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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第12章「無色の篝火狐鳴」

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第25話「ホウライ伝説 知らしめられる建国 ⑪」

 

「分からんか?儂が勝者で、お主が敗北者になると言っておるのだ」



 遥か上空を見上げるホウライの視線は、足元の虫を見下ろす様に冷ややかで。

 恐れるどころか、まるで意に返す素振りすら見せないその態度に、黒塊竜が笑いだす。



「ふはは!まさか我を殺す気でいるのか?人間よ」

「わざわざ語るまでも無かろう」


「あぁ、それもそうだ。我は人間を殺すと言った。ならば、人間も我を殺すというのが道理だなァッ!!」



 黒塊竜が腕を振るった瞬間、炎が風を斬った。

 それは比喩的な意味では無い。

 実際の現象として、空間に存在していた『風』という名の空気が寸断され、真空状態が発生している。



「優れた剣士の太刀筋にも、似たような現象になる事があるがのぅ……、馬鹿デカイだけあって規模が段違いじゃ」



 上段から二振り下ろされた核炎剣、その長さは全長60m。

 ホウライ一人との対比は、約1:37。

 剣で爪先を叩き潰すかのような暴虐、それをまともに受けるホウライでは無い。



「じゃが、所詮は人ならざる者の力技。武術というものをまるで理解しておらぬこれでは『素人』とすら呼べぬな」



 そんな、圧倒的な力の行使を、ホウライは素人(人間)以下だと嗤う。

 必要最低限の挙動での回避、肌に触れそうなほどの接近は匂いとなってホウライへと……、届かない。



「匂いが無いじゃと?」



 黒塊竜が放つ匂いは未知であり、そこから情報を得る事が出来ない。

 しかし、炎が発生させる燃焼という現象は、大気中へ高温の分子――、匂いそのものを撒き散らす行為。

 だからこそホウライは、その炎が何を燃やす為の炎なのかを瞬時に理解できる筈だった。



理想気体炎(イデアルファイア)を始めて見る、意気っている割にその程度か」

「特殊形態の炎じゃな。安心せい、知識は授かっておる」



 黒塊竜が持つ二振りの『核炎剣』は、通常の炎とはまったく異なる性質を持つ。

 炎の外部へ熱が伝導するのではなく、炎の内部へエネルギーが引導されているのだ。


 黒塊竜が発生させているのは炎そのものではなく、燃料である空気。

『理想気体』という熱伝導が起こらない特殊状態の空気を燃焼させた炎は、温度という概念が破綻する。


 通常の炎は、温度が低い外気へ熱が移動し続けている。

 だが、理想気体を燃料としている炎は、より高温の方へエネルギーが引き寄せられる。

 この為、熱は外部に逃げる事が出来ない。


 そして、核炎剣が持つ熱エネルギーは加速度的に増えてゆく。

 炎以外の物質が剣に触れた瞬間、その物質が持つエネルギーも全て内部へ引き寄せられ、炎が持つエネルギーの総量が加算されるからだ。


 これは、逃れる事が出来ない引力を発生させる炎。

 僅かにでも触れれば、即死。

 それも、肉体は欠片も残らず、秘めていたエネルギーすらも奪い尽くされる、完全な死だ。



「知っているから回避するか……、弱者の考えだ」

「そう見えるのなら、やはりお前は弱者じゃよ」



 振り回される60mの絶対死。

 かつて黒塊竜に敵対した数百万を超える命、それを一つ残らず融け込ましたそれを、ホウライは鼻で笑った。



「もう慣れたぞい。ほれ、撃ち込んでみい」



 空間に作った透明な足場の上で立ち止まり、視線と手首を向ける。

 もう回避はしないとホウライは態度で表した。

 ついでに顔芸まで添えた挑発は、竜の歴史を以てしても非常に稀なレアケースだ。



「……我にそのような態度を取れるのは、タヌキだけだと思っておったぞ。よかろう」



 ボボボッ、っと滾る炎が、赤から白へと変化してゆく。

 最早それは、炎と呼ぶにふさわしくない『熱線』。

 黒塊竜から注ぎこまれたエネルギーは臨界に達し、炎という概念を超え始めていて。



「試せ。己の愚かさを」



 核熱剣の軌跡はまるで、炭で線を引いたような暗黒。

 色を反射する物質が僅かにも残されていない、存在した全てが核熱剣と一つとなり焼滅している。



「《暗香不動イムバブルオーダー奥義、逝薫イクン》」



 全長80mの巨体+全長60mの剣。

 それが発生させた途方も無い遠心力の切っ先を、ホウライは手刀で迎え撃つ。


 それに触れた瞬間、黒塊竜は焼者、ホウライは灰者へ別れる筈だった。

 だが、その結果は焦者と拝謝に別れた。

 無傷な姿を見て焦る黒塊竜へ、偉大なる知識へ感謝を捧げるホウライが肉薄する。



「なんっ……」



 ホウライが持つ世絶の神の因子『暗香不動』。

 嗅いだ匂いを理解するという能力の真髄もまた、『相手の分子を取り込む』こと。


 そして『知識』を与えられたホウライは、この力を磨き続けた。

 何十年という研鑽。

 そうして詰み上げてきた経験(レベル)は、その身に僅かにでも触れた物質を強制的に奪い取れるようになっていて。



「《天空を統べし雷人王(zeus)》」



 触れれば即死の炎を手刀で落として踏み潰し、ホウライは雷光と成る。


 常に右腕に馴染ませているのは、魔法十典範から生み出した埒外なる魔法。

 神が行使する創生神話、十ある原初の一つ。


 激甚の雷霆――、極めて激しい、破壊の雷光。

 バッファ魔法である『原初に統べし雷人王(オムニバス・ゼウス)』から派生させたこの雷は、肉体を直接的に破壊する。


黒塊竜の設定を考えてたら、決着まで行きませんでした(汗

次回は文字数多めに致しますので、どうかご容赦を!!

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