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第148話「御神楽幸七・久遠竜鬼-こおりおに-ローレライside③」

「いえ、でも、壊れたからと言って後で文句を言うのは無しですよ。手加減もできませんからね?」


 機械は生物ではない、故に、神経速は発揮できない。

 だが、吸収分解の悪食=イーター、ヴァジュラ、融合して操作する機体、無限の光……、様々な要因を組み合わせることにより、このエルヴィティスは疑似生命体となる。

 これこそが、エルヴィティスが全帝王枢機の中で最速と謳われる由縁だ。



「手加減ねぇ?そんな物言いが気に食わんちゅーの、マジで理解したってくれや」



000(アインソフオウル)シリーズ』

 それは、エルヴィティス専用の強化拡張パーツ。

 新しい機能を追加する魔王・天使シリーズとは異なる、エルヴィティスの性能を数倍に高める武装だ。


 召喚された2本の腕がエルヴィティスの両肩に接続した。

 それと同時に、装甲プレート付きの神経ワイヤーケーブルが全身に絡まり、癒着。

 エルヴィティスの存在理由を叶える為の形態……、それは、生態系の頂点に君臨する王蟲兵の討伐に他ならない。


 エルヴィティス、そして、エゼキエルが四碗の形態へ進化するのは、仮想敵である王蟲兵が4本の腕を持つからだ。

 彼らが持つ世界最強の力、それが、物理破壊力であろうが、加速力であろうが、貫通力であろうが、手数で負けていては話にならない。

 そんな理由から、ソドムやエルドラドは第三第四の腕を欲し、多彩な攻撃手段での翻弄を基本戦術としている。



「いくで」

「えぇ、どう――!!」



 エルドラドの声掛けは、エデンを気遣ったものではない。

 音声詠唱による、召喚魔法の行使。

 人間に与えられた種族特性すらも、エルヴィティス=000(アインソフオウル)には搭載されているのだ。


 魔法は、喉から直接放たれた声紋を重ね合わせることで、魔法次元の扉を開く仕組みになっている。

 魔導師が杖を持つのも、声紋の振動を先端に集約することで、重なりやすくするためだ。

 魔法プレート等もその技術の応用、つまり、生物の声が直接的に重なり合った場所で魔法は発現する。


 故に、機械であるエゼキエルは魔法の詠唱が出来ない。

 魔法を扱う時の仕組みは、コクピット内の操縦者が唱えた魔法を吸収し、解析。

 その後、魔法を発現させる液晶ユニットに同じ魔法陣を映し出すことで、世界に示しているに過ぎない。


 だが、エルヴィティス=000は違う。

 追加された装甲プレート付きの神経ワイヤーケーブルは、生物由来の生体パーツ。

 それを神縛不動・ヴァジュラの『結束』で機体と束ねることで、掌に操縦者の声を届けることが出来るようになるのだ。



「盾1、剣2、金剛杵1……、お気に入りフルコースですね」



 追加で召喚されたのは、エルヴィティスの専用武器『クリフォト・シリーズ』。

 13個ある形態の違う武器、その内でも最も攻撃力が高くなる組み合わせを装備し、エルヴィティスが空を翔ける。


 右腕①に装備されたのは、全身を覆い隠してしまう程の大きさの、チェインブースターシールド『強制弾圧コアサイオン』。

 エルヴィティスの戦闘スタイルたるブースター付きの盾による突進、それを光速を超える速度で行う為に開発された、電動ノコギリの様な形状のシールドだ。

 盾の側面にはプレート状ブースターが回転しており、機体の急加速、急停止、急旋回などの、人型の構造を無視した挙動を可能とする。


 右腕②と左腕①の装備されたのは、片刃の巨大ブレード『物理主義マテリアリズム』と『無神論エイシズム』。

 それぞれ、物質破壊と魔力破壊に特化した大剣であり、同時に斬り掛かることで、物質と魔力の両方を破壊し、この世界から存在ごと消し去る恐るべき技と化す。


 そして、左腕②に装備されたのは、エルドラドが持つ吸収分解の悪食=イーターが搭載された金剛杵ヴァジュラ無知の深淵(イグノランスアビス)』。

 結束・決別の能力を秘めたこの金剛杵は、物質を光に分解、もしくは、光を束ねて物質化させる不定形レーザー兵器だ。



「超光速戦闘って久しぶり。怪我をしない様に、少しずつ慣らしながらいかないとですね」

「ほざけや!!」



 右腕で構えたチェインブースターシールドを吹き鳴らし、光化学粒子を放出。

 一直線にエデンへと延びる光の道、その上を閃光に溶け込んだエルヴィティスが奔る。



「ッ!?」

「あらあら、右上から切りかかる癖が治っていませんね?」



 ガァンという衝突音は、エデンの靴の裏から聞こえた。

 光速で交わされた二度のフェイントと一回の逢瀬。

 その結果叩き伏せられた『物理主義マテリアリズム』を足場に、エデンが余裕の笑みを浮かべる。



「いいですか、袈裟斬りというのはですね……」

「ハッ!!」


「こう。……おっと、いい反応です!!」



 たんたたん、と『物理主義マテリアリズム』の上を駆け上る音、それがエルヴィティスの感覚センサーに到達する時には既に、エデンが振り下げたグラム=ギニョルの切っ先が肩の付け根に迫っていた。

 だが、エルドラドはその攻撃を予測していた。

 ――否、そうなるようにワザと右上から斬り掛かったのだ。



「へぇ……、腕ごとヴァジュラを光粒子化させた超速殴打。あぁ、手が痺れてしまいました」



 エデンが剣を振り下ろした瞬間の無防備を狙った、金剛杵ヴァジュラ無知の深淵(イグノランスアビス)』による殴打。

 一度、肘から先を光粒子へと決別させ、自然法則に従った正真正銘の光速で加速。

 そしてそれを上回る神経速で物質化させた金剛杵の先端が――、エデンの脇腹に添えられたガントレットに突き刺さる。



「なるほど、準備運動などと悠長なことを言っている方が怪我をしそうですね」

「ホンマに余裕ぶっこきやがって……」


「じゃあ、本気出しますね。《神戒既食しんかいきしょく・ラグナロク=ルーラー》」



 ゴーン。ゴーン。と響く、壮大な機械音。

 エデンが首から下げた白と黒の二重球体ペンダントが不気味な音色を奏でている。


 それは、世界の破戒音アポカリプティックサウンド

 神の定めし理が、たった今、エデンの支配下へと書き替えられて。





皆様、明けましておめでとうございます。青色の鮫です!!


えー、ようやく体調が戻ってきました。

簡単に言うとコロナウイルス感染なのですが、体が弱い僕的には非常に危機感が強く……、案の定、がっつり体調(自律神経)を壊してしまいました。


幸いなことに、症状的には軽症だったのです。

……が、うどんとおにぎりのみを毎回食べるという生活を7日間続けた結果、知らず知らずの内に栄養不足になっていたようです。

どうやら、コロナウイルスに感染すると、栄養素が大量に消費されるらしく、人間の体とは不思議なもので、ビタミンやミネラル類が不足すると、強い空腹感や恐怖感、動機や吐き気がそりゃあもう、ぶわっと湧き出してきて……、えぇ、執筆どころじゃない、酷い目に遭いました。


当たり前の事なのですが、食事と栄養素って大事だなぁと。

タヌキ共に習って、今年は色んなものを食べたいと思います。

とりあえず、タヌキうどんは暫く封印です。えぇ。


さて、本作品『ユニーク英雄伝説』につきましては、今まで通り、週2回のペースで更新していこうと思います。

あと、余裕があったら、『ソロモン72メスガキ』の更新や、短編なども投稿したいですね!


そんな近況ではございますが、皆様もお体をご自愛いただきながら、拙作を応援していただけたらと思います。

ささやかにでも笑っていただける作品を目指して執筆いたしますので、本年も、どうぞよろしくお願いいたします!!


2025.1.5

青色の鮫

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