第16話「ジャフリートの噂」
「オタク侍って言えば……確かリリンの師匠だよな?」
「世間一般の常識に当てはめるならそういう事になる。でも、私個人としては師匠だとか思いたくない。率直に言って、変態だし」
「変態か……そう言えば前にもそんな事言ってたな……。で、このブライアンの動揺はなんなんだ?」
「さぁ?」
「なんでそこで剣皇様!?おいおいおいおいおかしいだろうが!気軽に口にしていいお方じゃねえぞ!俺たちジャフリート国民にとっちゃまさに雲の上のお人!街を歩けば人が割れ道が出来る!食堂に入りゃ行列ができる!!祭りの日には人形が売り出される!団扇もだ!!ハチマキもあるぞ!!」
……どこぞのアイドルかな?
オタク侍なんつう、いかにも根暗な名前からは想像しがたいんだが?
しかし、ブライアンの目がものすごく血走っている。
どう考えても本気で言っているっぽい。
目の動きが恐怖抑制シールを張る前と同じだし、はたから見たら明らかに異常者だ。
「おい、ブライアン?大丈夫か?」
「大丈夫なわけあるか!?剣皇様だぞ?剣皇様!!」
「剣……おう?オタクだろ?」
「誰だそんな不名誉な名前を付けた奴は!?シーライン様はジャフリート国民全てが崇拝する、第3601代剣皇、その人だぞ!」
第3601代剣皇様?
随分と歴史がありそうだし、これは、リリンの言う事が間違っているパターンだな?
そもそも、レベルが99999になっている時点で凄くないはずが無い。
よし、まずはリリンから事情聴取をするか。
「リリン。その……シーラインさんとブライアンに、どんな関係があるんだ?」
「ユニク。あんなのに敬称なんて付ける必要無い。呼び捨てまたはオタク侍で充分」
「……オタク侍とブライアンの関係について教えてくれ」
「オタク侍は、ブライアン達の故郷『ジャフリート』の絶対的権力者。簡単に言うとジャフリート国民で剣皇に逆らうなんていう愚かな事をする人はいない」
「そんなにか?そもそも、剣皇ってのはなんだ?」
「ジャフリートを運営する政府には二種類の人が居る。……普通の内政官と、頭がぱっぱらぱーの武官。オタク侍はその武官の頂点」
頭がぱっぱらぱー?
「頭がぱっぱらぱー?どういうこと?」
「頭の中に自分の好きな事しか入っていないということ。大抵は剣に関する事だけど、オタク侍みたいに趣味に偏りが出る奴もいる。私を襲撃してきた太い方もそんな感じだった。とても不愉快」
「露骨に嫌そうな顔……。そんなに嫌なのか?」
「うん」
うちの大悪魔さんがここまで嫌がるって相当だぞ?
暴言のキレも凄いし、どんな人物なのかよく分からないが、危険人物である事は間違いあるまい。
で、そんな不審者オタクとリリンの切り札に何の関係があるんだ?
「そのオタク侍がヤバい事は十分に分かった。で、切り札ってのはなんだ?」
「オタク侍に連絡して、ブライアンの家に注意をして貰うということ。お家断絶?」
「きぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ!?」
あっけらかんと言い放ったリリンの言葉を聞いて、ブライアンが悲鳴を上げた。
おいブライアン!その悲鳴は、年若い女の子限定だッ!!
いい歳したおっさんが使ってはダメな奴だぞ!!
ブライアンは両手で頬を抑え、有名な絵画のような表情をしている。
タイトルはそうだな……『むさいおっさんの叫び』って感じ。
すごく見るに堪えない。
製作者は大悪魔だし、呪いの絵画で間違いないだろう。
精神的に追い詰められてゆくブライアン。
そしてうちの大悪魔さんは、薄ら笑みを浮かべて、ぼそりと呟いた。
「ねぇ……チクってもいい?オタク侍……剣皇シーラインに、ブライアンに襲われてセクハラされたって、チクってもいい?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
「私を見て、ハァハァ言ってたって、チクってもいい?私の貞操を奪うとも言ってたってチクってもいい?」
「やめてやめてやめて!!」
ちょっと待て。リリンを見てハァハァ言ってたってどういうことだ?
しかもそれだけじゃなく貞操を奪うなんて、見た目だけは可憐な少女相手にそんな暴言が許されると思っているのか?
あぁなるほど、だから、激怒したリリンにコンガリ焼かれたのか。
胸が慎ましいと言っただけで人類最高峰の魔法が飛んできそうになるんだし、そんなセクハラ発言をしたとなれば、男のシンボルを狙われても致し方あるまい。
……あ。リリンが言っていた『再起不能』って、そういうこと?
ということは二度と立ち上がる事が無いのか。可哀そうに。
「ま、待ってくれ!それはしないって、約束だっただろ!」
「……ふ。」
「その笑みは何だ!?」
未だに続く、大悪魔さんの悪ノリ。
平均的な暗黒微笑だけで大の大人を震え上がらせるとは、なんて恐ろしいだろうか。
で、さっきから情緒不安定な感じなのは、なんでなんだ?
いくら敵にセクハラされたからと言って、精神攻撃の重要性を理解しているリリンがここまで感情に任せて振舞うなんて、ちょっとおかしくないか?
まさか……魔王シリーズの影響って事は無いよな?
「リリン。交渉は済んだんだし、魔王シリーズはしまってくれ」
「まだ危険じゃない?大丈夫?」
「ブライアンの主武器は破壊してある。第一、俺達二人掛りならどうとでも出来るだろ?」
「それもそう。分かった」
リリンは空間へ向かって、ぽい。っと魔王シリーズを投げ捨てた。
地面につく前にパシュリと音を立てて魔王シリーズは消え去り、この世に平和が訪れる。
何処かに転移させたんだと思うが、扱いがえらく雑だったな。
ご機嫌斜めなのは間違いない。だが、俺の読みが正しければ、これで……。
「リリン、ブライアン達はどうするんだっけ?」
「ん。フツ―に協力してくれたし、特に何もしない。ワルトナに会って貰うだけ」
そう言って平均的な微笑みを俺に向けてくるリリン。
その表情は、年相応よりも少しだけ幼く見える可愛らしいものだ。
……。
…………。
………………。
ばっちり大悪魔シリーズに影響されてるじゃねえかッッッ!!!!!
どうりで言葉のキレが鋭いと思ったよッ!!
『魔王シリーズ』
名実ともに、魔王な装備。
というか、フツ―に呪いの装備だ。
「……リリン。可能な限り、魔王シリーズは封印しててくれ」
「うん。ワルトナにも多用するなって言われてるし、通常時はサチナの結界の中にあるから大丈夫」
さらっと、『サチナの結界』とかいう謎の物体が登場したんだが……?
何もんだよサチナ。森で迷子になってたのを誘か……保護したって話だっただろ?
だがまあ、ここで話を蒸し返してもしょうがないのでいったん保留。
とりあえず、ブライアンの心の整理をさせて話を進めよう。
「ブライアンも、なんでそんなにオタク侍を恐れるんだ?オタクだって話だぞ?」
「馬っ鹿お前!剣皇様の事をそんな風に呼べる奴なんかそうそういねえんだよ!なんだよオタクって。剣皇様は厳粛な性格で近寄りがたくも尊敬に値する偉人だろうが」
「……オタク侍が?ありえないと思う」
「ありえないってよ?」
「ありえねぇってのはこっちのセリフだッッッ!!!つうかリリンサ、さっき剣皇様の事を師匠って呼んでたよな!?」
「……呼びたくない!」
いやいや、そこは頷いておいてくれ、リリン。
話がこじれると言うか、これ以上ブライアンを混乱させると可哀そうだから。
話を進めるために、俺がブライアンの言葉に肯定すると、リリンが凄く嫌そうな顔をしていた。
「後で腹いっぱい飯を食おう。俺のおごりで」と言ったら大人しくなったのでよしとする。
「剣皇様の直弟子……。そんな存在は、聞いた事が……あ、あったぁああああああああああ!?!?」
「あるのかよ!」
「あるんだよ!いやまさか……おい、リリンサ、お前、ジャフリートに来た事はあるのか?」
「オタク侍に連れられて遊びに行った事が何度か。団子と饅頭がおいしい」
「おいおいおい……それじゃ、剣城郭に立ち入った事は?」
「ある。食堂の五目ごはんがおいしかった。焼き魚も」
「おいおいおいおいおい……まさか、師範100人斬りなんてしてないよな?」
「した。真ん中くらいまでしか進めなかったのでご褒美を貰えなかったばかりか、罰ゲームをさせられた。オタクのくせに、ケチだと思う!」
「ひぃええええええ!俺達はなんて馬鹿な事を!!」
え?何々どういうこと?
オタク侍にリリンが師事していたのは、10歳の頃だったと聞いている。
辛うじて年齢が二桁に達したばかりの幼女なリリン。さぞかし可愛らしかっただろう。
で、そんな幼女リリンが何かをしでかしているらしい。
ブライアンの怯えようから言って、相当だぞ?
魔王シリーズは封印されたから、恐怖感は増してないはずだ。うん、どこにもない。
……だとすると、素でこれか。
一体なにをしやがったんだ?ロリリン。
「ブライアン。その話を詳しく教えてくれ」
「あぁ……。実はな、剣皇様の後継者として、幼い少女が選ばれたなんつう噂がジャフリート中に広がる大事件があった」
「後継者が幼女か。大事件だな」
「そんで、俺達師範は事の真相を確かめるべく、剣皇様へ謁見の申し込みをする事になった。当時国内に居た師範が100人連名でだ」
「100人も。大事件じゃねえか」
「剣皇様からの答えは、こうだった。「自分の腕と剣を以て、確かめに来い」。そんな訳で、剣皇様が住まう剣城郭へ足を踏み入れた俺達だったが、そこで待っていたのは、噂通りの……幼女だった」
「噂通り?」
「か細い可憐な体躯に、むすっとした無愛想。鈴と高い声を発する口は獣を喰い殺しそうな鋭い牙を隠している。そんな噂だった」
「あぁ、リリンだな。間違いない」
「……ねぇユニク。今の話のどこら辺に、私を特定する要素があったの?」
え?一辺の疑いも無くリリンだと思うんだけど、違うのか?
そう問いかけた俺に対し、リリンは「違わないけど……なんか納得できない気がする」とむくれている。
今日は色んなリリンの表情が見れてお得だなーー。結構な頻度で、命の危機を感じるけど。
「そうすると、100人斬りってのは、ブライアンと同じレベルの師範達と戦ったって事か?」
「あぁそうだ。対戦形式は、1人目から初めて100人目までの勝ち抜き戦。幼女が負けた段階で試合が終わる。つまり、何人師範を倒せるかっつう催し物だ」
「ちょっとそれ、リリンが不利過ぎじゃないか?」
「実際俺達もそう思っていたし、ぶっちゃけた話、可哀そうだから最初の五人目まではワザと負けてやろうという話が師範の中で纏まっていたんだが……」
「……やられたのか?」
「……やられた。最初の五人は、全て一撃で昏倒。あんまりにも綺麗にやられた五人は揃いも揃って名役者だとみんなで笑ったもんだ。
だが、違った。おかしいと思い始めたのは、倒された師範が8人を超えたぐらいの時だ。
段取りでは、5人を過ぎたら各自の自己判断で、幼女を倒すか倒さないか決めても良い。誰だって幼女に泣かれたくなんて無いから手加減しているのかとも思っていたんだが……」
「ごくり。」
「倒された師範が10人、15人と増えていき、全て一撃で昏倒。困惑する俺達。ニヤニヤ笑う剣皇様。横に立つ全身甲冑も声を押し殺して笑っている。その場は混乱を極めた」
澪さーーーん!笑ってないで止めに入ってくれよ!!
そんなことしてるから、リリンがこんな大悪魔さんに進化しちゃったんだろ!?
「そんな中、最初に昏倒させられたグループが目を覚まし始めた。そして、口を揃えてこう言ったんだ「なんだアイツは!鬼かッ!?」」
「10歳の幼女を鬼と呼ぶお前らがおかしいのか……。10歳なのに鬼と言わせた幼女がおかしいのか……」
「ぶっ倒された奴らの計画じゃ、適度に小競り合いをしてからワザと隙を作って、やられる手はずだったらしい。だか、一撃で昏倒させられた。なんでそんな事になったのかというと……剣に雷の魔法が纏っていて触れた瞬間、高電圧が流れて意識を奪われたからだ」
「戦略ぅぅぅぅぅぅ!?いいのそれ!?」
「見破れなかった俺達が悪いと剣皇様は仰られた。ちなみに、剣を使った勝負だと言うから俺たちゃ碌にバッファも防御魔法も掛けていなかったし、使う剣も木刀だった。幼女はやけに綺麗な剣を使っていたが鞘から抜いていなかったしな。だが、俺達に細工が見破られたと気が付くと、当たり前のように剣を抜いて真剣で斬り掛って来やがった」
「うっわ、何それ怖い」
「再びの混乱。敗北し積み上がっていく仲間たち。爆笑する剣皇様。だが、俺達も黙っちゃいねぇ。各々が戦場に立ったときのようにバッファを使用し、万全の状態で挑み始めた」
「反撃開始か?」
「そして、幼女は……ランク9の魔法をぶちかましやがった」
「剣での試合、どこ行った!?!?」
やりたい放題じゃねえかッ!!
鬼と言われてもしょうがない酷さ。というか、悪鬼羅刹そのものだろ!
「言うまでも無いが、剣ってのは先端が尖った鉄の棒だ。で、そのランク9の魔法は雷属性。試合相手どころか近くで剣を抜いて準備していた師範5人が巻き添え。もののみごとに大惨事」
「不意打ちもいいところだ。せめて試合で沈めてやれよと、心底思う」
「だが、結果的に、その幼女が勝ち進めたのは57人目までだった」
「……リリン?」
これ以上話させないとばかりに、リリンが話に割って入ってきた。
10歳時の悪事を暴露され、若干、頬を赤くしているリリン。
どうやら恥ずかしかったらしく、指をコネコネさせながらも、ブライアンを睨みつけている。
うん、なんだろう。
幼い頃にしでかした悪事を暴露させるって、普通は微笑ましい感じになるはずなんだが、全然そんな空気感じゃない。
どう考えても悪魔の所業。
心無き魔人達の統括者になる前から、どうやらしっかり、悪魔だったらしい。
蛇に睨まれたカエル状態になったブライアンが可哀そうになってきたし、そろそろ助け船を出してやるか。
「57人って言うと、ちょうど半分を超えたくらいか。そういえばさっき、ご褒美がどうとか言ってたよな、リリン?」
「うん。実はこの戦いには、色々な物が賭かっていた。一番大きな物は、私が剣士になるための条件で、80人倒せれば合格だった」
「剣士になる為の条件?なにそれ?」
「私は、澪みたいな魔法剣士になりかった。カッコよかったから。でも、オタク侍は「おめぇは体的に剣士は向かねぇ。槍にしとけ」って取り合ってくれない。でも、納得できなかったから毎日文句を言ったら、試してやるってジャフリートに連れて行かれた」
「リリンが槍を使うルーツはそこか……」
「そして試合となった訳だけど、事前に澪と対策を練って挑んだ。「あいつらは頭がぱっぱらぱーだから、簡単に外見に騙される。いいか、リリン。これから行うのは試験でなく、狩りだ。動物を狩るときと同じような気持ちで効率重視でいくぞ」って」
澪さーーーん!!なにトンデモナイ事を吹き込んでるんだよ!?
止めるどころか、諸悪の根源、澪さんかよ!!
「80人倒せたら私は剣士になれる。60人で豪華なご褒美『国宝級の魔法剣士セット』。一応、魔法剣士セットがあれば、後は澪が基礎訓練をしてくれるはずだった。だから目標は60人。でもちょっとだけ届かなかった。くやしい」
「まぁ、そういう連戦形式の戦いって、後半に行けばいくほど敵が強くなっていくもんだろうしな。善戦した方じゃねえか?」
「……善戦なんてもんじゃねぇ。本当にあと少しで100人斬りされる所だった」
「どういうこと?」
「リリンが倒したのは大体半分だろ?まだ全滅には程遠いよな」
「……実はな、戦う順番は剣皇様がお決めになった。そんで、40番から59番に強い奴が集中するように仕組まれていたんだよ。つまりそこが最終防衛ラインで、後二人、58番と59番が倒されたら、あとは雑魚ばっかりだったんだ」
「……。あのオタク野郎!!性格が悪すぎると思う!!」
あ、やべ。大人しかった大悪魔さんが再び暴れ出しそう。
どうにかフォローをしないと、被害者が増える!!
「まぁまぁ、落ち着けってリリン。そのオタク侍にだって何か考えがあったんだろうし、実際、魔導師としてリリンは成功してるだろ?」
「あのオタクは自分の欲求しか考えていない!!あの後、罰ゲームと称して、私と澪はジャフリートに居る間、着物にネコ耳をつけて過ごす事になった!!とても屈辱的!!」
着物にネコ耳?
それを10歳の幼女にさせた?姉的ポジションの澪さんにも?
いい趣味してるじゃ……何て極悪非道なんだ!
さすがオタク。男の夢を良く理解して……そんな事をしている以上、リリンが嫌がるのも無理ないってもんだな!
俺が男のロマンを追及している間、リリンはギリギリと歯を鳴らし悔しそうに呻いていた。
そんな強靭な歯でかじられたら、今度こそブライアンは死んでしまうだろう。
俺はワルトナから貰ったバックの中にしまっておいたクッキーを取り出し、リリンの口に放り込んだ。
ふぅ。これでなんとか時間が稼げるはずだ。
「もぐもぐもぐ……」
「そうだったのか。10歳で一国の上位武官をボッコボコにしたとか、凄すぎるな!」
「あぁ、ホントにな。リリンサがあの時の幼女だって前もって知ってりゃ、こんな馬鹿な事をしなかったってのによ……」
「もぐもぐ……」
「しかし、そんだけ詳しいって事はブライアンも100人斬りに参加したってことだよな?リリンと戦ったのか?」
「いいや、戦ってないぞ」
「もぐ…ごくん」
「ん?なら順番は後半だったのか?何番だったんだ?」
「……60番だ」
「へぇ。そうなんだ。いい事を聞いた《サモンウエポン=殲刀一閃・桜華》」
よりにも寄って、60番……おいちょっと待てリリン!その刀で何をするつもりだ!?
ブライアンへ向けられているリリンの目が、三頭熊を見る時にそっくり。
ヤべえ逃げろブライアン!このリリンは、ヤンデリリンだッ!!
「待て待てリリン!!なにをする気だよ!?」
「コイツをボコってお土産にして、オタク侍に遭いに行こうかと。あの時のご褒美セットはユニクに似合いそうだし」
「そんな血塗られた装備なんていらん!!落ち着けって!ほらクッキーでも食ってろ!」
「さくさくさくさくさく。ごくん。」
「「は、早いッ!!」」
それから暴走し始めたリリンをなんとかなだめ、俺達の話し合いは幕を閉じた。
敵の罠に掛ったふりをしてそのまましっかりと罠に嵌りつつも、なんとか窮地を脱出。
敵の正体は『ゆにクラブカードを持つ白い女』と『リリンの事をおねーちゃんと呼ぶ黒い少女』、それと、カミナさんが襲撃を受けた『大きい黒い女』の3人だと判明したわけだ。
これだけでも大きな進歩だと思うし、ワルトならもっと詳しい情報を仕入れてくれるだろう。
……案外、決着の時は近いのかもな。
皆様こんばんわ(こんにちは)、青色の鮫です。
今回の更新が年内最後の更新となります!
だからといって、何かあるわけではなく、次の更新は1月1日、平常どうりに2日に1回のペースで続けていきます!
今年は色々な事があり、読者数も増えて、大変に嬉しく思っております。
来年も頑張って更新していきますので、応援していただけたのなら、もっと頑張る原動力になり、ゆくゆくはタヌキが進化を遂げるでしょう。
それではみなさん、良いお年を~~!