表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第12章「無色の篝火狐鳴」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1029/1331

第53話「ホウライ伝説 神愛なるもの⑪」

 


「みんな……、世界を滅ぼしてッ!《最大超過成体ッ!!(マキシマム・イクセス)》」



 白くて小さな蟲が鳴く。

 生命(いのち)を愛した、その声で。



「お、おぉぉ、、おおおお……ォォォォオオオオオオオッッ!!」



 生命進化

 生きとし生きる者の願い、憧れ焦がれた願いの帰結。

 種が永く生き残る為に、より多く捕食し、より大きく成長し、より多くの子孫を残すシステム。


 だが、これより行われるのは、たった一人へ捧げる願い。

 無量大数のその先、無限への挑戦。


 全知・全能・全命、三種の始原の皇種の権能を声に乗せ、ヴィクトリアが愛を渡す。

 それは甘い甘い、愛烙譲渡スウィートマータ

 世界を終わりへ誘う、特別な愛。



「姫よ」

「……一番乗りだよ、ホウブンゼン」



 ヴィクトリアは空を見上げた。

 その先には、全長80mにも膨れ上がった斑模様の巣。

 それを背負う異形なる化物へと成長したホウブンゼンが、世界へ針を突き立てる。



「《世界超越の応力(エクセス・パスカル)》」



 上下逆さまなピラミットを二つを繋げた様な、巨大な菱形構造物。

 下半身に連結されたその表面にあるのは、無数の射出口だ。


 行われたのは、たった1秒の吸気の繰り返し。

 20刻みで低くなっていく大気圧に反比例するように、巨大な弾丸が砲門に装填されてゆく。



「あなたの担当は北。大陸と海を含めた生命を一匹残らず根絶やし。できる?」

「即座に」


「……やって」



 炭酸飲料にラムネ菓子を入れて、掻き回す。

 説明文で表すと僅か一行、そんな暴虐の範囲は弾丸一発で1平方メートル。


 毎秒2発装填、同時射出数5000。

 たったの10秒の爆撃によって、100億平方メートルに存在した文明が圧壊。

 付随する桁違いの応力によって、物質の内部から尽く有爆してゆく。




 *****************




「確かに神殺しはボクとしても警戒せざるを得ない武器だ。けどさ、たった一本しか抜かないとは大した度胸じゃん?」

「道具の性能を複製しておる以上、手広く使うのは悪手じゃからの」


「おっと露骨なボク対策ぅ。くはは、いいね!警戒してようがいまいが、使わせちまえば関係ない!!」



 那由他の願いは”食”。

 故に、食への礼節を最大源に重んじる。


 そんな彼女は両の掌を合わせ、これから頂く命へ感謝を捧げた。

 そして、金色の糸で織られた美しい手袋を纏った指を、ゆっくりと食事()へ差し向ける。



「《神饌真理しんせんしんり森羅供食しんらきょうしょく》」



 那由他が空に指を滑らした直後、何もない空間が揺らいだ。

 そこには確かに何も存在せず。

 ついさっきまで存在していた那由他の姿でさえ、忽然と消えている。



「なるほど。グラムの刀身どこ行った!?って思ってたけど……、数ミクロンの刃で出来てる訳ね」



 つぅ……と頬から零れた血を指で拭いながら、神が呟いた。

 そして、驚き半分、楽しさ半分といった表情で、迫る那由他を迎え撃つ。



「面白いじゃん」

「確かにの。前回の神なら、この一撃で決着じゃった」



 那由他が覚醒させたグラムの形は、肘までをすっぽり覆う長手袋状だ。

 いくつも織りこまれた幾何学刺繍、それに使用されている糸の全てがグラムの刃。

 0.001ミリ以下にまで研ぎ澄まされた絶対破壊、それが壊すのは世界に設定された概念法則。



「まさしく搦め手だね!蟲量大数の能力を手に入れているボクに対抗するには、同じく神経速を出すしかない。が、キミは距離そのものを破壊することで、移動時間をゼロにしている!」

「これくらいできなければ話にならんじゃの」


「大前提からブチ壊すか。いいね、ぞくぞくする、先の読めない展開ってさぁ!!」



 観測できるあらゆる力で最強な蟲量大数と比べると、那由他の肉体はあまりにも脆弱だ。

 硬い鎧骨格を持つダンヴィンゲンやカナケラテン、帝王枢機エゼキエルの装甲と比べても見劣りしてしまう程でしか無い。


 だが、那由他には知識がある。

 そして、脆弱な肉体でも……、いや、脆弱な肉体だからこそ取れる戦法を駆使し、蟲量大数と互角に渡り合ってきたのだ。



「さぁ、やろうじゃん!全能と全知、真っ向からぶつかり合うガチ勝負をね!!」

「仕方がない。付き合ってやるかの」



 パリ……っ、と空気が弾ける瞬きの合間に、千を超える殴蹴が炸裂した。

 神経速で動く神と、距離時間概念そのものを破壊する那由他。

 互いに殴り、防ぎ、世界ばかりが傷付いてゆく。



「はぁっ、はぁっ……、いつも思うけど、お前の反射神経どうなってんの?蟲量大数よりやりにくいんだけど」

「お互い様じゃの。毒ガス、死外光線、超低温……、アンチバッファの見本市のような真似をしおって」



 神の意識と世絶の因子の融合が進んだことにより、複数の対象へ同時に能力付与が可能になっている。

 そんな大前提の上での戦い、神が取った戦法は『罠による消耗戦』だった。


 絶対破壊が織りこまれた手袋による攻撃は、魔法とは相性が悪い。

 それをよく知る神は、確実に効果がある手数での勝負を仕掛けたのだ。

 そして、那由他は思惑通りにそれら全てを退ける。



「だけど、ボクを脅かすほどじゃないね。そろそろ次の神殺しを使ったら?ソドムが持ってたエクスカリ――、え?」

「焦る必要があるのはお主の方じゃな、神。ざっと20億は消し飛んだからの」

「ふぅむ、今ので随分と平均値が向上したぞ。なにせ、生き残ったのは竜と古タヌキくらいなものだ」



 空爆。としか表現しようがない猛烈な閃光と有爆。

 それが北を埋め尽くした直後、神の頬に冷や汗が流れ落ちた。


ホウブンゼン一匹ですら、この威力よ……。

ソドム&ゴモラが警戒するのも納得のヤバさ。



王蟲兵を全員分書きたかったのですが、猛烈に眠いので、次回に持ち越しですー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ