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きさらぎ駅

「フォロー外より、よろしいでしょうか」


私のもとにひとつのツイートがやってきた


「いくつかに分けてツイートさせていただきます。そもそもきさらぎ駅とは、2ちゃんねる発祥の都市伝説です」


「普通に電車で帰宅していたはずが、存在しないはずの無人駅に降り立ってしまったという女性の話です」


「その女性は、帰ってくることはありませんでした。なので、都市伝説化したのです」


「電車内の怪奇現象として、電車内での時間が現実世界と一致せず滅茶苦茶になる。GPSはエラーを起こして使えない。 携帯電話の大部分の機能が使えなくなる。 車内の写真を撮影するも赤みを帯びた写真しか撮れない。異常な眠気に襲われる。記憶が飛んでる。いくつか当てはまるのでは?」


「ちなみに、福岡県で『きさらぎ駅』を通過したという人の話では、前の駅は『やみ駅』、後の駅は『かたす駅』だったというそうです」


「今、どの駅かわかりますか?かたす駅の可能性もあります。きさらぎ駅、かたす駅に共通するのは、眠くなる。自分の名前が思い出せなくなる。時間の感覚が現実世界とズレるです」


「やってはいけないことは、寝ないこと、電車を降りてはいけない&駅から出てはいけない、もし人がいた場合でも話しかけてはいけないし、答えてはいけないし振り返ってもいけない、線路の先にあるトンネルに入ってはいけない、口笛や歌を歌ってはいけない、です」


このツイートを見ている間に、私はトンネルを抜けた。そこは、日が暮れかけ、少し薄暗くなった、田舎町のような場所だった

近くにこれといった建物はない、民家もなければ店もない

原っぱと、山だけ・・・・

トンネルを抜けたあたりから、後ろになにかいるような気配を感じる。確かに、私の後ろには席が二人分ある

でも誰もいないはずだ。誰もいないはずなのに、何か気持ち悪い気配がする。

振り返ってはいけない、いや、振り返りたくない

怖くなって、私は車両を移動した。しかし、隣の車両に移ろうと、ドアを開けたとき、気味の悪い匂いと気配がした

ダメだ、どこにも行けない。逃げ場がない・・・・

こんなに怖い思いは初めてだ。どうしたらいいんだろう、怖い、怖い・・・・


「やばい、トンネル抜けたあたりから、気持ち悪い。何か変な気配がする」


その時、車内にアナウンスが流れた。男の人の声。でもダメだ、聞きたくない

・・・・だって、気持ちわるい声で、何言ってるかわからなくて、この世の声とは思えなくて

吐き気がするような声だった。思わず私は耳をふさいだ


「やだやだ 車内アナウンス気持ちわるい」


ツイッターでそうつぶやいている間に、唯一聞き取れる言葉を、車内アナウンスが発した


「次は、きさらぎ駅、きさらぎ駅です」


そう言っている間に、駅に着いた。ドアが開く、新鮮な空気が入る

耐え切れなくて、私は思わず電車を出てしまった

出た瞬間、扉の上から、気持ち悪い肉塊のようなものが落ちた。そしてそれは、私と入れ替わるように電車に入っていった


「電車怖い、電車から出た、入りたくない」


私がツイッターでつぶやくと。たくさんの「今すぐ戻れ」の返信が来た


「やだ、こわい、かえりたくない」


すると「帰りたいなら、乗るしかない」と返信が来た


一瞬迷ったその瞬間。電車のドアは閉まって、走り出していた

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