テト達
遅くなってすいません。
多分これからもこんな感じですけど、呆れずに読んでください。
旅に出て一週間たった。
現在二人は釣りをしていた。
「ふあぁ~っ……眠い……」
ティファは欠伸をしながら糸を垂らし、
「それはそうですよ。だって今、夜中じゃないですか」
リアナは釣れた魚に串を刺し、焚き火に掛けてから釣りに戻った。
「先ので三匹目ですけど、後何匹釣るのです?」
「んー……もう三匹くらい?」
「私そんなに食べられるかしら?」
「食わなきゃ倒れるぞ?明日から山登りなんだから」
「うーん……じゃあ頑張って食べます…」
「えらいえらい」
なでなで。
「子供扱いしないで!」
「ごめんごめん」
「全然反省してない!」
さて、行き成りだけどなんでこうなったか少し振り返ってみよう。
今から数時間前。
俺達は夕食の準備をするため手頃な場所を探していた。
そして丁度良さそうな洞穴を見つけた。
その洞穴の中に入ってみると、
「お前達誰だ?」
前から人が来た。
「子供?」
「子供で悪いか?」
「いや別に」
「あっそ」
「で、先の質問は俺達に対してか?」
「他に誰がいる」
「そりゃそうか」
「で、お前達は誰だ?」
「俺達はただの旅人だよ」
「女二人でか?」
た、確かに周りから見れば女二人かもしれないけど……一応俺は男でしかも超人なんだけどな……。
「そ、そうだ」
「ふーん……」
そう言うと目の前の子供は黙ってしまった。
そして数分が経ち、子供が質問してきた。
「なぁお前達」
「なんだ?」
「旅をしているんだよな?」
「そうだが?」
「なら二つお願いがあるんだが…」
「お願い?」
「私達で出来ることなら聞きますけど…」
リアナがそう言うと子供は質問内容を言った。
「まず一つは、僕達に食糧をくれ」
「食糧を?」
「そうだ」
「どうしてだ?」
「ここの食糧がもう無いんだ」
「無い?ならそこら辺で集めれば良いじゃねぇか?」
「武器も無いし魔法も使えないのにどうやってだよ?」
「ん?じゃあ今までどうやって生きてたんだ?」
「それはお母さんがこの近くのユアランから買ってきてくれてたんだけど……」
「お母さん?ならその人に買いに行ってもらえば?」
「それが二つ目のお願いだ」
「は?」
「お母さんを探してほしい」
「探す?なんで?」
すると子供は心配そうな顔をして、
「だって……もう十日間も帰って来てないんだ……」
「十日間?別に変じゃねぇだろ?ここからユアランまで一週間かかるし、往復なら二週間かかるだろ」
「いや、お母さんは行きは川に乗って行くから、半日位でユアランに着くんだ。帰りは逆流になるから足で帰るけど」
川に乗って行く?筏とかでか?
「だからお願いだ!お母さんを探してくれ!!」
「うーん……」
「わかりましたわ」
「おい!?」
俺が悩んでいるとリアナが勝手に返事してしまった。
「本当か!?」
「ええ!」
「あ、……ありがと!!」
そして子供は泣きながら喜んでしまったし。
「おいリアナ。なんで引き受けちまうんだよ?」
「だって可哀想ではありませんか」
「そりゃ……そうだけども……」
「だから、ね?良いでしょ?」
「…………はぁ、わかったよ」
リアナがこうなったら俺の言葉を聞かないからな。
「そう言えば……おい子供」
「なんだ?て言うか子供って言うな!ちゃんとテトって名前があるんだ!」
「ならテト。なんで最初に俺達に旅をしているかなんて聴いたんだ?」
今思い出したけど、結構気になったから聴いた。
「旅をしていてここを通ると言うことは、ロストドライブかユアランから来たことになるだろ?」
「まぁ確かにそうだな」
「ただそっちの銀髪の人の服みたいに綺麗な服はユアランでは売っていない」
「そうなのですか?」
「リアナが着てる服みたいのはロストドライブにしかねぇよ」
まぁリアナは外にあまり出てないから知ってなくても当然か。
「となると、お前達はロストドライブから来たことになる」
「そうだな」
「しかし、ロストドライブで売っている物の中でも、そのくらいの服となるとかなり高い」
「そんなに良いものなのですか?」
「俺の服の百倍位じゃね?」
ちなみに俺の服は一着五千コイン位だ。
「旅をしているのにそんな服を買う余裕があると言うことは、かなり裕福だろ?」
「………まぁ……な」
リアナはお嬢様だし。
「なら食糧も余裕があるだろ?」
「ほぉ……だから最初に食糧をくれって言ったんだな?」
「そう言うことだ」
あの時にこんだけ考えられるってのは結構すごいな。
「じゃあ奥にいこう。皆が腹減らして待っている」
「オーケー」
「わかりましたわ」
そして俺達は奥に進んで行った。
数分後。
「…………………」
俺は言葉を失っていた。何故なら、
「ねぇお姉ちゃん。これも食べていい?」
「あーぼくもそれ食べたい!」
「あ、わたしもー」
「じゃあオレこれ食べる!」
「それあたしのー!」
「へっへー!もーらい!」
「返してよー!」
「テト。食べてる?」
「あ、カナ。いーやあんまり食ってねぇや」
「だと思った。ほらこれ食べなさい」
「ありがと、カナ」
「カナお姉ちゃん!これも食べていい?」
「え?あぁそれはまだ焼けてないわよ」
「テトお兄ちゃん!これは?」
「それもまだ煮えてないぞ」
「おぎゃー!おぎゃー!」
「あぁ!?なんか赤ちゃんが泣き出した!?」
「どれどれ貸してごらん」
「はい」
「よーしよーし、どうしたの?」
「おぎゃー!おぎゃー!」
「まだ泣いてるよ?」
「うーん…お腹すいたのかな?」
「ならお肉食べさせる?」
「まだ食べられないわよ」
「じゃあお魚!」
「だから食べられないって」
「えー、じゃあなに食べるの?」
「うーん…お粥とか?」
「わかった!今お粥作るね」
「お願いねー」
洞窟の奥には十人の子供がいたから。しかもカナ以外テトより幼い!
「おーいテトー」
「なんだ?」
「俺達の分は残してくれないのか?」
「それは……」
テトが子供達の方を見て、
「……そうかも」
「まぁ良いじゃないですか、ティファ」
さっきまでカナと一緒に子供の相手をしていたリアナが戻って来た。
「うーん……三日位なら我慢できるけど、これからこいつらのお母さん探さなくきゃいけないんだぜ?それにユアランまで一週間かかるし」
「どこかで適当に食べられるものを探せば良いじゃないですか。私達はこの子達と違ってそれが出来る力があるのですから」
「………はぁ」
その後俺も子供の世話を手伝わされた。
夕食が終わり、子供達が寝た頃。
俺達が出ていこうとすると、まだ起きていたテトとカナが止めた。
「寝ないのか?」
「あぁ」
「どうしてですか?」
「結局夕食を食べられませんでしたので、夕食を取りに行くのです」
リアナがそう言うとテトとカナは気まずそうに顔を伏せた。
「ごめん。まさか本当に全部食べちまうとは思ってなくて」
「本当にすいません」
「あ、いや。別に気にすんなって」
「そうですわよ」
「けど……」
「俺達は大丈夫だって。じゃあちょっと夕食取りに行ってくるわ」
「ついでにあなた達のお母さんを探しに行って来ますね」
そう言って洞窟を出ていく俺達に、
「メシ、ありがとうございましたぁ!!」
「お母さんのこと、お願いします!!」
後ろからテトとカナがそう言ってきた。
と言うことがあって今に至る。
「よっと、これで六匹目」
「じゃあそれも焼きますね。あ、そろそろ最初の方に釣ったやつは食べられそうですわ」
「そうか。じゃあ食うか」
「はい」
「「いただきます!」」
そうして遅い夕食を終えた後、俺達は明日に備えて寝た。
もちろん同じ寝袋で。