貴女が好き
貴女が好きだと、伝える事が出来たらどれだけ楽なのだろうか。
私の思いは、私が死んでしまっても消えない。
私の想いは、貴女に届ける事も出来ない。
抱きついた時に香る、その穏やかな香りが大好きで。
私が何かを言った時、一緒になって笑うその笑顔も大好きで。
本を読む、その穏やかな表情が好きで。
貴女と過ごす、1秒1秒が大切で。
その貴女を、私が塗りつぶせてしまえばいいと。
貴女が、私を見てくれればいいと。
叶わない想いが、雪のように降り積もっていく。
その想いは、雪のように真っ白で、雪のように儚い。
でもその想いは、いくら熱くても溶けてしまわない。
いっそ溶けて流れて、何もなかったことになればどれだけ楽なのだろうか。
伝えてしまえば、これまで積み重ねてきたものが全部散ってしまうような気がして。
貴女が、私の前から立ち去ってしまう気がして。
想いを告げられたら、どれだけ楽なのだろうかと、考えて、考えて。
私にあなたの未来を奪う権利などないのだという結論に至る。
貴女に想いを伝えること、それはきっと無いんだろうな、と。
拒絶されてしまう事を恐れ、想いを告げず。
「あぁ、私はなんて憶病なんだ」
そう呟く。