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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第12章「無色の篝火狐鳴」

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第110話「心無き魔人達の質問コーナー!①」

 

「それでは熱烈なファンの皆様のご要望にお答えするとしようかのう……、ホーライ伝説、質問コーナーの始まり始まり~~」



 俺自身は熱烈と言う程でもねぇが、質問を受け付けてくれるのなら好都合。

 実際に興奮し過ぎて熱暴走しそうなリリンを筆頭に、ただならぬ感情を隠しきれない魔王共がひいふうみぃ……うわぁ、いっぱい。

 このまま放っておくと俺が火傷しそうなので、上手いこと発散させておかないと。



「じゃ、俺から質問いいか?」

「言うてみぃ」


「じゃ遠慮なく……。結局、どういう理屈で生きてんだよ!?村長(じじぃ)ーーッ!!」



 ぶっちゃけ何回、死に掛けたのかの分からないが、最終的には死んでいたはず。

 ……なのにピンピンしてやがる。

 あろうことか、500年経った今でも元気でドヤ顔していらっしゃる。



「神との最終決戦に勝つには、神 VS 蟲量大数+那由他の構図にするしかない。つーことは、村長もヴィクトリアも死んでるよな?」

「じゃろうな」


「じゃあ何で生きてんだよ!?世界を作り直すって話だったが、魂の保管場所であるヴィクトリアが死んじまったら、それも出来ないはずだろ?」



 ……俺は昨日、タヌキに殺された。

 あの冗談みてぇなデカさのクマジャナイ?タヌキ、バビロンに。


 アイツの解説では、入れ物である心臓を捥ぎ取り、魂を完全な形で悪喰=イーターの中に保管出来た場合の蘇生は容易なんだとか?

 わんぱく触れ合いコーナーの蘇生システムも、魂を逃がさないように結界を張った上で、予め読み取っていた記憶を元に肉体を再生している。


 今回も悪喰=イーターが鍵なんだろうが……、ホント万能だなぁ。神ジャナイ?タヌキィ。



「儂自身も死んでおったから、真偽不明ではあるが……、那由他様は神を欺く為に、白銀比様の権能を使っておったじゃろう?」

「なるほど、時の権能でヴィクトリアを蘇生したのか」


「おそらくな。儂では想像も出来ん難易度であろうが、戻った2年前の時点で生存していた生物まで生き還っておるのは、時の権能を利用したとしか思えん」



 ……だとすると、世界再誕に白銀比ギンも関わってる?

 キツネに唆されたヴィクトリアと相性が最悪な気がするんだが、大丈夫か?



「その話の裏は取れているわよぉ」

「ん、誰に聞いたの?レジェ」


「貴女のお母様ぁ」

「えっっ!?」



 どうやら、大魔王陛下は大聖母さまと内通していたようです。

 しかもワルトが頭を抱えているとか、面倒な事この上ない。



「なんでお母さんと話をしているの!?そういうのは良くないと思う!!」

「くすくすくす……。ねぇ、余がどんな気持ちでお話をしたか分かるぅ?」


「悪企みに決まってる!!絶対そうだと思う!!」

「正解ぃ。けど悪企みをしたのは余じゃないわぁ。ハメられたのよぉ、貴女のお母様にぃ」


「えっっ!?」



 あ、すごい。

 満面の笑顔の大魔王陛下の額に、太い血管が浮かび上がった。



「サーティーズをここに放り込んだ後、余は白銀比様に呼び出されたのぉ」

「それでなんでお母さんが出てくるの?」


「鈍いわねぇ。白銀比様も大聖母も『金鳳花』の動きに細心の注意を払っている。結託してるのは当然でしょぉ?」



 なるほど、言われてみればそうなんだが……、問題が増えた。


 もはや疑う余地も無いくらいに、大聖母=ゴモラだ。

 それどころか、ソドムすら従えているっぽい。


 で、俺達がゴモラの正体を教えに行った時、白銀比はそれを知らなそうな雰囲気だった。

 記憶が読めるはずなのに隠し通せていた訳で……、あ、そっか。

 指導聖母に神ジャナイ?タヌキがいるんだったな。



「部屋の襖が開いた瞬間、余がどんな気持だったか分かるぅ?ねぇ、ワルトナぁ」

「だからって、僕に同じことするのは違くない?」


「何を言っているのぉ、ちゃんと手心を加えてあげたでしょぉ」

「一応、3対3ではあったけどさ。その口ぶりじゃレジェは2対1だった感じ?」


「3対1よぉ。唯一神様も居たものぉ」

「……心中お察しするよ。お悔やみ申し上げます。ちーん」



 帽子を取って深々と頭を下げたワルトへ、大魔王陛下の冷たい視線が突き刺さる。

 今にも一触即発な雰囲気だが……、周囲の反応を見る感じ、これが平常運転なようだ。



「唯一様から聞いた話と齟齬があるように感じるのは、視点の主観の違いがあるからかしらねぇ?」

「ふむ、何処がどう違うのかのう?」


「余が聞いた話だと、ラルバを操っていたのは父親のジュゼッペ。もちろん、彼も金鳳花の毒牙に掛っていた訳だけどぉ」

「なるほどのぅ。儂を呼び寄せたのは奴らじゃったからな」



『大陸一、”金”に愛された男』革命家・ゼペット』


 この名前で活動していたジュゼッペは、アニマ連合を手に入れる為、中立であったブルファム公爵家令嬢、ライセリアを欲した。

 なんやかんやあって、まんまとライセリアを手に入れられたのは、金鳳花の手引きがあったからだ。


 で、金鳳花はジュゼッペを主人公にした建国物語を神に奏上しており、二人揃ってメイドに化けて近くで鑑賞していた訳だ。

 ……ホント非道い。


 そして、強力な世絶の神の因子を持ったラルバが生まれ、金鳳花は次章の主人公を彼女に定めた。

 20年もの長い時間を掛けて育てたラルバに人間の皇殺しという一線を超えさせる為、金鳳花はジュゼッペをあっさりと切り捨てたらしい。



「ならば、馬車が滑落した際に剣が車内を駆け廻ってしまったという供述もジュゼッペによる嘘か。愛する妻を亡くし精神を病んだと思っておったが……、自身の野望の為だったとはいえ、自ら手に掛けた後悔による憔悴だったのだな」



 思わぬ真実が出てきたが、結局は過ぎたことだ。

 俺が知りたいのは、村長が何故生きているのか……、あとどのくらい生きられるかだ。


 大魔王陛下の解説によると、神ジャナイ?タヌキが世界を作り直す時には、最初に白銀比を蘇らせるらしい。

 物凄く苦々しい顔をしていたようで、想像を絶する重労働っぽい感じがしたとか。



「ヴィクトリアという名前も出なかったしぃ、唯一神様は意図的に情報を抜いているわねぇ」

「レジェ、たぶんそれ、酒に酔ってて適当なこと言ってるだけだよ。たぶん」


「そんなことあるのぉ?仮にも神様でしょぉ?」

「アイツは神だぞ。常識なんて通用するもんか」



 村長を含む全世界の生物は、2年前の状態へ戻された。

 死んだ人も……そして、生まれた人も無かったことになり、造物主や神像平均の影響を受けた魔道具も元に戻っている。

 全てが良しとはいえないが、無難な結果ではあるはずだ。



「村長を生き返らせたのは、那由他、ヴィクトリア、白銀比……、他にも関わってる奴がいるかもしれないが、死んでいたから分からないと?」

「お陰さまで、この通り元気で過ごしておるわ(笑)」


「いやおかしいだろッ!?追加で500年も生きてやがる説明がねぇぞ!!」



 当時のホウライは60歳前後。

 普通に考えれば、あと50年も生きられない。



「一瞬、皇種になったからか?って思ったが……、皇の資格も無かったことにされてるよな?」

「うむ。じゃが、ガラティン卿も資格を剥奪されていてな。おそらく、再びラルバが皇になるのを防ぐ措置じゃのぅ」


「だったら尚更おかしいよな?」

「……ヴィクトリアのおかげじゃよ。儂が生きておるのは」



 ポツリポツリ語り出した村長によると、村長には特別な措置が二つ施されていたらしい。


 一つ、村長は記憶を消されていない。

 事のあらまし以外にも、ラルバから受け継いだ皇の記憶もしっかり覚えている。

 そうしないと、ラルバが同じ事を繰り返す可能性があるからだろう。



「そしてもう一つ。儂の身体は、外見はそのままに若返っておった」

「うん?」


「ある程度、肉体を修復されたようでな、年齢によって刻まれたシワ等はそのままに、寿命のみが伸びたような感じかのう?」



 なるほど、村長に人生をやり直して欲しかったヴィクトリアは、寿命を延ばす措置を施していたと。

 愛する人と結ばれなくても、その相手の幸せを願う、か。



「残りの寿命が80年前後になってたんだな。これこそが真実の愛ってやつk――」

「でも、ちんちんは治して貰えなかったのねぇ?」



 雰囲気ブチ壊しだぞ、大魔王陛下ーーッ!!



「それ言っちゃうのかよ!?確かに俺も気になったけどさ!!」

「大事なことでしょぉ。ブルファム王家にホーライの血が流れてるのなら、メルテッサは子孫になる訳だしぃ。なんなら、ユニクぅやリリンも血族になるかもしれないのよぉ?」



 ……。

 こんの妖怪じじぃが俺のご先祖様になる、だと……?

 うーん、これ以上の属性はいらないかな。



「仕方がなかろう。儂の息子が役に立たなくなったのは奉納祭の時だろうからのぅ」

「あー、雷でやっちまってたのか。可哀そうに」



 世界を作り直している以上、玉の一個や二個くらい再生できてもおかしくないとは思う。

 けど、やむをえない事情があったに違いない。


 俺もよく知っているが、乙女心ってめちゃくちゃ複雑だからな。

 ベッドの上でタヌキに変身しつつ、赤らめた顔で尻尾を唸らせる乙女だっているくらいだし。



「そんな訳で、儂の残り寿命は80年、ラルバは60年。何事も無ければ、彼女より長生きできる体を手に入れた訳じゃ」

「良かったじゃねぇか、ちゃんと約束守れてさ。……って、やっぱりおかしいじゃねえか!!360年分はどっから湧き出てきた!?」



 村長の年齢60+追加の寿命80年=140年。

 しれっと普通の人の2倍近く生きているが……、500年には全然足りねぇぞ。



「儂がラルバとした約束は、どちらかの寿命が尽きるまで生涯を共にするという誓い。じゃから、ラルバが死んだ後でヴィクトリアを探すつもりでのぉ」

「未練たらたらじゃねーか!!あんだけカッコいいこと言っといて!!」


「そうは言うが……。ほほほ、右と左を十回みてみぃ(笑)」



 右、クッキーで頬を膨らませた大魔王ハムスター。

 左、紅茶を淹れてる大魔王牧師。


 右、ドーナッツで頬を膨らませた大魔王ハムスター。

 左、紅茶を飲んでる大魔王牧師。


 右、チュロスで頬を膨らませた大魔王ハムスター。

 左、紅茶に砂糖とミルクを投入してる大魔王牧師。


 右、ポップコーンで……食い過ぎだぞ、ハムスタぁぁ―!!



「ま、あれだけ大言を吐いといてラルバより先に死にましたでは笑えんからのう。ちょっと魔法を極め、このとおり健常で過ごしておるわい」

「一応聞くが……、今も元気ってことで良いんだよな?」


「超越者とは生物の限界を超えし者という意味じゃ。寿命など、有って無いようなもんじゃわい(笑)」



 その理屈だと、俺も不老になるんだが?

 同じく超越者のレラさんが肩を竦めて苦笑いしている以上、この村長が特別なんだろう。


 ……うん、妖怪で間違いないな!


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