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お嬢様の護衛に

 王宮の中庭に出るとバーダッツはストレッチを始めた。……まさか本気出す気?

 はぁ…面倒くさいけどやるか。

 俺とバーダッツは準備を整え終わるとお互いに向かい合った。


「まさか貴方が超人だったとは……驚きましたね」

「俺もお前が超人探してるって店に来た時はビックリしたよ」

「そうですか……ではそろそろ始めましょう」

「あぁ」

「では私が審判をしよう」


 審判は国王か……まぁ言い出したのこの人だしな。


「では、始め!」


 バーダッツは獲物の薙刀構えてこちらに突進し、俺の数歩手前で回りながら跳んだ。

 遠心力で重くした攻撃を上から仕掛けてくるか。

 当たったらヤバイな、避けるか。


「よっとっ」


 ボコッ

 俺に避けられて、そのまま地面に薙刀が当たった。

 ……うん?なんか穴空いてんだけど。威力高くね?


「はあ!」


 バーダッツは下からの切り上げから、


「は、は、は、とりゃ!」


 四連撃を放った。もちろん全部避けました。

 その後の攻撃をすべて避けていると、


「どうした?力を使わんのか?」


 国王に急かされたしもう終わりにするか。


「じゃあ行きますよ」


 俺は自分の影の中に入った。


『!?』


 おーバーダッツだけじゃなく全員驚いてる。


「何処に行った!」


 バーダッツが俺の居た場所に行こうとすると、

 ドシャー…


『………』

「………」


 転んだ。

 バーダッツが不思議そうに自分の足元を見ると、


「なんだこれは?」


 バーダッツの足には何か黒いものが絡み付いていた。

 そろそろ出るか。

 俺は影から出てバーダッツの首に爪を立ててから、


「それはお前の影だよ」

「な!お前何処から出てきた?」

「何処って……影から」

「影から?」

「そう影から」


 これが俺の能力、影になる、影を操るという二つが“影”の力だ。

 パチパチパチパチ……

 拍手の音が聞こえた。音のする方を見ると国王が拍手していた。


「いや見事。認めよう、お主が超人であることを」


 やっと終わったか、面倒だったな。


「完敗だ、流石超人だ」


 バーダッツも誉めたたえる。

 ん?バーダッツが国王に耳打ちしてるぞ?


「これだけの力があれば……」

「うむ。…あとはリアナが怯えなければ」


 あ、終ったみたい。


「試したりしてすまなかったな。では本題に入ろう」


 やっとか。


「何故お主等超人を探していたのかというと」


 なんだろ、軍に入れとか?


「私の娘、リアナの護衛になってもらいたいからだ」

「……娘の護衛?」

「そうだ」


 なんで?


「軍人がいるじゃん」

「リアナは極度の男性恐怖症でな、護衛の男が多くいると怯えて部屋から出て来ないのだ」

「少人数に護衛させれば?」

「それだと心配で私が公務に集中出来んし、リアナも怯えたままだ」

 


 男性恐怖症の娘と、超級の親バカかよ。


「だったら女に護衛させれば?」

「女に護衛させたら心配でたまらん」


 親バカ過ぎんだろ、仕方ない。


「わかった、護衛やるよ」

「本当か!?」

「あぁ。それで質問があるんだが」

「なんだ?」

「給料はいくらだ?」


 働くんだから給料貰わないと。


「……それはー……」


 国王が悩んでる。


「うーむ……月一千万コインでどうだ?」

「さようならー」

「わかった!二千万でどうだ?」

「少ない!四千万!」

「よんせっ!?まて二千五百でどうだ?」

「もう一声!」

「持ってけ泥棒三千万!」

「はい三千万決まり!」


 俺の給料は月三千万になった。

 なんか国王が頭抱えながら「国庫が…」とか言ってるけど気にしない。

 するとバーダッツが、


「じゃあ姫の元に行きましょう」


 姫のとこか。その前に、


「ところでバーダッツ?」

「なんだ?」

「超人(俺)を連れてきたことに対しての依頼金五億コインは?」

「………」


 バーダッツが「まだ持ってくか、この守銭奴め」というような目で見るが気にしない。

 金はあって困るということはないかな、貰える時に貰わないと。





 俺は五億コイン入ったケースを持ちながら国王とその護衛数人、バーダッツと共に王宮の奥に進んでいった。

 二十分ほど歩いていると、他の場所とは比べ物にならない場所に出た。

 その場所に入る一歩手前に十人くらいの男性軍人が立っていた。

 恐らくお嬢様の護衛の人だろうけど……なんでこんなところに居るんだ?お嬢様の部屋の入り口はもっと奥だろうに。


「あの、バーダッツ」

「なんだ?」

「この人達ってお嬢様の護衛の人だよな?」

「そうだな」

「なら部屋の前ではなく、こんなところに居るんだ?」

「……お前もう忘れたのか?」

「?」


 バーダッツが呆れた顔をしながら説明してくれた。


「姫は男性恐怖症だと国王が言っただろう」


 そういえばそんなことも言ってたね。

 そうこうしている内にお嬢様の部屋の前に着いた。

 コンコン


「リアナ、私だ。少し話がある。ドアを開けてくれないか?」


 国王がドアをノックして、そう声をかけた。


「お父様?どうしたのですか」


 ドア越しに声が聞こえた。


「お前の護衛についてな、だから私とバーダッツともう一人。あわせて計三人、入って良いか?」


 ………………………カチャッ

 沈黙の後ドアの鍵を開けた音がした。


「失礼するぞ」

「失礼します」

「あっ…し、失礼します……」


 ドアの鍵を開けたことを確認すると国王とバーダッツが部屋に入って行ったので、俺も慌てて入った。


「で、お父様。護衛についての話とは?」

「それはな―――」


 国王がお嬢様に説明をした。


「―――と言うことだ」

「……分かりましたわお父様」


 状況を理解したらしいお嬢様、お怯えた目をしながら俺を見て、


「この方が超人ですの?」


 質問してきた。


「えっあっはい、俺が超人です。名前はラスティで【死神(デスサイズ)】って呼ばれてます」

 

 急に質問してきたから少し慌てちまった。


「そうなのですか……」

「ではリアナ、良いな?」

「……分かりましたわ」


 お嬢様も納得したみたい。

 すると国王が俺に向かって、


「ではラスティ、今日はもう遅い。今夜は王宮に泊まりなさい。どうせ明日からは王宮に住むのだから構わんな?」


 外を見ると確かに暗い。


「分かりました」

「では、部屋を用意させる。少しここで待っていよ。バーダッツ行くぞ」

「はい」


 国王とバーダッツが部屋から出ていってしまった。

 ……………ちょっと待て。まさか今お嬢様と部屋に二人っきり!?

 お嬢様の方を見ると怯えて震えていた。

 男性恐怖症は本当らしい。

 ……少し気まずいから話し掛けるか。


「あの……」

「っ!……なんですの?」


 やっぱ警戒されてるな。


「もう一度ちゃんと挨拶しとこうと思って。俺の名はラスティ、超人になる前は吸血鬼で年は十七」

「……私の名はリアナ、リアナ・ターシャ。年は十六」


 ちゃんと挨拶を返してくれて嬉しかったりする。


「これからよろしくお願いします。ターシャお嬢様」

「えぇよろしく。でも私のことはリアナでいいですわよ。ターシャだと王族全員ですもの」

「分かりましたリアナお嬢様」

「……いちいちお嬢様と呼ぶのは面倒でなくて?」

「……正直面倒です」

「ならお嬢様は付けなくて良いですわ」

「ありがとうございます、リアナ」

「……………」

「……?どうかしました?」

「……っあいえ……その……お父様以外の男性に名前を呼び捨てにされたこと無くて…」


 恥ずかしくなって黙っちゃったのね。


「……そうですか」

「……………」


 今度はこっちを見ている。さっきまでの怯えた目ではなく、…いや少しは怯えているが何か違和感を感じているような目で見てくる。


「……敬語は苦手ですか?」

「え?」

「いえ……さっきから何か貴方の言葉が少し変に感じて」


 そういうことか。確かに苦手だな敬語。


「……はい、苦手です」

「やはりそうですか……ならタメ口で構いません」


 え、良いの?


「でもそういうわけには……」

「大丈夫です。私は」

「でもお嬢様にタメ口は……」

「ならお願いします。タメ口で話してください」


 お願いされちゃったよ……


「わかったよリアナ、これからよろしく」

「はい。こちらこそよろしくお願いします」


 カチャッ

 部屋の扉が開いてメイドさんが入ってきた。


「ラスティ様、お部屋の準備が出来ました。こちらへどうぞ」

「そうか、わかった」


 眠くなってきたしそろそろ寝るか。


「じゃあ、おやすみリアナ」

「はい、おやすみなさいラスティ」


 こうして俺はリアナの護衛になった。

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