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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第13章「御祭の天爆爛漫」

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第36話「ユニクルフィンの主張⑨」


「着信はリリンと表示されている。ちっ、無視できない嫌なタイミングだねぇ」



 俺の携帯電魔は誰に掛けても音信不通だった。

 リリンだけは魔力が届かない、そして、ワルト、テトラフィーア、サチナいずれも電源が入ってないとかで繋がらず。

 だが、今、目の前でワルトの携帯電魔は鳴っている。



「どういうことだ?確かに電源が入っていないって言われたんだが」

「んー、異常はないね」


「メルテッサ?」

「造物主で調べてみたけど、故障していた経歴はないよ」



 メルテッサが持つ造物主は、過去にない性能を発揮した記録を閲覧できるらしい。

 それは正と負、性能の最高記録と最低記録が更新された時。

 例え、俺の携帯電魔を故障させて修理したのだとしても、記録は残る。

 通信不能状態の過去が無いのなら、故障はしていなかったって事になる。



「なら、レジェの城にある親機の方だね」

「親機ってなんだ?」


「携帯電魔や隷属手帳、支給されている魔導銃などに搭載されている通信システムは、レジェが管理しているんだ」

「カミナさんじゃないのか」


「結構手間がかかるから配下の情報技術者がやってるんだよ。レジェの命令には従うし、カミナなら遠隔で操作する手段を仕込んでいてもおかしくない。だから罠の可能性も高いが……、出た方が良いね。リリンがいるのはタヌキ基地だし」



 ……なるほど。

 親機側で情報封鎖が仕掛けられるも、通話ができないことに気づいたリリンがタヌキに相談。

 さっさと解決して、電話を掛けて来た可能性があるのか。


 僅かに緊張した顔で、ワルトが携帯電魔の画面に指を当てた。

 荘厳な着信音が止まり、代わりにリリンの声が聞こえてくる。



「ワルトナ、なぜか温泉郷に入れない!!」

「落ち着け。今どこにいる?」


「温泉郷の関所の外!!誰も入れないから凄い人混みになってる!!」



 通信機の故障には触れなかったな?

 そして、周りに温泉郷を訪れた客がいるようだ。

 平常時なら良いことだが、その中に130の獣が紛れているかもしれない。

 どうにかして、帰って貰った方が良い。



「リリン、ちょっとお使いを頼まれてくれるかい?」

「お使い?」


「今、温泉郷は白銀比様によって通行が禁止された。その旨を関所に伝えて、集っている冒険者を解散させるんだ」

「なんて言えばいいの?」


「持っている入場チケットを2週間後から使える最上級チケットと交換するように指示しておくれ」

「分かった。他には何をすればいい?」


「渋る冒険者が居るだろうから魔王シリーズで威嚇。僕らがリリンを迎えに行くまでに、観光客をゼロにして」

「了解。最速で片付けておく」



 ……やるのは威嚇だぞ、威嚇。

 最短最速でブチ転がすんじゃないからな。


 そうして通話が終了。

 リリン分断が確定し、いろんな不安が残ったが……、俺達の詳しい情報を伏せたのは、この電話に信憑性がないからか?



「俺が聴く分にはリリンの声だったが……、声真似をしたレジィって可能性はあるのか?」

「メルテッサがしたように、機械で声を変えているかもしれない」


「テトラフィーアが居れば判断が出来るんだろうが、どうする?」

「通信機を使えば、その時の現在位置がバレる。使用するときは僕の前だけにしてくれ」



 ワルトが打ったのは、どう転んでも利益が出る妙手。

 もしも、さっきの相手がリリンじゃなかったとしても、冒険者を解散させるしかない。

 そうしないと、リリンじゃないと俺達に教えるようなものだからだ。



「そろそろ4時だが……、やっぱりお前は期待を裏切らねぇよな、キングフェニクス!!」

「ぐるぐるきんぐー!!」



 近づいてくる軽快な足音は、2名。

 大地を蹴る雷界の警告者、そして、伝説の雷老爺だ。



「ユニク。どういう事態になっておる?」



 カロン。っと下駄を鳴らした村長から、詰問が飛ぶ。

 俺が知る人類最大戦力の威圧、それに怯えたサーティーズさんがはわわわわ……と震えている。



「勝利についての話とはなんじゃ?」

「なんとなく予想してたんじゃねぇのか?だから、俺達に無色の悪意との因縁を話した」


「……そうか、やはりか」

「まだヴィクトリアは関わってねぇ。だが、無色の悪意は来てる」



 これは憶測にすぎない、妄想。

 だが、想定しうる最悪のシナリオである以上、考慮しない訳にはいかない。

 130の頭、それにヴィクトリアが関わっている可能性を。



「無色の悪意を宿した金鳳花がゲームを仕掛けて来た。人狼狐、町で配ってたチラシがこれだ」

「ふむ……、」


「時揺れの閨室は知っているか?その封印が解かれて、白銀比が犯人を逃がさない様に結界を張った」

「なんじゃと?ノウィン様は何と言っておる」


「神と一緒に居るらしい。この物語を鑑賞する為にな」

「……事態は終章まで進んでおるということか」



 目の前にいる村長が本物かどうかも、無色の悪意を持っているかも不明。

 だが、呼び出した時点である程度は察しているだろうし、素直に情報を話した方が良いと判断した。

 ここにいる全員に俺達の現状を話し、人狼狐捜索の協力を要請する。



「俺ができる説明は以上だ。ワルト、これからどうする?」

「最優先はサチナ達と合流、次点で白銀比様。次にリリン。ここまでは絶対だ」


「当初の捜索対象はどうする?」

「……。レジェは……、敵なのが確定。おそらくカミナも。二人ともが無事なら携帯電魔に細工できない」



 心無き魔人達の統括者の頭脳担当の2名が敵か。

 想定していたとはいえ、はっきり言われると心に来る。



「二人を追い詰めるのはサチナと合流し、リリンを迎えに行く前にしたい」

「……なに?リリンも一緒の方が戦力的に良いだろ」


「仮だとしても友達を殺す所を見せたくない。……って言ったら、怒るかい?」



 俺が知るレジィとカミナさんの実力は、俺やワルト、メルテッサや村長には遠く及ばない。

 だが、それが偽りだった場合は総力戦になり、互いに傷つけ合うことになる。

 それをリリンに見られたくないのか、ワルト。



「とりあえず、白銀比様を探すチームと、サチナを探すチームに分かれよう」

「どう分けるんだ?」


「ユニとホーライ様とサーティーズ」

「じゃあ、ワルトとメルテッサとキングフェニクスか。で、俺達が白銀比(ギン)だな?」


「気が立っているなら戦闘になるかもしれない。万が一の保険にホーライ様は居た方が良い」



 確かに、村長なら白銀比の時の権能にも対処できそうだ。

 だが、ワルトの顔に不安が残っているのは……、村長が人狼狐だった場合、俺が挟撃されるかもしれないからか。



「安心しろ。誰が相手でも負けねぇよ」

「そうかい。そういってくれるなら僕も頑張らなくちゃね。1時間後にここに集合、ユニたちは他の捜索対象を見つけても手は出さないでおくれ」


「一つ良いか?アルカディアさん達にも協力を要請したんだが、戻ってこない。どう思う」

「……っ!!逆に捕獲されたんだろうね。レジェに」



 捕まっちまったのか、アルカディアさん。

 ……だが、なんとなく無事感があるな?

 タヌキ属性だからか?



「重要なタヌキはソドムとゴモラの方。疑わなくていいってだけで、もうカツテナイし」

「色々知ってそうだしな」


「リリンと合流する為には、白銀比様を仲間に引き込むのが必須。……頼むよユニ、ここは失敗できない」


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