに見せつけたアルカディア。
その愛嬌のある姿に、観客席はどよめき、とあるVIP席に座っていた男は悶絶した。
「それにしても、オレっちは眼中にないってか?」
「ない」
「くっは!良いねその威勢!!よし、やろう、今すぐやろう。レベルはお前の方が高いんだし、油断なんざするわけない。いいんだろ?それで」
「いい。ボコ殴りにする」
『まてまてーい!まだ懸賞金を発表してないんだよ!勝手に進めんな!!なんて言っている内に結果が出たようです!」
いきなり戦闘態勢に入りそうになったアルカディアとブルファムをヤジリは慌てて遮り、目の前に召喚された紙を手に取った。
素早く中身を確かめたヤジリは、えぇ……。と小さく溢すと、その結果を一同に公開する。
『……結果は、アルカディア5億エドロ!ドンキブル30億エドロ!!観客の皆様、こんな奴にご祝儀なんてあげなくて結構ですよ!アルカディアの方が良くない?可愛いし!』
「こら!片方の肩を持つんじゃねえよ!!」
『えー。私的にはお前が勝った時の賞金増やしたくない……。館長権限、使っちゃおうかなーー』
「ふざけんな!この金は、生まれてくる子供の養育費にするんだよ!!減らされてたまるか!!」
『岩石岩+ツンドラ美人受付員……どんなのが生まれるのか、想像もつかない……。ドラゴン的な?』
「何で人間+人間がドラゴンになるんだよ!?」
『えー。こんくらいにしとかないと私の給料が減るので、程々にしまーす。それでは2回目の賭け金は……?おかしい!アルカディア変わらず5億なのに、ドンキブル35億に増えてる!?みなさん、優しすぎませんかね!?』
「は。オレっちの人気はお前の野次に屈しないって事だな」
『くうぅ。ということで、お互いの賭け金の10%が処理されて、アルカディア13億5千万エドロの懸賞金、ドンキブル3億5千万エドロの懸賞金となりました。……行けアルカディア!ドンキブルをぶっ殺せ!!』
恨みがましい声を挙げながら、ヤジリは片手を振り降ろす。
そして開始の合図を宣言し、アルカディアとドンキブルは同時に転移した。