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ティファ

「おっとと、……あれ?」


 何か、バランスがとりずらい。


「どうしたのです?」


 リアナがふらふらしている俺に聞いてきた。


「ちょっとバランスがね、変なんだよ」

「それは……」


 リアナの視線が俺の胸にいく。リアナだけではなく国王、バーダッツ、レスタの視線も心なしか俺の胸にいっている。


「俺の胸がどうした?」

「…………大きいです」

「へ?」


 大きいの?俺の胸が?


「そんなに?」

「そんなにもです」


 まぁ自分じゃわからないが女のリアナから見ても大きいなら大きいのだろう。


「でも、それとバランスがとりずらいのは何か関係があるのか?」

「それは……」

「胸が大きすぎて身体の重心が前に傾いているのだろ」


 口ごもったリアナの代わりにバーダッツが答えた。

 なるほど、だからか。


「だがそれはそのうち慣れるだろ。護衛には問題無いな」


 王様がそう判断するなら良いか。


「ラスティよ、他に変わった所は無いか?」


 王様に聞かれた。


「そうですね。変わったと言えば、少し視点が低くなりました」


 前までは俺の胸位にあったリアナの顔が今では俺と同じ所に有るし。


「そうか、それは何か問題になるか?」

「うーん……身長が低くなったって事は手足も短くなったって事ですから、そこが問題ですけど……これ位なら大丈夫です」

「なら良かった。ではこれからもリアナの護衛を頼むぞ、ラスティ」


 ……………ラスティねぇ…………。


「あの王様」

「なんだ?」

「俺の事ラスティと呼ぶの止めて貰えませんか?」

「何故だ?」


 王様だけじゃなく、他の皆も不思議そうにしている。

 いや、だって……、


「俺はこれから女として生きていくんですよね?」

「まぁ何かあれば男に戻すかもしれんが、そうだな」

「だから女の俺をラスティと呼ばれるのは何か嫌なのです」


 女の俺がラスティと言われると俺が女装趣味みたいじゃん。


「だがラスティよ、リアナの護衛が【死神(デスサイズ)】ラスティと言うことを知っているのはここに居る者だけだぞ?」

「え?」

「他の者は皆、お前の事を姫の眷族吸血鬼だと思っているからな。今朝お前に書かせた書類にもそう書いてあっただろ」


 俺の疑問にバーダッツが答えた。そういえば朝早くに書いたね、今日はいろいろあったから忘れてたよ。


「でもやっぱりラスティと呼ばれるのはちょっと……」

「良いのではなくて?」


 リアナが助け船を出してくれた。


「ふむ。ラスティとリアナに頼まれてはな、断れまい」

「そうですね。どうせ女としての書類も後で書かなくてはいけないので、その時に名前を変えれば良いでしょう」

「あ、書類なら私も手伝います」


 王様が認めてくれた。そしてバーダッツよ、また書類書かなくてはいけないのか?まぁレスタが手伝ってくれるみたいだけど。


「では名前はどうしましょ?」


 リアナが俺に聞いてきたが、正直何も考えてなかった。


「どうしようかな?」

「ならラスティから取るのはどうでしょう?」


 ラスティからか、それで良いか。


「ラスティから取るにしても、どれを取れば良いかな?」

「そうですね、ラスティのティから始まる名前にしてみてはどうでしょう?」

「ティか、うーん……」


 ティから始まる名前ってどんなのが有るんだ?


「お父様も何か良い名前が有りますか?」

「バーダッツやレスタも何か無い?」


 他の三人に聞いてみるが三人共、首を横に振った。


「うーん……」


 リアナも考え込んじゃった。もう適当で良くない?

 

「っ!そうだ!ティファと言うのはどうですか?」


 リアナが目を輝かせて聞いてきた。

 ティファ……か。


「あぁ、良いんじゃない?」

「本当ですか?」

「本当だ、折角リアナが考えてくれた名前だもの。ありがとな」


 リアナの頭を撫でながらお礼を言った。

 身長がほとんど同じになったから少し高く腕を上げたから、不恰好になったかな?

 頭を撫でているとリアナが小さく「どういたしまして……」と言ったのが聞こえた。

 なんで小声なんだろ?顔も少し赤いし。


「では、ラスティ改めティファ。これからもリアナの護衛を頼むぞ」

「わかりました」


 王様がその場を締めるように聞いてきたので返事をした。

 それが合図となり王様とバーダッツとレスタが帰っていった。


「それでは私達も部屋に戻りましょう」

「え?……ああ、はい」


 忘れてた、そう言えば今日からリアナと同じ部屋になるんだった。






 リアナの部屋に入ってみると、今更ながら女の子の部屋なんだなと思った。

 だってすごく甘いにおいがするもん。


「どうしたのです?早く中に来て」


 扉の前で立っていた俺にリアナが言ってきた。


「いや、でも……」

「大丈夫ですわよ、ここはもう貴女の部屋であり、貴女はもう女なのですから」


 ……………諦めるか。


「わかったよリアナ」


 リアナがベッドに座っていたのでその隣に座った。


「じゃあ改めて、今日からよろしく。リアナ」

「こちらこそ、よろしくお願いします。ティファ」


 女になって心機一転した今日から一生、俺はリアナの護衛をする事になった。

 でも俺は後悔していない。

 お陰でつまらない人生を楽しく出来そうなのだから。

 

「ではティファ。少し早いけど寝ましょう」

「寝ましょうって、まさか一緒に!?」

「もちろん」


 リアナには恥じらいってものが無いのか?

 いや恥じらいは有るだろう、男性恐怖症なんだし。……関係無いか?


「ティファは私と寝るのは嫌ですか?」


 リアナが潤んだ瞳で見てくる。

 なんだろう、この可愛らしさ。もっと弄りたくなった。

 だがその気持ちを抑えてリアナに答えた。


「嫌じゃないし寧ろ嬉しいが、リアナは大丈夫なのか?」

「私ですか?」

「そう、俺男だぜ?」

「大丈夫ですよ。見た目は女ですし」


 そ、そりゃそうだけど……。


「でも中身は男だぞ?」

「中身が男でも、ラスティなら大丈夫です」


 俺なら大丈夫って……なんで?


「でも……」

「大丈夫です!見た目がティファで中身がラスティなのですから」


 ……まぁそこまで言うなら良いか。


「じゃあ一緒に寝るか」

「はい!」


 リアナは満面の笑みで答えた。


「そう言えばティファはネグリジェを持っていますか?」

「持ってるわけないだろ!?」


 男だぞ俺は!持ってたらそっちの人だよ。


「では私のを貸してあげます」

「いや、いいよ」


 というか着たくない。


「ならどのような格好で寝るのですか?」

「あー…」


 普段は面倒だからそのまま寝てることが多いけど……俺は部屋着と外着って分けてないからな、旅してたし。


「このままじゃダメ?」

「ダメです」


 やっぱダメか。


「じゃあ下着は?」

「だ、ダメです!」


 だよね、さすがに恥ずかしいよね。


「うーん、じゃあ…」

「諦めてネグリジェ着なさい」

「…………はい」


 諦めるしかない。


「じゃあ着替えましょう」


 いきなりリアナが服を脱いだ。


「っ!」


 何とか見ずに視線を反らすことができた。


「どうしたのですか?」

「いきなりリアナが服を脱ぐから……」

「大丈夫ですよ。女同士なのですから」

「そういうものか?」

「そういうものです」


 リアナの方を向くと、下着姿のリアナがいた。


「あ、えっと…」

「ほらティファも服を脱いで」


 口ごもった俺の服をリアナが脱がしていく。


「あら、ティファ。男物の下着を着けてますね」

「そりゃそうだろ。さっきまで男だったんだから。別に問題ないだろ?」

「問題あります!ちゃんと女物の下着を着けてください!」

「なんで?」

「女だからです」


 横暴だ……。


「待っててください。まだ着けてない下着とネグリジェを持ってくるので」


 リアナがタンスを漁り始めて数分後、リアナが俺に持ってきたのは、


「……なんで黒い下着なの?」

「それしか無くて……」

「……なんでこんなに透けてるネグリジェなの?」

「それ以外は洗濯していまして……」


 ちなみにリアナのネグリジェも透けていた。


「……着てくれますか?」

「うーん……」


 さすがにこれは……ね。


「…………ダメですか?」


 リアナが潤んだ瞳で見てくる。

 あ、また何か弄りたくなってきた。

 どうやらリアナがおねだりするときの潤んだ瞳は、俺の弄りたいという気持ちを刺激するようだ。

 ちょっと弄ろうかな。


「そうだな、じゃあ俺のお願いを一つ聞いて。そしたら着てあげる」

「本当ですか!いったい何したら……」

「ちょっと血を吸わせて」

「血を?」

「そう、血を」

「…あ、そう言えばティファは吸血鬼できたね」

「そう。だから、ね?」

「はぁ。でもどうやって?」

「首を出してくれるだけでいいよ」

「こうですの?」


 リアナが首を傾けて俺に首筋を見せてくれた。


「それでいいよ。じゃあいくよ」

「は、はい」


 俺はリアナの首筋に甘噛みした。血を吸わずに。


「ふ、あん…ティ、ティファ?」

「なに?」

「あ、…ん…血を、あ…吸うのでは、う、…なくて?」


 あー何かそそるわ、リアナが喘ぐ姿。

 でもそろそろ可愛そうなのでちゃんと血を吸うことにするか。


「じゃあ今から本当に血を吸うからね」

「うー……。最初からちゃんと吸ってくださいよ」


 リアナが怨めしそうに見てくるが気にしない。

 そして吸血鬼特有の犬歯を出してリアナの首筋に刺した。


「イタッ」


 リアナは痛そうだが、頭を撫でていると文句は言ってこなかった。

 そして血を吸い終わりリアナの首筋から口を放すと、リアナがこっちを向いた。


「血を吸ったからちゃんと来てくれますよね?」


 黒い下着と透けているネグリジェを持って。

 その夜、俺は女物の黒い下着と透けているネグリジェも着てリアナと一緒に寝た。

 俺だけではなくリアナのネグリジェも透けていたので、なかなか寝付けなかったが。

次回は伏途遼さんの依頼をやるので本編とは関係無い話になります。多分すぐにできると思いますが……時間がかかったらごめんなさい。

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