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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第13章「御祭の天爆爛漫」

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第8話「わんぱく触れ合いコーナー(伝説)」

「くっ……、英雄の領域に達した俺でも、7辛が限界か……」

「いや、十分すごいでしょ。同じ英雄の領域に達してるおねーさんは2辛でギブアップだもん」



 美食の魔王様ですら恐れるというD・S・Dをもっと知るため、更に2滴ほど追加してみた。

 いやマジ、ぐるぐるげっげーの音も出ねぇくらいに辛かった。

 一応、完食はしたものの……、大規模殲滅魔法に匹敵する破壊力なのは間違いない。



「ライブまでまだ少し時間はあるが……、何かを食いたいって気分じゃなくなったな」

「にゃはは、じゃあ、あっちの広場に行ってみれば?」


「何があるんだ?」

「わんぱく触れ合いコーナー(伝説)。レジィが作ったコーナーで、エグラ達ドラゴンが宴会してるよ」



 ……魔王様公認の珍獣餌付けコーナーか。

 って、そういえば、冥王竜への報酬の豪華宮廷パーティーはまだだったな。


 レジィとテトラフィーアは今、戦争の後処理で忙しい。

 それなのに、タヌキ基地に乗り込んだり、ホーライの所に遊びに行ったり、魔導枢機霊王国・国王の歓待を楽しんでいるようだが……、ドラゴンを持て成す余裕はないようだ。

 恐らく、後回しにするための繋ぎとして計画したに違いない。



「どんなんだか気になるし、見に行ってみるか」

「じゃ、差し入れ持ってって。用意してあるからさ」



 レラさんが指さしたのは、奥で作られていた巨大な寸胴鍋×3が乗った台車。

 中には旨そうな豚汁がたっぷり入っている。

 どう考えても重労働な訳だが……、有無を言わせないレラさんの笑顔を見る感じ、これを頼むために豚汁の代金はタダで良いって言ったっぽい。

 まったく、英雄様には隙がねぇぜ!!



「しゃーない。ちょっと行ってくるぜ!」

「さっすがユニくん!おねーさんの可愛い弟!!」



 **********



「こっちの道にも出店があるんだなー、……あ、肉巻きおにぎりあるじゃん。買うか」



 五目御飯をベーコンで巻いてあるこの絶品おにぎりは、わんぱく触れ合いコーナーでも売っていた。

 食欲が無くてもつい買ってしまったのは、これが美味いと知っているからだ。


 リリンやワルト達への差し入れにも丁度いいし、30個……、いや、タヌキ補正を考えて50個購入。

 そしてついでに、特大サイズを3つ。

 豚汁にはやっぱり米だろ!



「おー、いたいた。あいつが月希光を覆う黒塊竜(エグリプス・ムーン)か……。でけぇな」



 村長の昔話に登場した黒塊竜は、現在、レラさんのペットと化している。

 ゴモラが操縦するアップルルーン1機よりも強いという話もあったし、俺が知る生物の中でもかなりの実力者だ。

 レラさんとどっちが強いのかは不明だが……、レーヴァテインから解放された恩を感じ、大人しく従っているらしい。



「ふむ?」



 あ、気づかれた。

 覚醒グラムの存在感は破壊しているから、一般人と変わらないはずなんだがな。



「よぉ、冥王竜。飯食ってるか!!」



 とりあえず、手前に居た顔見知りに話しかけてみる。

 ちなみに、ホロビノは子供たちに大人気過ぎて、近づけそうにない。



「ほぉ、赤き先駆者ではないか。流石はレジェリクエの歓待であるな、十分に満足しているぞ」



 森を切り開いて整地しただけのグラウンドに、伝説の竜が3匹。

 一番でかい黒塊竜のサイズは100m超えで、圧巻の一言。

 二番目の中くらいサイズな冥王竜は15m。戦争の時よりちょっと伸びてる。

 三番目の小型サイズな天王竜は4m。態度のでかさはコイツが一番。


 系統の違うドラゴン3種の展示は、見事に観光客や冒険者の心を鷲掴み。

 黒塊竜の力強さやカッコよさに畏怖を向ける観光客、冥王竜の真っ当なドラゴン感に関心する冒険者、そして、ホロビノの愛嬌ある仕草にキャーキャー言ってる女性や子供と、綺麗に三等分されている。



「ここの飯はよいな。量こそ少ないが様々な味があって面白い。酒も美味いし」



 どうやら、冒険者たちが持ってきた貢物の対価として、冥王竜が見た人間の歴史を語っていたようだ。

 周囲の冒険者も興味津々で聞いており、中にはメモを取っている学者もいるなど、互いに利のある関係が出来ているようだ。



「ほぉ、貴様も貢物を持ってきたのか?殊勝な心掛けであるぞ」

「確かに持ってきたが、ミオさんやレラさんからだぞ。後で礼を言っとけよ」



 台車に乗っている寸胴鍋の蓋を取り、豚汁の匂いでドラゴンを誘惑してみる。

 結果は……、3匹とも目を輝かせてこっち見やがった。

 レラさんの豚汁は、ドラゴンも魅了するようです。



「あぁ、そうだ。辛くすることもできるが、どうする?」



 俺が懐から取り出した赤い瓶は、もちろんD・S・D。

 ドラゴンの反応が見たくて貰って来た訳だが……、あ、すげぇ、ホロビノが震え出した。

 伝説のドラゴンを怯えさせるとか、ヤバすぎんだろ。D・S・D。



「辛くだと?ふっ、望むところだ。我は辛党なのだからな。うんと辛くしてもらって構わんぞ!」



 ほぉぉ?そうかそうか。

 辛党なのかお前。

 つらいい竜生を送ってるって言ってたもんな。


 ……よし、一瓶全部いくか!

 言質は取ったし、暴れたとしても師匠が二匹もいるなら問題ないだろ。なんなら俺もいるし。


 それに、寸胴鍋に入っている豚汁の量はざっと30人前。

 俺と同じ7辛だと210滴になるわけだが……、数えながら入れた結果、380滴で終了。

 思ってたよりも入っており、ミオさんおすすめの10辛を超えちゃったが……、ま、辛党なら大丈夫だろ。



「ほら、できたぞ。あ、飲み物を用意しておけよ」

「香ばしい匂いだ。さぞかし酒と合うだろう。では、いただこう」



 右手に酒樽、左手に激辛スープ。

 そんな晩酌スタイルで後ろに倒れた冥王竜の顔は、馬車にひかれたトカゲそっくり。

 舌とか、涙とか、尊厳とか、顔からありとあらゆるものを飛び出させながら、泡を吹いて痙攣している。



「きゅ~あ~~きゅ~~あ~~^^;」



 あ、見かねたホロビノが介抱しに来た。

 ゆっくり冥王竜の顔に近づき……、喉をドスッ。

 パァァァ……と冥王竜の姿が光り輝き、何事もなかったかのように起き上がる。


 これ、介抱っていうか、介錯だったっぽい。

 いっそ転生させた方が苦しみが少ないと判断したようだ。



「はっ、なんなんすか今の!?あまりの衝撃で死んだかと思ったっすよ!?」

「冥王竜をほぼ即死させるとか、ヤバすぎんだろ。D・S・D」



 仮にも上位個体の冥王竜でこうなら、森ドラやドグマドレイクなら一撃必殺で間違いない。

 わんぱく触れ合いコーナーに持ち込まれると厄介だし、サチナに警告しておこう。



「にしても、赤き先駆者よ。供物に毒を盛るとは良い度胸をしているな?」

「一応、香辛料なんだがな。ミオさん愛用の」


「……。マジやべーアレっすかッッ!?!?それを先に言って欲しかったっす、ぞ」



 なんだ、経験済みだったのか。

 ……って確か、竜は死んだら耐性を付けて蘇るって話だったよな?

 それなのに瀕死になったって、前の時はオーバーキルされたのか。



「悪い悪い、これをやるから許してくれ。そい!」



 隠し持っていた肉巻きおにぎりでご機嫌を取りつつ、ホロビノにも2匹分の豚汁とおにぎりを渡す。

 そして、ホロビノは黒塊竜の所を経由し、自分の陣地へ。

 そこで女性や子供たちと楽しく豚汁パーティーを始めた。



「ふひぃー。全くひどい目にあったっす。あ、このおにぎり美味いっすね!」

「そう言えば、昨日一昨日と、どこに行ってたんだ?」


「あっちの森っすよ。輪廻を宿す(リィンカーネーション)木星竜(・ジュピター)さんの所っす」

「ジュピター?」


「我が師や叔父上と同格の惑星竜で、ダルダロシア大冥林の顔役をやってるっす」



 様々な皇種が住んでいるダルダロシア大冥林の顔役だと……?

 だとすると、ベアトリクスやラグナよりも格上。

 まさか、黒塊竜よりも強いってことはないよな?



「へぇー、ちなみにどのくらい強いんだ?同格って言っても、優劣はあるだろ?」

「木星竜さんマジ強いっすよ。一回も死んでないって話っすもん」


「一度も死んでない、だと……?」

「そうっす。もちろん、那由他様や蟲量大数様の世界終焉は別っすよ。でも、始原の皇種以外には殺されたことないらしいっす。はー、憧れるっすねー」



 それってつまり、現在進行形で弱体化しているホロビノや、村長に殺された黒塊竜より強いってことになるんじゃないのか……?

 なんか、ヤバそうなドラゴンがいるっぽい。

 ベアトリクスあたりから情報を仕入れておいた方が良さそうだ。


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