表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第12章「無色の篝火狐鳴」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1013/1331

第37話「ホウライ伝説 知らしめられる建国 23」※真・タヌキ無双 挿絵あり」

魔神の靭帯翼(デモンリグメント)・展開、重力加速ブースター・フル起動。光機導展開、全行程完了オールグリーン。……行くぜ」



 それは、バフォメットの如き、漆黒の機神の目覚め。

 タヌキ帝王ソドムの本気……、最強形態となったエゼキエルの鳴動によって齎されるのは、カツテナキ物語。

『世界滅亡』の終焉、そして、新たなる時代の幕開けだ。




挿絵(By みてみん)





「そこの黒塊竜モグラ。とりあえず死んどけ」



 ソドムの声に反応した四対八機の加速機が、一斉に陽光を吹き出した。


 巨大な翼のように空へ展開したこの自律浮遊ユニットは、エゼキエルに亜光速戦闘を可能とさせる補助装置。

 本体に直接連結されている従来のブースターと違い、これらはエゼキエルに対し、引力、斥力、重力、磁力といった、視覚では捕らえられない力を作用させる。

 これにより、従来のシステムでは行えなかった急制動が可能となるのだ。



「ぬぅ!?速――」

「……のもあるがな、お前が遅ぇ」



 エゼキエルが発揮できる最大速度は『亜光速』。

 それは高位超越者……、七源の皇種や王蟲兵はもちろん、一部の皇種と比べても遅い部類に属している。


 ……だが、このエゼキエルを捕らえられる者は少ない。

 機体に備わっている様々なセンサーによる高精度認識、真理究明の悪喰=イーターによる未来予知、魔神の靭帯翼による物理法則無視軌道、そして、ソドムが持つ高い操縦技術。

 これらが組み合わさった結果、黒塊竜の爪撃は意味をなさず……、その代償として命を失う事となる。



「ごぶ……」

「随分と脆い脳味噌だなぁ、えぇ?」



 ガァンという、鋼鉄を叩き割ったかのような打音。

 鱗を、皮膚を、頭蓋を、脳を、たったの一回で噛み潰したのは、巨大な左腕による握手だ。


 振り下ろされた爪撃を僅か数ミリを残して回避したエゼキエルは、集めた情報を精査して黒塊竜の動きや空気の流れを見切り、最短距離を計算。

 そうして肉薄し、左腕一本で黒塊竜の頭を捕らえたのだ。



「あばよ」



 そしてソドムは、黒塊竜の頭を握りつぶす。

 どんな鱗だろうが関係ない。

 エゼキエルに備わっている力に耐えられるのは、同じく神に由来する者だけだ。


 神敗途絶・エクスカリバー第一の能力、『絶対勝利』。

 この剣および、装備しているエゼキエルが発生させた傷は『絶対化』し、回復や時間逆行による復元は行えない。

 そしてソドムは、その能力の真理を解き明かし、更なる能力へと昇華させていた。


『神喰途絶=エクスイーター』


 真理究明の悪喰=イーターを融合させた覚醒体であるエクスイーターは、相手の脆弱性を見破り看破する。

 故に、ソドムが行う攻撃の全ては必ず相手の弱点を突く、クリティカル。

 それが破壊できる物質である限り、通常攻撃ですら必殺と化すのだ。



「で、ごきげんようって所か?」

「死こそ竜の誉れだ。無限に繰り返す消耗無き死、その果てまで付き合って貰おうか。ソドム」



 だが、それで勝負が決する事は無い。

 首から上を失った肉体が崩壊すると同時、離れた場所で黒塊竜が再誕する。

 その鱗は艶やかなまま、称える表情にも、僅かな曇りすら見当たらない。



「そんな暇はねぇよ。テメェらの心がへし折れるのを待つにゃ、時間がなさすぎる」



 エクスイーターが搭載された巨大剣を天に掲げ、ソドムは刀身に魔力を通す。

 残されている時間はあまり多くない。

 カツボウゼイ出現という緊急事態をゴモラ一匹に任せるなど、身の毛が逆立つ程の悪手だと知っているからだ。



 ……ゴモラとカツボウゼイの相性は悪くねぇ。

 確かにアイツは速いが、攻撃対象を管理できるルインズワイズがあるんなら対処できる。

 ゴモラが逃げずに戦いを選んでいる以上、勝ち目だって十分にあるはず。

 つーか、俺を煽る余裕があるなら、さっさと処理しろ。


 問題は、助けに行かなかった事を出汁にしたゴモラが、無理難題を吹っ掛けてくること。

 それと、カツボウゼイ誕生の背後に居るだろう存在だ。


 システム上、群棲を発生させずに王蟲兵が生まれることはありえない。

 なのに出てきたって事は、どういう形であるにせよ、生命の進化を促せる命の権能が関わっている。


 不可思議竜か、それともおホープか。

 人間の女や、それに化けた神という線もありうるな。



「黙んまり決め込んで高みの見物とは良い御身分だな、ホープ。来いよ、二匹纏めて刺し身にしてやる」



 ボボボボボッと伸びる、光の軌跡。

 空を駆けながら放たれた黒塊竜の咆哮は引力を有し、空気すらも凝縮し結晶となる。

 そんな幾つもの宝石が煌めく中で、一閃が放たれた。



「役不足だっつってんのが分からねぇのか、モグラ。断・跋せよ、《魔神の等活獄(デモン・ファースト)》」



 世界に引かれた、一本の黒い線。

 それは、本来ならば、地平線という名の背景に過ぎない。

 だが、ソドムによって生み出されし黒線は、全ての物質の上に描かれる。


 上下に両断された黒塊竜、その両方の断面から心臓が零れ落ちた。

 魂の入れ物を破壊したのではない。

 魂そのものを両断した結果、入れ物も二つに割れたというだけの話だ。



「……ッ!!馬鹿な、ホープの解脱天命の中なのだぞ」

「知識っつーのは、お前らみてぇなクソしぶとい奴を効率よく殺す為にあんだよ」



 ソドムは見抜いているのだ。

 心をへし折ることで自発的に輪廻転生を終わらせるという、相手依存の殺し方……ではない(・・・・)

 竜が持つ輪廻転生システムの脆弱性を付いた、本当の()の殺し方を。



「ホープ。このままコイツを殺し続ければ魂がすり減り、やがては、お前ですら転生が出来なくなる」

「――、、―、」


「蟲を放置すれば、それこそ数億の命が簡単に食い潰されちまう。テメェらの命じゃ釣り合わねぇ損害が出るんだ」

「……。」


「最終警告だ。希望を戴く天王竜ウィルホープウラヌス、今すぐ結界を解け」



 ソドムが最も恐れる展開、それは、竜と蟲による共同滅亡。

 世界を滅ぼせる王蟲兵を竜が生み出し続けるという、途方も無い悪夢。



「――《竜精界の夢ドラゴ・ティターニーア》」



 そして、返された答えは継戦だった。

 それも……、頂きに立つ王竜の能力を使用するという、考察の余地が残されていない敵意。



「そうかよ。じゃあ、テメェもくたばるしかねぇな」



 ソドム達を取り込んだ周囲一帯が、巨大な竜の姿へと変わっていく。

 希望を戴く天王竜。

 その戦闘はいつも、世界を支配する所から始まって。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 常時クリティカルとかエゲツな。 ホープはここでフルボッコにされて、 リリンサ達に拾われたんかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ