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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第13章「御祭の天爆爛漫」

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第161話「御神楽幸七・久遠竜鬼-こおりおに-ユニクルフィンside②」

「2、1、……行くぜ《単位系破壊ユニットゼロ空気抵抗パスカル》」



 ラグナガルムが走って消えた進行方向に向かって、思いっきりグラムを水平に薙ぐ。

 刃に接触した空気が持つ抵抗値を破壊、容易に音速を超えられるようにして……、俺も走り出す。



「もっともっとスピード出してよラグナ!追い付かれちゃうっ!!」

「これ以上出せばお前を振り落としてしまうがな……、要は、捕まらなければいいのだろう?」



 二匹の後ろに陣取りながら、俺が目指す完全勝利条件を確認しておく。


 ⓵ リリンとワルト、サチナと木星竜の戦いに決着が付くまで、紅葉とラグナガルムをコントロールする。

 レラさん達に言われた通り、氷鬼が終わってさえいなければ、失った仲間を取り戻すことが出来る。

 だが、敵の首魁を放っておく訳にもいかない。

 そこで、いつでも決着を付けられる俺が見張ることで、戦局に保険を掛けることが出来る。


 ② 皇種の残党を殲滅する。

 現在、空では木星竜とサチナ、帝王騎士団と魚と鳥の皇種という大決戦が繰り広げられている。

 ついでに言えば、カツテナイ・クソタヌキ in  新型魔王ロボ が高みの見物中。

 そんな絶対死地に飛び込む皇種は中々いないと思われる。


 そういう理由から、多くの皇種が木星竜が飛び立ったダルダロシア大冥林跡地の森に潜んでいる訳だが……、こいつらは紅葉の影響下にある。

 つまり、俺と氷鬼ごっこを始めた紅葉が望めば、強引に巻き込んであぶり出せるはず。


 ザクっと俺に処理されるか、カツテナイ機神に戦いを挑むかの2択。

 なんて酷い作戦なんだと自分でも思うが……、悪いが、お前らなんかより、俺達の勝利の方が大切だ。



「お前のケツをグラムで叩いたら俺の勝ちってことにならないか?ラグナ」

「うぬぼれるなよ、ユニクルフィン。鬼ごっこをするのが人間だけだと思うな」



 紅葉自身には、戦闘能力的な脅威を感じない。

 もしも封印を解かれたのが最近だとしたら、外見年齢=実年齢となり、そうだな……、ナインアリアさんやサーティーズさんと同じくらいの戦闘力のはず。

 普通の冒険者じゃ勝てないが、俺が本気を出せば、痛みを感じさせる間もなく決着が付く。

 今も、ラグナの背中にしがみつくので精いっぱいだしな。


 紅葉が持っているのは、『クリスタル解除装置』。

 それと配下への命令権。

 手札が2枚しかない以上、鬼に脅かされれば使うしかない。



「よっ、ほ、んっ、案外すばしっこいじゃねぇか、えぇ?ラグナ」

「馬鹿か貴様。我は四足でバランスを取りやすい上に、体高は2分の1。そうそうつかま、キャインっ!?」


「おっと、話し中に悪いな。隙だらけだったもんで」



 ラグナは俺の動きを目で追っていない。

 恐らく、視覚の代わりに嗅覚を使い、俺の汗や呼吸から得た情報で先読みをしている。


 そんな訳で、汗の臭い成分を破壊し、右膝から下の気配を断つ。

 そして、それと同時に一気に加速して放った蹴りで、ラグナの腹を叩き上げる。



「かふっ……」

「ラグナ!?」


「……うろたえるな、紅葉。この程度で歩みを止める我ではない」



 地面に別れを告げたラグナが、身じろぎ一つせずに空中を踏みしめる。

 その足跡にあるのは、光輝の残滓。

 なるほどな、肉体を光にするのとは真逆、光を重ね続ければ物質になるとかいう超理論も出来るのか。



「それに、鬼ごっこは一匹でやるものではない。群れの中で押し付け合うのが醍醐味だろう?」

「っ!サーベロスまかせた!!」



 ラグナが向かっている進路方向に、3つの強力なエネルギーを感じた。

 正確には、『1+1』のグループと、『1と大量』の2グループあるんだが……、とりあえず、前者の処理はしておこう。


 空間にある光の屈折率を破壊し、遠距離の視野を確保。

 そこに居るのは、黒妖犬ブラックドックの皇種と、1m弱のイタチ……、あっ、激オコジョの皇種じゃねぇか!!



「ユルドの子ぉぉぉお、殺すぅぅぅうううう!!」



 相変わらずキレ散らかしてるなぁ、激オコジョ。

 基本的に野生動物から嫌われている人間だが、激オコジョの嫌いっぷりは半端じゃない。

 普通の動物は人間を見掛けたら逃げるもんだが、コイツらは1km先から全力疾走してきて特攻、首や頸動脈を齧り取ろうとしてくるくらいに人間が大っ嫌い。


 そんな激オコジョの皇種を発見した親父は、酒に酔った勢いで返り討ちにし、気絶しているコイツを首に巻いて寝た。

 いい感じに手ごろな枕が欲しかったらしい。

 そうして、肉体的にも精神的にもボッコボコにされた『紋章鎌鼬モンショウカマソ・アーミンシロテン』は、屈辱的過ぎてどう怒ればいいか分からなくなり、ションボリしながら森に帰った。


 ……最近思うんだけどさ、英雄ユルドルードがマジ、クソ親父。



「よぉ、ひっさしぶりだな!」

「ごっ……、はっ……!?」


「残念ながら今は昼だ。枕はいらねぇぜ」



 ラグナガルムとすれ違った、犬と激オコジョの皇が襲来。

 そのまま俺ともすれ違って、2本の神秘的なクリスタルと化した。



「足止めにすらならなかったよ、ラグナ!!」

「慌てるな、押し付けるにちょうど良い奴がいる」

「完全に同意。ゴモラも疲れたし、WIN×WINになる完璧な作戦」


「「「えっ!?!?」」」



 突然、木の上から降って来た魔導師の女の子がラグナの上に着地。

 驚く紅葉の頬を摘まんで引っ張った後、颯爽と飛び降りてどっかに消えた。


 なるほどな、これが噂に聞く、歴史に名だたるクソタヌキムーブって奴か。

 人に押し付ける手腕が精錬され過ぎているぜ!!



「……はぁ、ダルい」

「で、お前、強いな?」



 すたこらさっさと逃げていくゴモラとアップルルーンの群れから取り残された、白い虎の皇。

 レベルは当然のように999999(ミリオン)、纏う風格はまさに絶対強者。

 一切の隙を見せずに立ち上がり、戦闘態勢に……、おい、何だそのやる気の無い腹ァァ!!



「くそぉ、また痩せてしまうではないか」

「じゃあ帰れ!!わんぱく触れ合いコーナーで昼寝してるタヌキみてぇな腹しやがってッ!!」

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