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第230話「第13章余談、それぞれのお祭り③」

「もう僕には後ろめたい事なんて何もない!運気が上昇するのも必然さ!!」

「これは何かの間違い!きっとレジェの陰謀だと思う!!」


「はっはっは、チラシは束から適当に取った。レジェに見せるどころか、抽選を楽しみたいからランダムにしてってお願いしてある。運も実力の内だよ、リリン」



 俺を賭けた戦いは3戦中、2勝・1分けでリリンの勝利。

 このままではワルトの惨敗って事になるんだが、どうやら、くじ引で勝つことで結果を薄めようとしているっぽい。

 二人とも本気で言い争っている訳じゃなさそうだから良いんだが……、レジィの関与をそのままにしておくと碌な事にならない気がする。



「ワルト、俺もリリンの意見に賛成だ」

「レジェが何かしてるって?まさか」


「俺も当たったぞ。しかも3枚」

「……。」


「ついでに言うと、俺、リリン、ワルトの番号にかぶりは無い。3等の数字が全部出るとか流石にやってるだろ」

「……。」



 あ、ワルトの目から輝きが消えた。

 すんっ……、って擬音が聞こえそうな意気消沈、なるほど、これがワルトの素の表情か。



「ワルトナ、どんまい」

「ここぞとばかりに馬鹿にしやがって!!」


「でも、どうやったかっていう疑問はある」

「どうもこうもない。あっちには、僕らの動きを監視できる奴が山ほどいるし」



 平均的な疑問顔をリリンが浮かべているのは、レラさんとメルテッサの世絶の神の因子を理解していないから。

 24時間以内の視点を習得できる絶対視束に、チケットに記載された印刷せいのうを読み取れるメルテッサ。

 カミナさんなら監視カメラを操作できるだろうし、さっきまで一緒に居たサチナが俺達の記憶を調べているかもしれない。


 結論、運勝負にするにはレジィの良心に頼るしかない。

 ……ふっ、物陰で腹を抱えて笑っている姿が目に浮かぶぜ!!



「何が目的だ?小馬鹿にしたいだけってことは無いだろうし」

「……別にいいけどさ」


「何がだ?」

「僕が管理している冒険者の利権を取り上げたいんだろ。等級ごとに店舗で別れてるのが良い証拠。有力な冒険者を集めてレジェンダリアに引き込むつもりなのさ」



 不安定機構支部長の肩書を複数持つワルトに、経済流通の仕事を発注していたのはテトラフィーアだ。

 そして、経済連盟の会長は金鳳花。

 三匹の狐が支配する世界経済をそのままにしておくほど、レジィは甘い魔王ではない。



「それでどうするの?」

「最終的には、金鳳花アンジュを排除した後で共同管理になるだろうね。ちなみに、リリンも無関係じゃないよ」


「むぅ?」

「世界経済ってのは、大聖母の下で指導聖母が動かしている。僕がノウィン様の後継者になるなら、レジェに命令を出す側だ」


「レジェが指導聖母になるの?」

「君のお母さんが暗躍しててねぇ。ちなみに、メナファスはもう指導聖母・悪弾デスパレードになっているし、メルテッサは悪性のまま」


「むぅ!?みんなズルい、仲間外れはダメ!!」

「大聖母ってのは、本来、リンサベル家の血統しかなれない。でも、ノウィン様はそれをリリンやセフィナに強制したくなかった。だから、僕という代わりを育てて選択肢を生み出した訳」


「じゃあ、私やセフィナにも資格があるってこと?」

「そういうこと。やりたいかい?世界経済支配おべんきょう



 うわぁ、平均を軽々超えた嫌そうな顔。

 リリンは決して馬鹿ではない、が、勉強自体を避けている節がある。

 たぶん、勉強時間にご飯が食べられないのが嫌なんだと思う。



「ま、それは後の話。暫くはレジェの好きなようにさせる。ノーガード戦法で信用を勝ち取らないと」

「取り返しが付かなくなりそう?」


「いや、大丈夫。だって、レジェの目的はさっさと第三者に王位継承して、ローレライと英雄の道を歩むこと。ただし、権力を手放すつもりもない。君臨すれども統治せずってね」



 レジィとテトラフィーアの戦いを覗いていたワルトは、二人の心情暴露を聞いていたらしい。

 それによると、テトラフィーアが無色の悪意に煽られた感情は強欲――、支配欲。

 大陸の頂点に立ったレジィを羨み、そして、真っ当な手段では勝てないと思ったからこその凶行だった。



「じゃあ、このままいくとテトラフィーアがレジェンダリア女王になり、俺は……?」

「レジェンダリア女王、及び、大聖母、及び、大牧師の夫。こんなバカみたいな権力者は他にいないよ、すごいねぇ、英雄だねぇ」



 英雄全裸親父を超えた、だと?

 自分で認めるのは嫌だが……、権力者の操り人形感が半端じゃないな。



「ちなみに、ベッドの上ではタヌキの夫」

「嫌すぎる情報を付け足すな!!つーか、お前もタヌキパジャマを着るつもりか、ワルト!?」


「外見はともかく、普通に優秀な寝間着なんだよね、なりきりアニマルシリーズ」

「じゃあせめて他の動物は……、猫とかないのか?」


「リリンもセフィナもタヌキなのに僕だけ仲間外れは嫌だし?ということで、5等の賞品でタヌキパジャマを貰おうと思いまーす!!」



 楽しいデートの筈が、一瞬で死刑宣告に。

 自分で蒔いた種とはいえ、デートの度にタヌキが増えていく。



「ちなみに2等と1等はどうだ?」

「私はハズレ」

「僕も」



 俺もハズレだ。

 最終結果だけで言えば、3等を3枚当てた俺の勝ちって事になるんだが、なんとも微妙な感じに。


『これからはぁ、貴方達を使ってぇ、遊び倒すわよぉ』


 再び始まったサチナのライブに混じって、そんな副音声が聞こえた気がした。


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