第6章幕間「リリンサの手記6」
「ふぅ……やっとまとめ終わった」
怒濤のように襲来したドラゴンフィーバーから3日。
ユニクルフィンとリリンサの日常は、平凡なものへ戻っていた。
昼は、大聖母シンシア直属となった冒険者に混じり、パルテノミコンの森へ行き危険生物を狩る。
夜は、不安定機構の用意した宿で読書などをしつつ、体を癒すという生活を送っていた。
森を壊滅させたアルカディアとホロビノの後始末をするという名目の他、一般冒険者が太刀打ちできないほどの強力な生物の襲来に備えての事である。
ただし、ユニクルフィンもリリンサも酷い筋肉痛に襲われていた。
リリンが発動させた『絶対強化空間』の後遺症。
その症状は思っていたよりも重く、ドラゴンフィーバーの翌日など、半日ほど森を散策しただけで宿に引き返してしまったほどだ。
そんな状況の中、「疲れている時は速攻で寝るのが一番!」と読書を早々に切り上げて就寝するユニクルフィンとは裏腹に、リリンサは毎日少しずつ、日課を行っていた。
大聖母ノウィンより「人生を美しく彩る為に」と勧められ、習慣となった日記。
そのノートに番外編として、ワルトナと会い、大きく状況が進展した現状を「忘れないうちに……」と、まとめていたのだ。
そして、3日の時間を掛けて、リリンサの満足いくような内容が書き綴られた。
リリンサは、書き漏れが無いようにと、もう一度最初からページを読み直す。
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敵の正体の判明
・敵の正体は、不安定機構・黒
暗劇部員・指導聖母または、準指導聖母。
そして、優秀な部下を2人以上従えている。
この指導聖母は7人いるけれど、ワルトナを抜くから、実質、6人と言える。
けれど、その上に立つ『空虚』『破壊』『破滅』という人たちも少ないながら可能性があるらしい。
空虚はノウィンだから違うにしても、残りの二人には注意が必要。
とりあえず、この人たちを見かけたら、ワルトナに教えて貰った敵をあぶり出す手段をしてみよう。
ユニクとイチャイチャするのに理由があるというのは、すごくいい事だと思う!
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ゆにクラブカードの考察
ゆにクラブカードの階級分けは、ワルトナの推測によると、『一緒に過ごした時間』の可能性が高いらしい。
ミナチルが5日間だという話だし、カードを持っている人は、それ以上の時間、ユニクと一緒にいたということになる。
問題は、ミナチルしかカードの所持者に出会っていないせいで、期間の振れ幅が不明だという事。
たとえば、赤いカードを持つ人がどのくらい一緒に過ごしたのか、『1日~5日』なのか、『5日~30日』とかなのかが、分からない。
もし仮に振れ幅がもの凄く広い場合、私と同じ最上級のブラックカードを持つ人物はとっても長い間、ユニクと一緒に居たという事になる。
すっごくずるい。
もし、幼馴染設定の女とか出てきたら、星丈―ルナのサビにして、ブチ転がしたい。
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ドラゴンの戦闘力
いきなりのドラゴンフィーバーとか、正直困ったけど、特に危機感は抱いていなかった。
200匹のドラゴンと言っても、森ドラクラスなら、時間をかければ殲滅は可能。
ワルトナもいるし、せいぜい半日仕事だと思っていた。
でも、その考えは甘かった。
確かに、取り巻きの200匹のドラゴンはレベルこそ99999だったけど、大した事は無かった。
恐らく、人間というか、高位の魔道師との戦闘を殆ど経験していない。
野生動物どうしの、純粋な力比べで勝ちあがってきただけの存在。
だから、戦闘空間を準備した状態ならば、問題ないと思った。
だけど、ドラピエクロは思いのほか強く、最強の切り札『命を止める時針槍』を使って無力化させた。
そして、後から現れた化物竜達は、私と同等の力を持っていた。
ユニクを含めて3対2だったから私達が有利だっただけで、1対1、もしくは2対2の戦いだったらどうなっていたか分からない。
さらに、冥王竜はとてつもなく強かった。
まず、一撃が重い。
冥王竜が戯れに放った魔法ですら、私たちが3人がかりで防ぐのがやっと。
私で言う所の、『雷光槍』のような通常技だったと思う。
それなのに、一撃防ぐだけで息が上がるのだから、勝ち目が無いってもんじゃない。
それに、防御力も半端じゃなかった。
全ての魔導師が憧れ、そして、出来ないとさじを投げる『星の対消滅』に似たような事をしてきた。
魔法を発動前に止める星の対消滅と違って、冥王竜のは発動後に効果時間を消滅させるというやり方。
どちらが優れているかは分からないけど、冥王竜の方は利便性がとても高い。
射出系の魔法ならば、放った0.1秒後に時間を進められたら、手元で爆発することになる。
だから事実上、魔法は使えない。
そんな状況下で対応するには、魔道具や武器の性能でどうにかするしかない。
私があの時取れる最も有効な選択肢は『魔王』シリーズの解放だった。
特に、武器としての能力値が高い槍の『魔王の右腕』ならば、戦えたかも。
でも、魔王シリーズには強制副次効果の『恐怖機構』がある。
あの時に恐怖機構が発動してしまうと、ワルトナとユニクを巻き込んで、狂乱状態になってしまう。
後ろに控えていた木の化け物も動き出すだろうし、悪手でしかない。
結局、ユニク任せになってしまったし、そのせいでワルトナを危険に晒した。
判断ミスだったと思う。
もし、次、ユニクに危険が及んだ時は、躊躇はしないと心に刻んでおく。
魔王シリーズを使っての簡単な殺戮劇は、人間相手に特に有効だし。
それにしても……。
冥王竜の一撃を受けそうになったワルトナが手にしていた『赤白の弓』は何だったんだろう。
凄い力を感じたし、状況的に打開策だったんだろうけど、ワルトナが弓を持っている所なんて見た事が無い。
きっと私と別れてから手に入れた武器だと思う。
私も、星丈―ルナよりも性能が高くて使いやすい装備を探してみよう。
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ドラゴンとか ②
『ドラピエクロ』
ドラゴンフィーバーを率いていた『アルティメット・竜・ジョーカー』が、まさか、迷子の『ドラピエクロ』だとは思わなかった。
今となっては、最初から「ピエロン!」と鳴いていた訳だし、そうとしか思えないけど、いくらなんでも25年で大きくなり過ぎだと思う。
昔は5mにも満たなかったって、ピエロンは言っていた。
なのに、出現時は100mを超え、私達の『命を止める時針槍』を受けても80m。
きっと、ピエロンも困ると思うけど、愛さえあれば大丈夫。
もし、ホロビノが同じ大きさになっても、私は愛せるし。
『冥王竜』
こっちも驚き、いや、むしろこっちの方がもっと驚いた。
冥王竜はホロビノの弟子だったらしい。
ホロビノは各地でドラゴンを見つけると接触し、仲良くなっている。
魔法が使えない下位ドラゴンにも率先して魔法を教えているくらいだし、昔それでトラブルになりかけた後からは、使い方も含めて真面目に教育を施している。
で、まさかの冥王竜みずから、ホロビノの事を「我が師」と呼んでいた。
眷皇種という凄い存在らしいので、今度、白銀比様に会ったら、冥王竜の事を知っているか聞いてみたい。
お酒を買っていけば、教えてくれると思う。
『ホロビノ』
ホロビノは、冥王竜の事を一方的にブチ転がせるらしい。
流石、私のホロビノ。強くて可愛くてカッコよくて、凄い!
今のところ、私は、ホロビノが苦戦をする所を見た事があまりない。
心無き魔人達の統括者と訓練している時には、怖がって逃げ回っている事が多いし、能力は未知数な所がある。
そういえば、三頭熊事件の時に、ホロビノが傷を負った事があった。
死骸が転がっていたし三頭熊の仕業かと思ったけど、もしかして、もっと別の何かだった?
1mくらいの雛の状態から、ホロビノはずっと私と一緒に居る。
確かに1日2日の短期間は会わない事も多いけど、それでも、笛を吹けば1時間以内にはやってくる。
いつの間に冥王竜を弟子にしたんだろうか?
ホロビノが嫌がるから詮索はしないけど、判明する時が来たら嬉しい。
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ユルドルードと、蟲、それとタヌキ
冥王竜の話によって、ずっと不明だったユルドルードの安否が確認できた。
ユルドルードは、『蟲』という生物と戦っているらしい。
その蟲とは、世界最強の『蟲量大数』の眷皇種で、『皇蟲兵』というんだとか。
文字通り冥王竜と同格の眷皇種であるらしいけど、その眷皇種の中でも、力の格差があるような気がしてならない。
言うならば、人間の枠組みの中の、『冒険者』という表現が近いかも。
冒険者は、それこそ、個人の強さにとてつもない格差がある。
ロイやシフィーといった新人から、トーガやシシトのようなベテランだけどそんなに強くない人、あとは、不安定機構の職員として紛れている強者と、私達のような上位冒険者、さらに上には理解できないなんてのもいる。
眷皇種も冒険者同様に、力の格差があるのではないだろうか。
もしそうなら、それこそ、英雄が直接相手にする蟲の眷皇種というのは、どれほど強いのか分からない。
ワルトナの言うとおり、もし、無量大数に関する話を聞いたら、すぐに逃げよう。
ユルドルードに会える可能性もあるけど、ユニクを危険に晒しては意味がない。
なお、ホロビノはこの、蟲の眷皇種と戦っているらしい?
よく分からないけど、ホロビノにも危険な事はやめるように言っておこう。
あ、タヌキ帝王にも会った。
そして、タヌキ帝王は、滑らかに喋り出した。
可愛い顔して、結構キレのある事を言いだし、ユニクの事を馬鹿にしている。
昔のユニクと何らかの関わりがある事は間違いない。
とりあえずバナナチップスは食べたし、餌付けは出来そう。
可能な限り、飼育する方向で頑張りたい。
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最近のユニク。
最近ユニクは、びっくりするぐらい力を付けている。
めちゃくちゃカッコイイし、すごく英雄していると思う!!
そして、冥王竜との決戦の時も、疲弊した私の代わりに一人で前に出て戦ってくれた。
……いや、戦うことができた。
冥王竜は、私が疲弊していない状態で戦っても勝てない。
白銀比様ほど底が見え無い感じじゃ無かっただけに、その力の差が良く分かった。
たぶん、時空を超える雷を放っても、致命傷になりえない。
ドラピエクロには手加減したけど、たとえ殺すつもりで撃ち込んでも精々、かすり傷を付ける事が精一杯になると思う。
だから、ユニクが一人で戦えたという事は、ユニクはもう、私達、心無き魔人達の統括者と同等以上の力があるという事。
それに……。
昔のユニクは、もっともっと凄かったらしい。
冥王竜がユニクの事を『老いた』と勘違いするくらいに弱体化しているっぽいし、ホントにユニクは凄いと思う!
そんなユニクと一緒になれと、神託を受けたことは、すごく幸運な事だった。
やっぱりユニクは凄い人で、出会った当初こそ弱かったけど、今はそんな弱さなんて微塵も見せない。
少しだけ魔法の才能があっただけで、ノウィンによって学ぶ環境を与えられただけの、平凡な私。
その才能だって、幼いセフィナに負けていた。
……もし。
もしも、セフィナが生きていたら。
ユニクの隣で一緒に人生を歩めと言われたのは、私じゃなくて……。
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「セフィナ……。いけない、感傷に浸ってもしょうがないし、何か息抜きをしなくては……」
「ぐぅ……ぐぅ……。」
「……この間は私と一緒に寝る事を疑問視していたのに、この寝顔。適当な事を言って押し切ったけど、私の気持ちにも気付いて欲しい……う”ぃぎるあ」
「ぐぅ……。ぐぅ!?おのれ、クソタヌキ……」
「……はぁ。……う”ぃぎゅりおーん」
「なに!?タヌキ帝王が、2匹だと……!?」
「う”ぃぎゅりおーん、う”ぃぎゅりおーん、う”ぃぎゅりおーん」
「ひ、ひぃッ!!タヌキ帝王がこんなにッ!?や、やめ……」
「……夢の中で襲われているし、私が現実でも襲いかかったら、タヌキづくしだね……」
リリンサは、うなされ始めたユニクフィンを見下ろすと、平均的な暗黒微笑を称えた。
じりじり、と音も無く近づき、そして……。
リリンサはめくれたタオルを掛け直し、そのまま部屋のベランダに出た。
そして、空間をまさぐり、ワルトナから受け取った最新式の魔道具を取り出す。
「ワルトナ……出てくれるかな?」
リリンサは手慣れた感じで携帯電魔を操作し、ワルトナの持つ端末につなげた。
荘厳な聖女ぽいパイプオルガンの音が鳴り、程なくして、悪辣な少女の声が聞こえてくる。
「指導聖母バレンシアちゃんの、お悩み相談室へようこそ!あぁ、迷える子羊よ、あなたの懺悔を聞こうじゃないか」
「……子羊?」
「いや、枕言葉だから気にしなくていいよ、リリン。それに、今は子羊というか、小タヌキだろ?」
「レジェ風に言うと、タヌキの皮を被った陰じゅ…」
「リリンはそういう事言っちゃダメ!魂が汚れるからね!!」
くすりと声を漏らし、リリンサは微笑んだ。
リリンサの人生の中で、両親を除けば、最も長い付き合いとなる親友のワルトナとの語らいは、彼女にとって最も安らぎを覚える瞬間なのだ。
一緒に居る事は出来なくても、困った事があればすぐに相談できる。
必要とあれば、空間魔法で直ぐに会いに来てくれるワルトナに感謝と尊敬を抱く、なによりも大切な親友。
今、魔道具を使って話をしているのも、ちょっとした相談があるためだった。
「ワルトナ。相談したい事がある」
「おや?なにかな?」
「ユニクが全然、アプローチに気が付いてくれない件について」
「……ふ。」
魔道具越しに始まった、極秘悪魔会談。
議題提案はリリンサ。
回答者はワルトナ。
純粋に相談したいリリンサへ、ワルトナは短く笑い声を投げつけた。
そして、リリンサは機敏に反応を示す。
「なんで笑ったの?」
「だってさ、ユニの鈍感ぶりは相当だと思ってね」
「ユニクは鈍感なの?もしかしたら、私が間違っているのかもしれないし……」
「ふむふむ、それじゃ、キミがしている誘惑とやらを教えてくれるかい?」
「……いつもユニクの好きそうなご飯を用意している。ユニクはあっさり系のタレがかかったお肉が好き」
「うんうん」
「それと、麺料理も受けが良い。パスタなんかも選ぶ頻度が高い」
「へぇーそうなんだ。メモっとこ」
「そして、デザートは、以外にもチョコレート系が好き。私と一緒!!」
「リリンはデザート、というか食べもんなら何でも好きだろ。……じゃなくってさ」
「ん?どうしたの?」
「食欲と恋愛は別枠だと思うよ?」
「……。えっ!?」
ベランダで小さく座っていたリリンサへ、冷たい夜風が吹きつける。
だが、寒いとか、部屋の中に入ろうとか考えている余裕は無かった。
自分が考え付く最高のアプローチをバッサリ否定され、リリンサは平均的な表情を崩しながら、酷く混乱していたからだ。
「えっ?えっ!?だって、レジェが「男の子は胃袋を掴むといいのよぉ。おいしい夕食を食べさせて、気を緩ませた後、今度は余たちがベッドの上でぇ、ぱっくんちょ」って言ってた!!」
「レジェぇ……。いいかい、リリン。その技術はある意味で間違っちゃいない。でもね」
「でも?」
「レジェは料理がうまいからそういう事が出来るんだ。でも、リリンは料理ヘタだろ。昔、タヌキポトフを作ったらユニに泣かれたって言ってたじゃないか」
「う。あの時は料理本が間違ってただけ!ちゃんと書いてあった通りに、塩をひとつかみ入れた」
「ひとつかみ……つかんじゃダメだろ。つまめよ」
「えっ」
「とにかく、毎日ユニの好きそうな料理を用意しているって言ったって、レストランで頼むだけだろ?それは胃袋を掴んだって言わないんだよ」
リリンサは「えっ。えっ?」っと嗚咽をもらすだけで精いっぱい。
数秒の間、思考が固まっていたが、直ぐに動きだし自分が間違っていた事を悟った。
どうしよう……。
リリンサは、本気で焦り始めた。
その焦り具合は、冥王竜との戦闘時を軽く上回っている。
「ど、どうすればいいの?ユニクに嫌われたら、私、わたしは……ひとりぼっちに……」
「まぁ落ち着きなって。キミにはもう一つ、有効なアプローチが残されているだろう?」
「そ、そうなの?」
「あぁ、そうさ」
「教えてっ!ワルトナ!!」
「……タヌキさ!」
リリンサは、ワルトナが言った「タヌキが切り札」という可能性を吟味し始めた。
確かに、ユニクはタヌキに並みならぬ情熱を注いでいる。
でも、それは……恋愛とかとは、なんか違う気がする。
この間のタヌキ帝王とのやり取りを見て、流石のリリンサも疑問を抱いていた。
現状、タヌキパジャマを着続けてはいるものの、ユニクルフィンからのアプローチは無い。
やはり……と確信めいた物を抱いたからこそ、こうして、ワルトナに次の作戦を聞いているのだ。
だから、ワルトナからもたらされた「タヌキが切り札」という作戦を鵜呑みにする事は無かった。
「でも、ユニクはタヌキが嫌いっぽい?タヌキ帝王とは言い争いをしていたし」
「リリンにはそう見えたんだね?でも、僕は違うなぁ」
「どういうこと?」
「だって、ユニがあんなにも自然体で、かつ、同じ目線で話をしているなんてタヌキぐらいなもんだろ?」
「……確かに」
「僕と会った時だって、最初は「ワルトナさん」なんて他人行儀な呼び方をしてきた。リリンとだって、最初は他人行儀な感じだったんじゃないのかい?」
「……そういえば、最初はちょっと余所余所しかった気がする。怖がっているような感じ」
それは普通に怖がっていたんだろ。
ワルトナは、ついツッコミを入れそうになりながらも押し留め、冷静に声を返した。
悪辣会話術は冷静さが命なのだ。
「でも、今はそんな感じはしないでしょ?それは毎日、タヌキなリリンと一緒に夜を過ごしているからだ。見慣れたタヌキを見て、不慣れな旅でのストレスを中和しているんだよ」
「……そうだったんだ……」
「だから、タヌキ路線は続けるべきだ。むしろ、それしか道は無い」
「わかった。タヌキパジャマは毎日着る!着てユニクを誘惑する!!」
「よしよし、それじゃあ、リリンには『伝説のタヌキ踊り』を教えようかね……」
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「おはよう。ユニク」
「……。」
「大丈夫?寝起きが悪いなんてめずらしい」
「……タヌキがさ」
「えっ」
「夢の中でタヌキ帝王が踊り出したんだよ。そうしたら、どうなったと思う?」
「……どうなったの?」
「…………………………………………世界が、滅んだんだ」
皆様こんばんわ、青色の鮫です。
応援ありがとうございます!!
長かった。……大事な事なのでもう一度。
とーっても長かった第6章、無事に完結。
当初の予定とか何それ?状態でしたが、なんだかんだ形になってよかった。
タヌキがいっぱい出てきたので、僕も満足してます。
さて、第7章は第4の心無き魔人達の統括者『メナファス』を軸に進む……と見せかけて……?
っとその前に、超番外編「たぬきにっき」があるんですよ。
あ、いつものプロローグという名の番外編も有ります。
当然、ユルドルード(ナユタ)のお話であり、実は……天龍嶽で何が起こったのかが、語られます。
今まで圧倒的強者感を出しつつも、直接的な戦闘描写が無かった、ナユタ。
その力は、竜達へと向けられて――。




