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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第13章「御祭の天爆爛漫」

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第123話「恋人狼狐・昼の化かし合い⑨ ビショップとルーク」

「さて、メルテッサちゃんは世絶の神の因子には慣れたかな?ランク3は前とは全然違う使い勝手だけどさ」



 町を疾走するローレライの視線に射貫かれ、メルテッサは僅かに恐縮する。

 自分が手も足も出せずに一方的に敗北したユニクルフィンを見守っていたという噂の……、上位互換の笑顔が怖い。


 レベル33万を超えている彼女の戦闘力は言うまでもなく、知力比べでも、おそらく勝てない。

 目標が無くてつまらない人生も嫌だったけど、目標を理解することすらできないのも困りものだ。

 そんな悪態は顔に出せず、努めて冷静にメルテッサは言葉を返した。



「だいぶ慣れた……、というか、ホーライ様の話で認識を改めたというか。目の前にある魔道具の性能を引き上げるんじゃなく、意図した結果を作るために道具を用意する。そう考えたら、かなり視野が開けた感じだ」

「にゃは!良い気づきだと思うよ。強い武器を持つとそれだけで満足して、そこそこで終わる冒険者って多いし」



 神の因子にはランクが存在する。

 ランク1、自己対象

 ランク2、他対象

 ランク3、世界対象


 大まかに、自己強化→他者強化→世界改変と変化。

 ヴェルサラスクとシャトーガンマの精霊拍節器メトログノームはランク2、テトラフィーアの全権音階オーソリティーコードはランク3に進化しており、効果も他者影響へと変わっている。


 そして、ローレライとメルテッサもランク3の神の因子を持つ者だ。

 瞳に魔法次元を宿す『神聖幾何学魔導アルカナソーサリィ』、人類によって作り出された創造物を支配する『造物主マスターアーティクル』。

 そのどちらも、非常に優れた万能性を持つ強力な世絶の神の因子だ。



「それに、ぼく自身がチェルブクリーブと同期しているのが大きい。手に入れた監視カメラの映像をいちいち見ないで済む」

「帝王枢機を経由することで、情報整理が行われて理解しやすくなると。あらゆる魔道具が帝王枢機に無線で接続された子機のような状態って認識で良いのかな?」


「まさしく、神にでもなった気分だよ。まぁ、そんな神は英雄に殺されるのが歴史のオチなんだろうけど」



 帝王枢機はタヌキ帝王ムーが知りうる技術を詰め込んだ超魔道具だ。

 人間の文明圏にある魔道具とは性能に隔絶した差こそあるものの、カメラはカメラ、スピーカーはスピーカーであり、それらの性能を一般の魔道具と同期させることは容易い。


 現在のメルテッサが仕掛けている準備は、収集した情報をチェルブクリーブに集めて一括処理すること。

 そして、町の中にある武器や防具の性能をチェルブクリーブと同じにすること。

 これにより、メルテッサは温泉郷内の映像・音を全て認識し、チェルブクリーブを召喚しなくとも別の魔道具で代用することが出来る。



「にゃはは。神殺しはその名の通り、世絶の神の因子を持つ神を殺す武器。その性質上、使用者以外の神の因子の影響を受けない」

「ちっ、悪辣め。ぼくに対する余裕の笑みはそれが理由か。忌々しい」


「ある意味、メルテッサちゃんの上位互換って言えるかも。シェキナに関する知識を金鳳花から貰ってるのは間違いないだろうし」

「全ての魔導具 〈 神殺し ならそうだろう。だが、弓じゃ斬ることは出来ないでしょ?」


「その認識は改めてね。グラムやレーヴァテインじゃ矢を射れないけど、シェキナは違う。想像と創造の神殺しには常識なんてありゃしないさ」



 絶対に破壊するグラム、疑い否定するレーヴァテイン、どちらも尖った能力を持っているが万能ではない。

 それは、神を攻略する役割の『破壊』と『否定』を突き詰めた武器だからだ。

 そして……、シェキナが持つ『想像と創造』の役割は、『万能』。

 思い描いた理想を実現する手段を突き詰めた武器であり、弓という固定概念は通用しない。



「神殺しと言えばもう一人、グラムを持つユニクルフィンがいる訳だけど」

「にゃはは。おバカで愛しい弟くんって思ってたけどさぁ……、流石に馬鹿すぎでしょ。ワルトナちゃんの転がし方が上手いにしても、ぐっだぐだ過ぎる」


「いや……、なんというか……、レジェリクエがすごくいい笑顔で『ユニクルフィンの相手はタヌキよぉ!』って言って、メナファスやカミナ先生も同意してたけど……、」

「違う違うそこじゃない。タヌキで足止めは最適解だって、おねーさんも思うもん」


「そうなの?いや、マジでぼくが手も足も出ない相手を翻弄しまくってるタヌキ共がおかしいのは分かるけどさぁ」

「言っとくけど、おねーさんでも勝てない可能性が高い。というか、あの5匹で外の軍勢壊滅余裕」


「……マジで?」

「ユニくんに単体で勝ったバビロンを基準に、子ども扱いするインティマヤ、すごく優秀な弟子ヨミ、まぁまぁ優秀な弟子トロイア、おまけに特攻のアルカディア(タヌキ形態)だもん。あー、カテツテナイナイ」



 テトラフィーア救出に向かったユニクルフィンの前にアルカディアが立ち塞がった。

 そして、『邪魔だ退け、ぶっ殺すぞ、アホタヌキィィィー!!』という怒りの雄叫びをぶつけられたアルカディアは、迷うことなく渡されていたボタンを連打。

 カミナ・メルテッサ謹製の召喚魔道具により発生した大規模タヌキ召喚陣により……、裏タヌキ帝王が4匹も降臨するという未曽有の大災害が発生している。



「ぼくらは人類の存亡をかけて戦ってるってのに、一人でタヌキ大決戦とかさぁ」

「ちなみに、タヌキに支払った報酬はおねーさんが用意したよ。フルーツタルト」


「世界を救うフルーツタルトか。そういえば、レジェリクエの料理スキルもローレライ様が?」

「食は娯楽の最たるものだからね。王位簒奪を目論む前はパティシエになろうかって思ってたよ。にゃはは!」



 な、ん、で、生クリームを絞っていたはずが、生首を絞めるようになるんだよ。おかしいだろ。

 レジェリクエに過去を聞いた時にもぼかされたから、よく知らないけど……、なんとなく、このローレライもヤバい感じがするな?


 指導聖母で鍛えた危機感に怯えながら、メルテッサは思考を切り替える。

 時間にして、あと2分弱。

 交わせる話題も一つが限界だ。



「悪辣がテトラフィーアを真面目に援護しなかった意図はなんだと思う?」

「そりゃ、レジィにテトラちゃんを始末させる為でしょ。その後、激高したユニくんはレジェの所に行くだろうし。タヌキに邪魔されてなければ」


「確定確率確立の『ワルトナとテトラフィーアが狐の割合100%』を見せても……、ダメそうだなぁ。タヌキにも化かされてるし」

「まー、信じないでしょ」


「レジェリクエが『ワルトナが煽られている欲求は性愛だ』って言ってたね。……そういえば、あいつの表の指導聖母名、誠愛シンシアだったっけ」

「前も話が出たけど、あの子とユニくんの独占が目的。その為にユニクルフィンに好意を持つ人間をすべて殺したいって所だろうね」


「ヤンデレが過ぎる。こんな拗らせてる奴、小説でも見た事ねーよ」

「特に、深い関わりを持つおねーさんと、露骨なメルテッサちゃんは絶対に始末したいんだろうね。……ほら、準備万端で待ち構えてる」

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